須美、愛の告白・後編(須美シリーズ完結編)(12/19 01:47)↑
その数時間後……。
真夜中、俺は大学のウメバチソウのハウスにいた。
そして、今までの自分を振り返っていた。
加奈の死後、俺は学問に打ち込み、美樹さんや香奈とも疎遠になってしまった。
そしてその後、父、母、叔父が加奈と須摩子さんの許にいってしまったが、
加奈の時ほどの衝撃はなかった。
一方、俺の目的だったウメバチソウの研究は順調に進んでいる。
この調子でいけば慢性腎不全の特効薬もいつかは完成するだろう。
しかし、それで本当に俺は満足なのか……?
俺の中に、何かが足りないのだ……。
ガタ。
……突然物音がした。
隆道:「誰かいるのか?」
?:「隆道さん、私です。」
隆道:「え?……須美?」
暗闇の中で顔が良く見えないが、確かに須美の声だ。
隆道:「俺に会いにきたのか?」
須美:「……何故、そうお考えです?普段こんな真夜中に
隆道さんがこんな所にいらっしゃるはずないですのに。」
隆道:「い、いや……。」
俺は返答に窮して、沈黙がしばらく続いた。
そして、須美のほうから俺に話しはじめた。
須美:「私、あのあと、隆道さんのいとこの香奈さんの所に行っていました。」
隆道:「え?」
須美:「以前から気になっていたことだったので、もしかしたら香奈さんなら
ご存知だろうと思って伺ったのですが、香奈さんも『知らない』と言っていました。」
隆道:「な、何のことだ……?」
須美:「妹さんの日記、隆道さんのことばかりが書いてある日記なのに、
ある日を境に隆道さんに関する記述がまったく無くなったんです。」
隆道:「……え?」
須美:「あの日、……妹さんと海に行く約束をした次の日、何かあったのですね?」
隆道:「何故、そう考える?」
須美:「知りたいから聞いているのです。……それとも、私が知りたい『理由』が必要ですか?」
隆道:「え?」
須美にしては俺に突っかかってくる。
俺は須美に近寄り、須美の顔をよく見た。
そして……。
隆道:「須美……、酔っているのか?」
須美:「わ、私……、隆道さんが入院中、伊藤医師から聞きました。
『先輩の妹の加奈が生きていた頃、先輩はある女性とある理由で恋人同士として付き合い、
そしてある理由で別れた』と。」
隆道:「…………。」
須美:「そして今日、香奈さんと別れてからその女性に会って、理由を聞いてきました。」
隆道:「何?」
須美:「その理由、何故隆道さんが妹さん以外の女性を抱くことができたのかという理由は……。」
隆道:「え!?」
ばさ。
……俺は不意を突かれた。ウメバチソウの花畑の上に、須美が俺を押し倒したのだ。
そして……。
須美:「ん……!」
隆道:「!?」
須美が俺にくちづけした。
……いや、須美が自分の唇を俺の唇に押し付けた。
隆道:「す、須美……!」
須美:「……でも、私は『藤堂加奈』でも、ましてや『鹿島夕美』でもありません!」
隆道:「くそ……!」
須美:「あ……。」
ばさ。
次の瞬間、俺は逆に須美を押し倒していた。
俺は酔った女性、それも教え子の上に覆い被さっていた。
まっとうな大学助教授の行為ではなかった。
……そうだ、俺ははじめから「まっとう」な大学助教授ではなかったのだ。
ウメバチソウにしか興味の無い、妹の加奈しか愛せない、馬鹿な男だったのだ。
だから、今度は躊躇せず……。
隆道:「……君が知っているように、俺が今まで抱いた女性はたった一人だけだ。
何度も抱いたことはある。……だが、『屋外』は君が初めてだ……。」
須美:「ん……。」
……今度は俺が須美にくちづけした。あのとき加奈にしたように。
そして……。
隆道:「須美……。」
須美:「愛しています。あなたを。」
隆道:「……愛してる。誰よりも、君を。」
須美は俺の顔をじっと見ている。
隆道:「君が他の誰でもない、『山西須美』だからだ……。」
須美:「ああ、隆道さん……。」
…………。
……俺は、そのまま須美を抱いた。
俺が須美と初めて出会ったウメバチソウのハウスの中で。
俺が須美と初めて出会ってから、五年後の……いや、
俺が加奈と初めて海に行ってから、二十五年後の出来事だった。
そして、その三年後……。
俺は、二歳になる息子とともに、俺の妻……『山西須美』の病室を訪れていた。
……そう、今日が俺の娘との初めての対面の日だ。
隆道:「須美、元気か?」
須美:「あ、隆道さん。……研究の方はいいのですか?」
隆道:「は?」
須美:「いえ、御自分の子供や妻のことより研究の方が大切ではないかと……。」
隆道:「え?」
それが須美の『冗談』だと俺は承知している。
須美は俺に『例の言葉』を言わせたいのだ。
隆道:「須美、研究のことはすべて連中に任せてあるからいいんだ。
それに、二十年以上研究を続けて、既に『俺の捜し求めていたもの』は見つかっているんだからな。」
須美:「ふふふ……。」
ところで、俺の息子の目には「自分の妹」がどのように映っているのだろうか?
「自分から両親を奪った憎い妹」として、将来いじめることになるのだろうか?
そんな時、俺も自分の息子に「強い男になりなさい」と言うのだろうか?
そして……。
……娘を抱き抱える須美の横顔を見ながら、俺はいつのまにかそんなことを考えていた。
しかし、俺はすぐに『現実』に引き戻される。
がちゃ。
美樹:「須美さん、げんき〜?」
香奈:「あ、兄ちゃんも来てたんだ……って、何か白々しい?」
勇太:「先輩が今日来ること、知らせておきました。」
智樹:「隆道、何度でも言う。……『妹』の次は『教え子』か?」
結婚式以来のいつもの面々と、そして……。
隆道:「……え?お、お前ら!?」
雅俊:「やれやれ、やっとお前にも春が来たか。」
育郎:「とりあえず……『四天王参上!』」
須美:「え?『してんのう』……ですか?」
智樹:「山西君……じゃなくて奥さん、『四天王』と言うのはですね……。」
隆道:「お、おい、智樹……。」
……懐かしい面々が、俺を迎えてくれている。
「見果てぬ夢」ベストエンド・FIN
籠球事始(知的ルートネタバレ・「ほのぼの」を作るつもりでした)(12/21 23:19)↑
俺と両親が「宣告」を受けてから数ヶ月後の、ちょうど加奈が退院していたある日……。
プルルル……。
隆道:「はい、藤堂です。」
?:『もしもし、藤堂?俺だけど。』
隆道:「……育郎?」
育郎:『そうだよ。久しぶり。』
隆道:「あ、ああ。」
船津育郎……俺の幼なじみ。
普段は温厚な育郎だけど、ある時は「熱い男」になる。
そう、育郎は「四天王」の中でも唯一人の「スポーツマン」だから……。
……おっと、解説じみた独り言言ってる場合じゃない。電話電話……。
隆道:「で、何の用だ?」
育郎:『実は明日、俺のデビュー戦があるんだ。』
隆道:「バスケのか?それで?」
育郎:『……クールだな。突然で何だけど、応援に来てほしいんだよ。』
隆道:「本当に突然だな。……ところで、他のやつら……智樹と雅俊は?」
育郎:『いや、今回呼ぶのは藤堂だけだよ。』
隆道:「はあ?」
育郎:『智樹は大学で何やら忙しいみたいだし、雅俊も何かすごいことになってるみたいだしさ。
藤堂なら暇そうだし。』
隆道:「育郎、一応俺も大学生なんだけど……。」
育郎:『でも暇なんだよな?それじゃ、よろしく。』
隆道:「お、おい……。」
育郎:『それとも、本当に駄目なら別にいいんだけど……。』
隆道:「……わかった、行く。」
育郎:『お、サンキュ。さすが幼なじみ。』
隆道:「まあな。……それで、肝心の場所と時間は?」
育郎:『あ、そうだった。場所は……。』
ガチャン。
やれやれ……。
隆道:「加奈。明日、バスケの試合観に行こうか?社会人の試合だけど。」
加奈:「バスケ?」
隆道:「ほら、以前俺の高校の卒業式の日に、体育館でボール投げただろ?あれ。」
加奈:「あ……。……(こくん)」
思い出の数自体の少ない加奈には、これだけの説明で話が通じてしまう……。
……翌日、試合会場の体育館にて。
育郎はユニフォームの上にジャージーをはおっていた。
実は、育郎のこういう姿は俺が万年帰宅部だったせいで
ほとんど見たことなかったのだが、こうしてみると制服姿より似合っている。
一般的に「スポーツマンは女にもてる」と言うけど、理由もわかるような気がする。
しかし、加奈の目にはどのように映っているのか……。
隆道:「育郎。お望みどおり、来てやったぞ。」
育郎:「サンキュ、藤堂。……あれ?『彼女』も一緒なのか?」
隆道:「え!?」
加奈:「あう……。」
育郎のやつ、まだ勘違いしているらしい。
隆道:「育郎。本当にお前、俺の幼なじみか?俺に妹がいるってことくらい知ってるだろ?」
育郎:「あ、ああ。そう言えば、そんな話聞いたことあるな……。」
隆道:「その妹っていうのがこの加奈。幼なじみの妹の名前も知らないとは……。」
育郎:「あ、そうなのか。俺もあんま見たことないし、それに、顔が似てないから……。」
隆道:「え?」
男A:「おーい、船津!」
育郎:「キャプテン!今行きます!それじゃ藤堂、それと妹の加奈ちゃん、応援よろしく。」
隆道:「あ……、ああ。」
加奈:「……(こくん)」
そして、試合は始まり……。
…………。
……終わった(すみません……)
育郎:「ふーっ。」
隆道:「育郎、なかなかやるじゃないか。……負けたけど。」
育郎:「試合は勝たなきゃ意味ないよ。社会人である以上、
勝つために練習して、勝つために試合をやってるんだから。」
隆道:「いや、中学高校と続けていただけのことはあるよ。……な、加奈?」
加奈:「……(こくん)」
育郎:「お世辞はいいよ。……ところで、君。もし本格的にバスケがしたくなったら
いつでもうちに来なよ。俺が『個人的に』コーチしてあげるから。」
隆道:「何!?」
加奈:「あう……。」
男A:「船津、何か盛り上がっているようだが、ちょっといいか?」
育郎:「あ、はい。何ですか?キャプテン。」
主将:「お前は女をナンパする前に、練習にもっと力を入れた方がいいな。
手遅れにならないうちに。」
育郎:「え〜?冗談きついっすよ。」
どっ!
