四天王の活躍EPISODE4(「日焼けサロン女三人組事件」後日談(笑))(10/18 23:26)↑
『あの事件』の数日後の下校中、勇太は見知らぬ高校生に呼び止められた。
男子B:「君、ちょっと顔貸してよ。」
勇太:「え?」
「『たかり』だろうか?」勇太は直感した。
しかし、この『男子B』という高校生は、おとなしそうで『たかり』とは思えなかった。
勇太:「ええ。……いいすよ。」
公園に着くと、いきなり『デモンストレーション』が始まった。
うう〜ん……。
男子A:「アメリカ製のおもちゃだ。」
ぱんぱんぱん!
男子C:「へへへ、ねずみ花火だ。」
そして男子Bが締める。
男子B:「四天王参上!」
勇太は……正直言ってあっけにとられた。
勇太:「え?……『四天王』って、あと一人は?」
男子A:「加奈ちゃんの兄貴『クールマン藤堂』のことか?」
勇太:「あ、そうだったんですか。それはいいですけど、その四天王が何か……?」
男子B:「『女子C』の言葉は覚えてる?」
勇太:「え?」
男子C:「実は、俺っちは女子Cと高校卒業後に
(その場の成り行きで)結婚する約束をしているんだ。」
勇太は女子Cの言葉を思い出していた。
女子C:『私のカレシ、なめんなよ!』
勇太:「……え!?それじゃ、『私のカレシ』って……。」
男子A:「……おっと、お話はそこまでだ。」
男子C:「まず最初は『蜂攻撃』からな!」
勇太:「……あ!え!?」
勇太はモデルガンを構えようとしたが、無駄だった。
本物の、それも大量の蜂に取り囲まれてしまっては……。
男子B:「ひるんだ隙に『空缶攻撃』!」
勇太:「うわあぁぁぁ……!!」
…………。
男子A:「……確かに『蛇は卵のうちに殺せ』とは言うが……。」
男子B:「何か、また隆道のアシストをしたような……。」
男子C:「また俺っちの作戦ミスか?まあ、いいじゃんか。これでライバルは減ったんだ。」
男子A:「そりゃそうだ。」
三人:「はははははは……!」
勇太:「うう……(泣)」
そして、その後……。
隆道:「あれ?勇太。加奈の見舞いに来たんだろ?中に入らないのか?」
勇太:「(ビクッ!)……あ、は、はい、先輩……。」
隆道:「どうしたんだよ?入りづらいのなら、一緒に入ろう。」
勇太:「……え、ええ。」
勇太:(……「あの」四天王の一員だというのに、すました顔でよくこんな言葉が……。
『クールマン藤堂』という名前も伊達ではない……ということか……。)
……と、勇太は常に『謎の三人組』の影におびえ続けたのであった……。
加奈と夕美の友情・ED1後日談編(ネタバレ・「加奈〜いもうと〜第二章」の続き・ほのぼの系)(10/18 23:32)↑
……結婚式の夜、つまり今、私は隆道さんと一緒に寝ている。
いわゆる『初夜』だ。
もう誰にも気兼ねせずに、同じベッドで寝ることができる。
私の願いは叶ったのだ。
こういう表現を使うと隆道さんは怒るかもしれないけれど、
私は馬鹿なブラコンで、隆道さんは馬鹿なシスコンだった。
だから、私たちが幸福になるためには
私たちが結婚するしか方法がなかったのだ。
……たとえ他の誰が不幸になろうとも。
ぎゅ。
私は(眠っている)隆道さんの左手を握る。
「あのとき」以来、何回この手を握っただろう。
この手を握る度に、「あのとき」を思い出す。
……隆道さんと私が蜂から逃げる途中、私は転んでしまった。
次の瞬間、隆道さんは私の上に覆い被さった。
あのとき私は生まれて初めて隆道さんに「抱きしめられた」のだ。
幼かった私は、そのとき隆道さんが何をしているのか理解していなかった。
わかっていたのは「私は痛くない、蜂に刺されていない」ということだけだった。
しばらくして、大人の人達が来てくれた。
私は起きようとしたけれど、できなかった。
……隆道さんが動かなかったからだ。
隆道さんは担架に乗せられて行った。私は少しかすり傷があっただけだった。
それから隆道さんは二日間生死の境をさまよった。
そして美樹さんから「隆道君は加奈ちゃんを命懸けで蜂から守った」のだと
教えてもらった。隆道さんは「私の代わりに」生死の境をさまよっていた。
あの『蜂事件』で、私はすでに隆道さんから命を一つもらっていたのだ。
私の心は、この時決まっていた。……そう考えても全然変ではなかった。
そして、ウメバチソウの花輪は蜂から逃げた時に四散してしまったけれど
木の実はポケットに残っていた。
実は私が幼少の頃、母から「何かおもちゃとか欲しい?」と聞かれたけれど、
私はそのとき「いらない」とはっきり答えた。
私は他のどんなおもちゃよりお手玉が好きだった。
文字どおり「私の思い出の詰まったもの」だから。
だから「お手玉しかおもちゃがなくてかわいそうだ」なんて
思う(同情する)のは筋違いだったのだ。
実は結婚式の直前、私は(隆道さんに内緒で)夕美さんに会って、このことを話した。
夕美さんは驚いていた。初耳だったようだ。
夕美さんは「ふう」とため息をついて、
「それじゃ、私が勝てるわけないじゃない」とだけ言った。
隆道さんには言ってないけれど、新婚旅行から帰ってから、
私は夕美さんとまた会う約束をしている。
隆道さんは「クールマン」というあだ名があったみたいだけれど、
女性はある意味「ドライ」だ。
現代の女性は何年も前のことでうじうじしないものだ……とは、
夕美さんから教えてもらった。
私は夕美さんの内心まではわからないけど、
そう言って割り切ってくれる夕美さんに感謝したいと思う。
まだまだ世間知らずの私にとって、
夕美さんから得るものはまだたくさんあるようだ。
……そうだ。今度会う時、夕美さんと二人で
「隆道さんとの思い出アイテム鑑賞会」なんてやってみようかな。
隆道さんは今まで女性と二人しか付き合ったことがないから、
夕美さんも隆道さんとの思い出の品を結構持っているはずだ。
きっと今の夕美さんなら、そんな戯れ事にも笑って付き合ってくれるはずだ。
……そう、今までの私に一番足りなかった……というより、
全く無かったものは、「同世代の同性の親友」だったのだ……。
コメント:加奈に「隆道さん」と呼ばせるのは僕の趣味なので、
『妹属性』の方ごめんなさい。
須美、愛の奇跡(「見果てぬ夢」ベストエンド・須美のらぶらぶSS(笑))(10/20 23:21)↑
タイトルを見れば落ちバレバレですけど(笑)、時間があれば読んでみてください。
……。
…………。
………………。
……………………。
どれくらい時間が経ったのだろうか。
俺は見覚えのある草原に立っていた。
懐かしい少女が俺のほうに向って歩いてくる。
加奈:「お兄ちゃん……。」
隆道:「加奈……。」
「人は天国に行くとき、天使が迎えに来る」とは、小さい頃よく聞かされた話だ。
俺にとって天使とは、やはり加奈のことだったのか。
俺はいつものように左手を差し出した。
……しかし、いつまで経ってもいつもの感触が手に伝わってこない。
隆道:「加奈?……どうしたんだよ?」
加奈:「お兄ちゃん、あの人が呼んでるよ?」
その時、後ろから俺を呼ぶ声が……。
?:「隆道さーん!」
加奈:「お兄ちゃん、またね!」
加奈は笑って走り去ってしまう。
隆道:「か、加奈ーっ!」
お、俺は……、天国に行くんじゃなかったのか……?
……。
…………。
………………。
……………………。
視界が暗くなり……再び明るくなる。
……勇太の顔が見える。
勇太:「先輩……、俺ですよ、わかりますか?」
隆道:「……もしかして、勇太が天使か?」
勇太:「は!?……な、何言ってるんですか?先輩。」
美樹:「まだ麻酔が効いてるから、頭がぼうっとしてるのよ。
でも、いきなり大したジョークね。私のツイストも顔負けよ。」
え?美樹さんも天使……?
