ショートストーリー集(第六期)

酒と泪と男と女(ネタバレなし・夕美SS・ギャグ)(00/8/12 23:24)

ほんの小さな幸せ(「夕美の訪問」の辺り・重箱の隅・夕美SS)(00/8/12 23:25)

加奈のアルバイト日記(ED1最中・ちょっと真面目)(00/8/14 23:15)

加奈のアルバイト日記2〜ファーストフードで逢いましょう〜(ED1最中・ほのぼの)(00/8/17 23:49)

加奈のアルバイト日記3〜微笑み返し〜(ED1最中・ちょっと真面目)(00/8/21 23:57)

加奈のアルバイト日記・完結編(ED1最中・ほのぼの)(00/8/28 23:18)

加奈、一日一善(ED1最中・ほのぼの)(ED1最中・ほのぼの)(00/8/30 00:17)

大学校案内(ED1最中・ほのぼの)(ED1最中・ほのぼの)(00/8/31 00:22)

雨ニモマケズ……(高等期・「ほのぼの」を作るつもりでした)(00/9/12 06:00)

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酒と泪と男と女(ネタバレなし・夕美SS・ギャグ)(00/8/12 23:24)

その日、鹿島夕美の自宅にて。

夕美の父(以下父):「ただいま。」
夕美の母(以下母):「おかえりなさい、あなた。……あの、また夕美が……。」
父:「またか。夕美の好きなようにさせなさい。」
母:「そんな事言ってていいんですか?」
父:「『医者』の私が言うのだ。夕美に限って心配はない。」
母:「そうですね。あの子はあれでしっかりしていますし。
……また実家に電話しましょう。」
父:「ああ、そうしてくれ。お前の実家に迷惑かけさせて、すまんな。」
母:「何言ってるんですか。あれでも私達の娘です。」
父:「ふっ、そうだな。」

夕美の両親は苦笑した……。

…………。

……そして、夕美の父は夕美の部屋に行く。

がちゃ。

夕美:「なんだよなんだよ〜、とーどーのバカヤロゥ。」
父:「…………。」
夕美:「とーどーのやつ、あのてーどのちゃかしにどーてんしやがって、クソッ!」
父:「……夕美、私にも酌してくれんか?」
夕美:「おっ?おやじか。いいぜぇ!」
父:「……ふう、それにしても……。」

……そう、この時「小学校五年生の」鹿島夕美は
星占い作戦失敗でヤケ酒(当然日本酒)を飲んでいたのであった……。

鹿島夕美……不良少女。
夕美は小学校では常に明るい。それは、小学生にして既に
「憂さ晴らし」を心得ているからであった……かもしれない。

 

注:コンパでの夕美の証言「……うちね、母方の実家が酒屋なの。だからいっつも
お父さんのお酌させられててね。お酒の味も小学校くらいから知ってて」による。


ほんの小さな幸せ(「夕美の訪問」の辺り・重箱の隅・夕美SS)(00/8/12 23:25)

コンパで強引に隆道に関係を持たせてしまったことについて、
夕美にまるっきり後ろめたい思いが無い……訳ではない。

その日も、恐らく両親が気になってなかなか夕美の家を訪問しづらいのであろう
「恋人」の隆道のために、夕美のほうから隆道の家に出向く。

夕美:「やっほー、藤堂くーん!」

突然夕美が訪問したことについて、隆道は意外な様子を示したが
少なくとも「嫌な顔」はしなかった……ように夕美には見えた。

そして、夕美は隆道からビールを受け取った。
厳密に言えばこの時点ではまだ二人とも「二十歳未満」なのだが、
「既に大学生でもあるし(ついつい)ビールを飲んでしまう」ということで、
「隆道にも『普通の大学生の感覚』はある」と考えることができて
夕美は内心ほっとする。

そして……

夕美:「おー、いただきまーす。……(コクコクコク)」

……(恐らくいつもの調子で)ほとんど一息で飲んでしまった。

隆道:「一気飲みは身体に悪いんだぞ。」
夕美:「あ、やさしー。心配してくれてる。」

隆道としては「家族に重病人を抱えている」ということで純粋に人の身体を
心配しただけなのだが、夕美にとっては何気なくも何よりも嬉しい言葉だった。

しかし、夕美のその「ほんの小さな幸せ」も、直後の「加奈と隆道の
ツーショット写真発見」で結局消滅してしまったのだが……。


加奈のアルバイト日記(ED1最中・ちょっと真面目)(00/8/14 23:15)

