ヘッドの載せ換えと慣らし走行編

 1)事前のコンプレッションチェック

 さてこれからヘッドを載せかえるのですがその前にやっておくことがあります。まず第一に整備書と現物をじっくりと確認し、載せ換えの段取りをしておくこと。そしてその段取りの中でどのような工具が必要になるか、どのような消耗品が必要になるかを把握しておくと共にそれらを準備しておくこと。そしてコンプレッションの測定をしておくことです。
 コンプレッションとはすなわち、エンジン動作時の
燃焼室圧力を意味します。この値が規定値よりも低いというのは、当然どこからか漏れが生じていることを意味します。その原因としては、バルブあたり面の異物やガスケット抜け、ピストンリングの破損、棚落ち(ピストンリングとピストンリングとの間の部分が破損し抜け落ちてしまうこと)など、様々ですがもしこの値が低ければ、いくら完成度の高いヘッドを載せても全く意味がありません。ですからヘッドののせかえ前後においてコンプレッションを測定し、まずは漏れが無いことを確認するわけです。
 ちなみにコンプレッションは圧力の値であり、単位はPa(パスカル)、あるいはkg/cm^2で表されます。圧縮比とは全く別のものですのでご注意下さい(圧縮比の単位はcm^3/cm^3)
 使用するのはこのようなコンプレッションテスターです。これはアストロプロダクツあたりで購入できます。写真のものは¥3,200程度です。安いのは2,000円程度でも売られていますが、その際は、圧力測定範囲が13kg/cm^2程度まであるもの、そして測定器先端分の形状がプラグ穴よりも大きいものを選びましょう。

 測定法としてはそれほど難しくありません。必要なのはプラグレンチと5mmのヘキサゴンレンチです。プラグ交換の要領でプラグを外し、そこにコンプレッションテスターを押しつけ、その間にセルモーターを回します。そして値が上昇して一定になったらその値を読み取ります。
 この時、外したプラグコードから電気がリークして感電する可能性もありますので
プラグコードは元から外しておきます

 この作業、測定係とセルまわしで
二人必要なんですよね〜。
 さて、測定した結果は以下の通りです(単位:kg/cm^2)。

1番 2番 3番 4番
12.4 12.5 12.5 12.4

 ちなみに整備書記載の標準値は以下のようになっています。
測定条件:250rpm、単位:kg/cm^2
4A-GE:基準値=13.6 限度=10.0 気筒差限度=1.0以内
4A-GZE:基準値=11.8 限度=8.5 気筒差限度=1.0以内


 この結果を見る限り、いまの段階では特に大きな問題はないですね。これならヘッドを載せかえる価値がありそうです。

 ヘッドを載せ変えたら、今度はもう一度コンプレッションを測定します。そして値がこの値以上であれば問題ないわけです。もし下がったら・・・どこかに問題があるってことですね(^^;;;

 コンプレッションはエンジンの要で一番基本的な検査方法だと思います。測定にそれほど手間がかかるわけではないので、友達どうしで1本もっておくのもいいかもしれませんね。

ここまでに要した費用は
品名 費用 摘要
前回までの費用 77,570
コンプレッションテスター 3,200 アストロプロダクツで購入
合計 80,770

 2)ヘッドの乗せ換え作業

 さて、作成開始から8ヶ月かかったヘッドのオーバーホールもいよいよ大詰!ヘッドののせかえになります。
ここでは、こんな様子でやっていますというふうに、
概略のみを記載します。詳しい内容は整備書などを参考にしてご覧下さい。

1)ヘッドの取り外し
まずは余分なものは全部外します。
余分なものとは・・・・
・ボンネット
・タワーバー
・ウォッシャータンク
・エアクリ&エアフロ
・サージタンクカバー、ファンネル、サージタンク本体
・プラグコード

・アクセルワイヤー

 などなどです(^^;
 
 サージタンクまで外すとこのような風になります。

 次に冷却水を抜きます。抜く場所はラジエータのドレインコック、そしてヘッドブロックにあるドレインボルトです。後者はヘッドを分離した際に冷却水まみれになるのを防ぐためにも必要です。