隆道:「……ここは天国じゃ……?」
勇太:「ここは現実です。……ドナーが間に合ったんですよ。
現代医療も捨てたもんじゃないでしょう?」
美樹:「とにかく、まだ眠ってたほうがいいわね。
……ところで、隆道君。」
隆道:「はい。」
美樹:「次目が覚めたときは、私のことを天使と呼んでね(はぁと)」
隆道:「…………。」
俺はそのまま眠った。
……正直言って、以前なら通用した言葉だ……。(美樹ファンの方ごめんなさい)
数週間後、俺は退院した。須美が迎えにきてくれた。
俺がいない間、例の教え子達が代わりに研究を進めてくれた。
ウメバチソウの研究は今まで以上にはかどる、ということだった。
ところで、ドナーの名前は教えてもらえなかった。
「普通はドナーには直接会わないものです、もしドナーが既婚の異性の場合
『特別な感情』が芽生えたら困りますから」と、勇太は言った。
しかし、見ず知らずの男に臓器を提供する人間がこの世にいるとは……。
自宅に着くとすぐに、俺は須美に言った。
はたから見れば、まさに「変人」の言動だった。
隆道:「君、下腹部を見せてみたまえ。」
須美:「え!?……き、急に何を言い出すんですか?
そんなこと……女性に向かって言ったらセクハラですよ!?」
隆道:「下腹部に手術跡があるはずだ。……それなら、ないという証拠を見せてみたまえ。」
須美:「あ、ありますけど……、も……盲腸の跡です。」
隆道:「須美……、いや、山西君。」
須美:「は、はい。」
隆道:「……助教授推薦の研究生の分際で、俺に嘘を言うな!」
そのとき、俺は初めて須美に怒鳴った。
優秀な須美に研究のことで怒鳴ることは、今まで一度もなかったのだ。
須美は、初めての出来事で、うつむいた。
須美:「…………。」
隆道:「ドナーは……君だったんだな?」
俺に確証は無かった。……しかし、それ以外考えられないのだ。
数秒後、須美はうつむいたまま俺に話しはじめた。
……須美が俺に「本当に」嘘を付くはずがなかった。
須美:「あれから……、隆道さんが眠ってから、私の検査をしてもらったんです。
……ミスマッチワン、と言われました。」
隆道:「ミスマッチワン?……それで移植に踏み切ったのか?」
須美:「医師はとめませんでした。」
隆道:「しかし……、もし失敗したら、
君は一生『他人の男のために』傷を負って生きていくことになったんだぞ?」
須美:「でも、現に移植は成功しました。隆道さんは今、生きています。
私にとっては、目の前で起こったことが真実です。」
須美は顔を上げた。須美の目にいつもの「鋭さ」が戻っていた。
須美:「隆道さん、改めて聞きます。
……妹さんとの十数年間と、私との数年間と、どちらが……?」
俺はその問いに答えず、逆に質問した。
隆道:「何故、今まで黙っていた?」
須美:「私がドナーだからということで、私を選んでほしくなかったからです。
……私がドナーでなくても、私を愛してほしかったからです。」
俺は……、初めて須美を抱きしめた。
隆道:「須美、ありがとう。もう何も聞くな。
……ずっと、俺の側にいてくれるか?」
須美:「はい。……私は、『あなたの生涯唯一人の助手』ですから……。」
この瞬間、『山西須美』という女性が、俺にとって加奈にも夕美にも優る存在になった。
四天王の活躍EPISODE5(「夏祭り事件」の真相・こじつけギャグ)(10/21 23:16)↑
男子C:「ああ、俺っちの加奈ちゃんがどんどん遠ざかっていく……。」
男子B:「やっぱり最初の『ラブレター事件』がまずかったんだよ。
あれで隆道が鹿島のことを徹底的に嫌うようになっちゃったから。」
男子A:「そう。そこで、今回の俺の作戦だけど……。」
その夜、三人は神社に着いた。
男子B:「……って言うか、何故『二人がここで出会う』って知ってるの?
これって『偶然の』出会いじゃ……?」
男子A:「(ドキッ!)……ま、まあ細かいことは考えるな。」
男子C:「そりゃそうだ。(作者も)こんな『こじつけ』ばっかりやってるから……。」
そうこうしているうちに、『偶然』二人が出会った。
男子B:「ところで、誰がやるの?」
男子A:「当然俺だよ。男子Cは『自転車通学の光景』で出てきたし、
男子Bは『勇太と加奈の交際?』で出る予定だろ?
ここは出番の少ない俺の役さ(間違ってたらごめんなさい)」
男子B:「だからその『予定』って……。」
男子C:「それに、あんまり変わらないんじゃ……?」
男子A:「考えるな考えるな。」
(計画どおり)男子Aは鹿島に近づいた。そして……。
どん。
夕美:「あっ……!」
夕美は足をもつれさせた(ように見えた(爆))。
そして……隆道は咄嗟に手を伸ばした!
男子B:「やった!このままいけば隆道が鹿島を……。」
男子C:「さすが男子A!」
男子A:「俺の狙ったとおりだ。」
しかし!!……次の瞬間、
夕美は軽くたたらを踏んだだけで体勢を立て直してしまった。
夕美:「藤堂君……今……。」
隆道:「くそ……。」
そして、また隆道は夕美に悪態をついている。
男子C:「ちぇっ!失敗か。」
男子A:「自信あったんだけどなー。」
男子B:「……でも、ちょっと見てよ。」
再び、二人の方を見てみると……。
夕美:「……ありがとうね。」
隆道:「…………。」
夕美は礼を言い、隆道はばつが悪そうに去っていった。
男子B:「何か、『脈あり』って感じじゃない?」
男子C:「計画は間違ってなかった、ということか。」
男子A:「考えてみると、鹿島もそうだけれど……。」
男子C:「何だよ?」
男子A:「やっぱり『押し』が足りなかったのかな?」
男子B:「うまい!」
三人:「はははははは……!」
次にやるときは、思いっきり鹿島を押してやろうと誓った三人であった。
……ED3続編「『あのとき』はもう一度」に続く……のか?
女弁護士・鹿島夕美(ED6後日談・ギャグ)(10/21 23:18)↑
「あの」夕美が、ついに弁護士として法廷に立つことになった。
俺は恋人(注:作者の希望なのでごめんなさい)の晴れ姿を見るため、傍聴席にいた。
……そう言えば、こういう状況、以前あったな。
『加奈の授業参観』、か……。
夕美はつくづく加奈に似ている……と思う。
それにしても、初出廷ということで、夕美はかなり緊張している。
いつもの『別れ際のちゅ』も役に立たなかったようだ。
しかし、ここは神聖な法廷だ。
「夕美、頑張れよ!」と声を掛けるわけにもいかない。
当然、メンチカツを箸でひらひらさせるわけにもいかないが……。
……そうこうしているうちに、裁判は進む。
裁判長:「それでは弁護人。今のことについて、何かあれば……。」
夕美:「……あ、はい!裁判長、こちらに証拠の書類があります。」
夕美は慌てていた。
夕美は手に持っていた書類を裁判長に提出した。
……あれ?……ちょっと待った!その紙、『お守り』のほうじゃ……!?
裁判長:「……これが『証拠の書類』かね。」
夕美:「はい、そうです。」
裁判長:「確認のために、一応朗読するが。」
夕美:「はい、結構です。」
裁判長:「それなら……。」
……俺は目を覆った!
裁判長:「……『鹿島夕美さんへ。えっと、藤堂です。
この間の相性のことで、ちょっと話したいと思います。
クラスのみんなには聞かれたくない話なので、
できたら放課後、体育用具室の裏に来て下さい。
真剣に……待ってます。藤堂隆道』……。」
夕美:「…………。」
裁判長:「…………。」
どっ!
わははは……!!
夕美:「……(真っ赤!)」
……あれ?そう言えば、この次の展開って、もしかして……。
アメリカ製おもちゃの男:「アメリカ製のおもちゃだ。」
ねずみ花火の男:「へへへ、ねずみ花火だ。」
幼なじみの男:「四天王参上!」
モデルガンの男:「先輩!次のターゲットは裁判長ですね!?」
うわーっ!!
…………。
隆道:「……はっ!」
……どうやら夢だったらしい。時計は朝五時半を表示している。
夕美の初法廷はこれから行われるのだ。
俺は双葉学園高校で生徒が待っているから
残念ながら夕美の応援には行けないけど……。
隆道:「頑張れよ、夕美。」
透析なんかこわくない(「加奈マジック」の真相・手前みそ・シリアス)(10/21 23:20)↑
美樹:「加奈ちゃん、そろそろ透析始めましょうか?」
加奈:「は〜い!」
……最近、急に加奈ちゃんが明るく元気になった。
理由はわかっている。
ガチャン!
