老人介護についての個人的HP-2 介護福祉機器-(12) 車椅子クッション

車椅子クッションについて

※車椅子の座りごごちは悪い!

 椅子としての機能の第一点は「座りごこち」であるはずです。では、普通の車椅子の座りごこちはどうでしょうか?普通の車椅子の座面や背もたれは、ビニールレザー貼りか布貼りですね。これでは体重がかかったところだけがたわんで沈んでしまいます。ちょうどハンモックに座っているようなものです。たわんで沈んだところにだけ体重がかかってしまいお尻が痛くなったりしますし、つまり普通の車椅子の座りごこちは「悪い」というべきではないでしょうか?実際問題として「小さな座布団を敷いたくらいではお尻が痛い。だから臥床してしまう。」ということになると、せっかくの身体機能も活かされず廃用性症候群の原因ともなってしまいます。

※車椅子クッションの種類

 そんな時は専用のクッションで対処しましょう。車椅子のクッションにもいくつか種類があり、それぞれに機能もお値段も違います。以下に整理します。

@円座クッション

 ドーナッツ型のクッションです。空気式・ビーズの詰まったもの・綿の詰まったものなどがあります。もっとも私には、円座クッションが上記車椅子の欠点を補うとはあまり思えません。文字通りドーナッツ型にお尻が乗りますから、姿勢が左右に崩れたりもしやすいですしそれは特に空気式のものでは目立ちます。あえて円座を選ぶならば、ビーズの詰まったものが良いと思います。

Aフェルト布クッション・スポンジクッション

 フェルト布や綿を重ねたり、固めのスポンジで四角く座布団のように仕上げ、布カバーで包んであります。固め・柔らかめなど製品によってまちまちですし、写真1のように姿勢保持具としての機能性を持たせたものもあります。これでも何も敷かない状態や薄い座布団よりはずっと座りごこちが良くなると思います。お値段は数千円から1万円前後くらいです。

写真1

B俗に言う「こんにゃくクッション」

 40cm四方で厚み5cm程度のグニャグニャしたシリコンクッションを布で包んであります。(写真2)これは非常に体重分散の効率が良く、例えばビルの上からこの上に生卵を落としても割れない、なんていうイメージがあります。(ウソか本当かはやったことがないから分からないけど(^_^; )ただ、これはお尻の皮膚全体にべチャッと密着する感じがしますし、多少フラフラ(グニャグニャ)した感じがあります。お値段は3万円程度です。

写真2

Cロホクッション

 縦に長い卵、もしくはモンシロチョウの卵のような形をした高さ5cmくらいのゴム製の空気部屋が40cm四方にズラッと並んで座面を作っています。(写真3)空気の小部屋はそれぞれに小さな道でつながっています。それ全体を薄い布で包んで使います。今のところ、車椅子用クッションとしてはもっとも優れていると言ってもよいと思います。空気部屋ごとに空気が移動してお尻の形にフィットし皮膚全面が密着する感じもありません。フラフラする感じもしませんし、大変に座りごこちのよいものです。お値段は4万円ほどです。

写真3

※車椅子クッションの適応

 お尻にも褥瘡のできやすい脊髄損傷者の場合はロホクッションを使うことが当たり前となっています。脊損ではなく「お尻が痛い」という場合には、まず小さ目の毛布を畳んで座面に敷いてみましょう。それで楽に長時間座っていられるようならば、フェルト布やスポンジのクッションでもよいでしょう。それでも長い時間のうちにはお尻が痛くなる、あるいは車椅子の上で自分のお尻を全くゴソゴソできないという場合には、こんにゃくクッションかロホクッションが必要となります。寝たきり防止のために車椅子座位を、という場合で身体障害の重度の場合には、自力で身体を動かしてお尻への体重のかかり方を変えることは無理なことが多いかもしれません。そんな時は思いきってはじめから良い(高価な)クッションを準備した方がよいかもしれません。はじめから自費で購入しなくても、身体障害者手帳があれば「補装具の交付」で助成をうけることもできますし、月々の支払いで「レンタル」を利用し試してみる、というのもよいでしょう。

※車椅子クッション利用時の注意点

 車椅子クッションによっては厚みが結構あります。それまで体格にちょうどよい車椅子にクッションを敷くと、その分だけ座面が高くなってしまいます。その分だけ、特に機器の(9)で説明した「フットプレートの高さ」を調節してあげなければいけません。クッションを敷く前にちょうどよかったのならクッションの厚みの分だけフットプレートを上げてあげないと、足がプレートに届かなくなってしまいます。

 また小柄な方にクッションを使うと座面が高くなりすぎて、車椅子への乗り降りに難儀になってしまうことがあります。その場合には車椅子のシート座面高が40cm程度の「低床型」といわれる車椅子にクッションを使うようにしましょう。

※その他の話題

 私が当たり前の車椅子座面に強い不満を持ったのは、もう10年近くも前に大手自動車メーカーHさんが自社の車用の座席シートにキャスターを取りつけて、車椅子に仕上げて福祉施設に寄付をしたというニュースを聞いた時からです。「そうだ、椅子としての座面がこんなであって良いわけはない!」という感じでした。

 実はクッション地の車椅子もあるにはあります。それは介護型車椅子(車輪の小さな押してもらう専用の車椅子)で、かつフルリクライニング車椅子(背もたれが後ろに倒れてストレッチャーのようになる車椅子)で、“豪華”なタイプの車椅子です。(写真4)ところがこれはクッション地といっても背もたれも座面も薄い“平面”ですし、クッション地はむしろリクライニングした時のための規格、という面が強いように思います。背もたれも頭の上まで長くなっていますし、取り扱いしにくいものですから適応は限られると思います。

写真4

 それから、最近ある車椅子メーカーさんから、スタンダードな車椅子の座面と背もたれを機能的な形のクッション地にしたものが発売されました。そのままでは当たり前に折り畳むことができませんから、折りたたむ時な背もたれと座面を取り外すようになっています。営業の方に聞くと、「もう一つ売れていない」とのことです。(^_^; 折りたたみが面倒・割高などが原因かと思いますが、何よりこれまでの車椅子のイメージと合致しないのでしょう。椅子としての機能を重視したこのような車椅子が、段々と普及するように願っています。

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