食品添加物(1)
やっぱり「毒」なの??
栄養素についてのコーナーですが、ちょっと路線を変えまして、「食品添加物」について書いてみようと思います。
法が改正され、食品添加物を(原則として)すべて食品に表示するようになっています。
食品添加物と聞くと、いい気がしない人が多いのではないでしょうか。食品の原材料表示を見て「これは〇〇が入っているからダメ」と言っている人も多いと思います。
しかし、それは先入観や周りからの情報によるもので専門知識に基づくものでないことが多いです。
また、消費者を煽るような書物が出回っております。
ご存知の方も多いでしょう、「買ってはいけない」という本。
もしかしたら一家に一冊はあるんじゃないのかと思われるぐらいの売れ行きでした。
私はその本の噂を耳にし、食品メーカーの研究開発の人間という立場から、「一体何を書いていやがるんだ」とある意味別の興味本位で買い求めました。
早速読んでみると、よくもまぁうまく読者を煽動するような文章であり、あらゆるものの寄せ集めの推論で終わっている非常に稚拙な文章だと感じ、第一印象は「スポーツ新聞の芸能欄みたい」でした。(つまりゴシップ)
その後、「買ってはいけない」に対する反論が某誌上で始まり、批判本も出る始末。
結局、最後は熱しやすく冷めやすい気質で飽きられたのか、沈静化したと思います。
この件についてはここで終わりにしますが、依然として消費者を煽るものは多く出回っています。
執拗にコレはダメだアレはダメだと、一般消費者(=専門的知識を持たない主婦相手)に恐怖心を駆り立てるだけの本が多いです。
そういった記事に「専門家からの意見」として登場する「専門家」とは、得てして「分析」を専門にされている方が多いです。
分析の専門者に「この添加物は毒ですか?」と訊けば、間違いなく事実として「毒です」と答えるでしょう。
それは、「分析」の専門家であって、「医学者」ではないからです。
医学者なら医学・臨床的見地からみてきちんと申されるでしょう。
ここで、マスコミでの偏見による誤った事例を挙げてみますと、
「加工食品(=添加物の入ったもの)の出荷量は年々増加」している」 かたや、「新生児1000人あたりの、先天異常(=畸形)による死亡率は年々増加している」。
この二つのことから、「加工食品を食べることによって畸形児が出来やすくなっている」と言える。
はたして正しいでしょうか? 一見、二つは関連しているかのように思われます。事実このようなことが雑誌等に書かれていたことがあったようです。
食品添加物にかぎらず、現在は口にするものなどは厳重にマウス実験などが行われて管理・制限されています。むしろ、先天異常の数は減っているほどです。
戦前の、新生児の死亡要因は、「結核」 「胃腸障害」 などが原因でしたが、医学の目まぐるしい発展により、それらによる死亡は急激に減りました。
つまり、医学の進歩で結核・胃腸障害・不衛生で死亡する事がなくなったので、死亡数全体のうちの先天異常が占める割合が必然的に大きくなってしまっているにすぎません。
また、「炭酸飲料ばかり飲む子供の骨折率が高くなっている」 からといって、「炭酸飲料の飲みすぎで骨がもろくなっている」と結論してよいでしょうか?
実際は、昔は牛乳や小魚などを食べていたのが、ジュースばかり飲んでいるために栄養バランスが崩れ、絶対的なカルシウム不足に陥っているに過ぎません。現代の子供は慢性的にカルシウムが不足しているのも事実です。
さてさて、話がだいぶ脱線してしまいましたが、ここでタイトルに戻って、私そして食品業界からの意見として述べると、食品添加物は安全に使用するから安全なのです。
風邪薬に限らず、「薬」は人の体内で「効果が出る」からこそ「効き目がある」のです。
子供は1錠でいいのに大人は2錠要るというのは、大人が1錠飲んでも効き目がないからです。
逆に、用量以上に服用すれば死に至ることもあります。
食品添加物も、天然物・人工物がありますが、中にはそのものが毒であり人体に影響があるものがあります。しかし、「人体に影響が出ない量しか入っていないから安全」なのです。
「じゃあ、それをずっと食べつづけたらどうなるのよ。体にどんどんたまっていくでしょ?」と言われる方もおられるでしょう。
風邪薬をたとえとして用いるなら、風邪を引いたときに、風邪薬を「大人が子供の分量(通常2錠のところを1錠)」で飲んだら効きますか? 答えは「ノー」ですね。
子供の分量を通常の倍の日数かけて飲んでも効きますか? 「いいえ」、体に蓄積することもありません。
風邪薬は結局のところ「毒」ですので、多量に飲めは死に至ることもあります。しかし、少量を続けて飲んでも風は治りません。
このことと同じなのです。食品添加物はごく少量(その物質が人体に影響が出る有効量よりはるかに少ない量=無作用量)しか入っていないため、人体に影響が出ないのです。
また、食品添加物はさまざまな見地から実験が行われ、人体に影響の出ない量が決められています。