いつのまにか、試合を終えて一息ついた他の野郎どもが俺の……いや、
加奈の周りに集まってきた。
男B:「そうだぞ、船津。俺みたいにもっと上手くならないと……。」
主将:「角田、お前は練習する前に、女をナンパすることにもっと力を入れたほうがいいな。
手遅れにならないうちに。」
角田:「マ、マジっすか、それ!?冗談きついっすよ!」
どっ!
わははは……!!
隆道:「…………。」
加奈:「…………。」
…………。
そして、帰り道。
加奈:「お兄ちゃん、ちょっと本屋に寄ってっていい?」
隆道:「あ、ああ。」
加奈:「すぐ戻ってくるから。」
待つこと数分、加奈が手に入れた本は……。
隆道:「……『バスケットボール入門』?加奈、本当にバスケ始めるのか?」
加奈:「う、ううん。特にそんなんじゃないけど……。」
隆道:「え?……やれやれ、加奈の本好きも度を越して、
いよいよ見境無くなってきた……ということか。」
加奈:「……でも、私が高校に戻って普通に運動できるくらいの体力が付いたら、
バスケットボールなんかやってみようかな……なんて思ってるの。」
隆道:「あ……。」
加奈:「?」
俺は一瞬言葉を失ったが……。
隆道:「……ま、まあ、何でも興味を持つことはいいことだな。
でも、バスケやるなら身長が……。女子でも俺くらい無いとちょっときついぞ?」
加奈:「あ……。そ、そうなの?」
隆道:「ま、『リンゴの皮剥き専門のマネージャー』というのも、いいかもしれないな!」
加奈:「え?ひっどーい!」
隆道:「ははは……。」
育郎たちの、いわゆる体育会系のノリにあてられたせいで、
俺も、そして加奈もいつもより気分が高揚していた。
数日後、加奈は『バスケットボール入門』を持って再入院した。
そして、『バスケットボール入門』は加奈の学術書や参考書に囲まれて
場違いな物のようにも見えたが……俺が見舞いに行くたびに置き場所が変わっていた。
そして、十月も差し迫ったある日……。
香奈:「兄ちゃーん!ボール投げるべーし!」
……俺は久しぶりに叔父に会って、
香奈がボール遊び(ドリブル)をしているところを叔父と一緒に眺めている。
英才教育を受けた子供には及ばないまでも、
香奈のボールの扱いは結構うまい。
そう、まるで……
隆道:「……『入門書を見て練習したかのように』、か……。」
叔父:「……ん?隆道君、何か言ったかね?」
隆道:「……い、いえ。……単なる独り言です。」
叔父:「そうか。」
叔父はいつもの温和な顔で自分の娘の香奈を見つめている。
「肝臓を患っている」という話だけど、
香奈はまだボール遊びをすることができる。
けど、俺の妹の加奈は……。
香奈:「兄ちゃーん!早く投げるのじゃー!」
香奈が俺を急かす。
俺はボールを投げてやる。
隆道:「ほら、ボール行ったぞ、香奈(かな)!」
香奈:「オッケーで候!」
……「加奈がバスケットボールを追いかけて走り回る姿を、一度でいいから見てみたい」
と考えるのは、俺のわがままなんだろうか……。
コメント:しまった!「ドリブル」ってサッカーのドリブルらしいですね、どうも……。
特別略奪エンド「四天王、最後の活躍」(四天王シリーズ完結編・ED1ネタバレ・ほのぼの)(12/28 23:22)↑
「四天王のSS希望!」というリクエストがありましたので作ってみましたけど、
……ちょっとベタな話になってます(笑)
たびたび比較されている「みゆき」のエンディングが元ネタですが、
「みゆき」とは設定が全く違いますので、当然、話の展開もだいぶ違うものになっています。
俺は先を越された。……そう、まさに「悪夢」だった。
手術成功後高校を卒業し本屋に就職した加奈に、あの「伊藤勇太」がプロポーズしていたのだ!
俺がそばにいない加奈は積極的な(言い換えれば「しつこい」)勇太を結局拒否できず、
俺の『本心』を知らない両親は礼儀正しい勇太を見てすんなり了承してしまった。
心に余裕のある奴は、ここで「明治・大正の某有名作家の小説に出てきたKとお嬢さんと先生」
を連想して苦笑するだろうが、当然俺にそんな余裕は無く……
父:「隆道、早く支度しなさい。」
母:「あなた、加奈のお兄さんでしょ?遅れたらどうするの?」
隆道:「わかってるよ!今行く!」
……結婚式場に向かわなければならなかった。
「加奈のいない家にいても仕方が無い、この際学業に専念するために俺も親元を離れるか」と考えて
俺が大学近くにアパートを借りて家を離れている間に、そこまで話が進んでしまっていた。
…………。
そうこうしているうちに、式場に着いた。
夕美:「あ、藤堂君。遅かったじゃなーい!」
先に式場にいた夕美は、にこにこして俺を迎えた。
実は明日、俺も正式に夕美の両親に「あいさつ」に行くことになっている。
……今日が終われば、俺が躊躇する理由が無くなってしまうのだから。
夕美:「藤堂君、加奈ちゃんの『晴れ姿』、見ないの?」
隆道:「いや、いい。」
夕美:「あ、ちょうど向こう様から来たわ。
……それにしても藤堂君、相変わらず朴念仁丸出しね。」
「見たくない」……とは言わない。加奈の「晴れ姿」、俺も見てみたかったんだ。
しかし……
勇太:「あ、『お義兄さん』、どうも。」
加奈:「…………。」
隆道:「…………。」
……新郎は愛想良く笑っており、新婦は黙って俺を見つめていた。
いつかと同じ光景だったが、俺にはすでに止める権利は無かった。
…………。
結局のところ、俺がどうしていようと時間だけは容赦無く進み、
いつのまにか結婚式は始まっており、「固めの杯」の段になった。
まず始めに新郎が飲んだ。
そしてもう一杯、新婦の酒が注がれる。
新婦が杯を受け取った。
俺は……凝視していた。
これが終わってしまったら……。
俺は……
隆道:「加奈!や……、やめろーっ!!」
勇太:「せ、先輩!?」
加奈:「お兄ちゃん!」
隆道:「俺、加奈と離れたくないんだ!」
父:「隆道!……な、何を言い出すんだ!?」
隆道:「父さん!俺と加奈は血が繋がってないんだろ!?