加奈:「一番、藤堂加奈。加奈マジック、歌います!」
透析の最中、加奈ちゃんは隆道君から貸してもらったテープを聴き、
たまに歌に合わせて歌っている。これで気分が紛れるらしい。
それにしても……。
美樹:「ゴダイゴだったら、私としては(一応作者もです)
『ビューティフルネーム』のほうがいいと思うけど。
……ほら、『加奈』って名前も素敵だし……。」
加奈:「うん。でも、今の私に一番必要なのは元気になることなの。
だから、こんな『加奈マジック』なんていう無茶苦茶な替え歌歌ってるの。
他のことは、私が元気になってから考えても遅くないでしょ?」
美樹:「あ……、そ、そうね……。」
私は……このときすでに「真実」を知っていた。
加奈ちゃんは……もう長くない。
そうだ!だったら……。
美樹:「……加奈ちゃん。そのテープ、いつまで借りられるの?」
加奈:「私の病気が治るまでだけど……。」
美樹:「そ、そう……。ところで、その歌、……加奈マジックっていうの、
そのテープに録音しちゃおうか?」
加奈:「え?」
美樹:「ジョークよ、ジョーク。隆道君、びっくりするわよ?」
加奈:「でも、お兄ちゃんのお気に入りのテープなんだし……。」
美樹:「駄目?」
加奈:「……もしお兄ちゃんが怒ったら、一緒に謝ってよ?」
美樹:「い……、いいわよ!?首謀者なんだから、当然でしょ!?」
加奈ちゃんと私は早速「レコーディング」を開始した。
美樹:「加奈ちゃん……スタート!」
ガチャン!
加奈:「……お兄ちゃん、勝手に消しちゃって、ごめんなさい。」
美樹:「…………。」
加奈:「一番、藤堂加奈。加奈マジック、歌います!」
美樹:「…………。」
加奈:「♪あぢゃーっ!……香港の、映画の、マウンテンざる。
モンキーです、モンキーで、ええでっか?……。」
……これで加奈ちゃんの歌声は永遠に残る。
しかも加奈ちゃんが一番元気な時の歌声だ。
「その時」を迎えても、これで隆道君は寂しくはならないはずだ。
私はこの時満足感を……。
それにしても、私にしては珍しくナイスなアイデアのはずなのに、
何故か私の目頭はだんだん熱くなっている。
……「嬉しいから」なのか、それとも……。
コメント:とにかく本編で歌についての場面が全くないし、
この「加奈が歌を歌う」というネタ気に入っているんで、
たびたび使ってます。
透析中に歌歌ってていいのか知りません。
加奈〜それから〜(ED4,5,6後日(?)談・丹波氏の世界・真面目)(10/22 20:27)↑
……その後、加奈は天国の入り口に来ていた。
そこで、懐かしい女性が待っていた。
須摩子:「加奈ちゃん……。」
加奈:「叔母さん、……お久しぶりです。」
須摩子は……言葉をかけることができなかった。
どんな言葉で飾っても、やはり早すぎた死だ。
加奈はそんな須摩子の心情を察知した。
そういう態度を、加奈は敏感に感じ取ることができるようになっていた。
加奈:「叔母さん。私、精いっぱい生きました。悔いなんか、ありません。」
須摩子:「…………。」
加奈:「悔いなんか……。」
須摩子:「…………。」
加奈:「……叔母さん!」
加奈は須摩子に抱き付いた。
そして、加奈は……泣き続けた。
愛する人と別れて、悲しくないはずがなかった。
須摩子:(これが私の役目……というわけね、あなた。)
しばらくして、加奈は泣き止んだ。
加奈:「叔母さん、ごめんなさい。……もう落ち着きました。」
須摩子:「そ……そう?」
加奈:「はい。」
須摩子:「加奈ちゃん、……強くなったのね。」
加奈:「愛する人に、想いを打ち明けることができましたから。」
須摩子:「香奈のことも……、ありがとう。」
加奈:「い、いえ……。」
生前礼を言われるようなことがほとんどできなかった加奈は、
須摩子のような女性に改めて礼を言われると、恐縮してしまうのだ。
そこに、加奈の知らない男性と女性が現れた。
男性:「加奈!」
女性:「……お、大きくなったねえ。」
加奈:「あ、あの……。」
須摩子:「加奈ちゃんに生を与えて下さった、実のご両親よ。」
加奈:「え!?」
加奈は二人をまじまじと見つめた。
人見知りするはずの加奈だったが、
何故かその二人に対してはそんな感情はなかった。
……これが『親子の再会』というものだろうか。
加奈の実の父:「今までどんなことがあったんだい?」
加奈の実の母:「私たちに、聞かせておくれ。」
加奈:「はい。」
加奈は話しはじめた。数少ない、しかし、充実した思い出を。
ほとんどは隆道に関することだった。
加奈の両親は、満足そうに、うなづいて聞いていた。
……そして最後に、加奈は思い出したように、言った。
加奈:「私を産んでくださって、ありがとうございました。お父さん、お母さん。」
コメント:「加奈〜それから〜」というタイトルは
「加奈2」のタイトル候補の一つだったのですが、
このほうが合ってるのではないかと……思っただけです(汗)
微笑み返し(ED2続編「夕美の憂鬱」後日談・ほのぼの)(10/26 00:18)↑
それから俺は、ずっと考え続けていた。
隆道:(また、夕美を泣かせてしまった。)
夕美は俺と付き合って、本当に『幸福』なのだろうか?
夕美には、俺よりふさわしい男が……。
夕美:「ねえ、隆道君。」
……突然、夕美が話し掛けてきた。
いや、デートの最中だから、話し掛けて当然だ。
恋人とのデートの最中に他のことを考えている俺のほうが変なんだ。
隆道:「どうした?夕美。」
夕美:「ちょっとお願いがあるんだけど……。今度、奈良に連れてって。」
隆道:「え?奈良?」
夕美:「私、小学校の修学旅行以来行ってないもの。」
ここでお願いを叶えてやるのが本当の恋人なのだろう。
今までの夕美に対する俺の態度を考えれば、なおさらだ。
それにしても……。
隆道:「……何か、急過ぎないか?」
夕美:「それじゃ、代わりにもうちょっと近場でいいよ。」
隆道:「近場って、どこに?」
夕美:「鎌倉に行こうよ。」
……そういうわけで、その次のデートで、俺達は鎌倉に来た。
そう言えば、夕美とは街や遊園地でデートをしたことは度々あったが、
遠出をした覚えは余り無い。
本当の恋人同士なら、沖縄や北海道に行ってもおかしくないのに……。
俺は夕美を見た。夕美ははしゃいでいた。……本来の夕美の姿だ。
あのとき俺に胸座を掴まれて泣いた夕美とは大違いだ。
俺と遠出が出来たことが、そんなに嬉しいのだろうか。
今まで何度かデートをしたことはあるが、夕美がこんなにはしゃぐのを見たことが無い。
いや、俺が加奈のことしか考えてなかったせいで、気が付かなかっただけなのか。
……そう言えば、加奈がいなくなったあとでも、まだ俺は加奈のことを考えている。
やはり、夕美には、こんな俺よりふさわしい男が……。
夕美:「ぷ!くくく……。」
突然夕美が笑い始めた。夕美は俺のほうを見ている。
間違いなく夕美は俺を見て笑っているのだ。
隆道:「な……、何だよ?俺、何かしたか?」
夕美:「何もしてないけど……、何かしてるのよ!」
隆道:「はあ?」
俺は文字どおり為すすべが無く、夕美に笑われているしかなかった。
しばらくして、やっと夕美の笑いは収まった。
夕美:「……ふう。そう言えば、隆道君、あのとき私を見て笑ったよね?
……これでおあいこでしょ?」
そうだ。確かに以前俺は『道着姿の夕美』を連想して笑った。
しかし、俺にはまだ夕美の笑いの理由がわからない。
隆道:「夕美、教えろよ。」
夕美:「後ろを見て、よーく考えたら?クールメン!」
俺は後ろを見た。……後ろには、座禅をして瞑想をしている大仏さんがいた。
俺は鎌倉の大仏さんの前で、腕を組んで目をつぶって考えごとをしていたのだ。
夕美:「ぷぷぷ、そっくり!」
夕美は再び笑い出した。
まさか、夕美のやつ、これを狙ってわざわざ鎌倉まで連れて来させたんじゃ……?
俺はたまらず大仏の方を見た。
それにしても、この大仏さん、何百年も何考えて座っているんだろう。
何百年も考えて、まだわからないことがあるのだろうか。
俺の場合は……。
……俺の目の前に夕美がいて、夕美は俺と付き合って笑っている。
考えるまでもない。今の俺にとってそれで充分ではないか……。
隆道:「……夕美、今度武道館に連れてってやるよ。」
夕美:「誰かのコンサートでもあるの?」
隆道:「いや、異種格闘技選手権。」
夕美:「え?……まさか、それがデート?」
隆道:「そこで、あのとき俺が笑った理由を教えてやるよ。」
夕美:「わざわざそんな所で?」
隆道:「それで『おあいこ』だよ!」
コメント:あれだけ作っても、まだ『夕美ネタ』尽きません(笑)
空手バカ一代(「微笑み返し」続き・夏祭り&ED1,2,3のルートネタバレ・あほ系ほのぼの)(10/27 23:14)↑
このSSは「加奈ふぁんくらぶ」のダーク水野さんのレスが元になっています。
すみません。かなり長くなったので、別枠で書きます。
この物語はフィクションであり、「加奈〜いもうと〜」の内容を一部歪曲して表現してあります。
妙にはまってますけど(笑)、「夕美小説」が夕美に対する僕のイメージです!
