11月応用勉強会

もうエアコンはいらない

〜環境を活かした住まい作り〜

2006.11.25
於:京エコロジーセンター

講師 甲斐徹郎(チームネット代表、エコロジー住宅市民学校主宰、環境共生コーディネーター)

1995年 環境共生住宅を専門分野とした住まいづくり および街づくりのマーケティングのコンサルタント会社として「チームネット」を設立。1996年より「エコロジー住宅市民学校」を開校し、一般市民を対象に環境共生手法の普及啓発活動を続けておられます。

あくまで自分のための「気持ちよさ」や「快適さ」を貪欲に追求することを目的に「自然環境」と「コミュニティ」を手段として使いこなす活用術を提案されています。
気持ちよさとは何に起因するものでしょうか?

[体感温度実験・共有体験] 
体感温度と実際の気温は同じではありません。
体感というのは 気温によってのみ決まるのではなくて 自分たちの体温の移動スピードの速さによって決まります。金属などの熱伝導の早いものは熱が逃げやすく冷たく感じます。
また風によっても体温が速く移動するため体感的に涼しく感じます。
身体感覚の原理は相対的で、自分の体と環境との相対的な環境で決まります。
 人間は、4つの熱交換の要素(伝導・蒸発・対流・放射)が関りあって寒 暖 暑 涼を感じます。

気化熱(蒸発するときに熱が奪われる)事例;濡れた手に霧吹きをかけるとより冷たく感じる。
 ※これが「汗をかく」原理。汗をかくことによってスムーズな体温の調節を行っている。 
輻射熱(放射によって熱が伝わる現象) 事例;普通の道とトンネル内の体感温度差
 ※短いトンネルの場合、トンネルの中と外の気温はほとんど変わらない。しかし、トンネル内の壁や天井が
  冷えているので、冷輻射によって体温が奪われ涼しく感じる。

「寒さ」の原理を知る   暖かい・寒い体験 (山形での体験より)
 ・ 風を止めて、寒さを取り除くこと。
 ・ 緑で覆うことによって風を遮ることができます。
 ・ 暖かく暮らすためには冬の日差しを室内奥まで取り入れます。
「暑さ」の原理を分析   暑い・涼しい理由
 ・ 庇で夏の高度の高い日射を遮ります。
 ・ 風通しよくします。風の効果を活用します。
 ・ 屋根の断熱をよくして焼けた屋根の熱が室内に伝わらないようにします。
   バルコニーに熱をためないようにします。
  簾をかける(バルコニー全体を日陰にするようにひさしから手すりの位置まで全部覆う)→
  → 日射により簾の表面温度は38℃程度になる
    → 水をかける(一気に表面温度が下がる)
      → 濡れた簾と同じ効果がある「緑」を活用する。

[沖縄 備瀬から見る豊かな生活環境から]
 ・ 連なった生垣が見事な防風林の役目を果たして台風の猛威から家を守ります。(必要)
 ・ 大量の樹木が空調装置として機能し、快適な気候をつくっています。(結果として)
 * 北国も寒さ対策として冬の北風から守るために防風林を形成しています。
 1962年以降、コンクリート住宅の着工件数が木造住宅を上回り、現在の沖縄はコンクリート住宅が
 主流になりました。台風が来ても建物単体で自己完結し、安全が確保されると、外の環境をつくる
 必要はなくなりました。

[価値構造(パラダイム)の変遷の認識]

 過去 依存型共生 不便だけれど豊かな時代
構造的に弱く、建物が外環境に依存せざるを得ないという必然性から、建物は外環境とセットでつくられ、美しい街並が生まれる。
  ↓
 現在 自立型孤立 便利だけれど孤立する時代
街全体が調和無く、その延長線上にヒートアイランド問題がある。
地域コミュニティを必要としない暮らしが孤立化を招く。
  ↓
次世代 自立型共生 便利さも豊かさも同時に追求する時代
便利さをそのままに、関係性〜つながり〜を丁寧につくること

 (パラダイムは一度次に進むと過去へ戻ることはできないという特性をもつ。一度手に入れた便利さを捨てることはできない。単に伝統回帰を唱えても普及しない)

[便利さと豊かさ]
  「便利さ」を追求した結果、「便利さ」を並べるだけでは「関係性」を見失ってしまいます。再び「関係性」
  つながりを創り出すと「豊かな生活」が可能になります。