 そしたらラジエータホース、ヒーターホース、Wポンプからヘッドに至る温水ホースなど抜いておきます。
 特にWポンプからヘッドに至るホースは短くてはずしにくいうえ、経年劣化で硬くなって余計に作業しにくくなるので、できることなら新品を用意しておき、外す時はぶった切るってなほうがよいでしょうね。
 次にヘッドに繋がるパイピング類、コネクタ類を外します。

パイピングは主に負圧パイプ、燃料パイプですが、これらは間違えない様、マーキングしておくのはもちろん、何処に繋がっていたか分かる様にします。

 また燃料ホースを外すとガソリンが出てきますので、この間はもちろん火気厳禁です。

 こうしてヘッドに繋がる全てのものを外しておきます。
 次エンジンマウントを外します。外すのはエンジンの運転席側、カムスプロケの横にありますので、これを外しておきます。
外す時はジャッキに木材片を載せ、注意深くオイルパンにあてておきます。

 そしたらいよいよヘッドの取り外しです。

ヘッドの取り外しに際しては、まずは上死点の決定をします。決定するのは1番シリンダーです。やり方は
@運転席側ホイールハウス内にあるサービスホールから、クランクをまわす
Aオイルキャップより覗き、IN側カムにつけてあるφ2〜3mmの凹みが見えてくるのを確認する。
Bカムの凹みを確認のうえ、クランクシャフトプーリーについている△印と、脇に記載されている角度を確認し、印が0°になるのを確認する
 以上で完了です。

 またBのかわりに、プラグチューブから長いドライバをさし込み、その動きが上方向から下方向に変わる場所で判断する、あるいはダイヤルゲージを利用し、エクステンションロッドをさし込んで目盛の動きから判断するなどの手法があります。

 そして念のためその状態におけるカムスプロケ、カムカバー、タイミングベルトの位置関係をマーキングしておきます。さらにはいくつか余分に基準となる場所をマーキングしても良いでしょうね。そしてその上でタイミングベルトを外します。タイミングベルトの外し方はここでは省略しますね。

そしていよいよヘッドをおろします。

 順番としては

@カムカバーを外す
AIN側カムスプロケを外す
Bカムを取りはずす
Cヘッドボルトを外す
となりますが、まぁ、それほど時間はかかりません。

なお、ベアリングキャップを緩める際には何回かに別けて均等に緩めます。
またヘッドボルトについても同様ですが、さらにネジを緩める順序がありますので注意しましょう。
これがヘッドボルトの緩める順番です(^^;
 ってなことでやっとヘッドが外れました(^^;
ここまでの作業時間は約2.5時間ぐらいです。もちろん2人でやったのですが、なれればもう少し速いかもしれませんね。

 さて、ここに使っていたパーツのうち、社外品だったカムスプロケ(EX)やローテンプサーモ、サーモスイッチなどは移植します。
 また新ヘッドには何もくんでいない状態でしたので、ここで、一緒にパーツの組み付けをおこないます。

これらの作業は右から左への作業ですから難しい作業ではないですね。


     
2)スロットル、ヘッドの洗浄

 やっとご対面のシリンダブロックです(^^;

表面に灰色に見えるのはガスケットです。ガスケットはガスケットリムーバーや金属スクレーパーを使用して除去して行きますが、その際ブロックに傷をつけないよう、そしてオイル穴に削りカスが入らない様注意しましょう。
 シリンダの内部です。

赤い液体は冷却水です。ヘッドを開けた際に、残っていた冷却水が入った様です。まぁ、これはふき取ればすむことですがね・・。

 内部に付いては特に傷などはついてなく、鏡のような光沢を有していました。これならば問題ありません。
 上がTRDのガスケット、下が使用後の純正ガスケットです。

 通常ガスケットの表面は、耐熱シール剤のようなもので覆われています。そしてそれが密着性に利くわけですが、これは一度はがすと写真の様にはがれてしまうため使えなくなってしまいます。

 さてガスケットの取りつけは、左右、表裏、間違えやすいので、ブロック表面に残るガスケットの跡を確認しながら間違えない様にしましょう。
 ガスケットを載せてみました。

 さらにせっかくですからピストンも綺麗にしてみました。これはキャブクリーナーをぶぁ!って使用し、浸透させたところでちょっとブラッシングすればこのように綺麗になります(^-^)。

