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── 二〇〇三年作の未投稿短歌 ──

 何となく分類して、順番も入れ替えたりしてみました。
 区分けや序列から、何かしら読み取って頂ければ幸いです。



── その1 ──

何見ても 常に疑問と 疑いを そして考え 問うて考え

身勝手な 天は二物を 与えずも 人は何でも 身につけていく

マスメディア 知識と誤報 綯い交ぜに 日本の抱える 病理を伝え

魂に 刻み込まれた 傷はただ 死に隠されて 時が消し去る

懐かしむ 過去は概ね 美しく 今に受け継ぐ 恥部は隠され

現実は 願望強く 規定され 例外という レッテルが付く

与え過ぎ 飼い慣らしては 牙を抜く 衆愚政治を 救うペテン師

負け犬の 遠吠え響き 追い立てる 泣く事すらも 許されぬヒト

うやむやな 通過儀礼に 誤魔化され コトを見る目を 養う間無く

暗闇を 見つめて消える 命有り 光の中に 生きる狡猾

死の価値を 見ずに命を 語る者 家畜の命に 何を見出す

常識は 思慮分別を くぐり抜け いつしか変わる 正義の剣

平らかに 和やか目指し 組み伏せる 個の軋轢と 衆の怨念

時流から 個性個性と スローガン 水得た魚を 釣り出して喰う

すべからく 手段と結果の 相克が 情熱という 無駄な廃熱

首切りは いつの間にやら “リストラ”に 乱れる言葉が 事実を隠す

自らを 護る事すら ままならず 民気にしつつ 御上に使え

政策も 選挙もプロを 雇ってる アンタはいったい 何者なのか

赤絨毯 むさい奴等が トゥシューズ 爪先立ちで 無様に踊る

欲望が 理想に取って 代わる時 人は堕ち行く 鬼畜外道に

悪法も 法であるとの 先人を 忘れたままの 不毛な立法

未来から 突き付けられた 約束を 過去に持ち越し 今を失う

過ちに 差し伸べられる 救いの手 放置されるは 真面目な苦労

ヨソ様の 血肉喰らって 肥え太り 待ってましたと 誰に喰われる

真っ直ぐに 藻掻き動いた その跡が 滅びた後の 生きた証か

見通せぬ 未来どころか 過去と今 時と所が 不可分ならば

正義ゆえ 最後の敵を 倒す時 自らもまた 滅び消えゆく

風に舞い 雨に流され 道端に 溜まった砂が 育む命



── その2 ──

古代史は 大和政権 書き記す 偽書と異端が そしてはびこる

形無く 見えず聞こえず 触れられず 名前のみ有り 弄ばれる

原爆の 惨禍を今に 再現す 東海村の 臨界事故が

体験を 特権視する 戦中派 時代錯誤が 未来を崩す

学校が 教えもしない 戦争の 記憶が絶えると オトナが騒ぐ

日々が過ぎ 終始カタチの 鎮魂は 魂を消す 惰性の恐怖

旧き良き 香り求めて 生きる今 胡散臭くて 未来を奪う

巣を追われ 人の海へと テロリスト 蜘蛛の子のよう 世界に散った

砂の海 緑の波に 沈む街 人の栄華も 一重の地層

沸き出した ちいさな泉 人だかり 汲み尽き枯れて 墓穴を掘る

ファンタジー 抜き去って行く 現実に スプラッターも ホラーも勝てず

情熱と 惰性は時に 似て見える 継続しても やり直せない

“助けて”は 世情のノイズに 掻き消され 聞いた者のみ 心を乱す

戦いは 言葉と数と 扇動と 敵の命は 自ら断たせ

牙を抜き 爪を削って 生殺し 知恵と心と 態度の死闘

見えている 聞こえてもいる 手も届く それが個人の 宇宙の全て

不可能を 無くして進む 人の世は 思うがままの 理不尽満ちる

日常も 人様々で 追い切れず 他人はみんな 非日常に

他人より 高きを目指す 志 いつしか他人(ひと)を 踏み台にして

危機感を 封じた刃 向く先は 抜いた宝刀 振るった者に

首が飛び 宙に浮かんだ 魂を グッと掴んで 大事にしまう

死は難く 生きるを捨てる 易き事 所詮理性は 本能に負け

目が覚めて 心地蹴散らす 現実に 見た夢さえも 呪わしく在り

無知と未知 都合いいよう 使い分け 誉めて煽てて 叱り軽蔑

人々が 捕らわれたがる 枷が有る 彼等はそれを “自由”と讃え

これからも 人間という 普遍性 希望と不安 綯い交ぜにして

世は金か 買えない夢は たまに有る 売れない夢は ほとんど全て

理不尽に 煮えくりかえる 臓物を 土鍋に詰めて 食す狡猾

生きていく かけがえのない 金銭が 人の命を 乗り換えながら

崇高は 思慮分別を 奪い取り 善意の意図が 事実を隠す

人間が 人間として 生きる事 気付かなければ とても容易い