コメント:元ネタは『加奈の郵便屋さん』ですけど、知らなくても話はわかると思います(^^;

 

夏休みに入って、加奈はファーストフードでアルバイトすることになった。
少し大袈裟かもしれないが、「お兄ちゃん」から独立するための第一歩だ。

加奈:「さて、今日からがんばろう。」

そして、体のあまり丈夫ではない加奈がレジを任されると……

加奈:「……あ。」

……忘れもしない、隆道の「恋人」だったあの鹿島夕美が、
女性数人(恐らく青心女子大の友人)と一緒に店に入ってきた。

夕美:「……あれ?」

夕美も気づいたようだったが、加奈は無理に名乗らない。

夕美:「…………。」

夕美は加奈の方を見ている。

友人:「夕美、どうかした?」
夕美:「……ま、あの子がこんなところでバイト出来るわけないかあ。」
友人:「え?」
夕美:「だって、あの子ってどうしようもない『ブラコン』だもん!」
友人達:「えーっ!?何それー!?」

夕美達は「どうしようもないブラコン女」の話題で盛り上がっている。

加奈:「いらっしゃいませ。こちらでお召し上がりですか?それとも……。」
夕美:「あ、ごめんなさい。それじゃ……。」

しかし、加奈は平然と「お客様」に対応し、
結局夕美達は注文したものを受け取るとそのまま行ってしまった。

高校に復帰して多少改善されたとはいえまだ多少人見知りの激しい加奈にとっては、
逆に「お客様に対してマニュアル通りにしゃべる」ということのほうが
案外楽なのかもしれない……という事を差し引いても、
「人を三日も見なければ、その人の成長に驚く」
ということわざは、加奈にもあてはめるべき……だと思う。


加奈のアルバイト日記2〜ファーストフードで逢いましょう〜(ED1最中・ほのぼの)(00/8/17 23:49)

加奈:「いらっしゃいませ。」

アルバイトが始まってから数日が経ち、加奈も仕事に慣れてきたようだった。
しかし……

雅俊:「おーっ、加奈ちゃんじゃないのか!?」
加奈:「え!?」

……あの下ネタ大王雅俊が何の前触れも無く(もっとも普通は
ファーストフードに予約なんかしないが)やって来たのだ!

雅俊:「やっぱり加奈ちゃんだよなあ、見間違えるはずないぜ。」
加奈:「あ、あう……。」

加奈は思わずどもってしまう。

雅俊:「あれ?もしかして俺のこと忘れた?」
加奈:「……(ふるふる)」
雅俊:「だよなあ。」

忘れるもんか。「兄隆道の友人だから」という理由だけで、
お尻に触わられたり抱き付かれたりしたあの日々を……。

?:「ねえマサトシ、早く注文しなさいよ!」
加奈:「え?」

気が付くと、雅俊の背後から加奈の見知らぬ女性の声がする。

雅俊:「……あつ。加奈ちゃん、せっかく覚えてくれてたのに悪いな。
それじゃあなあ、テイクアウトで、これとこれと……。」
加奈:「……あ、はい。」

加奈の見知らぬ女性に一喝された雅俊は、さっさと注文を始める。
そして、注文が終わると……

女性:「……あなたが藤堂加奈さんね?はじめまして。」
加奈:「えっと……。」
女性:「私、この男の嫁です。」
加奈:「えっ!?」

加奈はまじまじと二人を見つめる。そして……

雅俊の嫁:「あなたのことはこの人から聞きました。
この人があなたに散々迷惑かけたらしくて、どうもごめんなさいね。
これからもこういうどうしようもない男に付きまとわれるかもしれないけれど、
こういう男には……、こう!」

メリリ!

