迷路から・全員編(ED4,5,6ネタバレ・ダーク・冗談を受け入れられる心の広い方限定)

病室の外は雪が降っていた。

隆道:「寒いはずだよ……。」

俺は加奈の方を見た。

隆道:「か、加奈……?」

俺は……加奈の異状に気がついた。

隆道:「み、美樹さん……!」
美樹:「うん……、隆道君……どうしたの……?」

しかし、寝ぼけていた美樹さんも、異状に気がついたようだ。

美樹:「……え?か、加奈ちゃん……?」

美樹さんは加奈の手を取って、脈を取り始めた。
……そう。このときすでに、加奈は……。

隆道:「加奈、お前の降らせる雪は冷たいよ……。」

ところが……?

美樹:「もう、驚かせちゃって。駄目よぉ(ぺちぺち)」
隆道:「……え!?」

み、美樹さん?も、もしかして……?

がちゃ。

鹿島先生:「近藤君。加奈くんの状態はどうだね?」
隆道:「あ、鹿島先生!」

鹿島先生が来た。俺は内心ほっとした。
加奈の死を認めることは辛いけれど、目を背けてはいけないのだ……。

……しかし!

美樹:「鹿島先生。加奈ちゃんに異状はありません。」
鹿島先生:「……うん。そのようだな。」
隆道:「え!?」

……俺は訳がわからなくなってきた。
しばらくして……。

がちゃ。

……両親が入ってきた。
よかった!俺の両親なら……。

父:「何だ、何か騒がしいと思ったら……。」
隆道:「と、父さん!」
父:「……まだ生きてるじゃないか。」
隆道:「え?」

な、何を言っているんだ……?

父:「加奈の最期はお前が見届けてやりなさい。」
隆道:「と、父さん……?」
母:「あなた、お兄さんでしょ?」
父:「隆道、強い男になりなさい。」

そう言い残し、病室を出ていった。

がちゃ。

次に来たのは夕美だ。

夕美:「藤堂君。私、加奈ちゃんが危篤だって聞いて……。
でも、もしかして、もう加奈ちゃん亡くなって……?」

鹿島先生はいきなり怒鳴った。

鹿島先生:「夕美!お前は『病人』を前にして何を言っているのだ!?
私はお前をそんな娘に育てた覚えはない!」
夕美:「え?……な、何言ってるの?父さん。」

加奈の体は冷たく、死後硬直しはじめていた。

鹿島先生:「お前はこの病室にいる資格はない。さっさと出て行け!」

鹿島先生はそう言うと、そのまま加奈の診察を始めた。
夕美の表情が……こわばった。

夕美:「い……いやあああああぁぁぁぁぁ!」

夕美は病室を出ていってしまった。
……あとで聞いた話だが、夕美はその後、ある病院に入院したらしい。

がちゃ。

また、誰か入ってきた。……見知らぬ女性だった。

織笠:「私、臓器移植コーディネーターの織笠と申します。
『臓器バンクに登録してくださった藤堂加奈さんが危篤だ』
という連絡が入ったので来てみましたけど、どうやら……。」
鹿島先生:「君もか。……『病人』を目の前にして、何を言っているのだ?」
織笠:「はあ?」

その織笠という女性は、鹿島先生の言葉に虚を突かれたようだった。
……無理もない。どこをどう見ても……。

鹿島先生:「加奈くんはまだ死んでいない。それなのに、
何故移植手術ができるのだ?不吉なことを言うのはやめたまえ。」
織笠:「そ、そんな……!」
鹿島先生:「加奈くんにもしものことがあったら私から連絡する。
それまで待っていたまえ。」
織笠:「う……!」

その女性は、病室から走り去った。
……ハンカチで口元を押さえていた。
……何か、『見てはいけないもの』を見てしまったかのように。

結局、香奈は肝移植を受けられなかった。

……以後、香奈は移植する機会を与えられず、当然、長期入院するはめになった。
一時期、「加奈が行方不明になった」ということで病院中が大騒ぎになったが、
……これで「解決」してしまった。

当然、最初は香奈も不気味がっていたが、そのうち……。

鹿島先生:「今日のカリウム濃度は……。」
美樹:「加奈ちゃん。今日は透析をしましょうね。」
香奈:「はい。嫌だけど、そうしないと顔がむくんじゃうから……。」

がちゃ。

勇太:「こんにちは。……藤堂、見舞いに来たよ。」
香奈:「あ、伊藤君。……ありがとう。」

……香奈も、ついでに勇太も受け入れてしまった。
そして、ついに……。

叔父:「もともと私は、娘のことは諦めていたのだ。」
隆道:「え?お、叔父さん……?」
叔父:「この際、娘を『加奈くん』として、その最期を見届けよう。」
隆道:「そ、そんな、叔父さんまで……。」

叔父さんは俺の言葉を無視して、香奈と会話していた。

叔父:「さあ、加奈くん。死を恐れずに生きていくのだ。」
香奈:「はい、叔父さん。」

……俺は最後の心の支えを失ってしまった。
そのとき、ベッドに寝ている香奈が、俺に話し掛けてきた。

香奈:「お兄ちゃん。この次退院できたら、どこか連れてって。」

俺は……、答えた。

隆道:「そうだな。……今度、海を見に行こうか?……加奈。」

 

コメント:はじめは「迷路から・美樹編」を作ろうと思っていたのですが……。
ごめんなさい!(号泣)

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