だったら、俺と加奈が結婚してもいいんだろ!?」
勇太:「え!?」
隆道:「加奈!俺達は一心同体だ!禁忌なんか気にする必要ないんだ!
……加奈!愛してる!!」
加奈:「!」
……気が付くと、周りの状況や自分の立場を忘れ、ただ感情むき出しに叫んでいた。
当然、式場は収拾が付かないほどざわついた。
特に、「事情」をよく知らない新郎の親類は「わがままな兄」を罵っていた。
……「新婦の兄は気でも狂っているのか?」そう思ったに違いない。
加奈:「お兄ちゃん……、私……!」
その時!
ぱん!ぱんぱんぱん!!
雅俊(男子C):「へへへ、ねずみ花火だぜ。……うちの工場の工作機械改造して
『連発式ねずみ花火着火機』作ったんだけど、たいしたもんだろ?」
ブウ〜ン!ドカーン!!
智樹(男子A):「アメリカ製玩具だ。……正確には、啓皇大学の友人から借りた、
MIT製ロボットだけどな。しかし、うるさい音だ。」
そして……。
育郎(男子B):「四天王参上!新婦は確かにいただいたよ。……それにしても、
この歳になってこんなことするはめになるなんて……。」
……ほんの一瞬の出来事だった。
大量のねずみ花火とMIT製ロボットの騒音で式場が更に混乱したことに乗じて、
現役バスケットボール選手が素早く新婦を抱えていってしまったのだ。
しかし俺は、新婦の『兄』として、当然……。
隆道:「お、お前ら!何やってるんだよ!?式が目茶苦茶に……!」
育郎:「いつかお前と加奈ちゃんが俺の試合の応援に来てくれた『お礼』だよ。」
雅俊:「ま、俺も、どうせ加奈ちゃんを俺のものにできないんならな。」
智樹:「『加奈と離れたくない』……それがお前の『本心』なんだろう?」
隆道:「……え?」
育郎:「だいたい目茶苦茶にしたきっかけ作ったの、誰だよ?」
雅俊:「俺は自分のこと結構馬鹿だと思ってるけど、こんなにひどくはないぜ。」
智樹:「本当に、世話のかかる奴だ。」
隆道:「お、お前ら……。」
智樹:「当然、お前も逃げるんだろう?」
雅俊:「お前が来ないのなら、このまま俺達のものにしちまうけど。」
育郎:「そうだよね。俺達も、こんなつまんないことに人生賭けてるし。」
隆道:「え?」
智樹:「……説明は後だ!」
雅俊:「とりあえず、さっさとずらかろうぜ!」
育郎:「それじゃ、……確かに新婦と兄貴はいただいたよ!」
……当然、「暴漢ども」と一緒に逃げていた……。
…………。
……どのくらい走ったのだろうか。俺達は見知らぬ公園に着いた。
育郎:「ここまで来れば大丈夫だね。」
雅俊:「それにしても、あ〜、疲れた。誰かのせいで。」
隆道:「……ごめん。」
智樹:「隆道、謝る相手が違うだろ?……ほら!」
智樹の示す方向に、和装の花嫁衣裳を着た「女性」が立っていた。
「女性」は俺を見つめている。
隆道:「加奈……、ごめん。」
加奈:「お兄ちゃん……。」
隆道:「え?」
加奈:「私、『貞操』守ったから……。」
隆道:「は?」
加奈:「私、あのときのお兄ちゃんの言葉信じて、貞操守ったから……。」
隆道:「あ……。」
加奈:「お兄ちゃんが私を助けてくれるって……言ってくれたから……。」
隆道:「う、うん……。」
加奈:「……お兄ちゃん!」
加奈は泣きながら俺に抱き付いた。昔からの、いつもの光景だった。
加奈:「私、自立しようと頑張ったんだけど……、
やっぱりお兄ちゃんがそばにいてくれないとやっていけない……。」
隆道:「加奈、ごめん。」
加奈:「……(こくん)」
三人がそばにいることも気にせず、俺はそのまましばらく加奈を抱きしめていた。
そして、加奈が泣き止んで俺から離れるのを待っていたかのように、
三人が話し始めた。
育郎:「隆道、これからどうする?」
雅俊:「今ごろ式場は大混乱……は間違いないよな。」
智樹:「どうだ?この際、このまま二人で外国に高飛び……というのは?
外国に行ってる俺の大学の友人紹介するけど。」
隆道:「え?」
雅俊:「こんな騒ぎ、小学校の授業参観とは違うんだからな。
お前らの幸せに、俺達も人生賭けてるんだ。」
俺は……即答した。
隆道:「いや、有り難いけど、このまま式場に戻るよ。」
育郎:「そうか、隆道らしいよ。間違った判断するところなんか。」
俺は「苦笑」しつつ……
隆道:「それじゃ、ありがとう、みんな。……加奈、行こう。」
加奈:「……(こくん)」
……いつものように加奈の手を引いて、逃げて来た道を戻っていった。
三人は黙って俺達を見送っていた。
…………。
俺と加奈は今、式場に向かって歩いている。
さまざまな難題が待っているはずの場所に向かって歩いている。
俺の今までの判断が全て正しいとは思わないし、これからも決してそうじゃない。
でも、俺の今までの「間違った」判断があったからこそ、今、加奈は……。
隆道:「加奈、これからはずっと俺がそばについていてやるからな。」
加奈:「……(こくん)」
……加奈は今、俺のそばにいるんだ。
特別略奪エンド「四天王、最後の活躍」FIN
「蜜月」の真相(ED1の最中・もろ18禁・あほ・すみません……)(1/2 06:37)↑
加奈の手術成功後……。
先生:「今日加奈くんに来てもらったのは他でもない。手術後異常がないか検査するためだ。」
加奈:「はい、先生。」
先生:「それじゃ、まず上着を脱いで。とりあえず『触診』を始める。」
加奈:「あう……。」
先生:「つべこべ言わずに先生の指示に従いなさい。」
加奈:「……(こくん)」
ばさ。
先生:「それじゃ……。」
先生は加奈の体に手を伸ばし……。
…………。
先生:「どうだね?加奈くん。」
加奈:「あ。……何か、変な気持ちです。」
先生:「それじゃ、もう少し強く……。」
加奈:「あ、ああん!お、お兄ちゃん……。」
先生:「こら、俺を『お兄ちゃん』と呼ぶな。……今は。」
加奈:「はあ、はあ……。は、はい……。先生……。」
毎日毎日加奈を見舞っていたせいで「加奈の純白のねまき姿」が頭にこびりついて離れず……、
そう、先生(当然『俺』)は加奈を相手に「お医者さんごっこ」で日夜遊んでいたのだ(爆!)
最初は加奈も結構楽しんでいたが……
加奈:「あの、『先生』、今日はどうですか?」
隆道:「うーむ……。最近『お通じ』が悪いようだな。」
加奈:「ふぇ!?」
隆道:「とりあえず治療を。……さあ、お尻を出して。」
加奈:「……(ぶるぶるぶる!)」
……と、日増しに俺の『治療』はエスカレートしていき……
隆道:「先生の指示には従いなさい!」
加奈:「きゃ!」
隆道:「そら!」
加奈:「ひゃあ……っ!」
隆道:「どうだ?加奈くん。気持ち良いだろう?」
加奈:「あ、ああん!せ、先生……!」
……加奈が高校卒業後「俺と距離を置きたい」と言い出したのも、
実は俺的に納得出来ることだったのかもしれない。
コメント:本当にごめんなさい!(汗)
しかし、三が日から何考えてるんだ?(^^;>僕
隆道、龍の夢(知的ルートネタバレ・元ネタ荘子「胡蝶の夢」・ほのぼの)(1/2 07:34)↑
その日、俺は加奈と海に来ていた。
そして今、俺は加奈を背負って砂浜を走っている。
加奈の体は軽い。悲しいほどに軽い。
加奈の服の構造が少し違う理由も俺は知っている。
そんな加奈のために、俺は砂浜を全力で走っている。
このまま俺は、砂浜を走り続けたかった。
加奈が満足するまで、ずっと……。
加奈:「お兄ちゃん、すごい!こんなことまで出来るの!?」
隆道:「え?」
……気が付くと、いつのまにか俺は一匹の龍になり、加奈を背中に乗せたまま空を飛んでいた。
隆道:「これは……一体どうしたことだ!俺は龍になった夢でも見ているのか!?
