『新潟県社協:福祉機器工夫コンテスト』
過去入賞作品〜抜粋紹介のページ


 新潟県社会福祉協議会が主催し、各種地元自治体・マスコミ・職業団体などが後援している『福祉機器工夫コンテスト』というコンテストがあります。今年で8回目になりますが、今年も含めて8回のうち4回は私自身が審査員として事業参加させてもらっています。

 毎年、入賞作品は小冊子にまとめられているのですが、どうもそのまま「死蔵」されている、という感じでもったいないので、過去の入賞作品のうちから特にアイディアに見るべき点があるものなどを、ここに紹介いたします。

 車椅子抑制・安全帯(及びその他の工夫)について で、ご紹介している「手軽に車椅子機能クッション:トマットさん」も、考案者の横浜のPT長尾さんから今年のコンテストに応募してくれるそうです。(高い評価を受けると思います・・が、審査員の一人として、審査に私情ははさみません!)

 トマットさんに限らず、以下の紹介品を眺めると、「必要は発明の母」ということが実感できます。手軽に作られるものも多いと思いますので、大いにご参考になさってください。

 なお、応募者は施設職員さんやホームハルパーさん・ご家族の方々で、あくまで一般の方々です。が、やはりご家族は衣類のちょっとした工夫などが多くてそれらも捨てがたいものではありますが、以下の作品群は施設職員さん・ヘルパーさんやPT/OTさんによるものが多くなっているようです。写真の解説は、今回私の書き下ろしです。


@ 手作り移動便座椅子

 

 既成品にもありますね、このタイプ。車椅子?に座ってそのまま作りつけトイレにはまり込むわけです。ただこれは手作りで、「専用テーブル」があるのがいかにも「愛情・おもいやり」が形になった、という感じです。


A レバー操作車椅子延長レバー

 これは車椅子の種類と適応でもご紹介している「片手レバー操作車椅子」の操作レバーを、さらに使いやすい形に横棒をつけたものです。左右方向へは操作しにくくなる面はありますが、力の弱い方が直進するのはずっと楽になりますね。


B 臥位から車椅子へ

 

 これは他にないアイディアです。寝返りで担架様の道具の上に寝転がると、そのまま車椅子様になります。車椅子様になった時の座面高や奥行き、背もたれ構造はまだまだ検討の余地はあるでしょうが、「臥位からそのまま端座位へ」というアイディアは秀逸ですね。完成度を高めれば、和式で布団を使っている人にも気軽に車椅子座位姿勢をとってもらえるようになるかもしれません。


C 手作りリフター

 技術的には何も目新しいところはありませんが、「手作り」というだけで賞をあげなくちゃね。(^_^;


D 足操作の車椅子方向操作舵

 

 これ、写真で構造が分かりますか?片方のキャスターに板ともう一つキャスターがついていて、板に乗せた足でキャスターの向きをコントロールして車椅子の進む方向を操作するわけです。万力でどの車椅子にも取り付けられます。車椅子片手片足駆動の練習方法でもご紹介していない「片手片足駆動できない片麻痺さんの車椅子操作方法」です。


E トイレ介助用台車

 

 これは起立介助具、兼、そのまま移動できてトイレに座ることができます。起立介助具としては似た発想のものがありますが、そのまま移動できるというものは無いように思います。限られた介護力の中では大変有効に使えるのではないでしょうか?


F 四つ這い者用ズボン

 

 「四つ這い者用ズボン」これを審査会場で始めて手にした時の感激は忘れられません。普通のズボンで四つ這いすると、お腹の部分は余って背中〜腰の部分は隙間ができてしまいがちですね。その分を修正してある訳です。これぞ、「介護の心」ですな。


G ベッド用補助端座椅子

 過去7回のコンテストの中で、個人的にはこれがもっとも優れていると思います。車椅子をバラして、ベッド上端座位をとった時に端座位を安定させ、同時に食事テーブルとなります。下に伸びた棒がベッドの「手すり穴」に差込まれることで、固定性も十分です。端座位に起こしてあげれば座っていられる・・という方(後半) のF食事の項で、製作予告しているのがこれです。一向に作る時間がとれないので、オリジナルをご紹介してしまいます。ギャッヂアップは「不良姿勢」、かといって「端座位では不安定」で「車椅子介助移動も大変!」、そんな時に、大変に有効に使えるのではないでしょうか?これ、製品化できると思うけどなぁ・・。


H ベッドさく固定金具

 痴呆のためにベッドを自力で外したあげくにベッド上から転落してしまう方の場合、よくベッドさくをベッドフレームに縛り付けたりして抜けないようにします。まぁ「抑制の一種」であることは間違いありませんが、どうしても必要なこともあるものです。その際、紐では見た目も悪いし面倒ですね。これは硬いアルミ棒を上手に曲げてカチッと固定できるようにしています。何気なくとも洗練されていますね。


