塩 再考(1)
〜塩について勉強しなおしてみましょう〜
●塩の構造
塩は大きく3つの成分から構成されています。

塩(A)、塩以外の成分(B)、そして水分(C)の3つから塩の結晶は構成されています。
塩の純度は、通常は全体(重量)に対する(A)の割合(湿量基準)で表示されます。
故に、(C)の水分が多い塩は純度が低くなります。
たくさんの種類の食塩が販売されていますが、水分(C)を除いた純度(乾物基準)では97〜99%ぐらいの範囲に入り、どれ商品も大差ないことになります。
そして、(B)は通常、『にがり』と呼ばれるものでMgやCaなどの成分です。添加物を使用した特殊なものを除き、(B)が増加すれば(C)も増加する傾向にあります。
従いまして、にがりが多い塩でも、(B)の値は2%前後です。
尚、図で分かるように、『にがり』は塩(NaCl)の結晶(A)の表面に付着しています。結晶自体は純粋なものであり、周りに付着している水ににがり分が溶けていると覚えて置いてください。
食塩の商品を選ぶ際には、乾物基準での塩の純度を考慮する方が良いでしょう。
●食塩(食用塩)
塩は体に無くてはならないものです。日本では古くから塩資源は海水を用いてきました。
海水を塩資源にする場合は、海水を汲み上げてイオン交換膜を用いて濃縮したものを、精製、濃縮して食塩にします。
欧米諸国では塩資源として岩塩を用いてきました。地中深くに岩塩層が存在しており、そこに淡水を注入し岩塩を溶解します。これを汲み上げて精製し、さらに蒸発缶で濃縮して食塩にします。
諸外国の食塩(製品)の成分一例
| 国名 | 製造者 | 水分 | 不溶解物 | SO4 | Ca | Mg | K | NaCl | 添加 |
| イギリス | SUPREME SALT CO.LTD | 0.01 | 0.00 | 0.02 | 0.00 | 0.02 | 0.01 | 99.89 | MgCO3、 Na4Fe(CN)6 |
| フランス | SALINS DU MIDI | 0.02 | 0.00 | 0.09 | 0.04 | 0.00 | 0.03 | 99.76 | KF、Ni |
| ドイツ | SOLVAY WERKE GMBH | 0.02 | 0.22 | 0.31 | 0.19 | 0.01 | 0.05 | 99.09 | Na2CO3、 Na4Fe(CN)6 |
| 中国 | 北京市場 | 0.38 | 0.05 | 0.30 | 0.14 | 0.02 | 0.02 | 98.93 | |
| タイ | A&A Trading | 1.54 | 0.15 | 0.49 | 0.12 | 0.12 | 0.03 | 97.25 | |
| オーストラリア | SALPAK PTY.LTD | 0.10 | 0.65 | 0.09 | 0.04 | 0.01 | 0.08 | 99.85 | I2、Na2、 SiAl2 |
出典:世界の塩2[日本]
どの国のどの方法でも、食塩の品質は純度99%ほどで差が少ないのが分かると思います。食塩は世界共通の品質だと言えます。
●食塩の安全性
食塩は生体に必要不可欠であるがゆえに安全性第一です。とくに専売制が終り、自由に輸入・製造が可能になったため特に重要です。
国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)は、CODEX(コーデックス)の名称で各種食品の国際規格を検討していますが、食塩についてはまだ結論付けられていないのが現状です。
品質国際規格案の概要がまとめられている次第です。
食用塩の国際規格案概要
| 物質名 |
国際規格(案) |
| NaCl純度 | 97%以上(添加物を除く乾物基準) |
| 水銀(Hg) | 0.1mg/kg以下 |
| 砒素(As) | 0.5mg/kg以下 |
| カドミウム(Cd) | 0.5mg/kg以下 |
| 鉛(Pb) | 2.0mg/kg以下 |
| 銅(Cu) | 2.0mg/kg以下 |
尚、輸入食用塩の中には有害元素が検出されたものや、国際規格案の数値を超えたものが存在
するようです。
外国で使用されている塩の固結防止剤のフェロシアン化合物やヨウ素欠乏症(IDD)を防ぐ為に添加するヨウ素(ヨウ化物塩、ヨウ素酸塩など)は、日本では食品添加物として認められていないので使用できません。
またごみ焼却場などでの廃棄物の処理過程で化学的に生成する塩も存在しますが、有害物質混入の可能性もあり、食用には使用できません。(これは塩の起源が重要だからです)
様々な塩が市販されていますが、誇大広告やキャッチフレーズに惑わされずに、表示を確認したり、公的機関での分析結果の有無を参考に、商品を選ぶことに心がけてください。
●自然塩とは?
