無認可食品添加物について

 

昨今(2002/6)マスコミを騒がしている無認可食品添加物事件

一時は毎日のように無認可食品添加物が使われていた食品が新たに判明して自主回収事件が話題になりました。

無認可食品添加物で取り上げられたアセトアルデヒドやプロピオンアルデヒドはどちらもたいていの食品には初めから(天然物質として)含まれているものです。

アセトアルデヒドは二日酔いの時に気分が悪くなる物質として有名?ですね。つまりアセトアルデヒドが気分が悪くなるほど体内に入ったところで、人間は死なないということです。
食品全体のごくごくわずかに使われているの香料のその一部に入っていたぐらいでは全く人体に影響はありません。

また、天然には椎茸、鱈(タラ)、ヨーグルト、チーズ、カリフラワーなどには高濃度で含まれています。
またお酢やワイン、お酒にも含まれています。

同様にプロピオンアルデヒドもトマト、ウイスキー、緑茶などには元から含まれています。

お酢を合成的に製造する時はアセトアルデヒドを原料に使います。アルコールも酢もアルデヒドも同じ系列の物質です。(ワインが酸化すると酢になることや、お酒を飲んで体内でアセトアルデヒドが出来ることからも同じ仲間だと分かると思います)

文献によると椎茸に含まれるアセトアルデヒドは150ppmほどです。
※1ppmは1リットル(または1kg)に1mg(=1000分の1g)含まれる量です。1ppm=1mg/kg

回収されたお菓子に含まれているとされるアセトアルデヒドの推定残留濃度は、明治製菓のキャラメルでは0.04ppmです。いかに少ないか分かると思います。

では天然に存在していていろんな食べ物にたくさん含まれている物質がどうして食品添加物として認められていないのか?

理由は簡単です。食品添加物として認められる、つまり厚生省から認可されるにはその物質について詳細な実験データーが必要となり、そのためには多大な費用が必要であり、実験には最低でも3年は掛かります

これまでにも説明してきましたように、食品添加物として使用が認められるためには様々な実験を繰り返して安全であるという証拠(実験データ)が必要なのです。

もともと自然界に存在しているもので食品に含まれている、だから安全だ、とはいかないのが現状です。

それは口に入るものは詳細に安全性を検証しなければいけないというスタンスを取っているからであり、逆にそれが足枷になってしまっています。

天然に存在する物質で食品添加物に認められているもの(「既存添加物」と言います)は、長年の食経験から安全だと確証されており詳細な実験データー無しで認可されています。
しかし今後は既存添加物は増えることはありません。

※既存添加物は平成7年までに使われてきたものに対しての分類であり、平成7年以降はこの枠組みに追加することはありません。新規の添加物として認可される必要があります。
例え経験的に安全と分かっていても膨大な実験が必要です。

さて、食品添加物として認可されるのに必要な実験を行うには、最低でも1億円以上の費用がかかります。(新薬についての実験費用(150億円以上)と比べたら少ないですが、その分の費用を回収できるだけ薬自体が高価であるという理由があります^^;)

1億円以上も費用を掛けたところで、その物質自体は普通に存在していて経験的に安全であるのがわかっているんですから、わざわざそんな手間を掛ける必要はない、ということからそんな手間をどのメーカーもしていません。

さらに認可されると当然ながら認可された物質は他社も自由に使えるわけですから、お金を掛けた企業が独占できるわけでもなく、お金を掛けただけ損をするという羽目になります。

つまり無認可だから人体に危険であるというわけではありません。

炭酸ジュース「ダイエットペプシコーラ」には新規の甘味料「アセスルファムカリウム」というものが使われています。
このアセスルファムカリウムは久々に新規に認可された合成甘味料の食品添加物です。砂糖の数百倍以上という甘さを持ちながらもカロリーオフ、しかも品質の安定性に非常に優れています。

ダイエットペプシは今までの合成甘味料(アスパルテーム)からアセスルファムカリウムに切り替えることで賞味期限が2倍に延ばせました!(実質には安全をとって賞味期限は1.5倍ほどに押さえていますが)

アセスルファムカリウムはアメリカで開発されたものですが、日本でも認可され、ダイエットペプシを皮切りに徐々に普及してきています。

このように、膨大な実験と費用を掛けて認可させるだけの利点(&利益)があればやりますが、そうでなければボランティアでもなければ誰もやりません。

アメリカでは香料の認可には必ずしも動物実験を必要とはしていません。そのため日本で認可されていない添加物がたくさん使用されています。


じゃあ「日本でも詳細な実験を必要とせずにどんどん認可されていいんじゃないの?」と思いますか?
逆にいえば、簡単にどんどん認可される=安全性が確立されないまま氾濫する ということになりかねません。

日本の現状は、理想と現実の間で板ばさみになっていると言ってよいでしょう。

世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)の合同食品添加物専門家委員会(JECFA)は、安全性評価を終えた添加物として約900品目をリストアップしています。
日本では828品目の添加物が認可されていますが、リストと重なるのは約300品目しかありません。今後も認可か無認可で揺れ動くでしょう。


マスコミではなぜ無認可のものが使用されていることがチェックされていないのか?と行政のチェック体制の甘さを指摘しているところもあります。
行政が食品工場をチェックするのは食中毒が起きないようにきちんとしているかといった、衛生管理面でのチェックがほとんどです。
使用している原料についてまでは手が回らないことや企業秘密に関することですからしていません。

それに食品に使用するものは安全なものを使用するという常識(暗黙の了解)があったためです。いちいち相手を疑うことはしなかったわけです。
(ちょっと脱線しますが、特許についてはその内容は全て真実であるという暗黙の了解があり、ウソをでっち上げて特許をとることは絶対にしないということになっています。特許の申請内容について国が疑ったりはしません。それとちょっと似ていますね。)


このことを逆手にとって無認可添加物であることを知っていながら使用していたのは許せないことですが、その添加物(香料など)を購入して使用していたメーカーはたまったものじゃありませんね。

行政がチェックするとか言い出すとまたまた天下りの外郭団体が出来そうですねぇ〜。
ぜひとも企業の自主性に任して欲しいところです。


O−157や狂牛病など(古くはカラシ蓮根、もっと古くは森永ヒ素ミルク)の様々な事件を経験して日本の食品行政はうまく機能してきて、官民の連携はスムーズになりました。

今回の無認可食品添加物事件も歴史に残るいい経験となったはずです。

日本の食品事情がこれを転機に大きく変わって行くとよいですね。

 

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