結局、その試合はかすみの一方的な勝利に終わった。かすみの実力もそこそこあったが、
やはり一番の勝因は『竜白の威圧感』だったのだろう。
隆道:「竜白おじさん。それじゃ俺達はこれで……。」
武道家:「おお、夕美ではないか!やはり来ていたのか。」
夕美:「幽玄おじさん……!」
隆道:「え!?」
幽玄:「夕美、『クールメン』とはこの男のことか?
ううむ……、その、自分の感情を悟られまいとする無表情の面構え。
やはりその名の通り心理戦に強いと見た。」
竜白:「当然だ。彼はわしの弟子だからな、幽玄。」
隆道:「夕美、この人誰だよ?何か話が勝手に進んでるみたいだけど……。」
夕美:「私の遠い親戚で、極真空手の道場やってる人。」
隆道:「へえ……。」
幽玄:「竜白、夕美を女と思って甘く見ると痛い目にあうぞ。
こう見えて、夕美はなかなか骨のあるやつなのだ。」
夕美:「お、おじさん……。」
幽玄:「いいではないか。『事実』なのだから。」
幽玄は話しはじめた。
幽玄:「以前からお前は私の道場に顔を出していたが、私は今でも忘れないぞ。
十年前、お前が『男子Aと男子Bと男子Cを叩き潰してやる!』と叫びながら
私の道場の門を叩いた夜を。」
隆道:(『ラブレター事件』のことか?)
幽玄:「それ以来、お前は男に見向きもせず、ひたすら稽古に打ち込んだな。
まさに武道家の鏡だった。」
隆道:(『ずっと俺を見ていた』というのは……?)
幽玄:「お前は昔から運動神経は抜群だったが、特に体勢を立て直すのは得意だったな。
少々体勢を崩しても、『軽くたたらを踏む』だけで立て直していたからな。
まあ、それも武道家にとっては初歩の技術だが。」
隆道:(それで『夏祭り』のとき……。)
幽玄:「それにしても、あのときの稽古はすさまじかった。私の目には今でも焼き付いている。
数日前から道場に泊り込んで、『あのブラコン女は絶対に叩き潰す!』と
雄たけびをあげながら男どもを次々にKOしていった勇姿を。」
隆道:(『加奈の退院祝い』のときのことか?)
幽玄:「おかげで稽古に熱中しすぎて試合時間に遅れたようだったが、
結局試合はできたのか?『どうしても行って決着をつけたい』と言っていたが。」
隆道:(それであの電話を……。)
幽玄:「それと、そのとき持っていった花束。確かあの花束は
試合前のセレモニー『花束贈呈』……と見せかけて『先制の奇襲攻撃』に使うんだったな?」
隆道:(あれって加奈へのお見舞いのプレゼントじゃ……!)
幽玄:「それから……。」
……こうして、夕美の過去はあばかれていった。
と言うことは、冗談ではなく、本当にあのとき夕美は『間合い』を取っていたのか……?
幽玄:「そうそう。聞くのを忘れていたが、以前『クールメンが今度優柔不断な態度をとったら
蹴りをおみまいする』とか言っていたが、それはどうなったのだ?」
壊れてゆく……夕美のイメージが……。
アナウンス:「続きまして、一回戦第2試合、鹿島夕美対クールメン!」
隆道:「へ!?」
夕美:「あ……。」
幽玄:「この前お前が何かペンダントを握り締めて『今度こそクールメンを叩き潰す!』
とか唸っていたから、一応エントリーしておいたのだが……。」
竜白:「その挑戦、当然受けてたつぞ!……なあ?隆道君、いや、クールメン!」
隆道:「…………。」
夕美:「……あの、幽玄おじさん。もう、そのことは……。」
夕美は困惑していた。そう、あれはもう解決して……。
夕美:「……あの、隆道君。」
夕美は申し分けなさそうに言った。
隆道:「な、何だよ?」」
夕美:「手加減、しようか?」
隆道:「…………。」
「やめる」とは言えない夕美だった。
隆道:(来るんじゃなかった……!(泣))
そして……。
夕美:「隆道君、大丈夫?手加減したつもりだったけど……。」
隆道:「あ、ああ。いてて……。」
幽玄:「いや、まさか君が素人だとは……。
お詫びのしるしと言っては何だが、ここにいる私の孫娘を許婚に……。」
夕美:「……(ギロ!)」
夕美に睨まれて泣き出した。……当然、孫娘のほうが。
隆道:「い、いいですよ。俺には夕美がいますから。」
夕美:「……(ぽっ)」
そして、夕美は二回戦に進出した。
しかし、夕美はある理由で放棄してしまった。
ある理由とは……。
夕美:「隆道君を見つめてたら、濡れちゃった(はぁと)」
ぶーっ!
俺は、夕美のこのあけすけさが……。
夕美:「……嫌じゃないんでしょ?」
隆道:「ああ。」
もちろん、俺達はこのあとホテルに行った。
夕美のやつ、今日はどんな『新テク』を……。
夕美:「今度は隆道君の好きなように技を仕掛けていいからね(はぁと)」
…………。
竜白:「まあ、そういうことなら……。」
幽玄:「……仕方が無いか。」
そう応じた幽玄の腕に、生後間も無い赤ん坊、幽玄の孫娘が抱きかかえられていた。
世が世なら、将来藤堂助教授の研究助手となるべき……。
コメント:一応フォロー入れときました(笑)
というか、加奈が夕美と異種格闘技戦をできる位元気な子だったら……。
加奈にSteady(ED4,5,6&キミステネタバレ・パロディ・輪廻)(10/27 23:30)↑
ある日のデートで、俺(和仁)は育美と占いの館に行った。
セーラ:「ふむふむ……。見える、見えるぞ……。
おぬしらの前世が見える……。」
和仁:「え?……どんなですか?」
どうせ占いだ。大した事じゃ……。
セーラ:「その昔出版された、有名な『命をみつめて』という本は知っておるな?
育美とやらのほうはその著者、おぬしのほうはその血の繋がらない兄じゃ。」
和仁:「え?……ま、まさか……。」
俺は育美の方を向いた。……育美は微笑んでいた。
育美:「……だから言ったでしょ?
『次に生まれ変わるときはお隣さんの幼なじみがいい』って。
私の願いは叶ったの。……お兄ちゃん。」
和仁:「え!?」
育美:「私、健康的な女の子になりたかったの。
お兄ちゃん今まで私に気が付いてくれなかったから、ちょっと浮気してたけど、
……これからは私以外の女の子に手を出したら駄目だからね?」
と、いうことは……!
別の日……。
白石:「すみません。俺の前世は……?」
セーラ:「ふむふむ……。見える、見えるぞ……。
おぬし、何やらモデルガンを持っておったな……。」
来世で先輩後輩の立場は逆転していたが、彼の『執念』もかくの如し……。
和仁……いや、隆道!他の女にうつつを抜かしている場合ではない!
迷わず育美を攻略し、二人の愛の結晶を作るのだ!(笑)
セーラ:「ちなみに、他は『智樹→明、育郎→角田、雅俊→篤志、夕美→沙耶、美樹→久美子』
という組み合わせになっておる……ようだ。」
須美の郵便屋さん(しょうもない須美SSです)(11/12 02:02)↑
「見果てぬ夢」ベストエンドでピン!と来た人も中にはいるのではないだろうか?
パソコンの電源をつけると"お帰りなさい、○○助教授"、
メールが来てると"○○助教授、お手紙が来ております、私が取って参ります"、
"この方○○助教授とどんな関係なのですか?"などと須美が話し掛けてくれるぞ!
次からは"○○助教授、ご友人からお手紙でございます"ともっと(笑)賢い須美になっちゃいます。
そして元気な須美がお出かけ中は、禁断の助教授(爆)として物色コマンド実行、
須美の「秘密の日記」や思わぬ「須美アイテム」を発見できるかも……。
朝早起きなあなたには須美からのやさしい「愛の朝食」、
お友達に頻繁にメールを送るあなたは思わぬ(!)うれしいアイテムをGETする事も。
デスクトップに常駐し、四季折々の須美と過ごせる楽しさを満喫してください!
