皆さんはMSXに4つの文化圏が存在する事を御存知でしょうか? 4つとは日本、オランダ、スペイン、ブラジルでこれらの国々では独自の
MSX文化を持っています。 これら以外の国、例えばスイス、ノルウェー、フランスなどにも現役MSXユーザーは存在しますが数的にはかなり
少ないです。 私は 2000年にオランダで開催された当時世界最大のMSXフェアであるインターナショネイル・ティルブルフフェアに参加、そして
翌年2001 年にはスペイン最大のMSXフェアであるバルセロナMSXミィーティングに参加しました。 スペインのMSXフェアに参加した日本人は
私が初めてです。 当然ですがオランダやスペインのMSXフェアは日本のイベントとは色々な面で違いますのでとても新鮮でした。 そして今年、
ついに念願のブラジル最大のMSXフェアである第8回ザMSXマジカルコンピュータークラブ・デ・ジャウ(以下ジャウと呼ぶ)に参加する事に
成功しました。 ブラジルは日本の正反対の位置にあります。 ですのでヨーロッパ諸国に行くように気軽に訪問できません。 日本からブラジル
へ行くには2日、帰りで3日、合計5日もかかるのです! しかも言語がポルトガル語で英語がほとんど通じません。 正直これには疲れました。
サンパウロ空港に到着、現地のMSXユーザーであるダニエル・金さんがMSXと書いた紙を持って私を出迎えてくれました。そして、
空港よりサンパウロ市街へ移動するわけですが、サンパウロではペンション・荒木に泊まると事前に聞いていたのですが、現地に着いたら
ホテル・アライでした。いやさあ、確かに荒木とアライは発音は似てるけどさぁ(苦笑)ホテル・アライは日本の住友系列のホテルらしく住友の
マークが入ったマットなどが敷かれていたのですが、日本語を喋れるスタッフは一人もいませんでした。また、ほとんどのスタッフは英語が
通じませんでした。それでも不自由しなかったのは金さんが通訳してくれたからだと思います。

ジャウが開催されたのは 2004 年 11 月 13/14/15 日の3日間です。 場所はサンパウロ州のジャウという田舎町。 サンパウロ市から高
速バスで約8時間との事。 かなり遠い・・。 初め、ヒッチハイクでサンパウロからジャウへ行こうと現地のMSXサポーターであるダ
ニエル・キヨシ・ハバジーから誘われたのですがこれをパス。 でっかい旅行用のスーツケースを持ったまま移動すれば旅行者である事は
一目瞭然。 外務省から渡航危険地域に指定されているサンパウロでこれをやるのはかなり危険です。 カモがネギをしょって歩いている
様なものですな(笑) 結局サンパウロでブラジルのMSXサポーター、マルコ・アントニオ・サイモン・ダルポズ、ダニエル・キヨシ・ハ
バジー、ダニエル・金と合流。 レンタカーでサンパウロまで向かいました。 なんとサンパウロの道路の制限時速は100キロ!しかも
片道5車線以上なんて所もあります。 そこをマックス170キロで走りました(笑) 運転手のダルポズはF1レーサーと呼ばれていました
(笑) 大体5時間位でジャウに着いたと思います。

ジャウは本当に田舎町でした。 世界有数の大都会であるサンパウロには巨大なビルが林立し、又スラム街や高級住宅街、日本人町や韓国
人町があり、人種も白人・黄色人種・黒人と色々揃っていたのですが、このジャウという町は全てが田舎風の家で、住人も南米系(原住民
?)が大部分でした。

1年に一回開かれるこのジャウというフェアにはサンパウロを中心にブラジル中から人が集まってきたのですが大体60人位だったと思
います。 ブラジルでは各都市でMSXフェアが開催されておりこのジャウ以外にもMSXリオ、サンパ、ブラジリア、MSXデフコン
、MSX BSB などのイベントがあります。そしてMSXサポーターはそれぞれ地元のフェアに参加する様です。 地図を見てもらえれば分か
りますがブラジルは広大で、日本の何十倍もの面積があります。 どうしても日本の様に一箇所に集まってフェアをするのは簡単ではない
様です。 また、他のクラシックパソコンやゲーム機との合同フェアも盛んで小さいものもあわせると、ブラジルでは1ヶ月に一回の割合
でフェアが開催されています。

