リメイクの恋愛映画再び
俺が正気に戻った数日後のある日、
俺は夕美とのデートで例の「リメイクの恋愛映画」を見に行くことになった。
隆道:「……って、確かこれ、お前いつか観た事あったよなあ?」
夕美:「あのときは一人だったから。この映画は二人で観ることに価値があるんだよ。」
隆道:「はあ?」
俺はとぼけるが、正気に戻った俺には夕美の意図がだいたいわかる。
夕美は夕美なりに俺の気持ちを和ませようとしているのだ。
夕美:「……また朴念仁丸出しで……。隆道君も観に来た事あるんでしょ?」
隆道:「あ、ああ。」
そう、あの時俺は加奈と観に来た。
そして、その帰宅後加奈との間に「例の事件」が起こって……。
……そうこうして、映画は始まる。
…………。
三十分後。
最初のキスシーン。
恋人同士は、深く深く口づけをかわす。
夕美:「ほおお……。」
隆道:「…………。」
夕美はスクリーンに見入りつつ拳を握っている。力が入っているようだ。
…………。
四十五分後。
恋人同士のベッドシーンが展開した。
……かなり激しい。
夕美:「ほおお……、私達もあれっくらいやりたいよねえ。」
隆道:「……けだもの。」
……と、俺は夕美に聞こえないように応える。
そして、この場合「今すぐ館内を出たい衝動」に駆られているのは恐らく夕美だ。
夕美:「あ〜、火照るホテル〜。」(注:おやじギャグ、すみません……)
……ほらな(汗)
…………。
そうこうして、映画は終わった。
夕美:「ふぅ、すごかったよねえ。」
隆道:「…………。」
この時、俺は夕美のことより「あの時の加奈」を思い出していた。
夕美:「隆道君、どうかしたの?」
隆道:「……あ?」
とっさに俺は言い訳する。
隆道:「いや、ちょっと感動して……。」
夕美:「えーっ?かんどーしたぁ?……私なんか、思わず
ぬ・れ・ちゃっ・た(はぁと)のに……。」
隆道:「…………。」
俺は黙っていた。この際夕美の言葉が本気か冗談か関係無い。
……そう言えば、あの時も夕美はこんなこと言っていたなあ……。
夕美:「……ねえ、ミスター藤堂!」
隆道:「うう……。」
夕美:「……って、何で泣き出すのぉ!?」
場所も状況もわきまえず泣き出す俺に、夕美はますます困惑するのだった。