老人介護についての個人的HP-2 介護福祉機器-(44) 片足駆動車椅子の座面
このことは既に、機器(7)の写真13でさらりとご紹介はしているのですが、ここに独立したページとしてまとめておきます。また、同じテクニックで機器(42)のcase2のように「股関節が十分に屈曲しない」場合の車椅子座位調整に使えます。
さて、片マヒ者さんが片手片足で車椅子を駆動する時は、良い方の足で床を蹴り、舵をとります。そうしないと車椅子が真っ直ぐに進まないんですね。ということは、足が床に届く座面高になっていなければいけません。そうなると「やや低め」の座面とする、ということになります。ところが、駆動に使わない患側下肢も健側と同じ長さの脚なのですからこちらも当然、床に届いてしまいます。実際には、床からある程度距離をとった足置き板の上に患側足を乗せておくことになります。となると、「足置き板から座面の距離(高さ)が低すぎて、患側下肢の膝が突き上げられる。」ということがおきてきます。それが、ずっこけ座りの原因にもなりかねませんし、患側大腿の外側が車椅子フレームに押し付けられてしまう(機器(10))・患側足がすぐに落ちてしまう、といったこともおこり得ます。もちろん、足置き板を床面ぎりぎりまで下げる、健側の足先がやっと床に届く程度の座面高とするなどで、座面と足置き板の距離を稼ぎ、問題の回避を図ることもできますが、大体、以下のような状態の時に問題となってくるようです。
片手片足駆動動作があまり上手ではなく、健側下肢をしっかり床まで届くようしないといけない場合。(その分、座面の下げ具合が大きくなる。)
車椅子使用環境の関係で、患側足を乗せておく足置き板をあまり床面近くまで下ろせない場合。特に、ディサービスなどで車椅子リフト車で送迎してもらっている場合など、足起き板が低いと送迎者のリフト昇降時にぶつかってしまうケースが多い。
患側全体の筋緊張が高くて連合反応(健側に力を入れると、患側もこわばってしまう按配)も強い場合。
もともと、車椅子座位姿勢が崩れやすい人の場合。
などです。もちろん、これらが複合することもあります。
このような場合、「健側下肢は十分余裕を持って下垂させながら、同時に患側は座面から足置き板までの距離を十分にとりたい」というニーズが発生します。写真1をごらんください。

写真1
右足でしっかり床が操作できるよう、十分に座面が下げてありますが、その分、左膝が突き上げられています。(←のところ)左足も足乗せ板から落ちやすい、と訴えられています。

写真2
また、大腿部外側が外に倒れ、押し付けられて痛みを訴えられたので、例の如く“当てモノ”をしています。(←のところ)

写真3
そこで、厚さ5cmほどの発泡スチロールで、写真のように作ってみました。切断面は斜に切り出しながら、右下肢が下垂できるようにカットしてみました。カットアウト部分の奥行きが、ちょいと奥まで過ぎました。(^_^; もう少し浅くても良いかと思います。

写真4 写真5
この座面に座るとこの通りです。患側大腿はしっかり座面に支持されながら健側下肢は下垂して、同時に患側膝の「突き上げられ」も解消しています。
もっともこの工作品は、このページで説明するために作ったもので、実用にするには座面としては「硬すぎ」ます。固めの座布団をこのような形に仕上げるとかしないと本当の実用にはならないかもしれません。また、確かこのような形になる既製品の「座面クッション」も見かけたような気もします。残念、今すぐ見つけることができません。「知ってるよ〜」という方がいらっしゃったら、ぜひぜひ、ご教示ください。
さて、↑のように「ご教示ください」って遠慮なく書かせていただきましたら、翌日から情報をいただきました。まずは、私自身がやっていること。車椅子座位調整のページから、再掲です。

これは、空気部屋が沢山つながったロホクッションですね。定価で4万円ですが、レンタルしてもらえるようになって必要な人には導入しやすくなりました。ご覧の通り、座面の1/4ほどの面積で空気部屋を根元から縛って膨らまないようにしてあります。これで、そちら側の下肢が下垂しやすくなるわけです。でも、正直言うと、ロホの使用目的・方法としては、ちともったいないような気もします。(^_^; ただ、このロホ空気部屋根元縛りはイキな小技というべきで、例えば円背があってずっこけ座り気味で、尾骨の先端なんかに小さな褥創がある方だったりすると、「座面奥の左右中央部の空気部屋を潰して」絶対に尾骨が当たらないようにしたりもします。
さて、次はお寄せいただいた情報で、まずは、これ↓。

ご覧の通り、クッションが5つの部屋に分かれていて、部屋ごとに三角錐形の空気ブロックを入れたり少なくしたりして、座面を整えていきます。写真手前が座面前方なんでしょうね。左右に分かれていますから、どちらかの空気ブロックを少なくすれば、そちらの側は下肢を下垂しやすくなるわけです。このページの目的以外にも、車椅子座位調整で色々に使えそうです。で、これの定価が、4万5千円。(^_^; う〜ん、ロホよりも高い。まぁ、良い物は高くても当然なのですが…。で、次がこれ↓。

上の二つに比べると、多少安価で1.5万円から2万円というところです。中のクッション材を抜き差しすることで、前面のクッション厚を左右別に「7cm・4cm」に切り替えることができます。当然、下垂させたい方の側を4cmに薄くするわけです。ちゃんと、「片マヒ足こぎ用」と、まさにこのページのテーマを想定していることが分かります。左右両方入れれば「前すべり防止」って、そりゃそうだね。(^_^; 次は、掲示板に情報書き込みしていただいた分↓。

これは、厳密にはこのページのテーマに添ったものではありません。座面として使える「低反発ウレタンフォーム/高発泡ポリエチレン」です。これの定価が2,000円!安い!色々にいじってみたい素材です。(^o^)丿
さて、ここにご紹介した情報。いずれも、PTさん・OTさんからの情報でした。(“北欧報告のページ”の池田PTさん、メルマガで私にカワハギのさばき方を教えてくれた山*PTさん、最近お手紙やり取りしている北海道老健の岩*OTさん、掲示板のTさんもおそらく。)う〜ん、同じセラピストとして嬉しいような、はたまた看護・介護職さんからの提供がないのが寂しいような…。まぁとりあえずは、このようなテーマについてはPT・OTが良い意味で引っ張り役をするということで構わないのか、とも思いますが、こういうことが早く看護・介護全体の中でも「常識」になっていってほしい、とも思いますね。
ところで、このHPではこのページのように、沢山の福祉用具の既製品が出てきます。で、どうしようか?とも思ったのですが、『原則、写真や規格はご紹介しても、メーカー名や製品名は載せない。』ということにします。ただし、私が実際に使ってみて本当にこれはいいや!と自信を持って言える場合や、その道具にまつわる方との個人的なやり取りなんかがある場合は、その限りではありません。(^_^; 写真や説明をご覧になって、「これ、良さそう!使ってみたい!けど、メーカーが分からない!」という方がいらっしゃたら、遠慮なくお問い合わせください。