老人介護についての個人的HP-1介護 How to - (3)安静臥床
安静臥床とは要するに「寝ていること」ですから、技術的な説明も何も無いような気もしますが、それでもいくつかの押さえておきたい点や提案できる内容がありますから、以下に紹介します。
夜間睡眠などの休息のため以外には、臥床状態はなるべく避けたい「過ごし方」です。安静臥床時間が長いと、どうしても心身に「廃用性症候群」を起こしてきてしまいます。(廃用性症候群については「4介護にまつわる知識のコーナー」で取り上げています。こちらも是非!)例え意識がないような方でも全介助で車椅子座位姿勢をとることは大抵の方は可能ですし、それだけでおむつ交換が困難になるほどの下肢関節の拘縮は防げます。
でも、本人さんの状態や介護負担、住環境などの問題からどうしても臥床時間が長くなってしまうようならば、以下のようなことを注意し考えてみてください。
「寝たきり状態」といえばすぐに「エアマット」というくらいに、エアマットもごく普通に使われるようになってきました。確かに褥瘡予防という点では優れたものです。(所詮、完全ではないけど(^_^; )しかし、エアマットは自力での体動を抑制もしてしまいます。エアマットの上では寝返りもしにくく、座位も安定しません。
したがって、寝たきりであっても寝返りが十分にできるような方には、エアマットは不要なはずです。同じく自力で、あるいは介助を受けながらでも起座してもらおう、という場合には、その導入は慎重であるべきです。褥瘡予防のためのエアマットが、なおさら褥瘡の原因である「寝たきり状態」を強めてしまいかねません。
エアマットを使用するのは、全く意識がないような植物状態の方、意識はあってもごく重度な障害の方など適応をよく考え、どうせ使うならば、褥瘡予防効果の高い、良い品物を選びたいものです。
全く意識のない方や身動きのできない方、そんな方々には狭いベッドの方がお世話しやすいでしょう。反対に洋式生活の起居動作のスタート動作として、ベッドから起座したりする場合には、広めの方が動きやすいものです。医療介護用ベッドは、幅が78cm・83cm・90cmと種類があります。部屋の広さとの兼ね合いもありますが、できれば本人さんの身体機能面からも選びたいものです。(ベッド幅については、このHow toのコーナーの起座のページ、および、2介護福祉機器のコーナーでも改めて取り上げます。)
さて、寝たきりの方であってもできることはないでしょうか?意識さえ清明で極端な痴呆がなければ、座位が困難な方でもできることはあります。まず、介護にあたるご家族にとってもありがたいのが「おむつ交換への本人さんの協力」です。これは上を向いて寝ている姿勢から、両膝を立ててお尻を持ち上げる動作で実現できます。(ブリッジングと呼んでいます。)お尻が浮けば、おむつ交換はずっと楽になりますし、本人さんにとっても何よりの「機能訓練」となります。
それも難しい時はどうでしょう?例えば東京医科歯科大学の竹内孝仁先生は、小さなほうきで寝ている頭の脇を掃除してもらう、というエピソードを紹介しています。たかがそれだけのこと、というのではなくて、たったそれだけのことでもご家族から本人さんに「ありがとうね。」と声をかけることができます。そう声をかけてもらえば、本人さんもきっと嬉しいでしょう。そしてそれは、とても大切なことだと思います。また、私自身も「寝たきりで全く何もできない方が、自分よりも厳しい状況、死に直面しているような方々のために、毎朝毎夕お祈りをしています。」という、実践報告を聞いたことがあります。そういう本人さんの精神性にも、深く敬意を表したいと思います。
最後に強調しておきたいこと、それは「寝たきりを悪者扱い」するな、ということです。文頭に「なるべく避けよ」と書いておいて矛盾するようですが、お世話する側が「寝たきりになってしまった」という発想よりも、「まだ、(頭の脇のシーツを)掃除もできる、お尻上げもしてくれる」という心情でいた方が、本人さんにとってもどれほど幸せか分からないと思います。要は「必要以上に寝かせきりにせず、やむを得ない時は前向きに。」ということです。