夕美と加奈と月

夕美と和解後半年以上過ぎて、夕美と俺の仲は元に戻りつつあった。
そして月食のこの夜、俺と夕美は夜空を見上げている。

夕美:「『月』って言ったらやっぱり『竹取物語』思い出すよね。」
隆道:「あ?……ああ、……日本人だもんな。」

いきなりだが、夕美としてはあらかじめ考えてきた話なのだろう。
……何しろ夕美は「俺の両親への挨拶の予行演習」までしたんだから。

夕美:「加奈ちゃんも、月から来て月に帰っていったのかもしれないね。」
隆道:「……ウメバチソウの間から生まれた加奈姫は、
霧原帝に『不死の薬』を残して行った、か……。」

ある意味突拍子もない夕美の例え話に、俺も合わせる。
俺に妹がいたことは紛れも無い事実なのだから、
加奈が俺の妹になったいきさつを考慮しても「それも全て幻だった」と考えては
いけないのだが、しかし今、現実に俺の隣りにいるのは「鹿島夕美」か……。

隆道:「なあ、夕美。」

ちゅ。

隆道:「!?」

振り向き様、いきなり夕美がキスした。

隆道:「な、何だよ?」
夕美:「へへへ、月にいる加奈ちゃんが見えないうちに。」
隆道:「あ、あのなあ……。」

……何か良くわからない理論なのだが、俺に気を使ってくれているようで
実は強引なところも夕美らしいか……。

 

コメント:時期的には蜜月〜ある月夜〜の一年後にあたる話なんですが、
まあ、細かいことは……(^^;

戻る