雅俊:「あ!いててて……。」
雅俊の嫁:「……ね。」
加奈:「は、はあ。」

……と、唖然としている加奈の目の前で「痴漢撃退講座」は始まった。

正直言って、今の加奈にはこの二人がどういういきさつで結婚したのかわからない
(もちろん僕(会員8921号)も(笑))。しかし、想像してみるのも、
「例の机の落書き」同様何となく面白いものである。

 

コメント:下田一家(下田夫婦)ネタは一度作ってみたいと思っていました。
結局『加奈〜いもうと〜』本編では全然関わり合いがなかったんですけど(^^;


加奈のアルバイト日記3〜微笑み返し〜(ED1最中・ちょっと真面目)(00/8/21 23:57)

加奈がアルバイトを始めてから数週間が経った頃、
加奈の見覚えのある三人組が高校の制服を着て現れた。

加奈:「あ……。」

……そう、何の偶然か、中学時代加奈を集中的にいじめていた
例の「グレムリン三人組」が現れたのだ!

加奈の脳裏に当時の記憶がよみがえる。

女子A:『知らねーよ。』
女子B:『カンケーねーだろ。』
女子C:『勝手に死ねばいいじゃん。そんなできそこない。』

一般的に、隆道の「ラブレター事件」がそうであったように、
子供の時に受けた心の傷はそう簡単に消えるものではない。
そして、心に傷を負わせたほうは得てして忘れているものである(ここでは
全くの余談だが、「鹿島夕美」の場合は極めて特殊なケースである)。

しかし、既に「大人」になった加奈は無料のスマイルを売る。

加奈:「いらっしゃいませ。」

その三人組は高校生になった今でもガングロな様相を呈している。
その顔は正直言って……(汗)

兄隆道のおかげで(いろいろと制限のあるものの)普通の生活を送れるようになった加奈。
そして、兄隆道同様正直言って「聖人君子」とは程遠い加奈は、その三人組を見ながら
「どっちが『できそこない』なんだか(笑)」などと半ば罰当たりなことを考え、
自分を産んでくれた実の両親に感謝するのであった。


加奈のアルバイト日記・完結編(ED1最中・ほのぼの)(00/8/28 23:18)

俺は加奈のアルバイト先のファーストフードの前で加奈の帰りを待っている。
その日は加奈の生まれて初めての給料日だった。

加奈:「お兄ちゃん、お待たせ。」
隆道:「お疲れ様。」

加奈は白い封筒を手に持っている。

加奈:「ふふふ、これ、お給料。」
隆道:「ああ、よく頑張ったな。」

加奈は偉そうに白い封筒を掲げて見せて、俺はご褒美に加奈の頭を撫でてやる。

隆道:「実は俺、ちょっと心配してたんだ。
仕事が辛くて泣いて逃げてくるんじゃないかってな。」

しかし、加奈はすかさず反論する。

加奈:「私、もうそんなに弱い人間じゃないよ。それに、みんなも私に優しくしてくれたし。」
隆道:「……あ、ああ。そっか、それは良かったな。」
加奈:「うん。」

もしかしたら、「それ」はある意味「第三者の、元透析患者の加奈に対する同情」という
気持ちが含まれていたのかもしれないが、俺は加奈の為にそんなことは決して言わない。

加奈:「これも全部お兄ちゃんのおかげだよ。ありがとう、お兄ちゃん。」
隆道:「そっか。」
加奈:「だからこれ、お兄ちゃんの為に……。」

加奈は白い封筒を俺に差し出す。
正直言って俺も少しは予想した展開だったが、結局加奈は二言目には「お兄ちゃんの為」だ。

だから、俺は……

隆道:「そっか、有難く貰っとくよ。」
加奈:「え?」

……ぎゅっと、加奈を抱きしめる。

隆道:「俺の為に頑張ってくれた加奈を……な。」
加奈:「う、うん。」

逆に加奈にとっては予想外の展開だったのだろうか、きょとんとした様子だったが……

加奈:「……うん、ありがとう。」

……と、小さくうなずいた。

加奈は「もう自分は弱い人間ではない」と言ったが、
やっぱり加奈は……そして俺も、結局弱い人間に違いない。
「俺に抱きしめられて安心している加奈」も、
「加奈を抱きしめて安心している俺」も……。


