加奈、お前の降らせる雪で……
特別夕美エンド「雪解け」未読の方は、先に読んでおいてください。
タイトルに書いてあるように、「雪解け」の一場面のつもりです。
ストーリー上、残念ながらED6にはどうしても当てはめることができないのです……。
再会後、俺と夕美は友人として度々会った。
この日も俺達は友人として食事をして映画に行った。
夕美:「すっかり暗くなっちゃったね。それに、急に冷え込んできて……。」
隆道:「ああ。……それにしても、同じ映画を何度も観るっていうのは……。」
夕美:「だって、久しぶりの映画だったから。それに、映画は何度観ても料金同じだし。」
隆道:「そ、そういうもんか?」
夕美:「うん!」
……と、夕美は勢い良く返事した。
それから帰宅途中しばらく歩いて、突然夕美は俺に話を切り出す。
夕美:「私ね……考えてたの。」
夕美はぼそっと呟いた。
夕美は今までみせたことのないような、自信の無さと後悔の混じった顔を俺に向けた。
夕美:「……二人で加奈ちゃんのお見舞い行きたかったな、もっと。」
隆道:「……そうだな。」
夕美:「え?」
俺の応えに、夕美は少し驚いたようだった。
夕美:「ほんとにそう思う?」
隆道:「ああ。」
実は俺も少し引っかかっていたことだった。
俺は妹の加奈の為を思って加奈を夕美に会わせなかった。
あのとき俺が夕美に別れの電話をしたのは、紛れも無く
守るべき大切な妹の加奈の為を思ったからだ。
俺は加奈が頼るべき唯一人の兄でいなければならなかったから……。
…………。
……雪が降ってきた。
隆道:「どうりで冷え込むと思ったよ。」
夕美:「『あのとき』と同じだね。あのときも、寒かったんだ……。」
隆道:「……え?」
夕美が俺に腕を絡ませて密着してきた。
当然今俺達は二人きりではなく、こういうことに慣れていない俺は妙に照れくさい気分になる。
夕美:「寒いから、この方が暖かくていいでしょ?」
隆道:「あ……、ああ。」
照れくささから、俺はつい以前のように無愛想に返事してしまったが……
夕美:「へへへ……。」
……何故か、あの夕美が照れ笑いをしていた。
……加奈、お前の降らせ雪は本当に冷たいよ。
でも、加奈。お前の降らせる雪で、俺達は今……。