老人介護についての個人的HP-2 介護福祉機器-(41) 車椅子座面の「へたり」
写真1をご覧ください。ごく普通の車椅子ですが、時に「この状態」が不良姿勢の原因になったり、車椅子座位を難儀なものにしてしまったりしています。「どこが?」というと、表題の「座面のへたり」が、です。

写真1
図1をご覧ください。これはへたった座面にお尻が乗っているところを模式的に表したものです。へたった座面の上で正しく骨盤を起こして座っていると、坐骨結節部に体重が集中してしまいます。当然、そこだけ痛くなります。痛くないようにするには、『お尻を前に滑らせ、仙骨“面”で体重を受けるように』すればよい、ということになります。(←私たちも日頃、結構やっていたりして…(^_^; )つまり、『座面のへたり → お尻の痛み → ずっこけ座り』ということが起きてきます。

図1
他にも、こういう座面に座っていると、左右の大腿部がへたりの底に向かって閉じこまされてしまいます。車椅子座位で左右の膝がぴったりくっついてしまい、それが内転拘縮の原因にもなりかねませんね。
さらに、このようにへたった座面に対して、少しでも中央を外れて左右どちらかによって座ってしまうと、体幹は見事に横に傾いてしまいます。座面がへたっている上に車椅子〜座面が大きすぎているという状況で、身体が左右どちらかに傾いてしまっているのは珍しいことではありません。
ですから、座面のへたりが以上3点の不良姿勢の原因になっている、少なくとも車椅子座位の苦しさの原因になっているようならば、補正を加えましょう。方法は簡単!『座面の上に座面よりも一回り小さな板を敷く』という方法があります。
写真2をご覧ください。実は、もう少し板は小さめでも良いです。つまり、「フレームの上に板を乗せる」のではなくて、「へたって丸まってしまう面を平らにする」んですね。そのために、板もフレームの間に沈みこむくらいがよいです。40cm四方の一般的な大きさの車椅子座面ならば、36cm四方の板くらいで良いんじゃないかな?で、板の厚みはカチカチに硬いものでなくても、厚さ9mmくらいの合板で板自体が多少体重でたわむくらいでよいです。

写真2
もちろん、板の上に直接座ってはかえって痛いですから、適当なクッションを敷きます。写真3の様子ですね。写真1と写真3と、自分で実際に座ってみると、座り心地の違いにびっくりします。

写真3
このページで使っているクッションは、ごく普通のスポンジクッションですが、例えばロホクッションのような高級品?を使う場合でも、座面がたわんでいる場合にはクッションも一緒に真ん中が沈みますので、古材一枚で座面のベースを作ってみることをお勧めします。
次回には、このページの「座面のへたりキャンセル」の他、これまで様々に紹介してきたテクニック?を駆使して実際に「車椅子座位調整」を行なった様子について、具体例で5ケースほどご紹介します。(→機器(42)車椅子調整の具体例5人さん)
さて、機器の(7)の中で、バスマットを利用したクッション「トマットさん」を紹介しています。ところが、実はバスマットってしばらく使っていると、ウスウスに潰れてしまうんですね。で、座り心地と座位姿勢改善のためには、このページで紹介している内容に、加えて以下のような対応を現時点(H15春)での基本としていますので、整理して紹介しておきます。
まずは写真4ですね。写真2とちがって、板のお尻の坐骨の部分が楕円形にくりぬいてあって、その穴を発疱スチロールで埋めてあります。これは、板を敷いた上に薄い座布団程度では、坐骨が硬い板にグリグリして、ヘタリによる圧迫感とはまた違った不快さがあるからです。穴を開けるだけでも良いのですが、そうすると今度は穴の縁の段差が気になりますので、今はこんなふうに落ち着いています。

写真4
で、発泡スチロールを埋めただけでは、座った瞬間に穴から抜け落ちてしまいますので、写真5のように裏側から適当な薄い別の板で「裏止め」しています。写真では分かりやすいように透明なプラ板ですが。

写真5
以上のような細工の上で、適当な座布団を敷くわけです。

写真6
座面の整えは大体以上を基本として、そこから座面幅を検討したり、座面角度・座面と背もたれ角度・背もたれ形状・背もたれの高さなどなどに、手を加えていくわけです。