加奈、一日一善(ED1最中・ほのぼの)(ED1最中・ほのぼの)(00/8/30 00:17)

その日、ちょっと用事があって俺は加奈と電車に乗ることになった。

プシュー。

隆道:「お、ちょうど席二人分空いてるな。」
加奈:「うん。」

俺と加奈は仲良く並んで席に座わり、次の駅で電車は止まる。

プシュー。

お婆さん:「ふう。」

見るからに元気そうな、今時のお婆さんが乗車して俺達の近くにやってくる。
無論、そのお婆さんの座るべき座席は無い。

だから、俺は……

1.お婆さんに席を譲る。
2.寝たふりする。

『2』を選択

俺はちょっと疲れていた。それに、正直言って……

加奈:「あの、お婆さん。よかったらどうぞ。」
隆道:(え!?)

……しかし、俺が寝たふりしている横で、加奈がお婆さんに席を譲っていた。

加奈:「お兄ちゃん、眠ってて気づいてないみたいだから……。」
お婆さん:「おお、そうかいそうかい。有り難いことだわ。なまんだぶなまんだぶ……。」

薄目で見てみると、お婆さんは手を合わせて拝んでいる。余程信心深い人らしい。
一方、座って寝たふりしている俺の前で、加奈はにこにこして立っている。

ところで今更言うことでも無いが、「俺が座って加奈が立っている」などという
シチュエーションの存在を、兄として……と言う以前に「人間として」俺が許せるはずが無い。

だから、俺は……

隆道:「加奈、俺の席座れよ。」

……当然のように加奈に席を譲った。

加奈:「あ、お兄ちゃん、起こしちゃった?ごめんなさい。」
隆道:「え!?……い、いや。本当は俺、起きてて……。」
加奈:「ふぇ?」
お婆さん:「ふう、これが今時の若者というやつかい、やれやれ……。」

お婆さんはあきれて俺の方を見ている。
しかし、その時……

加奈:「……あの、お婆さん。私がこうしてお婆さんに席を譲ることができたのも、
全てお兄ちゃんのおかげなんです。だから……。」
隆道:「え?」
お婆さん:「おや?」

……加奈は初対面の、しかも見ず知らずのお婆さんに俺の弁護を始めた。

隆道:「なあ、加奈。いいから座ってからにしろよ。な?」
加奈:「あ、……うん。」

俺にうながされてやっと加奈は席に座る。そして……

…………。

お婆さん:「ほおー。お嬢ちゃん、いいお兄さんをお持ちだのう。」
加奈:「はい。」

……加奈の説明の仕方が良かったのか、お婆さんは納得してくれた。

…………。

そうこうして、電車は次の駅に着く。

お婆さん:「お嬢ちゃん、ありがとうよ。私はこの駅で降りるから。」
加奈:「え?でも……。」

加奈は、立っている俺をちらちら見ているが……

お婆さん:「少なくとも、私に席を譲ってくれたのは『お嬢ちゃん』だよ。」

……と、お婆さんは笑って降りていった。

…………。

お婆さんが降りた後、俺は再び加奈の横に座る。
……情けないが、近くに「お年寄り」のいないことを確認して。

隆道:「やれやれ……。」
加奈:「あの、お兄ちゃん……。」

そして、良い事をした加奈が、俺に申し訳なさそうな顔をするが……

隆道:「いや、寝たふりした俺が悪かったんだ。……って言うか、それにしても、
加奈がそんなことするとは思わなかったよ。加奈も偉くなったな。」
加奈:「うん、ありがとう。」

……俺が加奈の頭を撫でてやると、加奈は再び嬉しそうな顔をした。


大学校案内(ED1最中・ほのぼの)(ED1最中・ほのぼの)(00/8/31 00:22)

この日、俺は加奈を自分の通う大学に連れていった。
「お兄ちゃんの通う大学を見てみたい」という加奈のたっての希望なのだが、
正直言って俺も在学中一度は加奈と大学のキャンパスを並んで歩いてみたかったんだ。

とりあえず今回加奈に見せる場所は「講義室」「サークル棟」「大学図書館」といったところか。

☆講義室

本当は加奈に収容人員数百人の大講義室を見せたかったのだが、
長期休暇中ということであいにく大講義室は開いていなかった。
そこで俺は加奈を広さは高校の教室とあまり変り無い小講義室に連れて行く。

