我が祖国

「騎兵第二波!後方に歩兵!!」「白兵用意、抜刀っ!!」見張りの声に、中隊長の絶叫が響く。本来ならこのイギリス製マスケット銃「ブラウン・ベス」には、刺突用のバヨネット(銃剣)がつくはずだが、数が足りていない。我が中隊にはほとんど廻ってこなかった。白兵となれば、馬上の騎兵に対し、リーチに劣るサーベルで勝負しなければならない。幸い、今しがたの全火砲の集中射で、正面にいたノトリ近衛鉄騎旅団はかなりの損害を受けたはずだ。

そうはいっても、真夏の草いきれがむせかえる中、眼前に突っ込んでくる騎兵はやはり圧倒的だ。逃げ出したくなる。だが、父もこの戦場の何処かで戦っているのだ。負けるわけにはいかない。そう思ったレイチェルの手が、サーベルにかかる。「祖国万歳!」