 ただし、この時の洗浄くずがピストンと壁との間に入り込むので、綺麗になったら隙間部分も綺麗にしておきましょう。またシリンダーの壁やピストンとの隙間部分に、潤滑グリースをわずかに塗っておくといいと思います。
 話はかわり、こちらは10万km使用したヘッドのインマニ側です。

元のヘッドはインマニ側のカーボンがかなりすごかったのですが、今回自分のヘッドはそんなことなく綺麗でした。くわえてバルブ部分も結構ピカピカ!!やっぱり年に2回のインマニ洗浄の効果が大きかったんでしょうかね?(^^;
 4連スロットルについては、せっかく外したわけですから、この際よく洗浄しておきます。キャブジェットを駆使して、バタ弁部分のほかにもブローバイ部分など、念入りに大掃除です。

 この洗浄だけで1時間はかかりましたね。
 このあとは洗浄したスロットルを新ヘッドに組みつけます。そして全てのパーツをつけ終わったら、いよいよヘッドを装着します。ここまでの所用時間が約5時間、結構良いペースです

 ちなみにデスビの取りつけですが、このように印がついていますので問題ないと思います。これぐらいかな?間違えやすいのって・・・。

    3)ヘッドの装着

 ヘッドをブロックに載せます。

 載せる直前にはヘッド面をよく脱脂しておきます。そして面を傷つけないようゆっくりと載せて行きます。

そしたらヘッドボルトで腰下と結合しましょう。

 ヘッドボルトにはエンジンオイルを少量塗布し、そして均等に締めて行きます。手でしまるうちは普通に締めれば良いのですが、手で回らなくなってきたら、規定の順序で何回かに別けながら規定トルクになるまで締めていきます。
 規定トルクに達したら、いよいよ塑性締めつけを行ないます。ヘッドボルトでは90°角度で2回まわします。この時結構力が必要なので、1/2インチのラジェットでやりたいですね。

 ヘッドが結合し終わったら、あとは着々と元に戻して行きましょう。
IN側のカムはもちろん、水周り、燃料系、負圧ラインなどすべてです。ここは基本的に元に戻すという操作ですので、やりにくさはあっても、難しさはあまり無いはずです。


 また取りつけ時、ベアリングキャップなどは指定シール剤の塗布などを必要とするので、忘れない様にしましょう。またオイルシールなどもすべてこの際交換しておきます。
 カムとスプロケを取りつけ終えたら、いよいよタイミングベルトを張ります。ここで張る時の注意点としては、まずカムスプロケの位置、タイミングベルトの位置、そしてベルトの位置がきっちりとあっているか確認しながらしめます。その後はテンショナーで張力を調整します。

ここで一度クランクを人力でまわして、バルブとピストンが干渉しないことを確認したら、今度はセルモーターで動かしてみましょう。ここで問題無く動けばOKです。
 あとは残ったパーツを全て取りつけるだけです。
もちろんファンネルやサージタンクは綺麗に洗浄しておいたものを取りつけるのは言うまでもありません。

 ってなことで、ここまでの所用時間は9時間でした(^^;
  さて、あとは燃調です。まずは帰れる様にしなくてはいけません。
まぁ、今回は純正カムのままだから大丈夫かなって思ってたんですが、これが甘かった・・。なんと、燃調がえらいことおおきく変わってしまったのです(^^;

 やはり、吸排気効率の大幅な向上に起因したんでしょうね。

 ってなことで、燃調のセッティングや点火時期の調整まで作業しているうちに、いつのまにか周りはこんなに暗くなっていました・・・(^^;

 
 あとは試乗です。
試乗では、とにかくノッキングが起こるかどうか、そして水温はどうかに注意しながら運転しました。そして短い時間のみですが、最終的には6500rpmまでまわして、様子をみたのです。試乗後はコンプレッションの測定、そしてプラグのヤケ具合の確認を行ない、そして問題ないことを確認したのでした。

 さて試乗の感じですが、まだ燃調がきっちり取れていないのでなんとも言えないって言うのが現状です。ただ明らかに、レスポンスが鋭くなっているのだけは分かりました。まだこれからしばらくは慣らし運転ですし、その後ECUのワンオフということで、まだまだ時間がかかりますが、これらは追って掲載したいと思います。


