@生活目標
目的:最低限、現在の歩行能力は維持しつつ、特に家屋内に閉じこもってしまわないようにしましょう。
手段:家屋内でのADLの自立性と安全性を確保しつつ、外出の機会を持ち、その方法を確立しましょう。
もはや屋外を歩く力はない・家の中だけはやっと歩ける、という方は、まさに「要介護状態になりかけ」の状態です。この時期の援助が適切になされるかどうかで将来的な本人様の様子が大きく変ってくるのですが、本人様もご家族の方も、もしかしたらまだそれほど切実な問題に直面しているとは感じられないで対策が後手後手になってしまいがちかもしれません。注意してあげて欲しいと思います。
現在の機能を維持しながら安全に暮らすためには、既に機器環境を十分に整えてあげる必要があります。以下のページにその要点を整理しておきます。
さらに、自由に外出し他者と交流を持つことが困難になってきていますから、精神的にも物理的にも一気に「閉じこもり」が進んでしまう恐れがあります。(→ 閉じこもりを防いで他者との交流をもちましょう)そうなるとどんなに家屋内の環境を整えてあげても心身機能の低下に拍車がかかってしまいがちですから、それは何としても避けたいものです。外出には人の助けが必要なわけですが、どのような手段や機会があるか?考えてあげたいものです。
もはや実用的に歩くのは難しいという場合には、次項の「立つのがやっと・・」という方のための車椅子使用の場合やいざる場合についての各項目をご参照ください。
A生活様式全般
屋内がやっと歩ける、というレベルだと、畳や布団〜床への立ち座り動作はすでに難しいのではないか?と思います。そうなると、家屋内移動方法としてあくまで「歩く」のならばベッドや椅子を利用した洋式環境を取り入れなければなりません。それから不安定な歩行を補うため、いたる所に「手すり」(B家屋内移動の項、参照)が必要となるでしょう。狭い家屋ならばそれを逆手にとって、あちこちを「伝い歩き」することも考えられます。
B家屋内移動
すでに屋外は歩けず屋内ならば・・というレベルの訳ですから、歩くための環境も十分に整えてあげなくてはいけません。
具体的には、要所要所に手すりが必要になります。廊下やトイレ、お風呂など、以下の各項目ごとに手すりが必要になると思います。また、「寝室・居間・トイレ・お風呂・玄関の各々をつなぐ動線」を具体的に考えて、必要な場所に手すりをつけてあげましょう。→ 手すりについてをご参照ください。
また住環境によっては、家屋内で杖や歩行器を使うことも考えられます。→ 歩行器について、で説明している通り多点杖やフレーム型歩行器ならば、屋内でも有効に使えることが多いものです。
あとこのレベルですと、屋内を何とか歩けても、自力で床に立ったり座ったりするのは難しいかもしれません。それでも時には転倒などのアクシデントや、何らかの必要があって全介助で床の上に座ったり床から立たせたりすることが必要となるかもしれません。そんな時のために、ご家族さまはぜひとも「床への立ち座り動作の介助法」(→ 床からの起立・床への座り〜介助の場合〜及び転倒者の助け上げ)を身につけておいてください。いざという時に困らないようにしておきましょう。
C寝具
やっと歩ける、というレベルでは、椅子から立ったりするのも自由自在にという訳にはいきません。ですからベッドも高さやマットの固さに十分留意して、自力で動きやすい環境にしてあげなければいけません。(→ ベッドについて〜1)この段階で、例えばベッドが低すぎたり高すぎたりすると自力での離床が困難になり、一気に寝たきり化が進んでしまいます。また、ベッドから立ちやすいように「起立用の手すり」を準備してあげるのも大変に良いことです。(→ ベッドにとりつける起立用のバー)
D排泄
まず、何としても歩いてトイレでという場合には、最低限洋式トイレになっていないといけません。家のトイレが未だに和式トイレであったとしても、和式トイレにかぶせて腰かけトイレにしてしまう「かぶせ便器」がありますから、それが使えないでしょうか?(→ 使いやすいポータブルトイレについて)それから、トイレに座ったり立ったりする時のために「手すり」があった方が良いですね。適切な位置につけてあげないと役に立ちませんから、手すりについて、をご参考にしてください。
それから寝室や居間からトイレに至るまでの「動線」を考え、その途中にも手すりや伝い歩きするためにつかまる物を準備してあげることが必要です。
トイレが遠い、あるいはトイレまで歩いていては間に合わないという場合には、ポータブルトイレを使うことが考えられます。安全に使えるように→ 使いやすいポータブルトイレについて、をご参照の上、良い物を準備してあげてください。夜間のみポータブルトイレを使うのであれば寝具の脇に置いておけばよいのですが、日中もポータブルトイレを使うという場合には、トイレが寝具の脇にしかないと日中から寝室に閉じこもってしまう原因になりかねません。日中過ごす居間と寝室が隣り合わせているなどの場合以外は、夜間寝室用のポータブルトイレと昼間居間にいる時用のトイレを別々に準備する必要があるかもしれません。もちろん、居間の中にトイレを置いてしまわなくとも、隣室や廊下の隅など「間に合う場所」に置いてあげればよいわけです。