それとも……、もともと俺は龍で、今まで人間になっていた夢を見ていたのか!?」
加奈:「お兄ちゃん、どうしたの?」
隆道:「え?」
加奈:「お兄ちゃん、もっと走ってよ。私、ブラコンでいいんだ!」
俺の姿にお構い無しに、そして、自分が空高く飛んでいるにも関わらず、
加奈はいつもどおり、いや、いつも以上に笑っている。
俺は今まで加奈のこんな笑顔を見たことがない。
だから、俺は……
隆道:「わかったよ!加奈、俺にしっかり掴まってろよ!」
加奈:「うん!」
……そのまま俺は、空を飛び続けていた。
加奈が満足するまで、ずっと……。
コメント:以上、僕の年賀の挨拶代わりです(汗)
『「蜜月」の真相』は、まあ、「おまけ」ということで……(笑)
512号室の少女へ(おまけシナリオ「俺には妹がいた。」後日談・ほのぼの)(1/3 23:17)↑
それから俺は、暇さえあれば病院に来ていた。
加奈の遺したウメバチソウの花壇を見るために。
あれ以来、俺はなるべく「加奈と一緒にいた時間」を思い出すことにしている。
ただし、「悲しい思い出」としてではなく、「楽しかった思い出」としてだ。
夕美とはあれ以来会っていない。恐らく永遠の別れになったのだろう。
しかし、俺はまだ一人ぼっちになったわけではない。
「何のために加奈が香奈をレシピエントに指名したのか」
その本当の理由がわかってきたような気がする。
「恋人」の夕美を初めて、そしてたった一度だけ加奈に会わせた時から、
「俺が加奈を守るために様々なものを引き換えにしてきた」ということを、加奈も知っていたのだ。
……そう。結局、俺が同年輩の女性と一緒に加奈を見舞ったのは一度しかなかった。
隆道:「加奈……。」
俺は512号室の窓を見上げた。
あのとき(俺がお手玉を拾いに来たとき)のように、
加奈が顔を出してきそうな気がしたから……。
隆道:「え?」
……512号室の窓から、まさに「あのとき」と同じように、
一人の少女(当然香奈ではない)が顔を出していた。
もちろん顔はまったく違っていたが、そんなことは問題ではない。
隆道:「あ……。」
少女:「…………。」
少女は黙って俺の方を見ている。
隆道:「…………。」
少女:「…………。」
一瞬、目が合った。……が、
つい。
少女は目をそらし、そのまま病室の中の方に行ってしまった。
隆道:「新しい『加奈』なのか……?」
「病院の病室」である以上、当然、加奈がいなくなれば次の「住人」が来る。
俺は……
隆道:「加奈、……ごめん。」
……花輪を作っていた。
…………。
ほどなく、ウメバチソウの花輪が完成した。
隆道:「やれやれ、ウメバチソウの花輪なんて何年ぶりだろう。」
美樹:「隆道君、何してるのぉ?……あ、あれ?
ウメバチソウの花、こんなにしちゃって……。」
隆道:「あ、美樹さん、ちょうどよかった。少し頼みがあるんです。」
俺は、完成したばかりの花輪を差し出した。
隆道:「これを512号室の患者さんに渡してくれませんか?」
美樹:「え?……それを!?」
美樹さんはすっとんきょうな声をあげた。
俺も、(他称「クールマン」の)俺としては「らしくない」とは自覚している。
しかし、それにしてもあんまりな反応だと思うが……。
隆道:「ええ。どうしても渡したいんです。」
美樹:「うーん……、私はあまり気が進まないけど。」
美樹さんが腕を組んで渋い顔をした。
隆道:「やっぱり『キザ』ですかねえ。」
美樹:「キザと言うか、花輪『なんか』もらっても嬉しくないと思うし……。」
隆道:「そう……ですよねえ……。」
これが「時代の変化」というやつだろうか。少し寂しい気もする。
美樹:「……って言うか、512号室の患者さんって『若い男性』だから……。」
隆道:「へ!?」
今度は俺がすっとんきょうな声をあげる番だった。
美樹:「……でも、何でそんな気になったの?
それ、加奈ちゃんのウメバチソウを摘んで作ったんでしょ?」
隆道:「あ、あの……、いえ、512号室の窓から女の子が顔を出していましたから……。」
美樹:「あ、それ、たぶん患者さんの妹さんね。よくお見舞いにくるから。
……誰かさんと同じで。」
ぺち。
美樹さんの痛くないちょっぷが炸裂した。
隆道:「え?妹?」
美樹:「心配しなくても大丈夫よぉ。実の兄妹で、
患者さんにも妹さんにも、ちゃんと素敵な相手がいるし。
……誰かさんと違って!」
ぺち!
今度は、美樹さんの痛いちょっぷが炸裂した。
俺と加奈が義兄妹だったということは、当然知っている。
美樹:「加奈ちゃんと隆道君の『関係』、何にも教えてくれないんだから。
びっくりしちゃったわよぉ!」
美樹さんは笑っていた。
隆道:「美樹さんも、笑えるようになったんですね。」
美樹:「え?」
どこかで聞いたようなフレーズだ。
そう、「大切な人と死に別れる」という行為自体は人類誕生以来行われてきたことだ。
その中には「俺と加奈」のような関係も当然あるはずで、
「悲しみ」を克服した先哲が既に言っていて、
俺もどこかで聞いていてもおかしくない言葉なんだ。
美樹:「何か、隆道君って変わったわ。」
隆道:「え?……変わったとしたら、きっと、加奈の蔵書……の影響でしょうね。」
美樹:「そうなの?」
隆道:「加奈の蔵書を読んでいたら……自分も哲学者か何かになったような気がしてきました。」
俺も笑って言った。
俺にはまだ、両親以外にも「かけがえの無い大切な人達」がいるのだ。
美樹:「それにしても、『あの話』は本当だったのねえ。」
隆道:「え?……何のことですか?」
美樹:「あのとき……隆道君が入院していたとき、
『お兄ちゃんに花輪の作り方教えてもらった』って、加奈ちゃん、喜んでいたのよ。」
隆道:「あ……、そうだったんですか?」
美樹:「加奈ちゃん、自分が蒔いたこのウメバチソウで、何がしたかったんでしょうねえ……。」
美樹さんは遠くを見詰めて呟いた。
俺よりもはるかに加奈と接する時間の多かった、美樹さんの言葉だった。
そしてその日、俺は病院を出てから加奈の墓参りに行った。
……ウメバチソウの花輪を持って。
コメント:……というわけで(笑)「知的エンドで下手に夕美を出さなかった方が
良かったのではないか?」と思っています(^^;
どうせ出すなら、「ED4で隆道がウメバチソウの鉢植えを持って
病院から出てきたところを偶然(と見せかけて実は夕美の得意技の待ち伏せ)」という感じで。
ところで、臓器移植以前に「隆道と加奈が義兄妹だ」ということを、誰までが知っていたと思いますか?