須美の"食事になさいますか?""お風呂になさいますか?"
"妹さんとの十数年間と私との数年間のどちらが……?"なども健在!
また、ホームページとの連動により「あなたの大事なご友人にお誕生日メール」を
須美にお願いできちゃいます。
時には相手にしてあげないと須美も怒って実家に帰ってしまうことも!!
要注意ですよ!
私からあなたへ、あなたからあの人へ、小さな郵便屋さん「須美」をよろしく。
「須美の郵便屋さん」出たらいいなあ(笑)
須美、愛の始まり(直接的ではないです、「須美」ですから(笑))(11/13 07:30)↑
それは、須美が俺の研究を手伝うようになって数日後の出来事……。
俺はウメバチソウのハウスで一人作業をしていた。
「山西須美」という女子学生に手伝いを頼んだものの、
正直言って俺はまだ彼女を『信用』しているわけではなかった。
俺から見てもこのハウスは広大だったが、
これだけの敷地面積が無ければ研究に必要な量のウメバチソウが得られないのだ。
教授もそのことをわかっていて、例の「ウメバチソウ由来の抗がん性物質」のこともあり、
ウメバチソウのハウス増築申請の際俺の味方になってくれた。
この日も、夕方近くになってハウスに来てみると、案の定須美はいなかった。
須美も一般の学生である以上一日中ハウスにいろとは言わないが、
一応夕方に一日の報告を受けることになっているのだが……。
隆道:「やれやれ……。」
暫くすると、須美がある男子学生と二人っきりでハウスに入ってきた。
どうやら、須美の彼氏らしい。
須美が男と付き合っていることは俺にもうすうすわかっている。
と言うより、須美くらいの女子学生なら、当たり前だ……。
須美:「……これ以上私の邪魔をしないでください。」
学生:「そんなこと言ってないだろ?俺は会いたい時に会いたいんだ。」
「デートでもしているのか?」と思ったが、どうやら違うようだ。
俺はその場に座っていた。別に二人の会話を盗み聞きするつもりはなく、
二人の会話の邪魔をしたくないだけだったが……。
須美:「ですから、何度も話しているように、私には……。」
学生:「それが理解できないんだ!
何故俺と会う時間を削ってでもウメバチソウの世話をしようとする?」
須美:「それが私に与えられた『研究テーマ』だからです。」
学生:「研究テーマ?独身中年の『シスコン助教授』の手伝いをすることがか?」
須美:「!」
隆道:「!」
その瞬間、須美の表情が変わった。
俺は、学生の俺に対する『中傷』に怒りを覚える前に、須美の表情に驚いた。
そして、須美はその学生に言い放った。
須美:「わかりました。もっとわかりやすく言います。
私にとってあなたより大切なものがこのハウスの中にあるんです!」
学生:「何?」
須美:「『あの本』を読まないようなあなたにわかるはずもないものです!
……それでは。」
学生:「……クソ!勝手にしろ!」
学生は悪態をついて去っていった。かつての「夕美と俺」を見ているようだった。
しかし、もしそうなら……。
隆道:「……まさか、山西君、ウメバチソウの世話のために彼氏を振ったのか……?」
須美:「……あ、藤堂助教授。もういらしたのですか?」
隆道:「あ、ああ。」
どうやら須美は俺がいたことに気づいていなかったようだ。
須美:「すみません。……それでは、今日の報告をします。」
隆道:「あ、ああ。」
そして、須美は何事も無かったかのように報告を始めた。
……そして、その数年後、須美は俺の家に住むことになった……。
コメント:もう須美か夕美かパロディしかネタないもんなあ……(^^;
須美、愛の告白・前編(「須美、愛の奇跡」続き・趣味小説)(11/25 23:32)↑
その日の夜……、
コンコン。
須美:「どうぞ、……開いています。」
ガチャ。
……俺は須美の部屋に入った。
こんなに夜遅くに須美の部屋に入るのは、須美がこの家に来て以来初めてだった。
俺が入ってくるにも関わらず、須美は部屋は明かりを付けずにいた。
そして、須美は女性用のねまきを身にまとってベッドに腰掛けていた。
俺が来た理由は、須美にはわかっているはずだ。
隆道:「須美……。」
須美:「…………。」
俺が呼びかけても須美は返事をせず、黙って俺を見ていた。
俺はそのまま須美の隣に座り、須美の顔を見た。
須美の顔は、あの時の加奈と同じように、月明かりに照らされていた。
その時!
加奈:『お兄ちゃん……。』
……須美の姿と加奈の姿が重なった。
隆道:「加奈……。」
須美:「え!?」
隆道:「……あの時最愛の女を抱かなかったのに、それ以外の女を……。」
須美:「隆道さん……?」
あれ以来俺の心に常に付きまとっていた自責の念だった。
あの時、俺は加奈を抱かなかった。
加奈を抱いても許される関係にあったと気づいていながら、
俺は最後の最後で加奈の想いに応えなかったのだ。
隆道:「お、俺は……、やはり加奈以外の女を愛せない!」
須美:「あ……!」
次の瞬間、俺は須美を放って逃げ出した。
俺は須美の部屋を飛び出し、自室に駆け込んでいた。
そしてドアを閉め鍵を掛けると、須美がドアを叩く音がした。
しかし、しばらくするとドアを叩く音はしなくなり、
代りに須美が階段を駆けおりる音がした。
……須美は家を出ていった。
俺は自分の腹部をさすっていた。
確かにここに須美の体の一部があり、
代りに須美は体の一部を永久に失った。
たぶん俺には須美に一生かけて償わなければ返せない負債があるのだろう。
しかし……、俺は本当に『山西須美』を愛しているのか?
須美が加奈に似ているから……。
そして、ドナーが紛れも無く須美だったから……。
隆道:『『俺が未だに独身なのは、死んだ妹を好いて
いたからだ』という噂か?それは……。』
須美:『いえ、『藤堂助教授が未だにウメバチソウに
固執するのは、山西須美という女性を情婦としてそばに
置いておきたいからだ』という噂です。』
勇太:『普通はドナーには直接会わないものです、もしドナーが既婚の異性の場合
『特別な感情』が芽生えたら困りますから。』
須美:『私がドナーだからということで、私を選んでほしくなかったからです。
……私がドナーでなくても、私を愛してほしかったからです。』
隆道:「……本当に、そのとおりだよ。」
その夜、俺は自分の馬鹿さ加減を呪い続けた。
翌朝、俺は数年ぶりに誰の見送りも無しに大学に出勤した。
そしてその日、ついに須美は大学に来なかった。
優秀な須美が初めて大学を無断欠勤したのだ。
夕方、俺がウメバチソウのハウスにいると、教授が来た。
教授が自分からハウスに出向くのはほとんど無いことだ。
教授:「藤堂君、精が出るな。」
隆道:「あ、教授……。」
……俺に「また」小言を言いに来たのか……?
教授:「ところで今日は山西君が来ていなかったようだが、
また病院で『検診』でもあったのかね?」
隆道:「い……、いえ。」
教授:「……まあいい。私もプライバシーには立ち入らないつもりだし、
君と山西君の関係もすべて山西君のご両親もご承知の上だと、
山西君のご両親から直接うかがっている。
……そして、何よりも君も山西君も私にとって大切な人材だ。
それにも関わらず、君の見舞いもろくに行かなくて、すまなかったな。
私にも『大学教授』としての職務があるのだ……。」
隆道:「え?」
普段の態度からは思いも寄らない言葉だった。
正直言って、教授からは良く思われていないと思っていた。
しかし、教授もまた、俺の父親同様俺よりはるかに「出来た」人間なんだ……。
教授は眉一つ動かさず、淡々と俺に忠告している。
教授:「しかし、『噂は常に当事者にとって悪い方向に解釈されて広まる』と言う。
私もなるべく君たちを擁護するつもりだが……、気を付けてくれたまえ。」
隆道:「……はい、すみません。」
教授:「それに、どうやら山西君は私より君に忠誠を誓っているようだし……。」
隆道:「は?」
教授:「……こういうことは、分子生物学のように
単純に解決できる問題ではないな、藤堂君。」
隆道:「…………。」
そう言い残し、教授は去っていった。
俺が大学から帰宅しても、須美は家にいなかった。
俺は意を決し、須美の自宅に電話した。
須美の母:『はい、山西です。』
隆道:「あの、すみません。○○大学の藤堂と申しますが……。」
須美の母:『あ、藤堂助教授……いえ、隆道さんでございましたか。
そんな堅苦しい挨拶などしなくてもよろしいですのに。
もう他人ではないのですから。』
須美が俺のドナーになったことは、無論須美の両親も知っている。
それ以来、俺は既に山西家の家族同様に扱われていた。
隆道:「あの、ところで、須美さんのことでちょっと……。」
須美の母:『え?……須美が何かそそうをいたしましたか?』
隆道:「……い、いえ。……何でもありません。」
ガチャン!
