老人介護についての個人的HP- 可能動作レベル別(7)-2

〜具体的な「介護生活」のイメージの仕方〜

端座位に起こしても自力では座っていられない・・という方(後半)


E入浴

 一人で座っていられない方の入浴は、当然、寝たまま臥位浴槽だと思われますか?必ずしもそうではありません。どんな寝たきりの方でも大抵の場合は車椅子に座っていることができます。となれば、身体を起こしての座位入浴できる可能性が高くなります。機器としては「座位機械浴」(→ 病院・施設の機械浴〜座位機械浴のお勧めと付属施設について)がちょうど良い適応となるように思われますが、実際問題としてご家庭内ではそのような機械はありません。完全な介助でもって環境を整えた普通の浴槽を利用できないこともありませんが、絶えず目と介助の手を離すことができませんから、実際には難しいかもしれません。

 浴槽の出入りは困難でも、夏場は大きめのゆったり背もたれるシャワーチェアでシャワーだけでも浴びることができれば、大変に幸せなことです。その際にはシャワーチェアは車輪の大きめのものとして、ベッドからシャワーチェアに直接移乗して浴室まで行き、上がる時は脱衣場でシャワーチェアから車椅子に乗り移ってベッドに戻る、という方法が効率的だと思います。 


F食事

 一般に、食事を摂る時は体はしっかりと起こし、首〜頭は嚥下しやすいようにやや下向きになっているものです。(→ 食事摂取の姿勢)しかし自力で座っていられないという方だと、そのような姿勢をとることが難しいかもしれません。かといって、寝たままやギャッヂアップ姿勢での食事はなるべくなら避けたいものです。特にギャッヂアップによる食事姿勢はよく見かけるものですが、実際は「食べにくく」(→ 食事摂取の姿勢)「身体全体の変形の誘発」(→ ギャッヂアップベッドの多用はちょっと待った?!)もしかねません。介護能力にもよりますが、可能ならば車椅子への移乗介助の上で食事の時だけでもきちんと身体を起こし離床したいものです。その場合、車椅子の規格については特に必要とされる機能・介助しやすさといった点で注意深く選定したいものです。詳細は次項のG日中安静で述べます。


G日中安静

 寝返りやベッド上で多少ゴソゴソできるか?という以外は、あえらゆる面で要介助の状態ですから、介助しなければ文字通り「一日中寝たきり」状態となってしまいます。最近は家庭内でもギャッヂアップベッドが当たり前に使われるようになってきましたから、それで上半身を起こして過ごしている方も多いでしょう。(でも、その弊害も繰り返し指摘してきた通りです。)

 やはり、離床して生活行動範囲を広げるためにも、あるいは不要な身体変形を防止するためにも、短時間でも車椅子で過ごすことはできないでしょうか?よほどカチカチに極端に変形拘縮が進み固まってしまった方でなければ、背もたれのある車椅子に座っていることはできるものです。一日一度食事の時間だけ、でも、「一日中ベッド」よりはずっと好ましいです。

 このような極めて身体能力の低い方のための車椅子としては、以下のような機能を重視しなければいけません。

  1. 座面幅奥行きなどのサイズがご本人さまの体格になるべくフィットしていること。サイズの合わない車椅子では、すぐに姿勢が崩れ疲れてしまいます。姿勢の崩れを自力で直すのもままならないと思われますので、これは大切な点です。
  2. 身体能力に応じて、延長背もたれ(→ 車椅子延長バックレストやリクライニング機能(→ 車椅子の種類と適応:リクライニング式)がついていること。スタンダードな車椅子では、背もたれは肩甲骨辺りまでの高さしかありません。上半身〜頭が後方もしくは前方に崩れやすい、ということならば、それらの追加機能が必要となってきます。
  3. 機能的な座面となっていること。普通の車椅子の座面は、単なるビニールシート張りです。これではお尻も痛くなりやすく姿勢も崩れやすいです。自力で座りなおしたりお尻をずらしたりできればまだよいのですが、このレベルの方ですとそれも難しいと思われます。ですから、あらかじめ座面も、より高機能なものとしたいわけです。ビニール張り座面に座布団を一枚敷くだけでも痛みの点では改善が得られるかもしれませんが、座布団が滑ることでかえって姿勢が崩れやすくなってしまうかもしれません。そんな時は後乗せの機能的な座面を使うのも一つの手段です。安価なものから高価なものまで色々あります。(→ 車椅子クッションについて)また、最近は初めから機能的なクッション性のある座面・背もたれとなっている車椅子も発売されています。(→ 車椅子の種類と適応:機能型座面車椅子
  4. 介助しやすいこと。介助しやすいとは、ズバリ「移乗動作介助しやすい」ということが最大のポイントとなるでしょう。端座位に起座をするのも介助・その姿勢のままでいるのにも介助・そこから車椅子へ移るのにも介助のわけですから、起座介助する段階であらかじめ車椅子に移乗できるようにセットしておかねばなりません。ずばり、側板はねあげ式の車椅子をお勧めします。(→ 車椅子の種類と適応:側板はねあげ式)これであれば、ベッド上端座位からその姿勢のままで、横に移動させるような感じで車椅子へ介助移乗してもらうことができ、介助負担はずっと小さくなります。
  5. 安全を確保すること。転落防止のため、腰からお腹あたりの高さで安全ベルトを使うことにしてもよいと思います。(→ 車椅子抑制・安全帯(及びその他の工夫)について)ただし、身体が前屈してベルトが食いこんでしまっていないか、注意してあげることも必要です。

H外出手段

 さぁ、ベッドから離床するのも上記の通りなかなか大変なことなのに、外出などできるのでしょうか?そもそもご家族だけでは遠方へ長時間の外出は不安かもしれませんね。でも反対に、一旦ベッドから車椅子へ移乗できたのならば、お天気がよければ短時間でも屋外で日光を浴び、風に吹かれたいですね。上記の通り、背もたれ延長など車椅子自体も大きくなりがちですし、ご本人さんの座位保持機能も低いだけ、キャスターアップなどで車椅子全体を大きく傾けたりするのも避けたいですね。ですからキャスターアップで段差越えして屋外に出るのではなくて、使いやすい車椅子スロープや車椅子昇降機があれば良いのですが・・。ある程度、大がかりな道具の準備が必要かもしれません。


I外出機会

 介助も何かと大変ですし、ご家族だけの外出の機会は少なくなってしまう、むしろ困難かもしれません。でも、障害が重度であればあるほど、むしろ積極的に公的なサービスを利用して、入浴介助や食事介助などを積極的に受けたいものです。

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