今回参加したジャウの雰囲気を皆さんに紹介しますとMSX電遊ランドの様なフェア(大規模イベント)とMSXユーザーの集いを合わせ
た様な雰囲気でした。 ブラジルの各グループがハードやソフトその他グッズなどを販売している反面、ゲームなどをしてだべっているだ
けの人もいました。 また日本やヨーロッパにないものとしてMSXを改造したり修理したりするブースがありました。 ハードウェアの
改造や修理はとても人気がありました。 グラジエンテの MSX1 を MSX2 にする改造や Panasonic FS-A1WX(MSX2+) の 512K 改造なんかも
行われていました。 そしてMSXに関する講演もありました。 今回はヒカルド・ビッテンコートによって開発された新作プログラムの
紹介とダルポズの FPGA MSX でした。

それではフェアのブースの一部を紹介しましょう。

- ヒカルド・ビッテンコート
 RicBit の愛称で知られる彼はブラジル最高位プログラマーの一人です。職業プログラマーで、我々の間ではMSX用インターネットブ
  ラウザーである筆ブラウザーの開発者として知られています。 今回のフェアでは自作のメガデモや新作ゲームを紹介していました。
  他には MSX1 用のランボーをカラー化したランボー・プラスやセガマーク3用のゲームを何本かMSXに移植したりもしていました。

- ダルポズ
 ブラジルの東大にあたるサンパウロ大学。 そのサンパウロ大学の大学院で勉強する彼のテーマはずばり FPGA です。 XILINというメー
  カーの XCS40XL-PQ240 という FPGA チップを2つ使い MSX1 を再現していました。 そんな彼に幾つか質問をしてみました。

  Q1:どの程度の完成ですか? 完全に MSX1 を再現できているのですか??
  A1:98パーセントの完成度だ。
      PPI 100 パーセント
      PSG 100 パーセント
      メモリーコントロール 100パーセント
      メモリーマッパー 100パーセント
      MegaRAM 100パーセント
   VDP 98 パーセント(なぜ VDP の完成度が 98 パーセントなのか理由を聞い
       たが忘れた)
 Q2:この FPGA の MSX1 は幾ら位で作れるのですか?
  A2:US$300 位だ。
 Q3:この FPGA の MSX1 開発にはどれくらい時間がかかりましたか?
  A3:2年で作った。
 Q4:MSXアソシエーションのワンチップMSXについてどう思いますか?
  Q5:MSXアソはあくまでもビジネスとして開発しているが、私の場合はあくまでもホビーとしてであり何らバッティングするものでは
     ない。

 実際にグラディウス2やランボーなどのゲームを FPGA の MSX1 で遊ばせて頂きましたが完全に MSX1 を再現していました。 また、サ
  ンパウロに帰ってから大学院の彼の研究室を訪問。 新しいバージョンの FPGA の MSX1 を見せて頂きました。 フェアで展示していた
  物は FPGA の容量が少ない為2つのユニットから形成されていたのですが、研究室にあった物はかなり小型化されており、ワンボード
  化された物でした。 彼の FPGA MSX に関して興味のある人は問い合わせてみてはいかがでしょうか? 日本からのメールはウェルカム
  との事です。 英語でオーケーですよ。

   mdalpoz@lsi.usp.br
   mdalpoz@gmail.com

- リオ・デ・ジャネイロ
 スタンドの名前は私が勝手にリオ・デ・ジャネイロと名づけました(笑) それぞれのスタンドに名前が付いていないもんで・・。 ここ
  のスタンドはリオから遠征してきたグループのスタンドです。 MSXリオ主催者のヒカルド・ピンヘイロや Dr.Venom がいます。 ヒ
  カルド・ピンヘイロと言えばMSX用 ZX-80 エミュレーターの開発者として有名です。 彼らの販売物を少し紹介しましょう。