俺は自分から電話を切った。
須美は自宅に帰ったのではないらしかった。
隆道:「須美……。」
俺は、そのまま夜の街に向かった。
須美、愛の告白・中編(11/26 20:40)↑
俺は夜の街に来ていた。
須美の所在はまったくわからないし、須美を捜しに来たわけでもない。
とにかく「須美のいない家」にいることができなかったのだ。
目的も無いまま来て、ぶらぶら歩いていると……。
どん。
……誰かとぶつかった。
男性:「すまん。」
隆道:「い、いや、こっちこそ……。」
その男性は、そのまま俺の顔を見ていた。
男性:「お前……、クールマンじゃないのか?」
隆道:「え?」
男性:「俺だよ俺。『四天王』でつるんでた、長瀬智樹。」
隆道:「あ、ああ……。」
言われてやっとわかった。……と言うより、
俺を『クールマン』と呼ぶやつはこの世でも決して多くない。
それにしても……。
隆道:「……何故俺だとわかった?」
智樹:「写真を見ているからな。」
隆道:「写真?」
智樹:「『ウメバチソウから抗がん性物質を発見した研究者』なんて、
分子生物学の世界じゃ有名だよ。」
隆道:「そうか。」
そんなこと、俺は気にも留めていなかった。
智樹:「しかし、『偶然の出会い』なんて、あるもんだな。」
隆道:「ああ。」
智樹:「立ち話も何だし、どこかに寄ろうぜ。」
隆道:「ああ。」
智樹:「クールなのは相変わらずだな。」
智樹と俺は、適当な居酒屋に入った。
智樹:「お前と会うのも久しぶりだな。しかし、それと言うのも
高校卒業以降お前が妹さんに掛かり切りだったからで、
俺は育郎や雅俊と度々会っていたんだがな。」
育郎、雅俊、そして智樹。俺が忘れかけていた大切なものだ……。
智樹:「それで妹さんがいなくなってからは、学問に掛かり切りか……。」
隆道:「……それで、あいつらは今どうしている?」
智樹:「あ?育郎は社会人バスケのコーチ、雅俊は現場主任だ。」
隆道:「みんな出世してるんだな。」
智樹:「……お前ほどじゃないけどな。」
隆道:「そういうお前は?」
智樹:「高校の教師をやってる。」
隆道:「え?」
意外だった。あの努力型天才が……。
智樹:「まあ、大学でいろいろあってな。
一応化学の教師にはなったけど……。」
「あの」智樹が苦笑した。俺も一緒に笑ってやった。
しかし、次の一言が俺に笑いを止めさせた。
智樹:「ところで隆道、『山西須美』という女性を知っているか?」
隆道:「何!?」
智樹:「な、何だよ?その驚き様は。」
隆道:「何故……お前が知っている?」
智樹:「何故って、彼女の父親が俺と同じ双葉学園高校の教師だから
ということもあったが、俺と同じ分子生物学を志しているということで、
よく進路の相談に乗っていたんだよ。」
隆道:「そうか……。」
智樹:「その時に話してやったんだよ、お前のことを。」
隆道:「…………。」
智樹:「ついでに言うと、彼女が○○大学を受験する気になったのはその後のことだ。」
隆道:「…………。」
しばらく沈黙が続いた後、俺は答えた。
隆道:「『山西須美』という女性は今、俺の研究助手をしている。」
智樹:「そうか、彼女の夢は叶ったわけだな。」
隆道:「え?」
智樹:「お前も知っているようだから、このこともばらしていいな。
俺は彼女に『君はあの研究者の妹さんに似ている』と言ったことがある。」
隆道:「…………。」
智樹:「そう言えば、確かお前の妹さんも分子生物学を……。」
隆道:「…………。」
その後、智樹といろいろしゃべって、そのまま別れた。
時間は真夜中。
俺は、……あてもなく歩き、大学に来ていた。
そして、ウメバチソウのハウスに向かった。
特に理由は無かった。
「須美のいない家に帰りたくない」……それだけだった。
(続く)
夕美さんの憂鬱(拙作SS「夕美の憂鬱」とは全然関係無い不条理ギャグ)(11/28 23:17)↑
『吸血姫美夕』とかいうマンガがある「らしい」ので作ってみました。
僕は実際には見たこと無いので、どういう話か全然知らないのですが……。
基本的にはD.O.の往年のADVが話の元になってます。
俺が夕美を初めて加奈の病室に入れたあの日のこと……。
夕美:「藤堂君、花が枯れかかってるよ。ちょっと替えてくるね。」
隆道:「あ、ああ。」
その行動、「加奈と俺に自分の印象を良く見せるためのパフォーマンス」と思われても仕方が無い。
今思えば、そんな「見え見えの好意」をするまでに夕美を追いつめてしまったのは俺自身なんだ。
しかし、加奈と俺の思いをよそに、夕美は(^^)顔をして花瓶に手を伸ばしている。
……そんな夕美を、俺は正視できなくなっていた。
その時!
ガチャン!
加奈:「キャーッ!!」
突然花瓶の割れる音がして、加奈が悲鳴をあげた。俺は加奈のほうを向いた。
そして……、信じられない光景を目にした。
夕美が加奈の首筋に噛み付いていたのだ!
俺は為すすべも無くその場に立ち尽くした。
しばらくして、夕美は加奈から離れた。そして、加奈はベッドに崩れ落ちた。
夕美:「ふふふふふふ……。」
夕美は不敵な笑い声をあげている。
夕美:「私の正体は『吸血鬼夕美』。以前から目を付けていたこの美しい少女の血、
やっと吸うことが出来たわ。」
隆道:「何!?」
俺はやっと理解した。俺に無視されながら何故夕美が八年間も俺に付きまとっていたのか。
夕美は俺の「ぴー(笑)」が目的ではなく、加奈の血が目的だったのだ!
そして、夕美はこの機会をずっとうかがっていたのだ……。
夕美:「藤堂君、そんなに動揺する必要はないわ。
何しろ、私に血を吸われた女はすべて……。」
夕美は病室の窓を開けた。
夕美:「……まあ、今にわかるわ。ほほほほほほ……!」
ボッ!
パタパタ……。
そう言い残し、夕美はコウモリに姿を変えて飛んでいった。
病室には俺と気を失ったままの加奈が残された。
隆道:「……あ!加奈!」
金縛りの呪縛から解かれたように、俺はとっさに加奈に駆け寄り、抱きかかえた。
加奈:「……(すやすや)」
……加奈は寝息をたてていた。命に別状は無いようだ。しかし……。
……吸血鬼。それくらいのものは俺も知っている。
吸血鬼に血を吸われた者は自分自身も吸血鬼になってしまうのだ。それも……。
隆道:「……え!?」
俺は……ナースコールで美樹さんを呼んだ。
バタン!
美樹:「隆道くん!加奈ちゃんに何かあったの!?……あれ?」
隆道:「美樹さん、加奈の精密検査をしてください。」
美樹:「……え?精密検査!?……た、隆道くんの気持ちはわかるけど……。」
隆道:「とにかくお願いします!」
そして、検査の結果……。
先生:「ふ、不思議だ。加奈くんの腎臓が正常に機能している。
……いや、腎臓だけではない。その他、加奈くんの臓器はすべて正常だ。」
美樹:「と、言うことは……。」
先生:「加奈くんは完治した。つまり、健康そのもの……ということだ……。」
……やはり、加奈は『吸血鬼夕美』に血を吸われて不老不死の体になってしまった。
当然その日のうちに加奈は退院したが、俺は「真実」を告げなかった。
人に話したところで、どうせ信じてもらえる話じゃないし……。
そして、それから数百年後……。
加奈:「お兄ちゃん、あの言葉、言って。」
隆道:「加奈、愛してる。」
加奈:「んー、お兄ちゃんの『愛してる』は効くなー。」
……加奈と俺は今でも幸せに暮らしている。
夕美に血を吸われたということで加奈に夕美の性格が混ざってしまったが、仕方が無い。
いや、そのおかげで加奈も「夕美並みの行為」を受け入れるようになって、
かえってよかったのかもしれない。
それにしても、加奈はともかく、何故俺も不老不死でいるのか……?
