老人介護についての個人的HP-2 介護福祉機器-(46) モジュラー椅子
さて、未だに引きずりますが、何で私はあんなにNHKの『車いすを使わないケア』という番組タイトルに引っかかり引きずられたのでしょうか?(^_^; (ちと、くどいかな?)…う〜ん、それらしい理由が一つ見つかりました。
自分の中でいつの間にか、『最近は普通の家具椅子よりも車椅子の方が良い姿勢で座っていられることも少なくない。』という認識ができているようです。つまり、そういう「車椅子についての肯定的な意識」ですね。
ただし、これには条件がありますね。『ただ車椅子に座らせる』だけではダメで、『必要ならば、利用者お一人お一人の身体機能と利用目的に沿って、きちんと調整してある車椅子であること』が必要ですね。(全然合っていない車椅子よりは、普通の家具椅子の方がまだマシ、ということの方が、現状一般としては普通かもしれません。)つまり最近の車椅子のモジュール化、これは拙HPを開設した頃(といっても、たった5年前)に比べても、本当に『夢のよう』です。
で、そう自覚した上でツラツラ思いました。車椅子がこんなふうに調整可能になってきているのだから、本当はその前に、当たり前の「家具椅子」が色々に調節できても良いはずだ…そう思いませんか?
介護用・高齢者用として売られている椅子をカタログ上で確認してみると、背もたれがリクライニングするもの、座面高がある程度調節できるものはあるようです。だけど、それだけでは不十分ですね。椅子を食事などの軽作業のためやある程度長時間の安楽姿位としての座位のため、あるいはその両方の目的のために、すでにある上の二つも含めて…
座面高調節
背もたれリクライニング機能
座面〜背もたれ一体となったティルティング機能(後方だけではなく地面水平方向にも。脚長調節で対応も可。)
背もたれ形状の調節機能(腰部を支えたり引っ込めたり、背もたれ上部を前に出したり引っ込めたり…その方の姿勢と座位能力に合わせて…)
肘置きのつけはずし機構、及び高さ/長さの調整機能
座面は、しっかり体重を受けつつもお尻の痛くならない体重分散の良い座面
で、見た目も他の家具とマッチする「浮かない」デザイン
ほどほどのお値段
あぁぁ…こんな椅子があったら「夢のよう」だなぁ…(^.^)
何も、利用するのにしっかりした理解力がないとパニックになってしまうような起立介助機能なんていらないからさぁ…これはマイスターさんの池田PTさんもおっしゃってましたが、介護保険で「椅子」が何らの援助対商品になっていないことが残念で仕方ありません。車椅子を使うようになってしまう前の段階で、好褥傾向を予防しADLの自立維持のためには大変大きな役割を果たすと思うのですが…。もっとも、もし例えこのような椅子があったとしても、それを私たちがきちんと使いこなせるかどうか?はまた別問題で、それはまさしく私たち自身の問題です。それは、すでに車椅子市場においても感じられることです。
でも…施設内で高くて硬くて直線的なデザインの椅子に、小柄な円背ばちゃんが、小さくちょこなんと浅がけしながら円背の背中を浮かしつつ座っている姿は、先進国には相応しくない(^_^;
と私は思います。
で、まぁブツブツ言っているだけじゃないよ・・ということで、実際の様子をご紹介します。
写真1をご覧ください。ごく普通のパイプ椅子にごく普通(^_^; の円背ばぁ様が座っています。合ってないですよ、これ・・。

写真1
円背があって背もたれがフィットしていません。そのために・・
座面上でお尻が前にすべっている、膝が座面から突き出ている。
背中が点でしか支えられておらず支持が悪いために、なおさら体幹後傾〜骨盤後傾している。
後傾した骨盤の仙骨面が全然支えられておらず、お腹が潰されている。
座面の標準的な後傾(後方への沈み込み)が、2:の傾向をなおさら増長させている。
その結果として、下肢〜座面に対する頭頸部の位置が後ろに下がっている。結局、これで食事のためにテーブルに向かっても、難儀そう食べにくそう。
それで、業を煮やして(キレて、とも言う(^_^; )準備したのが、写真2です。

写真2
右側のやつね、背もたれが布になっているのが目に付きますが、座面高も少し下げて、同時に座面を地面に水平にしてあります。これに座ってもらったのが・・

写真3

写真4
写真1と写真3の差は、小さいといえば小さい、大きいといえば大きい。それは、私たちの「パラダイム」によります。(^_^; (思索のコーナー31) まぁ、写真4も合わせて確実に言えることは、写真1に比べて・・
円背〜骨盤後傾傾向は変わらないが、そういう体幹に対する背もたれ(背シート)のフィットが、ずっと良い。背中が、点ではなくてきちんと面で支えられている。(このケースは姿勢(アライメント)の大きな変化まではありませんが、きちんと面で支えられるようになることで背中が伸びる方もいます。)
座面上できちんとお尻が奥まで引けている。膝が突き出ていない。つまり、大腿下面での体重支持面積が広がっている。
写真1に比べると、頭頸部がきちんと前に出てきている。大腿部との位置関係を比べると分かりやすい。
こんなふうに準備してあげてですね、テーブルに向かってもらうわけです。

写真5
ちなみに、写真左側に写っているのは普通の70cm高テーブルですね。やっぱりこれじゃ高い・・、で、本人さんは奥の茶色の天板テーブルに向かっています。これ、60cmくらいじゃないかな?(特別コーナー食事大作戦:3)
介護保険制度で、『家具椅子』がレンタルや購入助成対象品にでもなれば、こんな貧乏くさいことしなくてもきちんと調整の利くモジュラー家具椅子がぞくぞくと出るのではないか?なんて思いますけど、対象品でなくても取り組んでくれるメーカーさんはいらっしゃらないでしょうか?要はね、現場からどれだけ『欲しい!』という声があがってくるか?どれだけ実際に注文がくるか?の問題ですね。メーカーさんにとって技術的には少しも難しいことはないでしょうし。私は私の「声のあげ方」として、こんなページ作ってみました。(^_^;