美樹の幸福

コメント:以前美樹の『幸福』というSSを作ったのですが、
その続編にあたる「美樹の幸福」を作ってみました。
一部「美樹さんの看護日記」の中の話を使っています。
場面は、一応
「加奈〜いもうと〜第二章」ベストエンドの直後です。
それにしても、何かすごい話になってしまいました……。

 

☆夢落ち

美樹:「はあーっ。」

加奈ちゃんの結婚式から帰宅し、いきなり溜め息をついてしまう私。

美樹:「まさかあの人、鹿島先生の娘さんのお見合い相手だったなんて……。」

そして、つくづく男運の無いことを恨む私はついに……

美樹:「それにしても加奈ちゃん、私より先にお嫁に行ってしまうなんて……、
神様もどうかしてるわ!」

……加奈ちゃんの為に「奇跡」を起こしてくれた神様に、
披露宴で酔った勢いで思わず八つ当たりしてしまった。

美樹:「ふう……、加奈ちゃん、おめでと……。」

……私は加奈ちゃんのことを考えていた。

先天性な慢性腎不全だった加奈ちゃんは愛する隆道君から腎臓を貰い
一命を取り留めることができた。しかし、その腎臓が「一生」もつとは限らない。
……移植された腎臓の「寿命」は意外に短く、腎臓の機能が再び無くなった場合
加奈ちゃんは元の透析生活に逆戻りで……、
だから私達は加奈ちゃんの「今の幸福」を祝福しなければならないのだ……。

美樹:「加奈ちゃん……ぐう……。」

……。
…………。
………………。
……………………。

プルルル……。

がちゃ。

美樹:「はい、近藤です。」
男性:『あの……、近藤さん、お久しぶりです。』
美樹:「は?……『お久しぶり』……さん?」
村田:『……村田です。近藤さんが怒っていらっしゃるのも無理ありません。
看護婦の近藤さんに選択不可能なことを押し付けた僕が悪いのですから。』
美樹:「むらたぁ……?」

……そう、私は以前「村田さん」という男性とお付き会いしたことがあった。
しかし、お互い仕事が忙しく、看護婦を辞めることのできない私は村田さんと別れていた。

それにしても、こうも都合よく電話がくるはずがない。……そうだ、これは「夢」なんだ。
男運の無い私に神様が見せてくれる奇跡の……。

美樹:「や……やーねえ!怒ってなんか無いわよお!こんな嬉しい日にぃ!
ちょっぷ、ちょっぷぅ!」
村田:『それで……もしよろしければ、もう一度お付き会いしていただきたいと思って……。
……正直言って、僕には近藤さんしかないんです!』
美樹:「はあ?」
村田:『本当に勝手な話で申し訳ないのですが……。』
美樹:「ふーん……。」

その時、私はとんでもないことを思い付いてしまった。
まさに看護婦失格な考えだけど、まあ、いいか、どうせ夢なんだ……。

美樹:「……そんじゃあねえ、明日、もう一度うちの病院に入院しなさいよ。
私も一応看護婦だし?入院患者にはそれなりのこともできるし……。」
村田:『そ、そうですか……。』
美樹:「そうでーす!……待ってるから……ね……。」

……。
…………。
………………。
……………………。

美樹:「……はっ!」

……既に夜は明けていた。

美樹:「ほら……やっぱり……。」

☆奇跡は再び

翌日、私はいつものように出勤し、そして「看護婦」になる。

男性:「あの……、お久しぶりです、近藤さん。」
美樹:「え?」

突然、後ろから男性の声がかかり、振り向くと……

村田:「村田です。」

……例の「村田さん」が松葉杖をついて立っていた。

村田:「実はあれから、突然近藤さんに電話してしまったことを後悔していて……。」
美樹:「え!?」
村田:「もしかしたら本当に迷惑だったんじゃないか、だから近藤さんは僕に
あんな無茶なことを言ったんじゃないかと……。」
美樹:「…………。」
村田:「……ぼうっと考え事をしていて、また事故ってしまいました。」
美樹:「…………。」
村田:「もちろん『入院』をするほどの怪我でもありませんし、
そんなことするつもりもありませんでしたが……。」
美樹:「え?」
村田:「……正直、このまま事故に遭えばまた近藤さんに会える……、
そう思っていました。」
美樹:「な……何やってんのよお!本当に死んじゃったらどうするのお!」

この時私は決心した。このどうしようもない男の村田さんは、私が面倒見なければと……。

……。
…………。
………………。
……………………。

……それから一年後、私は村田さんと結婚する。
昔読んだ恋愛小説の如く、愛の前には距離も時間も関係無かったのだ。

☆美樹の幸福

そして、結婚式の日、式を待つ私に六人が近づく。

加奈・隆道:「美樹さん、おめでとうございます。」
夕美・夕美の婚約者:「近藤さん、おめでとうございます。」
勇太・勇太の彼女:「あの、私達まで呼んでくださって、ありがとうございます。」

そう、みんな私が呼んだ子達だ。

加奈:「それにしても、こんな所で再会するなんて……。」
隆道:「俺達が美樹さんに呼ばれたのはわかるけど……。」
夕美:「仲人やる父さんが『来い!』って言うし……ねえ?」
夕美の婚約者:「あ、ああ。」
勇太:「僕も、藤堂の見舞いでお世話になった看護婦さんの招待を、
断るわけにもいきませんから……。」
勇太の彼女:「なんだかんだ言って、みんな看護婦さんの結婚式を
見てみたかったわけね!?」
六人:「ははは……。」

恐らく永遠の伴侶を得たあの子達に、かつてのようなわだかまりは既に無い。

鹿島先生:「……これが君の『幸福』ということかね?近藤君。」
美樹:「あ、鹿島先生……。」

ちなみに、私は結婚後も看護婦を続けることにしている。
院長の鹿島先生と婦長さんに懇願されたのだ。
それに……

美樹:「……退院する患者さんの笑顔を見る時が、一番幸福なんです。」
鹿島先生:「そうか……。君のような看護婦がいてくれることを、私は嬉しく思う。」
美樹:「はい、ありがとうございます!」

そして、私の永遠の伴侶が近づく。

美樹:「あ、村田さん。」
村田:「あの、美樹さん、僕のことを『村田』と呼ぶのは少し……。」

私は、実は以前から考えていた「決めセリフ」を村田さんに言ってあげる。

美樹:「いいえ、村田さんは私が一生面倒みなければならない『患者さん』ですから!
……ふふふ……。」
村田:「え?」

何故か私は、笑いながら泣いていた。

美樹:「……ありがとう、村田さん……。」
村田:「美樹さん……。」
美樹:「……そして皆さん、本当にありがとう……!」

FIN

 

コメント:はっきり言って急造です(汗)細かい部分は自由に想像してください。
あと、すみません、実際「夢落ちエンド」というのも考えてました(笑)

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