正確なところはわからないが、そう言えば、夕美は以前俺の「ぴー(笑)」をくわえたことがある。
『吸血鬼夕美』は女からは血を、男からは「ばぴゅーん(爆)」を吸うらしい。
夕美もさすがに恥ずかしくてそこまでは口に出して言えなかったか。
俺はその時口に出してしまったが……。
……とにかく、こうして加奈と俺は不老不死の体になった。『吸血鬼夕美』のおかげで……。
香奈の『大好き』(ED5,6最中、あるいは後日談・ほのぼの)(12/1 23:34)↑
ある日、俺が大学から帰ってくると……。
プルルル……。
……電話がかかってきた。
ガチャン。
隆道:「はい、藤堂です。」
男性:『ああ、隆道くんか。霧原だが。』
隆道:「あ、叔父さん。……あの、両親に用なら、まだ帰宅してませんけど……。」
叔父:『そうか、香奈のことで頼みがあったのだが……。』
叔父さんの言う「かな」が香奈を指すことは充分承知している。
しかし……、こういう時、同名というのは正直言って辛い。
叔父:『……実は、香奈の授業参観が明日あるのだが、
私にどうしても外せない用事が出来て出られなくなくなってしまったのだ。
それで、代わりに義兄さんか義姉さんに出てもらいたかったのだが……。』
「かなの授業参観?」俺は……即答していた。
隆道:「そういうことなら、僕が行きましょうか?」
叔父:『君が?……いいのか?』
隆道:「父も母も明日仕事がありますし、僕はお気楽な大学生ですから。」
叔父:『そうか。それでは、よろしくお願いする。』
隆道:「あ、どうも。……それで、時間とかは……?」
…………。
隆道:「……わかりました。それでは明日。」
ガチャン。
電話を切った後、俺は呟いた。
隆道:「かなの授業参観、か……。」
……その翌日、俺は香奈の教室にいた。
授業開始前、俺があの『命を見つめて』の加奈の兄だということで
担任が俺を職員室に呼び出し、いろいろ話を聞いてきた。
そして、授業……。
担任:「それでは、霧原さん。」
香奈:「はい!」
担任に指名されて、香奈は元気良く返事して起立した。
今回の授業は「家族のことについて作文を書き、朗読する」というものだった。
そう、『あの時』と同じ……。
ところで、須摩子さんがいない今、香奈にとって『家族』は一人しかいない。
「香奈は叔父さんのことをどう思っているのだろう」そう考えていると……。
香奈:「『私の兄ちゃん』。」
隆道:「え!?」
俺は思わず声をあげた。同時にクラスがざわつきはじめた。
当然だ。何しろ……
男子A:「おい、霧原に兄貴っていたか?」
男子B:「いや、俺は聞いたことないぞ。」
……香奈が一人っ子だということは、俺でなくても知っているはずだから。
しかし、香奈はそんなことはお構い無しに朗読を始める。
香奈:「私には兄ちゃんがいます。でも、本当の兄ではありません。」
隆道:「!」
クラスがいっそうざわついた。
周りを見ると、担任や他の親が興味深そうに香奈を見ている。
香奈:「兄ちゃんは遊園地でも紅葉狩りでも、
私が『行きたい』と言えば必ず連れていってくれます。
お父さんがそれを見て『そんなに香奈を甘やかしてどうするのだ』と心配するくらいです。
でも、私は別のことが心配です。
『兄ちゃん、私にばかり構って彼女……じゃなくて、大学はいいのかなあ』って。
そして、今日もせっかくの休日なのにお父さんの代わりに私の授業参観に来てくれています。
私のためなら何でもしてくれる、優しい兄ちゃん。
私はそんな兄ちゃんが大好きです!」
香奈は朗読を終えると、突然俺のほうを向き……、
香奈:「兄ちゃん!ぶい!」
……とやった。
担任:「あ、ああ。……霧原さんの『兄ちゃん』って、藤堂さんのことだったの?従兄妹の。」
香奈:「はい。私も以前から『兄ちゃん』って呼んでましたから。」
香奈が着席すると、香奈の隣の男子が冷やかしを始めた。
男子C:「きりはらー、『本当の兄ではありません』なんて、実は何かあるんじゃないのかー?」
香奈:「何それ?……あんた、変なマンガの読み過ぎじゃないの?
スケベなのもいいけど、ほどほどにしておきなさいよ?
『命を見つめて』を読めとは言わないけど、あんたがそれ以上バカになったら……って、
まあ、いいか。あんたの場合、これ以上バカになる心配もなさそうだし。」
どっ!
わははは……!!
男子C:「ちぇ。……そう来たか。」
香奈は男子の冷やかしにも簡単に受け流す。
男子も悪意は無いらしくそれ以上は突っ込まない。
どうやら香奈はこのクラスでは「人気者」で通っているらしい。
……こんな女子、俺は見覚えがある。
そうこうして、授業参観は終わった。
複雑な気持ちで俺が教室から出ると、見知った野郎が三人……。
元男子B:「……なあ、隆道。今回の俺達の出番はまだなのか?」
元男子C:「とりあえず『ねずみ花火』の準備はいいぞ。」
元男子A:「俺なんかわざわざ東京から……って、あれ?もしかして、もう授業参観終わったのか!?」
「ああ、結局オチは『これ』か……」あきれながらも、俺は一応言った。
隆道:「お前ら……、何言ってるんだよ。お前らの出番なんかあるわけないだろ?
……香奈は『香奈』なんだから……。」
「香奈のお見舞いのノート」の真相(知的ルートネタバレ・叔父さんSS)(12/3 23:34)↑
十月も差し迫ったある日、私は珍しく加奈くんを見舞った。
いつもは香奈を行かせているのだが、
私も加奈くんの「元気な」姿をしっかり見ておきたかったのだ。
叔父:「加奈くん、こんにちは。」
加奈:「あ、叔父さん。こんにちは。」
二、三会話をした後、加奈くんは突然私に言った。
加奈:「あの、叔父さん?」
叔父:「ん?何だ?」
加奈:「人は、どうして死ぬんですか?」
叔父:「え?」
思いがけない言葉だった。義兄さんは私に
「加奈には『真実』を言わないで欲しい」と言っていたが……。
加奈:「アポトーシスのことなんですけど……。」
叔父:「あ、……ああ。」
加奈:「兄さん(注:この部分直しました)に聞いてもよくわからないし、
兄さんは『よく考えればわかるかもしれない』とか言ってたんですけど、
考えれば考えるほどわからなくなるばかりで。
それで、叔父さんならわかるのかなって思ったんですけど……。」
「人は、どうして死ぬんですか?」そんなこと……、私にもわからないことだ。
ただ、これだけは言える。人は死を恐れるからこそ生きていこうとするのだ。
「人の死を理論的に説明し、納得させようとする」というのは、
ある意味科学の弊害なのかもしれない。
それでも、今の加奈くんには『人が死ぬ理由』というものが必要なのだろう。
そして、肝臓を患っている香奈にも……。
叔父:「……すまんな、私にもわかりそうにない。しかし、加奈くんには
考える時間が充分あると思うが?まだ若いのだし……。」
加奈:「そうですか……。」
加奈くんはあまり納得しない様子で遠くを見詰めた。
その時、加奈くんの姿に須摩子が重なった。
加奈くんと須摩子は病気の種類も状況もまったく違っているというのに……。
……いつのまにか、私は須摩子のことを思い出していた。
ジャーナリストをしていた須摩子は、しばらくはベッドの上でも何かを書いていた。
「ベッドにいるときくらい休んだらどうだ?」と言って、ようやく止めさせたくらいだ。
「須摩子」か……。
「ものを書く」ということは、加奈くんにとって何かプラスになるのだろうか……?