[複雑な系としての街づくり]
 小さな身の回りの単純な関係を決めると大きな複雑な全体が生まれます。(鳥の編隊飛行の原理)
   → 個と個との単純な関係性が繰り返されれば調和のとれた豊かな全体性が生まれます。

関係の価値化  −住環境統合理論−
 ・ 気候をつなげる  自分の家の北側にも隣家と同じように樹木を植えて緑を帯状につなげることで隣の
              冷気を引っ張り込むことができます。
 ・ 景観をつなげる  遠くの景色まで連続させることで奥行きがでて豊かで贅沢な景観になります。
              (「借景」の原理 )
 ・ 利用をつなげる  緑環境を生活空間の中までつなげます。

「気持ちよさ」や「快適さ」は身体と環境の相対的な関係によって決まります。関係を価値化させる事(関係性を遺伝子のように組み込む)で豊かな空間になります。現在の町を豊かな町に取り戻すには関係性を再構築することです。個人単位で得られないようなより大きな価値を コミュニティを手段として得るためにもマーケットを活用することが重要であると考えています。

EGO×ECOの考え方   − ECONEXUS − 
「エコロジー」とは「つながり」を活かすことです。「自分のために」からスタートすることが結果として「環境のため」につながります。これがチームネットのコンセプトで、「つながりの価値」を追求する価値ブランドとして、「ECONEXUS」というブランドをつくりました。こうしたビジョンをビジネスにつなげることができれば、街はきっと変わっていくと思います。

<チームネットの実績紹介>
1.経堂の杜  http://www.teamnet.co.jp/teamnet/work-kyoudou1.html
  ・ 「まちに森をつくって住む」をコンセプトに、まず外環境を整え、快適な環境と室内をつながるという
   考え方でつくられています。
  ・ 北側の樹齢100年以上のケヤキを保全。その下には、夏、冷気の溜まり場が生まれます。
  ・ 南側の落葉樹の高木は、放射熱(太陽からの日射、道路からの輻射)を遮ります。冬は落葉し、日差しが
   ふんだんに室内にはいります。
  ・ 1階地面に苦瓜、ひょうたんなどのつる性の植物を植える事で放射熱を遮るとともに、窓の外の
   日陰領域を大きくします。(緑のカーテン・水の壁)
  ・ 樹木は蒸散作用(根から水分を吸い上げ、葉裏で水から水蒸気に変化する。)をするときに周りの
   熱を奪います。(気化熱(水1gが蒸発する時600calの熱が奪われる。))上昇気流が起こることにより、
   風がおこります。
  ・ 理想;北側に木を植えると(近隣の樹もよし)、建物と北側樹木との間に冷気の溜まり場ができます。
   冷気の溜まり場に面した窓をあけ、高窓を開けると、暑い空気が高窓から排出され、自動的に、冷気の
   溜まり場から空気を吸い込み、家の中に心地良い風(ゆらぎ)がおこります。

図その1図その2

2.欅ハウス http://www.teamnet.co.jp/teamnet/work-keyaki1.html
  相続税のために土地を手放さねばならない現実に対して、土地の権利関係は変わっても樹齢200年以上の
  欅の木を中心にして環境の連続性を保つことでつながりを価値にします。
 
3.ザ・ステイツ平和台 http://www.teamnet.co.jp/teamnet/work-heiwadai.html
  企業に対して、環境共生的なコンセプトを提案して実現した事例。一般的な分譲マンションの環境共生事業
  の可能性を追及しました。「太陽」「風」「緑」に対応した建築デザインを提案しています。

4.埼玉県幸手市プロジェクト  http://www.teamnet.co.jp/teamnet/work-keyakiecovill.html
5.コモンガーデン仲町台  http://www.teamnet.co.jp/teamnet/nakamachidai.html
  グリーンマトリックスという考え方により開発されたニュータウンでの、10戸による戸建住宅のプロジェクト
  (積水ハウス)。企業に、「つながりの価値」を移植することで、企業がその価値を上げてくれます。

6.街づくりの応用編  
  「住環境統合理論」は、住まいづくりだけでなく、街づくりにも応用され始めています。 
  流山グリーンチェーン戦略(流山市へ提案、認定制度の基準策定協力)
   グリーンチェーン推進ネットワーク
   http://www.teamnet.co.jp/teamnet/syoukai.html

▲ top

※内容に関しましてのご感想、ご質問等は事務局にお問合せ下さい。よろしくお願いします。

11月応用勉強会

ホーム / 過去資料