「両親と須摩子と叔父」は当然知っていたと思いますが……。
『美樹さんの看護日記』が待たれるところです(^^;
最期のメッセージ(ED2ネタバレ・シリアス・美樹SS)(1/10 23:19)↑
がちゃ。
その日私が加奈ちゃんの病室に入ると、
加奈ちゃんは例のペンダントを持って横になっていた。
このとき、既に加奈ちゃんは満足に動ける状態ではなかった。
美樹:「加奈ちゃん、どう?調子は。」
加奈:「あ、美樹さん。……『いつもの通り』だよ。」
加奈ちゃんの様子は明るいものだった。
腎移植手術後、徐々に加奈ちゃんの体調は悪くなっていくのに、
加奈ちゃんはまるで全てを達観したような様子だった。
美樹:「ところで加奈ちゃん、また例のメッセージ聞いてたの?」
加奈:「え?」
美樹:「加奈ちゃん、いつもそれ聞いてたもんねえ。」
「例のメッセージ」とは、加奈ちゃんが双葉学園高校に合格した時の
隆道君のお祝いのメッセージのことだ。
加奈:「えっと……、美樹さんなら聞かせてもいいかな……。」
美樹:「え?」
加奈:「……はい、美樹さん。」
加奈ちゃんからペンダントを手渡され、私は見よう見まねで再生した。
ところが、聞こえてきたのは例のメッセージではなく……
加奈:『……えーと、藤堂加奈です。遺書を書くのも仰々しいので、
簡単にメッセージを残しまーす……。』
……明るい声での挨拶だった。
美樹:「加奈ちゃん、こんなの吹き込んでたの?」
加奈:「うん。」
加奈:『私、藤堂加奈、十七歳です。お父さんお母さん、
短い間ですがお世話になりました。……』
次はご両親宛ての明るい声だった。
加奈:『……移植が終わって……けど、体調悪いです……。』
次は加奈ちゃんの今の状況だった。
そして、次は……
加奈:『美樹さん、今までお世話になりました。……』
……私宛てのメッセージだった。
美樹:「加奈ちゃん、どういたしまして。」
加奈:「うふふふ……。」
ところで、「このペンダントはメッセージを五つまで録音できる」ということを、
私は以前加奈ちゃんから聞いて知っていた。
だから、当然……
美樹:「で、最後は当然隆道君宛てね?」
加奈:「……(こく)」
加奈:『……えーと、ずっと考えて、今、少し楽になってます。』
そして……
加奈:『愛しています。』
……ある意味「お決まりの言葉」だった。
美樹:「もう、『ブラコン』なんだからあ。」
加奈:「うふふふ……。」
美樹:「それでえ、これ、いつ隆道君に聞かせるの?」
加奈:「……え?」
美樹:「あ!」
私としては、単なる「会話の流れ」でありきたりな質問をしたつもりだった。
しかし、私は加奈ちゃんのあまりにも明るい様子で失念していた。
これは……加奈ちゃんの『遺書』だということを。
加奈:「『いつ』って……、それは……。」
美樹:「か、加奈ちゃん!……べ、別にいいの、深く考えなくても……。」
加奈:「私が……死……。」
このとき、恐らく初めて加奈ちゃんは「紛れも無く、自分はもうすぐ死ぬのかもしれない」
ということをはっきり自覚したのだ。
加奈:「…………。」
加奈ちゃんの顔面は、みるみるうちに蒼白になっていった。
……しかし、私は、何故か別のことを考えていて……
一番目は明るい声での挨拶。
二番目はご両親宛ての明るい声。
三番目は加奈ちゃんの今の状況。
四番目は私宛てのメッセージ。
五番目は隆道君への最後のメッセージ。
そして、私は既に四番目のメッセージを聞いている。
だとしたら、「消してもいいメッセージ」は当然四番目の私宛てのメッセージだけだ。
……私は、加奈ちゃんの操作を見ただけのうろ覚えで、ボタンを操作した。
そして、録音ボタンを押していた。
加奈:「…………うわ……うわあぁぁぁん……死にたくない……死にたくないよおぉぉ……!」
美樹:「…………。」
このとき、私は「加奈ちゃんが錯乱する姿」を初めて見た。
……紛れも無く、それが加奈ちゃんの「最期のメッセージ」だった。
加奈ちゃんが口も聞けなくなったのは、それから間もなくのことだった。
そして、そのペンダントは、そのままの状態で隆道君の手に渡った。
コメント:
加奈救済委員会(ダーク水野様)の「元祖天才加奈本?」で書かれていましたが、
「ED2で美樹宛てのメッセージが無かった」ことに対する僕なりの解釈です。
実は僕は以前(ED2続編「夕美の憂鬱」を作った時くらい)から
「最後のメッセージは『ずっと考えて、今、少し楽になってます』の言葉で始まるのに、
何故わざわざ加奈は『死にたくないよおぉぉ』などというメッセージを消さずに残したのか?」
という別の疑問を持っていました。
ところで、元ネタは「不思議の海のナディア」の「フェイトの最期の場面」です(^^;
ちなみに、はっきり言っていつもの「僕のこじつけ」ですので……(^^;
加奈にSteady2(知的ルート&キミステネタバレ・パロディ・輪廻)(1/14 23:21)↑
コメント:この話自体特に意味ありませんので、さらっと読み流してください。
修学旅行前日、俺(和仁)は育美の両親から育美の家の鍵を預かった。……「意味深な言葉」と一緒に。
その夜、俺は育美が風呂でのぼせて倒れていたところを助けた。
そして俺は、育美を風呂から出し、ベッドに寝かせ、考えていた……。
育美とマドモアゼル・セーラの話では、俺と育美は前世は義理の兄妹で、
「連れ子の関係」ではなく「それぞれ両親がいた」のだという。
……そう言えば、俺の両親と育美の両親は「無関心な隣人」……ではなく良く気が合う。
今夜も「申し合わせたように」四人とも外出している。
まさか、俺の両親も育美の両親も前世は……!?
育美:「……うん……。」
……育美が目を覚ました。
和仁:「育美、大丈夫か?お前、風呂でのぼせて倒れたから……ちょっと見ちゃったけど……。」
しかし、育美は俺に見られたことをあまり気にしていないようだ。
育美:「そうだったの?うふふ、私を助けてくれたの、これで二度目だね、……お兄ちゃん。」
和仁:「そ、そっか……。」
恐らく「一度目」は前世のことなのだろう。
育美の話を聞いているうちに、おぼろげながら俺にも前世の記憶がよみがえってきた。
育美:「……って言うか、お兄ちゃん、何で『私のパンツ被ってる』の?」
和仁:「へ!?」
育美:「お兄ちゃん、私が入院している間よく私のたんす掻き回してたみたいだったけど、
……来世になってもその癖抜けないの!?」
何ーっ!?これが俺の『前世の癖』なのかぁーっ!?
和仁:「いや、これは『選択肢』に出ていた(注:マジにこの選択肢あります)から、つい……(^^;」
育美:「はあ!?……何訳わかんないこと言ってるのぉーっ!!」
……この一件で「俺の幼なじみ」というアドバンテージは吹き飛び、
また最初から育美の好感度を上げなければならなくなってしまった。
俺の『前世の妹』なのに……。
加奈にSteady3(知的ルート&キミステネタバレ・パロディ・輪廻)(1/14 23:24)↑
コメント:それにしても、何かよくわからないもの作ってしまいました。
その後、俺(和仁)は育美の好感度を再度上げることに成功し、
この日、俺は育美の親友の夕美……じゃなく沙耶と一緒に陸上選考会の応援に来ていた。
ちなみに、育美は短距離走の選手だ。
最初の選考種目で、育美はライバルの下級生に負けてしまった。
それで俺は、育美を元気付けてやった。
そして!最後の種目で、ついに育美はライバルの下級生を抜いて……
沙耶:「やったーっ!イクちゃん(注:育美の愛称です)が勝ったーっ!」
……一位でゴールし……
育美:「かずちゃーん!やったよーっ!」
……そのまま俺の方に走ってきた。
公衆の面前では、育美は俺のことを一応「かずちゃん」と呼ぶ。
和仁:「公園で特訓した成果が出たな!」
育美:「ううんーっ!『あのとき海でイメージトレーニングした』おかげだよーっ!」
和仁:「え!?」
俺、前世でそんなことまでやってたのか……?
俺がそんなことを考えていると……
育美:「あっ……!」
……育美は足をもつれさせたようだ!