 さて、さくっっと様子を説明したヘッドののせかえ作業ですが、ここでどんな工具が必要だったのか、また純正パーツのほかにどんな消耗品を用意したのか、ここでまとめてみたいと思います。

1)必要だった工具
 実際に使用した工具は以下のようなものです。
 @1/2及び3/8インチラジェット(両方あったほうが良い)、1/2インチスピナハンドル、各種エクステンションロッド
 A各種コマ:10,12,14,17mmのソケットと、5mm、6mmのヘキサゴン、10mmのダブルヘキサゴン、プラグレンチ
 Bトルクレンチ(〜10kg・m程度のもの)
 Cプライヤー、ラジオペンチ、モンキーレンチ
 Dマイナスドライバー、プラスドライバー
 E鉄パイプ
 Fホワイトマーカー、板ラジェット(12,14mm)
 G金属スクレーパー(4cm幅程度で十分、よく砥いでおく)
 Hウマ、ジャッキ、クロスレンチ

 大体こんなものかな?沢山工具を使う様に見えますが、実は
ほとんどが一般の汎用工具です。逆をいえば、ヘッドの交換ってのはそれほど特殊な工具を必要としないのが大きなメリットだと思います。

2)消耗品(汎用品)
 @ブレーキクリーナー(お徳用サイズ2本ぐらい準備したいです。1本では足りなかった・・(汗))
 Aキャブクリーナー(お勧めはSOFT99のキャブジェットを2本)・・インマニ、ブロック面洗浄で結構使いました
 Bウェス(かなりつかいます)
 Cビニール袋(ネジの保管にあれば便利です)
 DSTPオイルトリートメント(エンジン始動前に、かじり防止の意味で使用、要はチキソ性を有する潤滑油です)
 E浸透潤滑油
 Fバスコーク(シーリング剤)
 GLLC(クーラント)

 こちらも比較的汎用のものがおおいですね。今回追加して用意したのはクーラントとSTPオイルトリートメントだけでした。


 ただし、上記のほかにも、純正部品の消耗品(再利用不可品)については別途用意する必要がありますが、それについては前述の項目を参照願います。

最後に気になる作業時間ですが、いったいどうだったでしょう?ここで時系列的に書いてみます。
ちなみに今回はAE_MY_GARAGEの管理人でいらっしゃる黒のマリノGさんと二人で作業しました。

時間 作業内容
 6:00 作業開始
 7:30 スロットル取り外し終了
 9:00 ヘッド取り外し終了
11:30 インマニ、スロットル洗浄終了、ブロック面、ピストントップの洗浄終了
〜昼食〜
13:00 午後の部再開(^^;
14:30 ヘッド取りつけ、スロットル取りつけ終了
15:30 インマニ取りつけ終了、ヘッドの動作確認
18:30 バルタイ調整終了
19:00 燃調の設定終了(仮設定)
20:00 試乗〜走行中のノッキングなど確認
20:30 全作業終了

 ってなことで、実作業時間としては12時間ぐらいでした。この作業で1番苦労したのはWポンプとヘッドとを繋ぐ配管の取りつけ取り外しですね。実はこの部分はほとんど黒のマリノGさんにやっていただきました(^^;;;
 燃調の設定に付いては、やはり、この方がいらっしゃったからこそうまく行ったのであって、自分一人では難しかったかもしれませんね。とにかく最初はアイドリングがうまくできなかったんです。すなわち、今回のヘッド、それだけ吸気、排気効率が上がっているんです。
 んで、試乗した感じ、短い時間だけ6500rpmぐらいまで回してみたんですが、もうびっくり!まったくレスポンスが違うんですよね。これはびっくりしました。走行そのものは特に低速トルクの不足を感じることもありませんでした。加速感も以前より半歩ほど良くなってましたね。
 燃調がきっちりきまらない状態でコレでしたから、この先が非常に楽しみです。


さて、ここまで要した費用ですが・・・
品名 費用 摘要
前回までの費用 92,550
LLC(2L) 600
STPオイルトリートメント 600
合計 93,750

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