老人介護についての個人的HP-2 介護福祉機器-(37) 膝関節屈曲拘縮者さんの車椅子調整

膝関節屈曲拘縮者さんの車椅子調整

 前々ページの「股関節伸展拘縮」で困るケースよりも、本当はこちらの「膝関節屈曲拘縮」で車椅子姿勢が不良となる場合の方が、はるかに多いはずです。極端なことを言うと、「日常的に見られます。」写真1のような方、身近にいられませんか?(^_^; さてさて、どうしましょう。

写真1

 写真1のような状態、これは「曲がらない膝を強引に下垂させようとして、お尻が前方に引きずり出されている」状態です。写真1では向こう側になってしまっていますが、左膝が伸展マイナス110度、という状態です。(←この表現、分かりますか?つまり、膝を伸ばしきった状態が伸展ゼロ。で、直角以上に110度くらいまで曲がっている状態から以上には伸びてくれない、ということです。)ほら、そういえばアナタの知ってる「○×さん」が似たような姿勢してるでしょう?(^_^; この方は、この姿勢で車椅子に乗っていても、やはりすぐに難儀がって「寝かせてくれぃ!」と訴えがあるとのことで、私に相談が寄せられました。

写真2

 さて、この方に対して私の方で調整を行なった結果が写真2です。上半身がしっかり起きているでしょう?注目は『左足』です。写真2で、左膝と左下腿がどうなっているか?分かりますか?分かりやすく言うと、「拘縮なりに左膝が深く曲げられ、下腿が座面の下に収まっている」ということです。写真1で(枕の下で見えないけど)取り付けられていた「レッグレスト」を取り外して、図1の赤線の部分に張りました。そのベルト上に左足先を乗せているわけです。えーい、分かりにくいですね、別の車椅子ですが同じようにセットしたのが写真3です。これなら分かりやすいですよね?白矢印のベルトの上に、膝が屈曲拘縮した足部を乗せているわけです。

 

 

 

   図1                  写真4     

 ただし、これでは楽な姿勢に座ってはいられても、膝はなおさら屈曲姿勢となってしまっています。ですから、このベルトの上に足部を乗せるのは、足部がキャスターの回転に巻き込まれないようにするため車椅子移動時のみとします。食事の時などは、このベルトから足部を床に向かって下ろしてもらい、90度以上の屈曲制限となっている今の状態からせめて屈曲マイナス90度を目指すこととします。この辺りは、車椅子構造も「積極的」に改善を図った分、ケアのあり方も同時に考えなければいけません。

 また、上でも少し触れましたが足部を座面の下に折り込むと、回転するキャスターに足部が挟み込まれる可能性があります。まぁ足部が上の写真のように張ったベルトに乗っていれば大丈夫なのですが、それでは膝の屈曲が深くなりすぎることも多いです。が、この位置よりも足部を下げるとキャスターに当たってしまうことが一般的です。つまり、このページで紹介しているのはどこにでもある安価な標準型車椅子での対応をまとめていますが、まとめとしては以下のようになります。

  1. 膝屈曲拘縮者で下腿を下垂させるまで膝が伸展してくれない人の場合、座面の下に屈曲拘縮した下腿を曲げ込めば、車椅子上で上半身が起きます。

  2. ただし、そのような位置にしっかりとした足部を乗せておく機構があるわけではありません。このページで紹介したような対応もできますが、本当はしっかりオーダー作成したいところです。

  3. 座面下に下腿を折り込む場合、足部がキャスターと車椅子フレームの間に挟み込まれる可能性があります。ですから、キャスターは普通の7インチキャスターではなくて、最低限5インチキャスター、できれば3インチキャスターのような小さいキャスターにしたいものです。

  4. このページの方のように片足のみの屈曲拘縮ならば、片足だけ折り込んでも大丈夫なことが多いですが、両足とも屈曲拘縮があって両足とも座面下に折り込むと、上半身が前方に崩れ落ちる危険が生じてきます。(写真5)その際には、この前ページで紹介しているような「座面角度の持ち上げ」調整なども行ないたくなりますね。

写真5

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