時として 未知は無限に 化け通す その犠牲から 例外生まれ

画一を 平等と呼び 序列化す その争いを 自由と賛美

誇らしく 光り輝く その姿 闇に浮かんで 袋叩きに

人命は 実はとっても 軽いから それを知らせる 殺人は罪

凡人が 権威の下に 集まって 死傷すれば 英雄になり

戦いの 緊張が生む 快楽に 全てをかける 生き甲斐見つけ

現実は すり替えられた 言葉から 容易に変わり フィクションになる

毎日は 戦にまみれ 生きる事 全てを武器に 切磋琢磨か

「助けて」と 試しに叫ぶ 夢の中 目覚めて消える 儚い希望



── その3 ──

一〇年で 骨の髄まで 入れ替わる それでも我は それだから我

無駄じゃない しかし些か 長過ぎた ブランク越えて 何を描くか

知らなんだ 転がる機会 拾うにも 努力と才能 運が要るとは

すべからく 時に支配を されていて それでも続く 時への挑戦

今はもう 失う物も 無かろうに 何故に気にする 品位品格

取り敢えず 全ての問題 先送り 心鎮める 青い錠剤

薬効が 誘う夢の 無い眠り そして見る夢 心を映す

自らの 心欺く 旋律を 選ぶ店先 デジタルの棚

他人には うかがい知れない 心うち あなただけにと もどかしい声

鈍感を 見て見ぬふりの 優しさと 勘違いする 君が哀れで

緩慢な 気力に勝る 空腹に 水洗いした リンゴを囓る

ささやかな 自由と孤独 失って 愛した人と 何を得るのか

思考の目 宇宙(そら)に溢れる 謎を見る 光が赤く 熟す頃には

世の中は ダークマターが 支配する 光の隙間が 真実のよう

それは粒 時には波に 幕になる 彼方色褪せ 照らし 聞こえる

ヒトも宇宙(そら) 熱拡散の 法則が そして別れは 現実の時

ちょっとだけ いい人なだけ それだけの 決め手に欠ける 付かず離れず

記念日を 共に過ごせる 人も無く 生きる辛さを 刻みつける日

欲すれど 心の支え 触れられず 探る腕すら もはや動かず

曲げるより 返すが良いと 星を見る 真っ直ぐ見れぬ 近視恨めし

ウイルスに 人に地球に 大宇宙 それぞれにある 時の速度が

大地から 水と空気の 思い出が 静かに招く 死への微睡み

唐突に 触れた生身の 暖かさ 知らぬ熱さに 汗が戸惑う

伝わった 二重螺旋は 女性のみ 万世一系 ミトコンドリア

暗闇は 余りにそこが 遠過ぎて 光が光で なくなるほどに

悲しみが 死者の数だけ 有るのなら 宇宙はもっと 狭いはずだが

かと言って 他に手も無し 策も無し 淵の淀みに 徒然の時

目も耳も 閉ざしたままに 動く口 出力だけの 信念の人

災厄が 心に映す 幻の 見えて渡れぬ 世界への橋

その人に 斬りつけたのは 言葉だけ 息も鼓動も 静かに止まる

一度きり 何をしようと するまいと カットアウトの 死を待ち構え

浴槽に 顔面浸けた 静けさに 耳をすませて 防水時計

顧みぬ 不法無法の 通る世に 己の内のみ 己の居場所

とりあえず 世間を渡る 早道は 誠意と良心 内に隠して

成功も 手遅れならば 追い打ちに 永代供養 ゆきとどく墓地

頑な 心を開く 鍵穴は 迷い詰まって 何も入らず

無理にでも 理性が自我を 従えて 世の軋轢に 心は摩滅

生きている 活きちゃいないが 生きている ただそれだけの 虚ろな器

過ぎ去った 時は味方か 敵なのか 迎える明日が 全てを決める

何気なく 追い詰めてくる 絶望が 静かに招く 緩慢な死

手に掛けた 途中の全てを 終らせて 煩わしさを 何も残さず

我が身から 離れる意識 糸を引き 崩れて落ちる 腐肉のように

抜け出した 心は重く ふよふよと 高くは 飛べず 地表這いずる

明日に向き 今踏み台に 託す夢 希有壮大な マスターベーション

胸の内 つかえた物を 吐き捨てる その方法は 言葉より無し

通院の 予定書き込む 暦見て また1年が 空虚に過ぎた



── その4 ──

梅雨明けと 共に始まる 風物詩 奇声張り上げ 族がブイブイ

透き通る 風が空気に 映り込む 羽虫消し去る 燕(つばくろ)の影

クリオネと 呼べば可愛く 聞こえても 所詮あいつは ハダカカメガイ

パレットは ビー玉ひとつ 他に無し 混ざる色有り 撥じく色有り

亡き父母を 見舞いに見せる 幻覚は 心を癒す 頭脳の不思議

親離れ 子離れをして 親子足る 新たな家族が 絆深めて

「バカの壁」 売れてる割に 減らぬバカ 誰もがみんな 他人の事か




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