がちゃ。

加奈:「お邪魔します。」
隆道:「これが『大学の講義室』というやつだ。」
加奈:「…………。」

講義室に入った加奈は黙って辺りを見回している。
加奈のことだ、高校とは違うアカデミックな雰囲気を感じ取っているに違いない。

加奈:「ねえ、お兄ちゃんの机ってどれ?」
隆道:「え?……いや、大学は原則的に全科目移動教室みたいなもんだから
『自分の机』なんてものはないんだけど。」
加奈:「ふうん、……そうなの。」

加奈は残念そうな顔をする。

隆道:「もしかして、『クールマン藤堂』みたいな落書き期待してたのか?」
加奈:「……うん。」

加奈は何故か小さくうなずく。

隆道:「ま、大学はそんなことする場じゃないんだけどな。」
加奈:「でも、落書きはあるよ。」
隆道:「え?」
加奈:「ええと、『∫f(x)dx=0』……?」

見ると、机の端に数式が書いてある。

加奈:「これ、カンニング?」
隆道:「いや、たぶん違うと思う。大学の試験はたいていテキストとかの持ち込み可だし、
だいたい数学の試験なんかテキスト見たってわからないものは全くわからないんだからな。」
加奈:「え?」

大学に入ってからの、俺の率直な体験談。

隆道:「大学にはたまにいるんだ。『三度の飯より数式をいじるのが好き』っていうやつが。」
加奈:「ふうん。……でも、何で自分のノートに書かないの?」
隆道:「さあな、知らね。そいつの感性が理解出来たら、
もしかしたら『天才』の仲間入りができるのかもな。」
加奈:「そうなの……。」

加奈はうなずいた。

正直言って、俺は加奈にはそんなやつの感性の理解出来るような人間にはなってほしくない
……と思うのだが、それはこれからの加奈しだいか……。

☆サークル棟

実際もともと読書好きな加奈の為に入ったサークル。
去年の例のコンパでこのサークルの「実態」がわかった以上なるべく近づかないように
していたのだが、「加奈のたっての希望」ということで仕方なく行く。

友人:「よお藤堂、久しぶり。」
隆道:「あ、ああ。」

久しぶりに、サークルの友人に会う。

……実は、彼には悪いが俺は彼の名前を正確には覚えていない。
しかし、一応さしあたり会話には支障が無いのでこのままにしておく。

そして、二、三会話した後……

友人:「ところでなあ、この子って、もしかしてお前の彼女か?」
隆道:「え?」

以前にも同じような質問をされたことがあるが、やっぱり「兄妹」には見えないんだろう。
そんなことはともかく、その質問に対し俺は……

1.ああ、そうだよ。
2.いや、違う。

『1』を選択

隆道:「ああ、そうだよ。俺の彼女で加奈って言うんだ。」

……と、加奈の小さい頭を抱えて当然の様に答える。

加奈:「あう……。」
友人:「へえ、彼女……。」

友人は加奈と俺を見比べている。

友人:「……見たとこ高一ってとこだけど、ま、藤堂にはこれで充分か。」

こいつ、事情を知らないからとはいえ言いたいことを言ってくれる。
この際だ、俺も言いたいこと言ってやるか……。

隆道:「仕方ないだろ?俺は加奈無しじゃ生きていけないんだから。加奈だってそう思ってる。」
友人:「はあ?」
加奈:「あ、あうう……。」

友人は呆れている。加奈は思いっきり動揺しているようだ。

友人:「やれやれ、お前相当重症だな。」
隆道:「いや、これでもましになったほうだ。」
友人:「ほおー。」

友人は呆れたのを通り越して感心しているらしい。
しかし、実際去年加奈のことで悶々としていた俺は相当重症だったのだから……。

…………。

友人:「それじゃ、俺もこれから用あるし、またな。」
隆道:「ああ。」
友人:「あと、藤堂、これ一応最新の機関誌な。」
隆道:「ああ、どうも。」

はっきり言って去年貰った機関誌もほとんど見ていないのだが……、
加奈の手前一応受け取っておいた。

☆大学図書館

俺の通っている大学の図書館は、「本を借りられない」という制限付きだが
休日は一般にも開放している。しかし、やっぱり「大学図書館」ということで
ほとんど学術書しか置いてないから、実際に一般で来る人はほとんどいないのだが……