I 高さ随時調節式車椅子レッグレスト

 これは、共用品の車椅子のフットプレートの高さを手軽に調節できるように、「長さ調節杖の押しボタン機構」を車椅子に組み込んだんものです。別の工夫の機構が、車椅子のフットプレート高さ調節の必要性と方法 に紹介してありますが・・、そうです、これは「私の応募作品」でした。(^_^;


J 一発点眼ガイド

 

 思わず、似たような既成品はないのかな?と感じてしまいますが・・・。ウチのガキども用に作ろうかな・・?(^_^;


K 各指対応麻痺手握り袋

 これは手袋ではありません。麻痺した手に握らせておくものです。(だから4本指(^_^; )麻痺してゲンコツになった手に、よくタオルを丸めて握らせたり、そのための既成品もありますが、これが秀逸なのは指ごとに隙間ができることと、軍手利用で簡単にできること、です。軍手の小指を落として穴を縫い、中に綿でも詰めればよいわけです。これで麻痺した指の股のグジュグジュともおさらばだぁ・・。


L 経管チューブ保持ネット

 写真だけでは分かりにくいかも、です。鼻腔栄養者を臥位浴槽に入れてあげる時など、よくチューブを丸めてほっぺにテープで止めたりしていますが、これは「みかん袋」を利用してチューブを収め、耳に袋を引っかけるようになっています。他の幾つかの品と同じく「やさしさ思いやり」を形にすると、こんなふうになるんですね。(^o^)


M 車椅子上良肢位保持用マット

 

 車椅子上姿勢が不良になる=ずっこける、曲がった足が座面下に潜りこむ方のために作られたものです。結局「股ぐりベルト」で「ずっこけ」を防止するようになっています。ということは・・これも「抑制帯」であって2000年4月以降は、施設では「使用禁!」でしょうか・・?


N 腕抑制保護カバー

 痴呆の方が経管チューブを抜去したり傷をかきむしるのを防止するためにご家族が作ったもの。ペットボトルを布でくるんで肘上でしばってあります。これで腕は動かせても「指操作」できないわけですね・・・って、これも厚生省からすれば「抑制具」なんでしょうか・・?


O すくみ足防止杖

 

 パーキンソン病/症候群の症状として歩く時に一歩目が出ない、という症状があります。その際、「目標物」があるとスッと出せたりします。つまり、杖に付いた横棒をその「目標物」にしよう、ということです。私も全く同じ目的で杖先に横棒をつけたことがありますが、これは杖を突いた時だけ横棒が倒れます。「してやられた〜」です。(^_^;


P どこにでも置ける自在手すり

 手すりの土台は「物干し竿台」で、そこにイレクターパイプで角度の変わる手すりとして仕上げてあります。高さや長さも好きにできます。これを作ったのは知人なので、私も自宅退院患者さん用に一つ作ってもらったことがあります。材料費5千円くらいだったと思います。手すりに体重をかけきるには強度は足りませんが、「ちょっとつかまる」用には十分です。「秀逸!」の一言です。


Q 背もたれ調整可能車椅子

 まさか拙HPをご覧になって考えられたわけじゃないでしょうけど・・、やっぱりニーズに気づいている方はいらっしゃるんですね。円背者さんが車椅子に座る際に、飛びでた背中を後ろに逃がすための工夫です。車椅子抑制・安全帯(及びその他の工夫)について の中で「良肢位保持のため車椅子の背シートを緩ませること」を紹介していますが、その一つの方法ですね。


R 患側腕用小銭入れ

 これぞ「逆転の発想!」片麻痺して曲がった腕に小銭入れが巻きつけられるようになっています。「麻痺した腕を利用する」その旺盛な生命力?生活力?に最大の賛辞を送りたいと思います。


 いかがですか?「これは自分でも試してみたい!」と思えるアイディアはありませんでしたか?私自身は、審査作業にとても楽しく取り組ませてもらっています。文頭に書いたとおり、今年は横浜からの応募も期待できそうです。やはり県内だけでは応募作品傾向や応募者がどうしても偏ってきてしまうようですので、個人的には長尾さんのトマットさんには期待しています。さらに私としてはここで応募を呼びかけたかったのですが・・、社協の上の方から「全国から応募が殺到しても困るし・・」と言われてしまいました。ですから、くれぐれも私からは「応募してください!」なんて言えません。(^_^;  なお作品の詳細など、何かご確認したいことがありましたらご遠慮なくメールください。→ この赤文字、実は当時、県外からも応募してほしい…という気持ちから書いたのですが、何年か続いたこのコンテストも、今は無くなってしまいました。残念ですが、このページで取り上げた品物のいくつかは拙著『介護器具・手作り改造レシピ集』にも収録させていただきましたし、それでよし、といたしましょう。たとえこのようなコンテストに応募するのではなくとも、『必要な工夫は必要に応じて』ということが当たり前であってほしい、と願っています。(H16/1)

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