老人介護についての個人的HP- 可能動作レベル別(6)-2

〜具体的な「介護生活」のイメージの仕方〜

端座位に起こしてあげれば座っていられる・・という方(後半)


E入浴

 既に寝たきり状態の度合いが強まっていて、例え背もたれがあっても長座位(足を前に投げ出した座位)姿勢が苦しくてとえない、ということになると、既に当たり前の浴槽では入浴は難しい状態かもしれません。反対に、軽く膝を曲げた半あぐらの姿勢でも良いから背もたれに頼りながら上半身を起こしていられれば、普通の和式や半和式浴槽に入れる可能性があります。

 このレベルの方の入浴は、「移乗動作には介助が必要であっても、腰かけてはいられる」ということで基本的には前節の「立てないけど起きあがれる」という場合と良く似てきます。つまり、浴室や浴槽脇までの移動が何とかなれば、そして浴槽移乗台や浴槽の深さなどのサイズが適切であれば、自宅のお風呂に入れる可能性があります。(→ 家庭浴槽について)もっとも乗り移り動作の介助はだんだんと大変になってきていることには間違いありません。特に本人さんが裸の場合には、介助の際につかむ所がなくてなおのこと大変ですから、ご本人さんの腰まわりに「介助ベルト」などをしめてしっかり介助しやすいようにする工夫も必要かもしれません。(→ 端座位からの起立〜介助の場合:起立介助ベルトについて) 


F食事

 「起こしてあげれば腰かけていられる」とはいっても、既に長い時間そのままにしているのには不安のある状態かもしれません。従って食事の際にも、何らかの「背もたれ」を考えなくてはいけないことが多いでしょう。一番簡単なのは、「ギャッヂアップベッド」ですが、これには問題の多いことは既に前節でも指摘した通りです。。(→ギャッヂアップベッドの多用はちょっと待った?!)となると、「食事は介助で車椅子に移乗して」摂るのが一番望ましい、ということになります。B家屋内移動のページでも述べた通り、できるだけ乗り移り介助しやすい車椅子規格にしたいものです。また、車椅子への移乗がどうしても大変!ということならば、ベッド脇に足を垂らしつつ腰かけ、同時にベッド上に背もたれのようなものを置いたりして座位の安定を図る、という手段もありますが、なかなか既成品でそういう機能を持った製品がありません。以前に手作り品で素晴らしい工夫のされたものを見たことがあるのですが、ぜひ私の方でも作ってHP上でもご紹介したいと思います。ベッドに腰かけた人に対して、背もたれと左右の肘おき、そしてテーブルまでセットできて座位の安定を図る、という「座位補助具」です。そんなものがあれば「座っていられる」機能を食事のたびに活かすことができますね。(やっとできました。(^_^; → ベッド用テーブル付き端座位保持装置と制作過程


G日中安静

 F食事の項でも述べた通り、既に背もたれなしの座位を長時間とるわけにはいかないでしょうから、日中安静姿勢としては「ベッド臥床」か「車椅子・安楽椅子」かのどちらかになってしまいます。繰り返し述べているように「ギャッヂアップ姿勢」はできるだけ避け、できるならば「車椅子」で過ごす時間をできるだけもちたいものです。ただし、このレベルでは車椅子への乗り移り介助も大変になってきていますでしょうし、よほど意識しないとベッドから車椅子で離床することはなかなか習慣化しにくいかもしれません。

 だからこそ、「ディケアディサービスの利用」や「ホームヘルパーさんの訪問」など、毎日の暮らしの中に「ちょっと特別な時間」を積極的に作って、その時間帯は当たり前のように離床すること、そしてそんな時間以外はベッド上でくつろぐこと、サービス利用のない日はせめて食事だけは車椅子で摂ること、そんなふうにして、べったりベッドに寝たきりになることだけは避けたいものです。


H外出手段

 このレベルですと、屋内で車椅子に乗ってしまってそのまま屋外へ出てしまうことが現実的な方法となるでしょう。ご本人さんを乗せたままでの「キャスターアップによる段差越え」や「スロープ昇降」など、介護者さんは車椅子操作技術についても十分に習熟していただかなければなりません。(→ 長いスロープよりは「車椅子階段」も)その上で、屋内から車椅子のままで屋外へ出られるようなアプローチ方法を考えなくてはいけません。どうしようもない場合は、ディケア・ディサービス利用の送迎時など介助者さんの人手がある時のみになってしまってもしかたありませんが、「起こしてあげれば座っていられる・・という方」の外出手段の項でも述べた通り、最低限でも非常時の屋外への脱出?方法だけでも考え明確にしておく必要はあります。また、経済的に余裕があれば、「家庭用車椅子エレベーター」があれば車椅子による外出に何の苦労も伴わなくなります。(→ 家庭用車椅子電動昇降機の設置例)ただ、「高価」ですね。設置費用の助成を受けたり、既成品ではみかけませんが、高価な電動式でなくても「足踏み油圧式段差越えエレベータ」みたいなものは実現できないでしょうか?

また、屋外を車椅子で移動する場合には、もしもの転落事故に備えて腰、もしくは胸回りの安全ベルトを車椅子に作りつけ、使用する方が良いでしょう。


I外出機会

 例え痴呆があっても、意識状態が不鮮明な状態でないのならば、むしろ重症であるほど外出の機会を設定することで、家庭自室ベッドの上に限られてしまいがちな生活空間を広げ、平板になりがちな生活時間にメリハリを持たせたいものです。もちろん外出にはそれなりの苦労も伴いますから、送迎サービスのついたディサービスやディケアを利用することにすれば、介護者さんの負担も少なく済みますし、むしろ介護休みの時間にもなります。もちろん、人によっては重い障害を持って人の中に出かけて行くことに抵抗を示される方もいらっしゃるかもしれません。ですから本当は、切羽詰ってからサービス利用しようとするのではなく、むしろ余裕のあるうちからサービスを利用し慣れ親しんでおきたいものです。「屋内歩行はできるけど・・という方:@生活目標」で、「この時期の援助が適切になされるかどうかで将来的な本人様の様子が大きく変ってくる」と書きましたが、例えばこんなこともその一つの例ですね。

 そしてどうしても外出することが難しければ、これも既に書いた通りせめてホームヘルパーさんに時々家に来てもらうなり、はしたいものです。それがむしろ、適当な緊張を与え生活にメリハリを与えると同時に、生きぬきの時間にもなれば幸いなのですが。

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