加奈:「わあ……。」

……しかし、加奈の瞳は輝きを増したようだ。

入院中の加奈の読書はほとんどマンガ一辺倒みたいな気がしたが、
基本的に加奈は「読書好き」だ。

加奈:「何か、見たこともないような本ばっかり。」
隆道:「まあな。」

実際俺も専攻分野以外の本はほとんど「見ることはない」のだが……

加奈:「…………。」

……加奈は近くの本を取って読んでいる。

隆道:「もしかして加奈、……それわかるのか?」
加奈:「……ううん、よくわからない。」

と、加奈は本を閉じてもとの場所に戻した。

隆道:「そっか。」

俺は内心ほっとする。
正直言って、そんな本見て「わかる」なんて答えられた日には……。

☆帰り道

帰り道、いつかと同じように、俺は加奈と腕を組んで歩いている。

隆道:「加奈、……俺と同じ大学来たくなったか?」
加奈:「ううん。」
隆道:「え?」

意外な返事に戸惑う俺に、加奈は微笑んで……

加奈:「もうそんなことにこだわる必要ないから。」

……と、気のせいか組む腕の力を強めたようだった。

隆道:「そっか。」

……そう、「いつか」と今では状況が違うんだ。
実際、帰り道、いつかと違うところは「俺も加奈もこのまま自宅に帰る」
ということくらいなのだが……。


雨ニモマケズ……(高等期・「ほのぼの」を作るつもりでした)(00/9/12 06:00)

その年のある秋の日、傘もあまり役に立たないくらいの大雨が降った。

ザアア……

隆道:「ちぇ、せっかく来たのに休講かあ。
……まあ、教官が大学に来れないんじゃあなあ……。」

休講の知らせを大学の掲示板で見て、俺は舌打ちをする。

そして、俺は……

1.そのまま家に帰る。
2.加奈を見舞いに行く。

『2』を選択

……加奈を見舞いに行った。

…………。

ザアア……

隆道:「…………。」

ザアア……

…………。

病院に着くと、偶然美樹さんに会う。

隆道:「こんにちは、美樹さん。」
美樹:「え?」

美樹さんは、雨に濡れた俺を見て唖然とする。

美樹:「隆道君、何もこんな大雨の日に来なくても……。」
隆道:「……でも、加奈は俺を待ってるんでしょう?『こんな大雨の日』でも。」
美樹:「……え?」

俺の言おうとする所を知ったのか、美樹さんは絶句したようだ。
……俺にとっては「雨がやむまで待つ時間もおしい」のだ。

美樹:「それじゃ、まず体を拭いて。風邪を引いたらどうしようもないでしょう?
タオル持って来てあげるから、ちょっと待っていなさい。」
隆道:「……はい、お願いします。」

…………。

こんこん。

隆道:「加奈、俺だ。入るぞ。」

がちゃ。

加奈:「え?……お兄ちゃん?」

俺の姿を見て、加奈は驚いたようだ。

隆道:「何だ、俺が見舞いに来ることがそんなに驚くことか?」
加奈:「……(ふるふる)」

恐らく意地悪な質問に、加奈は首を横に振る。

加奈:「でも、何もこんな大雨の日に来なくても……。」

加奈は美樹さんと同じ事を言う。

隆道:「……いや、俺も、加奈の顔を見ないと何か寂しくてな。」
加奈:「え?」

何も知らない加奈は、俺のこの言葉を聞いてもまだ呆れた様子をしている。
そんな加奈を見て、俺は……

隆道:「……ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。」
加奈:「う、うん。」
隆道:「ちぇ、雨に打たれたせいかなあ……。」

がちゃ。

隆道:「…………。」

……トイレニカケコミナミダヲナガシ
加奈ヲオモイテオロオロアルキ
ミンナニクールマントヨバレ
ホメラレモセズクニモサレズ
サウイフ男ニ俺ハナリタイ