がちゃ。
香奈:「お姉ちゃーん!遊びに来たのじゃー!」
加奈:「あ、香奈ちゃん、いらっしゃい。」
叔父:「ああ、……ちょうどよかった。」
香奈:「?」
その後は談笑して加奈くんと別れた。
その後待合室で隆道くんに久しぶりに会った。
そして帰宅する途中文房具屋に寄り、大学ノートを一冊購入した。
叔父:「香奈、今度加奈くんのところに行く時、このノートを持っていってくれな。」
香奈:「んー、わかったのじゃー。」
数日後、香奈が加奈くんの見舞いから帰ってくると、嬉しそうにメロンを持っていた。
加奈くんはベッドの上で『香奈がプレゼントしたノート』に何か書いている、ということだった。
そして、それから数ヶ月後……。
加奈くんはすでに須摩子の許に行き、香奈は肝移植のおかげで危険な状態を脱しつつあった。
ある日、私は突然隆道くんの訪問を受けた。
「最愛の『妹』の死から、まだ隆道は立ち直っていないようだ」
と義兄さんから聞いていたが……。
隆道:「こんにちは、叔父さん。」
叔父:「あ、ああ。隆道くん……。」
隆道:「このノート、香奈に『返し』ます。」
叔父:「……え?」
隆道くんは私に大学ノートを差し出した。
隆道:「僕の分はパソコンに入力しておきましたから、
僕もいつでも読むことはできます。それに……。」
隆道くんは私にそのノートの最後のページを見せた。
『私と同様の運命を背負った人達に、そして、この日記を書くきっかけをくれた霧原香奈ちゃんに、
「私の闘病の記録」と「私を守って下さった人への想いの記録」を残します。藤堂加奈』
私はうなずき、ノートを受け取った。……香奈の代理として。
……そして今、『加奈くんのノート』は香奈の手元にある。
今の香奈には理解できない文章かもしれないが、
理解できるようになる日も恐らくそう遠い未来のことではあるまい。
香奈は加奈くんから二つのものを貰った。
加奈くんの肝臓を、そして、香奈のこれからの人生の支えとなるべきノートを……。
衝撃の一行(ED5,6ネタバレ・時事ネタ・あほ・すみません……)(12/9 23:21)↑
ある日の夜中、俺は「加奈の日記」の清書をしていた。
加奈:『お兄ちゃん、日記も長くなっちゃったけどごめんなさい。
清書も大変でしょ?お礼を言いたいけど、お兄ちゃんがこれを清書する頃には私は……。
だからあらかじめ言っておくね。……ありがとう、お兄ちゃん。』
じわっ。
俺の中で何かが動いた。
俺はいつのまにか日記を読む方に夢中になり、キーボードを打つ手が止まっていた。
そして、日記を読み進めていくうち、海に行く前日のことが書いてあるページになった。
加奈:『明日、私は海を見る。……』
そして……、俺は震える手で次のページをめくった……。
……そこにはぽつんと文章が一行書いてあるだけだった。
俺の中で衝撃が走った!
隆道:「う……うう……。」
突然目の前が真っ暗になった。
隆道:「か……加奈……、加奈ーっ!」
俺は泣き叫んだ。大人の泣きかたではなく、
もはや「慟哭」といってもいい状態だった。
五分……、十分……。
俺はまだ泣き叫び続けている。
「このまま俺は死んでしまうのではないのか?」
そう思えてしまうほどに。
二十分……、三十分……。
隆道:「うおーっ!」
俺はまだ泣き叫び続けている。
俺の目の前はまだ真っ暗だ……。
……そう、両親も俺も加奈に掛かり切っていて『大事なこと』を忘れていた……。
加奈:『今日、海を見た。……ところでお兄ちゃん、Y2K対策大丈夫?』
隆道:「加奈ーっ!何故俺に相談してくれなかったぁー!!?」
データのバックアップを取っていなかった俺は、
また最初から清書し直すことになった。
隆道:「願わくば、明日の俺が、今日の俺より優れた人間でありますように……。」
特別新春エンド「謹賀新年」(エンディングネタバレ・超暴走・すみません……)(12/9 23:24)↑
あれから数ヶ月後……。
世間は「西暦2000年の正月」で沸き返っていたが、我が家は初めての正月を迎えていた。
……そう。加奈のいない、初めての正月。
喪中だということで、当然うちには「年賀状」ではなく「寒中見舞い」が届く。
……俺はそのことでいっそう「事実」を認識してしまうのだが。
夕美や三人組の励ましのおかげで何とか年内に立ち直れた俺は、
両親宛てと俺宛てに寒中見舞いの葉書の仕分けをしていた。
隆道:「……あれ?」
無地の葉書に混ざって、一枚だけ、赤く目立つ葉書があった。
……年賀状だ。それも、俺宛てに。
隆道:「俺にくれそうな奴には一通り連絡しといたつもりだったけど……。
でも、誰だ?」
葉書の裏を見ると、年賀とはまったく関係の無い花の絵が書いてあった。
そして……。
『謹賀新年
去年はたくさんお見舞いに来てくれてありがとう。
お兄ちゃんが来てくれると私も何だか元気が出てくるから、
これからもたくさんお見舞いに来てね。
記念すべき「西暦2000年の正月」を我が家で楽しく迎えたいけど、
ちょっと無理みたいなので、早めに年賀状を出してしまいました。
あー、私も早く元気になりたい。
そうすれば、お兄ちゃんの言ってた「森林公園」にも行けるし。
次は記念すべき「二十一世紀初の正月」なので、そのときまでには
元気になって、我が家で正月を迎えたいな。
あ、そうそう。忘れないうちに言っておくけど
この前の「保留」の返事も、もうそろそろ聞かせてね。
それじゃお兄ちゃん、今年もよろしくお願いします。
お兄ちゃんのことが大好きな、藤堂加奈』
……俺は葉書を見つめたまま……、
隆道:「新年おめでとう、加奈。……今年もよろしく……。」
……俺が「完全に」立ち直るには、まだ時間が必要なようだ……。
「ED3」の真相(笑)(ED1,3ネタバレ・ほのぼの・すみません……)(12/10 23:21)↑
夕美:「隆道君、それじゃまず加奈ちゃんの部屋の掃除しよ。」
隆道:「……うん。」
俺は夕美と一緒に加奈の部屋の掃除を始めた。
加奈の思い出を朽ちさせないために、そして、「事実」を認識するために。
こうして、俺は再び自分の道を歩きはじめる……。
……。
…………。
………………。
……………………。
?:「……ちゃん、起きて。」
隆道:「……うん?」
俺は若い女性(恐らく夕美だろう)の声で目を覚ました。
そして、俺の目の前に……
……え!?
何故……
お前が……?
「加奈」が……!?
隆道:「…………。」
加奈?:「?」
……くそっ!!
隆道:「夕美……、冗談もいいかげんにしろよ!」
加奈?:「……え?」
隆道:「『変装』だってことはお見通しなんだよ!
同じ手が二度使えるとでも思ってるのか!?」
加奈?:「きゃ!な、何するの?お兄ちゃん!い、痛いよ!髪引っ張らないで!」
隆道:「くそ!今度は顔までそっくりにしやがって!
悪趣味!お前は『仏国の大泥棒の三代目』か!?
おまけにまた俺のことを『お兄ちゃん』なんて声色使って!
はっきり言って気色悪いんだよ!!」
加奈?:「痛い、痛いよ!ほっぺたつねらないで!
……それに、お兄ちゃんのことを『お兄ちゃん』って呼んで、……何が悪いの?」
隆道:「……え?」
いつのまにか、「加奈に似た若い女性」は……目から涙を溢れさせていた。
加奈?:「……それとも、私の退院が遅かったから怒ってるの?
もしそうならごめんなさい、心配掛けて……。
でも、先生と美樹さんが『せっかく手術が成功したのに、万一のことがあったら』って、
なかなか許可してくれなかったから……。」
隆道:「え?……今何て言った?」
加奈?:「……私も、手術が成功して元気になった姿、早くお兄ちゃんに見せたかったのに……。」
隆道:「手術が……成功した……?」
加奈?:「……(こくん)」
隆道:「そ、そんな、まさか……!」
加奈?:「まだ許してくれないのなら、……『証拠』見せるよ!?」
ガバッ!
……「加奈に似た女性」は上着とシャツを脱ぎ捨て、彼女の上半身は下着だけになった。
「加奈がこんなに大胆だったろうか?」と、俺が疑問に思う間もなく……。
加奈?:「ほら、ここ見て。『変装』とか言ってたけど、こんな手術痕、他に誰か持ってる?」
……確かに手術痕があった……。
……間違いない……、これは加奈だ……、「加奈」だったんだ……!
きゅ。
……俺は加奈を抱きしめた。加奈が幼かった頃から、何度でもしているように。
加奈:「……私、お母さんから聞いたよ。お兄ちゃん、私のことが心配で夜も満足に寝てなかったって。
それで、お兄ちゃんを驚かせようと思って黙って帰ってみたら、今度は昼間っから寝てるし……。」
隆道:「……ごめん……。」
加奈:「……でも、お兄ちゃん、何かうなされてたよ?悪い夢でも見てたの?」
隆道:「……悪い夢?」
悪い夢……『悪夢』……?
隆道:「……そうかもしれない。だって、お前が……。」
加奈:「え?」
隆道:「……いや、何でもない。」
俺は、「加奈の感触」を確かめるように、加奈を抱き締め続けている。
隆道:「それにしても、何か夢みたいだな。」
加奈:「……そうだね、これも夢かもしれないね。」
隆道:「え?」
加奈:「でも、『夢』は何個でも見ることができるから、
お兄ちゃんの見たい夢を見ていればいいと思う。
私は……お兄ちゃんのこと愛してる、そんな夢しか見れないけど……。」