老人介護についての個人的HP-1介護 How to -(17) 臥位横移動
次はベッドや布団の上で寝たままズる動作です。何気ない動作のようですが、これが意外と難しいです。歩行できる方でも自力ではできないことも珍しくないですし、特に片麻痺者の場合には方向によって極めて困難です。
でも、寝具の上で寝ている場所が足もとの方へずれたのを直したり、起座動作の前動作として行なう必要が生じることがありますから、ここで整理しておきます。
※自力での上方へのずり上がり
まずは頭の方へずり上がる場合です。この場合はたてた膝〜足を蹴るのと同時に、頭の上の方につかまるところがあれば腕の力を利用して引っ張りあがります。(写真1)腕の引きが使えるとずっと楽になりますが、そこまで腕が上がらない、もしくはつかまるところがない場合には、足を蹴ると同時に頭をグイと寝具に押しつけて首を伸展させながらずり上がることにないます。(写真2)これは大変に難しい動作です。

写真1

写真2
非片麻痺者で両足が蹴られればまだよいのですが、片麻痺者で片足しか蹴られないとなるとなお困難さが増します。
※横方向への移動
まずは上向きのままで横に移動するのはなかなか難しいです。一旦寝返りをして側臥位になってから背中方向へ十分移動し、それから上向きに直った方が手間はかかりますが、まだ容易です。
上向きのままで横に移動するには、@膝をたててブリッジしながら腰を横に移動する。A頭を寝具に押しつけて背中を浮かしたり、少し頭を持ち上げたりしながら上半身を横に移動する。という手順となります。(写真3)この時も体の横につかむものがあればずっと楽にはなりますが、これはもはや「全身運動」です。(^_^; 特に片麻痺者の場合は健側方向へはともかく、患側方向へはほとんど無理ではないかと思います。う〜ん、実際に写真のように横移動する人がいるとは思えませんね。これなら一度起きあがって、寝る場所を変えた方がまだ楽です。(^_^; それくらいに難しい動作である、ということをご理解いただけたらと思います。

写真3
上向きのままでが困難ならば一旦寝返りをして側臥位になり、そこから腕で手すりなどを押しながら背中方向へ下がります。この時も、腰と上半身は交互に下げるようにします。(写真4)この動きは、特に端座位への起座動作の前に十分に行なうことで起座が容易になります。反対にこの動作が不十分だと、起座も難しくなってしまいます。

写真4
次に介助で臥位のまま移動する方法を紹介します。これはむしろ、かなりの重度障害の方で完全な寝たきり状態に近く、ギャッヂアップした後に身体を頭の方へ引き上げる時などに必要な動作介助となります。
要するに、介助者の腕で本人さんの身体を横たえたままで移動させるわけですが、これを文字通り「腕だけ」で行なうことはほとんど不可能です。
コツは、本人さんの身体を腕先だけで持つのではなくできるだけ思いきり抱え込むようにすること。そうすると自然に介助者の身体は本人さんにかぶさるような格好になって腰が曲がってしまいますから、介助者の片膝をベッドの上につかせてもらうこと、です。(写真5)ベッドに片膝をつかせてもらわないと、介助者は確実に腰を痛めてしまいます。ベッドの上に介助者の膝を乗せるなんてあまり良いことではないのかもしれませんが、体を壊してしまっては何にもなりません。それから写真のように、本人さんが介助者の首や肩を抱えてくれれるとずっと楽に行えるようになります。片麻痺者にこの介助を行なう場合で本人さんが腕の抱えで協力してくれる際は、患側から介助した方がうまくいきます。

写真5
さて、そうなるとベッドの高さが問題となります。一般に、完全な寝たきりで全介助ならばベッドは高めにして色々な介護の場面で介護者が腰を屈めなくて済むようにした方が良い、ともされますが、この「膝をついての介助」はベッドが高いとできません。また、ベッドが高いと車椅子への移乗動作も難しくなりますし、私は全介助の場合でもベッドは椅子の座面かそれよりもやや高いくらいにして、このページの臥位移動やオムツ交換などの際には片膝をつかせてもらい、あるいは積極的に起座介助から車椅子離床を行なった方が良いのでは?と思えます。