しかし!!育美は「軽くたたらを踏むに終わる」などということはせず、
そのまま……
ちゅ。
……公衆の面前で堂々とやってしまった。
それも、夕美……じゃなく沙耶に見せ付けるように……。
翌日、智樹……いや、村岐の作った学校新聞に俺と育美の決定的瞬間が掲載された。
育美は赤くなっていたが、嫌がってはいない様子だった。
そして、俺も……。
特別夕美エンド「雪解け」(知的エンドネタバレ・ED4アレンジ・ほのぼの)(1/14 23:26)↑
コメント:「『夕美ちゃん人形せくしー版』を貰って
『加奈を抱かない』を選択したルート」と思って下さい。
俺が加奈のウメバチソウの鉢を持って病院から出てくると……
夕美:「ぶい。」
隆道:「あ……。」
……俺の恋人だった夕美が現れた。
隆道:「…………。」
しかし、俺は夕美を正視できなかった。
そう、俺と夕美はとっくに破局していたから。
夕美:「藤堂君、私がここにいるの、いつもの偶然……だと思う?」
隆道:「え?」
突然妙な質問をするが……俺も何故か真面目に考えていた。
夕美の父親は加奈の担当医だった。
だから、夕美は父親に聞けば今日ここに俺が来ることくらい容易にわかる……はずだ。
しかし……
隆道:「……いや、わからないな。お前が何故『今』ここにいるのか。
だいたい、俺達とっくに……。」
夕美:「『本当のこと』を藤堂君のお父さんから聞いたから……。」
隆道:「……え?」
夕美:「……いくら私のルックスが良くても妹さんには勝てないよ。」
隆道:「え?……何のことだよ?」
夕美:「藤堂君はたった一人の兄として妹の加奈ちゃんを守っただけなんだもん。
藤堂君は加奈ちゃんの兄として当然のことをしていただけなんだもん。
……それとも、私に呪われるような『後ろめたいこと』、何かやったの?」
隆道:「…………。」
俺は黙っていた。
……俺はあのとき加奈を抱かなかった。
紛れも無く、加奈は俺の『妹』だと思ったからだ。
しかし、そんなことを夕美に言っても……。
夕美:「ぷ!くくく……。」
隆道:「な、何だよ?いきなり笑い出して。」
夕美:「今まで藤堂君がクールメン(仏頂面)だった理由がわかるよ。
藤堂君、すぐ顔に出るんだもん。」
隆道:「あ……。」
夕美:「ほら、人間的感情の戻った藤堂君、……握手。」
夕美は俺に手を差し出し、俺は……
ぎゅ。
……夕美の手を握った。
夕美:「うん、それでこそ私の『元』恋人。」
隆道:「え?」
夕美:「まだ私は藤堂君を完全に許したわけじゃないから。
あとは藤堂君の努力しだいね!」
隆道:「はあ?」
夕美:「それじゃ、今日はこれで……ばい!」
隆道:「あ……。」
夕美は笑いながら、俺を残して行ってしまった。
再会した初っ端から、俺は完全に夕美のペースに巻き込まれていた。
……こうして、俺と夕美は仲直りし、加奈のウメバチソウの花が咲いた頃、
俺と夕美は紛れも無い恋人同士の関係になった。
しかし、こういう状況を加奈は認めてくれるだろうか?
俺の『妹』の加奈は……。
加奈:『鹿島さん、良さそうな人だね。』
隆道:『なんだよ、突然に。』
加奈:『あの人なら、いいかな。』
隆道:『あのなあ。』
加奈:『なんか、ちょっと安心しちゃった。』
隆道:「……別に、そんなんじゃ……。」
……俺の心に、あのときの加奈の言葉が響いていた。
四天王の気配り(ED3ネタバレ・「ほのぼの」と言うか真面目(?))(1/18 23:24)↑
コメント:ED3で三人組(と美樹)が出てこなかった理由(?)です。
「そもそも三人組がここまで事情を知っていたのか?」というツッコミはこの際無しです(^^;
その日、加奈の葬儀が執り行われた。加奈を妹のように思っていた美樹はもちろん、
隆道の恋人だった夕美と小学校以来の隆道の親友の三人組も当然出席した(……と思います(^^;)。
参列の最前列には加奈の両親と、そして、正気を失った隆道がいた。
男子C:「……それにしても、まさか俺の加奈ちゃんが死んじまうなんてなあ……。」
男子A:「とっくに妻子持ちが何言ってるんだ。……それより、あれ、鹿島じゃないのか?」
男子B:「え?……あ、そう……みたいだね。」
喪服に身を包んだ夕美には、いつもの「ぶい、夕美ちゃんで〜す」のイメージは微塵も感じられなかった。
そして、夕美は藤堂親子の方に向かった(注:ここで「夕美が自己紹介の予行練習までして自分の印象を
隆道の両親に対して良く見せようとした」という『伏線』が生きてきます)。
男子A:「隆道と鹿島が付き合っていたという噂は本当だったみたいだな(注:僕の地元は田舎のせいか、
「小学校時代の同級生が付き合っている」というだけで、特に「オバサン」の世間話の対象になります。
しかも「別れた」なんて知られた日には……(^^;)。」
男子B:「あ、鹿島が隆道の隣に座った。どうやら本格的だったみたいだよ?」
男子C:「でも、隆道のやつ、鹿島に話し掛けられても上の空だな。やっぱり俺達が一発……。」
男子Cはさっそく「ねずみ花火」に火を付けようとした(おいおい!(^^;)
しかし、夕美の様子を見ていた男子Aは何か別のことを思い付いたようだ。
男子A:「よし、隆道を正気に戻す作戦、ここは鹿島に任せようじゃないか。」
男子C:「……は?」
男子B:「どういうこと?」
男子A:「例の『ラブレター事件』では騒ぎすぎて二人に悪いことしたからな。
この際鹿島に花を持たせて、二人が本格的に仲直りできるようにしてやるんだ。」
男子C:「……良い案だとは思うけどなあ……。」
男子B:「でも、それってリスクが大きすぎない?」
男子A:「ま、鹿島なら何とかするさ。八年間も隆道を想い続けた『あの鹿島』ならな。」
男子B:「それなら『例の看護婦さん』にも話付けとかなくちゃ。」
男子C:「おいおい、だからお前ら知ってんのか……?(^^;」
……結局、男子Aの案は採用された。そして、夕美は……。
……以下、ED3に続きます。
投稿者『弁護士志望』(ED6ネタバレ・ほのぼの)(1/22 23:39)↑
ある公式ホームページの掲示板に、その投稿はある日突然掲載された。
投稿者『弁護士志望』
「はじめまして、弁護士志望といいます。
実は僕、最近すごく感動するものに出会いました。
『命をみつめて』という本です。
僕は弁護士を目指して勉強しているのですが、
はっきり言って法律の参考書よりも人生の為になります。
でも、悲しいかなその本は○○出版という小さな出版社から出ているので、
あまり広く知れ渡っていません。
僕もちょっとしたきっかけで知ったくらいです。
だから、この感動を皆さんに伝えたくて、思わず投稿してしまいました。
いきなりの駄文、失礼しました。」
そして、その数日後。
投稿者『命をみつめてを読んで感動した奴』
「弁護士志望さん、はじめまして。『命をみつめて』さっそく読みました。
本当に探すの苦労しました。
……と言うか、実は数日前に弁護士志望さんのカキコを見て読んでいたんですが、
あまりの感動(実はこの歳で(笑)号泣してしまったのです(^^;)で
うまく文章にできなかったんです。
実は、まだ感動の余韻に浸ってます。あー、恥ずかしい……(^^;
直接メールでお礼を言いたかったのですが、
あいにく弁護士志望さんのメールアドレスが記載してなかったので
とりあえずここにカキコしました。
弁護士志望さんが見てくだされば幸いです。」
そして、その翌日。
投稿者『弁護士志望』
「命をみつめてを読んで感動した奴 さん、どうもありがとうございます。
『感動して下さった』ということで、僕もここに投稿したかいがありました。
僕にお礼のメールも必要ありません。強いて言えば、
この本の著者に感謝してあげてください。
始めに書いた通り、僕はこの『感動』を
皆さんにお伝えしたかっただけなんです……。」
……それから数ヶ月後、「命をみつめて」という本は
インターネットを通じて広く知られるようになり、
ついに第五版が出版されることになった。
しかし、メールアドレスも公開しない投稿者『弁護士志望』の正体は、
結局誰にもわからなかった。
特別再会エンド「必然的偶然」(ED6アレンジ・ほのぼの)(1/24 23:15)↑
「送別の涙」を流した俺は、四月、大学に復学した。
大学のサークルのコンパにも出るようになった俺は、恒例の「新歓コンパ」に来ていた。
新部長:「それでは、今夜のコンパの『秘密』を新入部員の皆に教えよう!」
上級生達:「ひゅーひゅー!」
新入部員達:「……?」
『秘密』を知っている上級生は歓声をあげているが、
何も知らない新入部員は唖然としている。
新部長:「それでは、お姉様方、どうぞ!」
女子大生達:「おじゃましま〜す!」
かしましい『お姉様方』が入ってきた。そして、その中に……
夕美:「あれ?……藤堂君!」
……あの時のように、鹿島夕美がいた。
夕美は当然のように俺の隣に座った。……と言うより、
「暗い雰囲気を持つ俺」の隣に他の誰も座りたがらなかっただけなのだが……。
夕美:「藤堂君、……これって本当に偶然なんだからね。」
隆道:「ああ、わかってる。」
俺はぶっきらぼうに応えた。しかし、俺は当然知っていた。
今夜の新歓コンパが「青心女子大のサークルとの合同コンパ」だということを。
そして、恐らく夕美も……。
しばらくお互い黙ってビールを飲み、結局夕美の方から俺に話し掛けてきた。
夕美:「藤堂君、……ちょっと風に当ろうか?」
隆道:「いや、俺は爛れた異性関係の深みににどっぷりと浸っている暇がないから……。」
夕美:「はあ?何訳のわかんないこと言ってるの?ちょっと二人きりで話したいだけなのに。」
隆道:「え?」
俺は夕美の方を見た。夕美はあきれたような顔をしていた。
夕美:「藤堂君こそ、何いまさら真面目ぶってるの?藤堂君も以前は……。」
隆道:「!」
そして、夕美は笑って……。
夕美:「……藤堂君も以前は、私の家に突然押しかけて、
『好きだ!』とか叫びながら私に抱き付いてきたくせに!それも『シラフ』で!!」
新部長:「何!?ほおー、藤堂、なかなかやるなあ。」
友人:「部長、ネクラな藤堂が今まで合コンを断っていた理由がわかりましたよ!
