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MHET設立趣意書(暫定版)

「近現代社会の大きな特徴として挙げられるのが、メディアの急速な発達とそれにともなうジャーナリズムの言語の普及である。しかし、メディアないしジャーナリズムが社会に及ぼした影響の大きさについては社会学的・政治学的な研究は多数あるものの、経済学においてはほとんど等閑に付されてきた。特にメディアを通じて流布される言説、あるいはそこで形成されるジャーナリスティックな言語空間が、経済学説の生成・展開・定着にどのような影響をもったのかについては意外なほど研究が少ない。

 しかし、多くの経済学者が、職業としてジャーナリストであり、また聴衆として新聞・雑誌の購読者層を念頭においていたということについては、いくつかの重要な先行業績があるもののもっと関心が払われてよい。たとえば、アダム・スミス以降のイギリス古典派の歴史は、当時の社会におけるメディアとジャーナリズムの展開の歴史と切っても切り離せない。経済学がいまだ制度化されておらず、学会・学会誌が確立されていなかった当時、多くの経済学者は職業ジャーナリストとして出発したし、当時の論戦の大部分は、各種の新聞・雑誌を舞台に繰り広げられたのである。

 また現代においては、さまざまな経済政策の決定過程にマスメディアが多大な影響をおよぼしたことも指摘されてきている。あるいは教育史の分野でも学校というメディアを通じて、人々の経済的モティヴェーションに影響を及ぼしてきたことがあきらかになりつつある。

 さらに今世紀末にいたってメディアは単に言説空間を創造するにとどまらず、世界規模での企業の最適化行動や、NPO,NGOといった非営利活動にまでも影響を与えている。1990年代のインターネットの爆発的普及がそれである。インターネット利用の拡大は、われわれの当面の関心である経済学の歴史的研究をも含む様々な言説のあり方にも今後大きな変革を迫ってくるものと思われる。

 本研究会では、メディアやジャーナリズムが経済学、経済思想に対してどのような影響を与えていったのかという歴史的関心を中心に、会員の研究成果の報告・公表を積極的におこなっていきたい。本研究会の活動を通じて、従来の経済思想史・経済学史の研究に分野横断的で、かつ斬新な新しい領域を開くことを期待し、本研究会を設立する意図としたい。」

最終更新日付:99.6.19 5:21 PM


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