    エプコムの MSX1 である ホットビット HB-8000(ちなみにエプコムは日本のシャープのブラジル現地法人です。 そう、シャープは日
     本ではX1や X68000 を販売し普及を目指しながらブラジルではMSXを販売していたんです。)
    ブラジルのMSXメーカー gradiente の MSX1
    スーパーレイドックTシャツ
  MSXロゴの付いたTシャツ
    MSX Force  MSXの同人誌で月刊の様です。 佐藤アレックスさんが書いたMSX電遊ランドの記事やMSXアソの事が書いた記事
     がありました。 他にも私が英語で書いた日本のMSX情報を勝手にポルトガル語に翻訳した物がありました(笑)
  MSXの入門書(古本)
    HIT MSXPro 2004
    MSX VIDEO CD(Sunrise ATA-IDE から動画を再生する凄いCDです。 お勧め品)
    その他

- アデミール・カチャノ
 ハードウェアの天才、アデミール・カチャノです。 MSX互換パソコンなどを作っている事で有名です。 また、その互換MSXは工
   場のファクトリーオートメーションなどにも使用されています。 MSX互換の32ビットパソコンの実物を見たかったのですが残念
   ながら見る事ができませんでした(後にキヨシさんの自宅で16ビットのMSXは見せて頂きました)。 その代わり、世界一小さなM
   SXパソコンを見せて頂きました。 写真はちょっとNGとの事でした。 著作権の事があるのであまり日本人には見せたくない様です
   。 他には増設FDDカートリッジやサンライズ互換の ATA-IDE インターフェイスを販売していました。 サンライズの ATA-IDE と完
   全互換との事ですが使われている部品数が少なくサンライズの物よりかなり洗練されているというイメージでした。 値段は高かった
   のですが私は2つも購入してしまいました。

- ダニエル・金
 ブラジル在住の金さんは朝鮮・韓国系の移民ブラジル人です。片言の日本語を話す事ができ私のガイドをしてくれました。 学校で日本
  語を勉強しているとの事です。 今回はX−BOX用MSXエミュレーターである BLUE MS-X BOX を展示していました。 このエミュレ
  ーターはかなり出来映えが良いです。 X-BOX が強力な為か知りませんが、MSXのゲームがさくさく動いていました。 動作が滑らか
  で MSXPLAYer なんか比較にならない程軽いです。 ゲームはDVDに焼いていてそのままロードする事ができて簡単に操作する事がで
  きます。 ゲームだけでなくDVDにはMGSプレイヤーや Moonsound の音楽プレイヤーも入っていました。

- ヒカルド・オルネラス
 アニメの女の子のTシャツを着た彼には年頃の娘さんもいるお父さんです。 彼は激突ペナントレースや F-1 スピリットなどコナミの
  SCCカートリッジを改造してソリッドスネークを作っていました。

- ダニエル・キヨシ・ハバジー
 日本のNTTのキャプテンシステムを展示していました。 キャプテンシステムのMSX2モードは私も初めて見ました。 キャプテン
  を起動すると選択画面があり、そこにMSXという項目がありMSXを選択すると MSX2 パソコンとして立ち上がる様です。 スロット
  も2つ前面部分に付いていました。

- パウロ・マルフ・サージオ・ジュニア
 ブラジルのグラジエンテのMSXカートリッジなどを販売していました。

- スロットマン
 アンチMSXアソシエーションのリーダーの一人です。 なんでもシステムエンジニアをしているそうです。 今回彼は「ダンジョンズ
  &ドラゴンズ」という新作ゲームを発売していました。 媒体はCDでEVAプレイヤーを内臓し動画がバンバン流れます! Sunrise
  ATA-IDE/CIEL IDE 専用で MEGA-SCSI では動きません。 このゲームはお勧めです。 他には CIEL の ATA-IDE インターフェイスやCD
  を販売していました。

- エジソン
  ポルトガル語でのMSX関連書籍書いたりしている人です。 自分の書いた書籍や何か特殊なMSXハードウェアを展示・実演していま
  した(何の実演か聞いたが忘れてしまった)。

その他にもおもしろそうなスタンドがあったのですがメモを取るの忘れました(^^;

今回の旅行には通訳としてヘイナルドさん、ブラジルの情報収集にアドリアノ・ホドリゲス・ダ・クンハさんのお世話になりました。