自然塩や天然塩という呼び方は、いわゆるコマーシャル用語であり商業上で用いられているに過ぎません。
学術用語として自然塩、天然塩という言葉は認められていませんし、定義があいまいです。
公正取引委員会では「自然塩」の表示は使用すべきでないという見解を述べています。
尚、日本では食用塩は化学反応での生成物は使用せず、自然界に存在する塩(NaCl)を利用しているに過ぎません。
●ミネラル塩?
人体にミネラルが必要なのは周知のことですし、微量元素も注目されつつあります。
塩自体も重要なミネラルですが、塩に付着する「にがり」に含有するMg、Ca、Kなどもミネラルです。
しかし、この「にがり」からはたしかにミネラルは摂取できますが、所要量にはとうてい足りません。
ミネラルは他の食物から摂取することが望ましいですし、そのほうがバランスよい食生活になりますね。
ミネラル豊富なミネラル塩といった種類の食塩がもてはやされていますが、食塩からミネラルを摂取するのは非現実的と言えます。
また、ミネラルが豊富な食塩が必ずしも体にいいとも言い切れません。
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(財)塩事業センターが行った市販輸入食塩の調査結果を転記します。
スーパー、百貨店で輸入食用塩18点を購入。
1)天日塩、2)大粒塩、3)添加物塩に分類した。
1)天日塩(11商品)
過熱した際の重量の減少(加熱減量)は、ほぼその水分に等しく、約1.1%〜9.8%であった。
不溶解物(水に溶けないもの。概して土壌成分である)は、中国の2点を除き0.03%以上含まれ、特にフランス製品は0.33〜0.66%と非常に高かった(6商品中4商品)、土壌成分が多く含まれていたのは問題点の一つである。
塩化ナトリウム純度は、中国2点とイタリア2点は約97%、フランスは「塩の花」など総じて水分が多く、純度は約90%と低かった。
にがり成分は各サンプルの水分量に応じて変化していた。
微量成分は、フランス製品は鉄とアルミニウムが多いもので100mg/kg以上含まれ、マンガンも数mg/kg検出され、土壌成分が多い為と考えられる。
これはイタリア、中国、日本製品に比べてかなり多い。
また、フランス製品(ゲランドの塩など)から有害元素である砒素と鉛が検出された。食用塩国際規格案の数値以下であるが、通常は検出されないので注目すべき点である。
また中国製品から銅が検出され、国際規格案を超えた量であったのも問題である。
2)大粒塩(2商品)
イタリア製の岩塩と、アメリカ製天日塩である。
それぞれ平均粒径2.5mm、5.6mmであり、ミル付きで販売されていた。
両方とも塩化ナトリウム純度は高く、99.7%前後だった。
微量成分は、溶解精製しない岩塩の特徴として土砂由来のAl、Mn、Feが多く含まれていた。
3)添加物塩(5商品)
塩の固結防止剤を添加した商品が4点あり、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム及びリン酸カルシウムが使用されていた。
なお、今回のサンプルの中には日本で使用禁止のフェロシアン化物塩などは検出されなかった。
その他の添加物は、ハーブ、二酸化ケイ素、アミノ酸の一種であるリジン塩酸塩、海藻及び低ナトリウム塩(NaCl60%以下)で塩化カリウムが53〜29%添加されていた。結晶
形状は、溶解かん水を強制循環型結晶缶で製造した球状塩が主であった。
微量成分では、食用塩国際規格案の数値未満ではあるが、有害元素の鉛と銅が検出された商品がそれぞれ1点ずつあった。
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輸入塩はしっかりと注意して購入しましょう。