加奈☆ぷらねたりうむ
俺が高校一年生になり妹の加奈が中学二年生になった年の夏のこと。
夏休みを目前にしたある日、体調が良くなり長期退院していた加奈に俺は聞く。
隆道:「なあ、明日どこか行きたいとこあるか?」
加奈:「ねえ、お兄ちゃん。……私、プラネタリウムに行ってみたい。」
隆道:「あ?」
突然だった。
隆道:「プラネタリウムって……、もしかして、星って見たことないか?」
加奈:「……(ふるふる)」
隆道:「そりゃあ、まあ、そうだろうなあ……。」
いくら週三回の透析で規則正しい生活を強いられていると言っても、
「全く星を見たことがない」なんてことはないはずだ。
加奈:「私、流れ星を見てみたいの。」
隆道:「は?」
加奈:「それで……。」
言いかけて、加奈はもじもじする。
隆道:「あ、ああ、『流れ星に願い事したい』ってわけか。」
加奈:「……(こく)」
そういうことか。「流れ星に願い事をすれば叶う」とは本に書いてあるもんだが、
実際に流れ星を見るとなれば、はっきり言って加奈でなくても難しい。
隆道:「それじゃ、プラネタリウム行こう。」
加奈:「うん、ありがとう。」
聞くところによると、今は「ヒーリング効果」のあるプラネタリウムもあるらしいから、
病弱な加奈には「良い薬」になると思う(本来の意味とは全く違う意味で申し訳ないが)。
隆道:「ところで、プラタネタリウムってどこに行けばいいのかなあ……?」
…………。
そうこうして、翌日俺達はプラネタリウムのある科学館に着いた。
そして、暫くしてプラネタリウムは始まり、天井一面に星空が映し出される。
加奈:「わあ……。」
目のあまり良くない加奈に星空がどんな風に映って見えるか俺には良くわからない
が、花火を見て「きれい」と言ったくらいだから、それなりには見えているんだろう。
アナウンス:『頭上に見えます、こと座のベガ、わし座のアルタイル、
はくちょう座のデネブを結んだものが夏の大三角と呼ばれています。
ちなみにベガは七夕の織女星、アルタイルは同じく七夕の牽牛星とも呼ばれ……。』
隆道:「ほお……、なあ、きれいだな、加奈。」
加奈:「うん、きれい……。」
やはり、プラネタリウムで見る星空は煤けた街の夜空とは違う。
暗くて良く見えないが、加奈もうっとりしているようだった。
まあ、普通に考えてもプラネタリウムの方が下手な花火や映画よりもよっぽどか
ロマンチックなシチュエーションのはずだ……って、
何考えてんだか、朴訥な俺らしくない。
隆道:「おっ!あれ、うお座だな。」
そうこうして、星空の季節は移ろっていく……。
…………。
アナウンス:『さて、みなさん!いよいよ冬の一大イベント、しし座流星群の登場です!』
俺は加奈の方を向く。
隆道:「おい、加奈、しし座流星群だってよ……って、え!?」
しかし、果たして加奈は……
加奈:「すう……。」
……いつのまにか眠っていた。
隆道:「やれやれ……。」
「加奈のやつ、珍しく遠出したから疲れて眠っちまったのか」
そう思いながら、安らかな加奈の寝顔を見ていると……
加奈:「うふふふ……。」
何か楽しい夢を見ているのか、加奈は笑っていた。
正直言って、加奈はあまり昼寝をし過ぎると夜眠れなくて困るのだが……
隆道:「ま、星空もいいけど、加奈の寝顔を見てるのも悪くないか……。」
と、加奈を起こすタイミングを計りかねている俺だった。
布教用ショートストーリー「加奈☆ぷらねたりうむ」・FIN