こいつ、もてない俺達をしり目に掛けて、こんな美人とちゃっかり一人で楽しんでたんです!!」
新部長:「うーむ、それは許すべからざる重罪だ!」
どっ!
わははは……!!
隆道:「くそ……!」
俺はたまらず立ち上がり、そのまま店を飛び出した。
そして、当然のように夕美が追いかけてきた。
夕美:「藤堂君、待ってよ!」
隆道:「あの時みたく、また俺を笑い者にしやがって!」
夕美:「そして、あの時みたく……また『現実』から逃げるの!?」
隆道:「……え?」
俺は立ち止まった。
夕美:「私ももう『現実』から逃げないから。」
夕美が俺の腕を掴んだ。……以前にも、こんなことがあったような気がする。
俺は、あの時はどうしたのか……?
夕美:「改めて、藤堂君と加奈ちゃんのこと聞かせて。お願い。」
隆道:「あ……、ああ。」
……遠い昔の記憶が呼び起こされる前に、俺は返答した。
俺達は人気(ひとけ)の無い夜の公園に行った。
夕美:「ほら、ここなら誰も来ないから。」
隆道:「ああ。」
その夜、改めて俺は夕美に俺と加奈のことを全て話して聞かせた。
そして、夕美は宣言通り最後まで俺の話を聞いてくれたのだ。
それは、俺と夕美が久しぶりに「二人っきり」になった夜の出来事だった。
夕美の一人旅(ED1最中あるいは後日談・ED5,6パロディ・ほのぼの)(1/25 08:06)↑
コメント:よく考えると、これも「みゆき」でやってましたね(^^;
「主人公に振られた(捨てられた)鹿島は北海道に一人旅に出て……」という感じで。
……と言うか、「ED1で夕美を慰めることが出来る人間は、夕美を振った隆道以外の人間である」
と考えていますので……。
「だからED1で夕美をフォローするシーンが出てこなかったのではないか」
というのが、僕の持論です(^^;
私はその後、一人旅をしていた。そして、海に来ていた。
海。
そう、私は藤堂君と一緒に海に来たことがない。
何故藤堂君が来れなかったのか、今は理由がわかっている。
私の視界が曇った。
夕美:「藤堂君……、とうどうくーん!」
私は泣いた。
夕美:「うわーん!」
もはや大人の泣きかたではなく、「慟哭」と呼んでもいいくらいだった。
夕美:(いったい私はいつまで泣き続けているの……?)
ちょっとすっきりして、私は時計を見た。……五分経っていた。
まだ、五分しか経っていないのだ。
夕美:「う……うわーん……!」
私は泣き続けた。今まで我慢していた分、涙腺が涸れ果てるまで泣き続けた。
これは悲しみの涙ではない。これは失恋の涙、そして、けじめの涙なんだ。(注:追加しました)
夕美:「うわーん……!」
今は思いっきり泣こう。私にはまだ泣く時間がある。
『願わくば、明日の私が、今日の私より優れた女でありますように……。』
憎さ余って……(森事件の退院の直後・ほのぼの)(1/28 02:24)↑
コメント:もし、当時の隆道に夕美と仲直りする気があれば、これでOK……のはずです(^^;
病院から退院して学校に一週間ぶりに行くと、鹿島が話し掛けてきた。
夕美:「……もしかしてジサツとか考えちゃったのかなーとか思って……。」
その言葉を聞いて、俺は……
1.「……心配?それはないだろ」
2.「お前の心配したとおりだよ!」
『2.を選択』
俺は鹿島をとことん憎んでいた。だから、鹿島に憎しみをぶつけた。
隆道:「ああ!お前の心配したとおり、山にジサツしに行ったんだよ!
でも、奇跡的に助かっちゃって。ジサツが成功してたら、もうこれ以上
吐き気のするようなお前の顔を見なくて済んだのに、本当に残念だったよ!」
夕美:「……え?」
その瞬間、それまでにこにこしていた鹿島の表情が一変した。そして……
夕美:「うわーん!とーどーくーん!死んじゃやだーっ!」
……泣き出した。
男子:「とーどー、夫婦喧嘩かあー?」
当然、周りから冷やかしの声が上がり……
隆道:「くそ……!」
……俺は教室から出ようとした。しかし、鹿島は泣きながら俺にしがみついてくる。
夕美:「藤堂君死んじゃやだーっ!私のせいで死んじゃやだーっ!!」
隆道:「鹿島、離せよ!吐き気がする!」
夕美:「離したら藤堂君ジサツしちゃうから、やだ!」
隆道:「くそ……!」
……そうこうしているうちに始業のチャイムが鳴り、担任の先生が来た。
担任:「こら!鹿島さんと藤堂君!授業はとっくに始まってますよ!」
夕美:「先生!私の席を藤堂君の隣にしてください!でないと藤堂君、ジサツしちゃいます!」
担任:「え?」
隆道:「はあ!?」
育郎:「先生、何でしたら僕、鹿島と替わりましょうか?」
担任:「船津君、……そ、そうね。何か知らないけど、そうしてもらおうか。」
……こうして俺は「女子に振られてジサツまで考えた男子」として校内でも有名になってしまった。
ついでに言うと、鹿島は「男子をジサツを考えるまでに追い込んだ女子」として有名になった。
そして……
隆道:「なあ、一緒に登下校するのはいいけど、手をつなぐのはもうやめにしないか?」
夕美:「だって、私が目を離しているうちに藤堂君がジサツしちゃったら嫌だから……。」
隆道:「ふう……。」
……結局、中学卒業まで俺と鹿島は一緒に、それも手をつないで登下校することになり、そして……
隆道:「ところで夕美、本当に俺と同じ高校受験するのか?」
夕美:「だって、私がいないと藤堂君、ジサツしちゃうかもしれないから。」
隆道:「あ、あのなあ……。それに、大切な進路を、そんなことで決めていいのか?」
夕美:「うん、これは私の一生に関わる問題だから……。」
……俺と鹿島は同じ高校、双葉学園高校に行くことになった。それも、一緒に手をつないで……。
夫婦漫才IN本屋(ED1後日談・ほのぼの)(1/28 03:32)↑
俺は大学卒業後、加奈の勤める本屋に就職した。
……いや、この場合『就職』という言葉は適切でないかもしれない。
何しろ、本屋の主人も従業員も他人ではないのだから。
ところで、加奈はとにかく喜んだ。俺と一緒に仕事するのが加奈の夢だったのだ。
そして、その後のある日。
俺は客がいなくなったので、店の本を立ち読みしていた。
一応『さくら』のつもりなのだが、それとは関係無く、自分の見たい本
……つまり『いけない本』を立ち読みしていた。
加奈:「あーっ、またそんな本読んでる!」
加奈があきれた様子でやってきたが、俺は小声で言ってやる。
隆道:「なあ、今夜はこの体位、やってみようか?」
加奈:「!」
案の定、加奈は顔を真っ赤にしてしまった。しかし、目は本の方を向いている。
そして、ささやくような小さな声で言ってきた。
加奈:「……私、その隣のやつやってみたい……。」
隆道:「え?」
加奈:「……それじゃ、お客さんが来たから!」
そのまま加奈はレジの方にいってしまった。
隆道:「やれやれ……。」
俺はあきれてしまった。
……それなら今日は仕事の手を抜いて、体力を温存しておかないと……。
勇太、男の引き際(知的ルートネタバレ・シリアス)(1/30 08:04)↑
