老人介護についての個人的HP-2 介護福祉機器-(26) テーブルは結局何cm?
オフィス家具メーカーIのKさん、ご質問ありがとうございました。HPで改めて、写真画像つきでお答えいたします。
本当は「機器(15)家具椅子は高すぎてないかい?」で取り上げたとおり、高齢者にとって椅子座面高は一般的な42cmではやや高過ぎることがあり、39cmで良い、と私は思っています。そして「機器(16)機器食事テーブルの高さと車椅子使用時の工夫」で触れているとおり、差尺(椅子座面からテーブル天板までの高さ)は高齢者の場合、20cmもあれば良い、と思っています。となると…
『椅子座面高39cm+差尺20cmで、テーブル天板高さは大体60cm!!』
と、言いきってしまいたいのですが、「そうはいかない」のが現場ですね。というのは、『車椅子使用者との兼ね合い』があるからです。
では、テーブル高が調節できるようにするか?あるいは、歩行可能者用と車椅子用テーブルを別々にした方が良いのか?という発想が生まれます。実際にそういう製品もありますね。しかし、私なりの結論は「両方とも×」です。(^_^;
天板高が調節できた方が良いとは言えますが、「日常介護業務の中で頻繁に調節するとは考えにくい」ですね。調節式であっても、納入時の設定のまま、あるいはごく稀にご熱心なスタッフさんが調節することがあるかなぁ?というのが、偽らざる現場の感覚です。「歩行者用と車椅子用の区別」これも現場では、やがてごちゃごちゃになることが目に見えています。それに、必ず歩行可能者さんと車椅子さんが別々のテーブルに、というのも寂しいですしね。(ご夫婦さんが離ればなれになったり…(^_^; )
必要なのは、「思索(14)ユニバーサルデザインという概念と老人介護」で触れている「ユニバーサル性」ということ。できる限り多くの歩行可能者さんと車椅子使用者さんにとって、ともに使いやすいサイズ・テーブルを考えたいですね。それが現場では一番重宝します。そしてそれは、「実現可能」だと私は思っています。(実践はまだ、ですが…)
ただし、そのためには「椅子とテーブル」だけではダメで、「車椅子」の規格もペアで考えないといけなくなります。
知り合いの施設では、車椅子の座面高を家具椅子となるべくあわせて全て「低床型」としてしまい、テーブル天板も下げたところがありました。しかし、個人持ちの車椅子は「標準型」であることも多いものです。明らかに高齢者には大きすぎるとはいえ、やはり一番多く使われている「標準型車椅子」のサイズを基準にした方が良いのかもしれません。となると、標準型車椅子の座面高は44cm程度はありますから、差尺20cmを足して天板は65cm。ただし、車椅子の側板が座面から20cm以上なのが当たり前ですから、天板高が20cmでは車椅子の側板が天板に当たって身体から離れてしまいます。
そこで、車椅子の側板は「デスクアームに延長肘置き」(写真1)として、隙間に天板を入れ込み身体が天板に近づけるようにすること、ですね。歩行者さんには42cm家具椅子としてもらって、同じテーブルで「65−42」となり差尺23cm。これでも現在の椅子42cmとテーブル70cmの差尺28cmよりも、5cm下がります。歩行者さんは当然身体機能が高いので、その分、ちょっと高めなのは我慢してもらえると思います。ただしこの場合、65cm天板のテーブルは、天板裏の「梁板」を中心寄りとし、すぐに膝や車椅子にぶつからないようにしなければいけません。(写真2)

写真1 写真2
というわけで、私なりの結論は…
『家具椅子42cm、テーブル天板高65cm、車椅子は標準型で側板が変形デスクアーム、天板裏梁に注意、ついでに車椅子同士が向き合ったり並んだりすることを考慮したテーブルの縦横サイズを。』
ということになります。これなら車椅子使用者さんも独歩者さんもそれぞれに、まぁ区別なく当たり前の現状よりは快適な環境になると思います。つまり、「理想」ではありませんが「現状の施設介護場面にもっともフィットし、機能的にも望ましい」形だと思っています。どちらかの施設さんで導入してみませんか〜?