老人介護についての個人的HP-1介護 How to - (9) 端座位からの起立
次は「起立動作」です。まずは自力で立つための条件やコツをまとめます。それが理解できて初めて、介助する際にも効率のよい安楽な介助ができるようになります。
@座面の高さ
まずは「椅子から立つ」動作なのですから、座面の高さが一番の問題となります。普通の家具椅子は40cm強程度の高さとなっており、小柄な方ではそれがやや高すぎるか?という程度です。でも、やっと自力で立てるかどうか?という方にとっては「やや高すぎる」位の方が楽に立てますから、結局、椅子やベッドの高さは40cm程度が良い、ということになります。もちろんその人ごとに、体格と能力によって調整が必要なのはいうまでもありません。「5cm、3cm高過ぎるか低すぎるか?」場合によってはそれくらいの微妙な差で、自力で立てるか立てないか、決まってしまうことさえあります。そして座面はフカフカやわらかすぎないこと、むしろしっかりかためのほうが動作しやすいですね。
Aお尻をやや前に出し、足を後ろに引く
さて、いよいよ実際に立ちあがる動作に入ります。まずはお尻をやや前の方へずらし出します。そして同時に足をお尻の下の方へ引きます。(写真1)これが「立ちあがり動作」の準備段階です。
写真1 浅く腰かけ足を後ろに引く
B思いきりおじぎをする(重心を前に移動し、足に重心をかける)
写真2のように、思いきりおじぎをするようにして重心を前にかけます。自力で立てない、という方の場合、この動作からができていないことが多いようです。(これは、“一つ前”の「端座位横移動」と同じ動作・姿勢ですね。)
写真2 おじぎで重心を前に
Bお尻をふったてる(写真3)
頭をおじぎのままで、お尻を浮かせます。おじぎが足りないと、すぐにお尻が後ろ下へ落ちてしまいます。
写真3 おじぎのままお尻浮かし
Cゆっくり頭〜上半身を起こす
十分にお尻が浮いてから、初めて頭と上半身を起こしていきます。その際には、例えば写真4のように腕で膝を押さえたりしても構いません。もっともモデルの方は、自力ではこれ以上に腰を伸ばすことはできません。(^_^;
写真4 ゆっくり腰を伸ばす
D立ちあがり動作時の頭の動き方
こうしてまとめてみると、立ちあがる際に頭はまっすぐ上に向かうのではなくて、一旦大きく前下方に向かい、そこからゆっくり上がっていくことが分かります。(図1)この頭の動き方を、十分に意識して行なうべきです。反対に健常な方でも、この頭の動きを止められてしまうと、なかなか立つことはできません。椅子に腰かけた姿勢で誰かにおでこを手のひらで押しおさえてもらってみてください。よほどの無理をしないと立てませんよ。(^_^;
図1
起立動作時の頭の動き方、一旦大きく前下方へ。
足が十分に後ろへ引いてありますか?足を伸ばしたままでは健常な方でも立てません。
おじぎは十分にできていますか?実はおじぎを深くしようとすると、「前に転げ落ちそうで怖い」という場合があります。まずは写真5のように、「深くおじぎの練習」をしてみましょう。これで手が床に届かせられない人は、写真6のようにおじぎをしても怖くないように、つかまるところを準備しましょう。
頭〜上半身の起こし方が早過ぎていませんか?立ちあがるのに焦ってしまうと、後ろにドスンと落ちてしまいます。そういう場合も前方につかまるところがあるとよいでしょう。
写真5 おじぎで床に手を
立つための手すりは、上記のように「重心の前方移動」を介助するものでなくてはいけません。従って写真6のように、腰かけた位置から少し離して、腕を軽く伸ばして届くような位置になければいけません。すぐ目の前では「おじぎ」ができずにかえって立てなくなります。また、立つのだから、と、手すりが上の方につけてあるのを見ることがありますが、重心は一旦、前「下」方に動くのですから、上の方につかまるのではかえって立ちにくくなってしまいます。
つまり、おじぎをするのに邪魔にならない程度に身体から離した位置に、腰かけた姿勢での肩よりも低い高さ、おなかあたりの高さにつかまる手すりがあればよい、ということになります。(写真6・7)ちょうどよい位置でしっかり物につかまれば、立ちやすく腰もすっきり伸ばしやすくなります。

写真6・7 起立のためにつかまる場所 写真4より腰も伸びます
大体以上が、自力起立のために押さえるべき基本的なポイントです。このようなポイントを踏まえて、自力起立するための様々な手すりの規格や「起立介助法」を考えることができます。という訳で、次にアップするのは「立ちあがり〜介助起立」と、機器のコーナーに「起立のためのベッドさくと手すり」の2つのテーマとなります。なるべく早くに、と思います。(^_^;