老人介護についての個人的HP-1介護 How to - (8) 端座位横移動

端座位横移動について、ノブさんを通して

 さてさて、もう少し起居動作の説明を続けます。これが進まないと、介護機器の工夫などの説明に入れないからです。(^_^; で、次は「端座位横移動」です。普通、「移動」といえば歩行や車椅子での移動、あるいはせいぜいいざり移動くらいしか思い浮かばないと思いますが、ここで取り上げる「端座位横移動」はADL上でも、とても有益な「知られざる移動方法」です。(^_^;

 端座位横移動とは、腰かけた姿勢のままでお尻を少し浮かせてよいしょ!よいしょ!と横に動くことです。(写真1)これができるための条件として、@端座位が安定している。少なくとも手を膝の上においても座位が安定していること。A腕で座面を突っ張ることができる。同時に身体を少し屈ませて重心を前〜足に移して、お尻を浮かし気味にできる。ということになります。また、環境的な条件として、Bベッド面がフカフカ柔らかすぎないこと。C端座位で足がしっかり床についていること。という条件をあげることができます。こういう言葉での説明で分かりにくかったら、ぜひとも実際にできるかどうか、試してみたください。(^_^; 写真のモデルは「ノブさん」で、今回のテーマ「端座位横移動」はできるが、(膝関節が伸びないために)起立歩行はできないというおばあさんです。今回の主役です。(^。^)

写真1 端座位横移動の開始(左)と横移動中(左)

端座位横移動のADL上の意義

 この端座位横移動ができると、ADL上、次の2点で自立性の向上が望めます。@ポータブルトイレの自力使用〜排泄の自立 Aベッド〜車椅子間の移乗動作の自立です。この2つが、例え「立つことができない人」でも機器環境を整えることで実現できます。それを具体化したのが「ノブさんのベッドまわり」です。写真2の奥に、ベッドと全く同じ高さにフラットにしたポータブルトイレが見えます。手前には「食事大作戦」でも説明した「側板跳ね上げ式車椅子」が、側板を跳ね上げた状態で置いてあります。

写真2 ノブさん:端座位横移動者ADL環境、フラット型ポータブルトイレと側板跳ね上げ式車椅子

※端座位横移動による車椅子移乗動作

 写真3は、ノブさんが「側板跳ね上げ式車椅子」に横移動で移乗しているところです。写真ではちょっと分かりにくくなってしまいましたが、ベッドと車椅子座面がほとんど同じ高さになっています。ベッド〜車椅子間の移乗動作は、これで自立です。

 写真3 横移動で車椅子へ

※端座位横移動によるポータブルトイレの自力使用

 写真3は、フラットポータブルトイレを詳しく写した写真です。ご覧になって分かる通り、ベッド面とトイレの座面を完全に同じ高さに揃え、隙間も無くしてあります。これでノブさんは、立てませんが完全に排泄は自立しました。このトイレは私どもの方での「手作り品」です。(詳細は、この次に「機器のコーナー」の中に「ポータブルトイレについて」というテーマの中で紹介します)もっとも、立っていられないのにどうやってズボンや下着の上げ下げをしているのかというと、写真4のように、「寝転がってお尻をふっ立てて」行なっています。この動作、実は既にこのHPで一度紹介しています。このHowtoのコーナーの「安静臥床について」のページで「寝たきりでもできること」の一つとして「お尻上げしておむつ交換にお手伝い」として紹介した動作です。ノブさんもまだおむつをあてていた頃、このお尻上げをしてくれていました。つまり、前の段階で行なっていた動作が次のレベルの動作の中で「役立っている」のです。そしてそれは、この「端座位横移動」でも同じです。

 

写真3 横移動用フラットポータブルトイレ     写真4 寝たまま上げ下げ        

端座位横移動動作の身体機能上の意義

 「端座位での横移動動作」この動き方、何か別の動作に似ていませんか?ずばり「起立動作の最初」の動きと同じです。つまり、体重をすっかりお尻に乗せきった状態から、重心を前方に動かしてわずかでも足に体重をかけてお尻を浮き気味にする、これは「立ちあがりの動き方」と全く同じです。実はノブさんも、紹介したように「端座位横移動によるADL自立」となってから、徐々に訓練室内で「立つ」ことも上手になってきています。繰り返されるADL動作の中で、自然と次のレベルの「立つ動作」の基礎が出来てきているのです。さぁ、あとは一旦伸びきらなくなった膝が、再び伸びてきてくれるでしょうか・・?

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