勇太:「な、何だって?」
加奈の回答は、はっきり言って意外だった。
加奈:「伊藤君の気持ちは嬉しいけれど、私、他に好きな人がいるの。」
勇太:「え?……そ、それ、本当?」
加奈:「……(こく)」
勇太:「……そう……なのか……。」
しかし、勇太にはわからなかった。それなら誰が加奈の好きな相手なのか。
勇太:『藤堂ってつくづくブラコンだと思うよ。』
以前から勇太は加奈にそう言っていた。
勇太:(でも、先輩には青心女子大の彼女がいるって。それも、ただの『彼女』ではない。
それに、だいたい先輩は藤堂の兄貴じゃないか……。)
結局、勇太は引き下がった。事実、勇太は努力空しく加奈に振られたのだ。
これ以上加奈にとやかく言える筋合いではない。
しかし……
「ほとんど退院したことがなく、しかも、恐らく自分以外の『異性』の見舞いを
受けたことのない加奈が、いつ、誰を好きになることができるのか……?」
その疑問が、いつまでも勇太の頭にこびりついていた。
…………。
そしてその後、勇太は久しぶりに隆道に会った。
そして、勇太は隆道に話し掛けた。
他の何物でもない、自分の「疑問」を解決したかったのだ。
勇太:「よくそんなに冷静でいられますね。」
そして……
勇太:「あんた、藤堂の兄貴だろ!?」
隆道:「ああ、血の繋がりも無い兄だけどな!」
勇太:「何だって……?」
……その瞬間、勇太の頭の中で疑問が解決した。
何故、加奈が嫌いではない勇太を振ったのか。
何故、自分の妹が危篤状態になっているのに隆道がこんなに冷静でいられるのか。
それは、この男藤堂隆道は夕美と加奈のふたまたをかけていたからだ。
それも、加奈の恐らく唯一人の男友達の勇太を出し抜いて。
「……つまり、先輩は加奈を『妊娠中絶する馬鹿な同級生』と同様に扱ったのだ……」
『純粋』な勇太の結論はそれだった。
だから、冷静さを欠いた勇太が隆道に殴り掛かり……
勇太:「死んじまえ!加奈を……加奈を汚しやがって!……それで近親相姦かよ!」
……と叫んだのは、勇太の当然の権利であり、義務だったのだ。
コメント:……で、知的ルートで勇太が隆道と和解するとしたら、夕美同様、
隆道の父親から「隆道は昔の約束を守ったのだ」と聞かされるか、
あるいは『命を見つめて』を読んで……、ということになると思います。
Snow White(知的ルートネタバレ・ギャグ)(1/30 23:29)↑
「夕美との別れ」の後、俺が加奈のお見舞いに行くと、加奈がリンゴを剥いてくれた。
加奈:「はい、お兄ちゃん。」
隆道:「んー。……蜜入ってた?」
加奈:「もちろん。」
隆道:「俺、蜜って人が入れるものだって思ってたよ。」
加奈:「ふふ……まさか。」
甘みが口に広がった。
隆道:「うまくなったな、リンゴむくの。」
加奈:「え……本当?……コツがあるの。それさえわかれば……。」
隆道:「そうか。」
加奈:「昨日はできなかったことが、今日はできたりするんだよ。」
隆道:「へえ……名言じゃないか。」
加奈:「ただの経験則だってば。」
こんな個室に篭りっぱなしであっても、ちゃんと成長していくんだな。
感慨深いものがあった。
隆道:「ところで、加奈がむいてくれたリンゴ、本当に甘いな。」
加奈:「……ねえ、お兄ちゃん、『本当に』そう思う?」
隆道:「え?」
加奈は、意を決したように言った。
加奈:「そのリンゴ、実は伊藤君のお見舞いなんだけど……。」
ぶーっ!!!
勇太、あっけない幕切れ(ED1最中・ED1ネタバレ・ほのぼの)(1/30 23:32)↑
腎移植成功後、加奈が高校に復学し久しぶりに登校すると、伊藤勇太に会った。
勇太は加奈が義兄の隆道から腎臓を貰って治ったということを当然知っている(と思います(^^;)。
勇太は加奈を見つけると、待っていたかのように近づき、……質問した。
勇太:「ちょっと以前から思ってたんだけど、藤堂って兄貴のこと好きなのか?」
加奈:「え?……うん。」
特に隠す必要も無いので、加奈は正直に答えた。
勇太:「やっぱりそうなのか。はっきり言って、俺、藤堂のこと見損なってた。
自分の兄貴を好きになるような、そんな馬鹿な女だとは思わなかったよ。」
加奈:「ふぇ?」
勇太:「それじゃ。」
加奈:「あう……。」
そのまま勇太は加奈の前から去った。
勇太にとって、「隆道に汚された加奈」は既に興味の対象外になっていた。
勇太の中では、藤堂加奈はもう完全に『別世界』の存在に区分けされていた。
関わらない。話さない。近づかない。
事実、勇太はこれから何年間も加奈を無視し続けることになる。
『奇跡(勇太エンド「棚からぼたもち」とか(笑))』が起こる日、
あるいは加奈と隆道の結婚式の日まで……。
ただ、勇太に去られた時の加奈の仕種は、以前勇太が見舞いに行った時の加奈に少し似ていた。
勇太の懐が、ちくんと痛んだ。
コメント:ED1で勇太が出てこない理由です(笑)
ところで、僕には妹がいないので、隆道よりも勇太の立場になる可能性があります。
それで、勇太にちょっとこだわってみました。……それだけのことです(^^;
蛙の子は蛙(ED1後日談・ほのぼの)(1/31 23:54)↑
加奈が高校を卒業してから、つまり引っ越ししてから数ヶ月後のこと……
プルルル……。
がちゃ。
隆道:「はい、藤堂です。」
加奈:「あ、……お兄ちゃん?私、加奈だけど。」
隆道:「何だ、加奈。俺に何か用か?」
加奈:「…………。」
しかし、返事はない。
隆道:「…………。」
加奈:「…………。」
この間、約五分。
隆道:「……なあ、電話代もったいないし、用事が無いなら切るぞ。」
加奈:「あ……、あの、お兄ちゃん、……無いの。」
隆道:「え?」
意味がよくわからない。
隆道:「無いって、何が。」
加奈:「そ……その、……あ、あれが来ないの。」
隆道:「『来ない』って……、な、なにい!?」
俺は状況を察知した。加奈が言い出しにくそうにしていたのも当然だ。
その……、まさしく「あれ」なのだ!
俺は数ヶ月前の出来事を思い出していた。……確かに「心当たり」はある。
加奈が引っ越す前日、「餞別」のつもりで「無しでヤッちゃった」やつが、もしかして……!?
俺は翌日、さっそく加奈をしかるべき病院に連れていった。
……検査の結果、そのとおりだった。
俺は、その日のうちに両親に打ち明けた。そして、許可してもらうことにした。
……無論、俺と加奈の結婚をだ。
父:「わかった、許す。」
隆道:「え?」
あっけなかった。
父:「実は私もこうなる心配はしていたんだが……、な、なあ、母さん。」
母:「え……、ええ。」
隆道:「それじゃ、俺と加奈の結婚、本当に許してくれるの?」
父:「許すも何も……。」
母:「仕方が無いじゃないの……。」
隆道:「ま、まあ、そりゃそうだけど……。」
母:「……それにしても、あなた?ここまであなたに似るなんて……。」
父:「…………。」
隆道:「?」
……こうしてすんなり俺と加奈は結婚した。
よくよく考えてみると、親子二代の『できちゃった結婚』だったのだ。