続・藤堂家の食卓
隆道が起きてきた。昼飯をとっくに過ぎた時間だったが、
一階のダイニングに行くと、いつものように食事の用意がしてあった。
隆道:「……いただきます。」
長年の習慣からか、誰もいなくても挨拶だけはきちんとする。
……と言うより、「無意識に出た言葉」と言ったほうが近いかもしれない。
隆道:「…………。」
加奈を探しても「見つからない」ことに対する焦りからだろうか、食事の味を楽しむ余裕はない。
しかし、母が作って置いてくれたものと容易に想像出来た。
隆道にとって旨くとも不味くともない、以前から変わらない味がしたから。
隆道:「……ごちそうさまでした。」
食べ終わり、食器を台所に持っていく。「あとは母さんがやっといてくれるだろう」
そう思いつつ、隆道は自室に戻っていった。他にすること……できることがないのだから……。
…………。
……夕美が隆道の家に来た。鍵は掛っているが、合鍵で入る。
夕美:「ごめんください。」
返事はない。しかし、隆道がいることは確かだ。
「隆道の母が外出している間に外出する」という気力も、隆道には失せたのかもしれない。
しかし、夕美は台所に行ってほっとする。
夕美:「……よかった。隆道君、ちゃんと食べてくれたんだ。私の……。」