老人介護についての個人的HP-2 介護福祉機器- (5) 起立用ベッドバー

ベッドにとりつける起立用のバー

 howtoのコーナーの(9)で端座位(腰かけ姿勢)からの起立動作について、基本となる動き方やコツをまとめてみましたから、それを踏まえてベッドにとりつける「起立用のバー」について、ここでまとめてみます。

 まず、普通のベッドさく(写真1)の役割を考えてみましょう。これは基本として、ベッドから人や布団がずり落ちないようにするための物です。同じことを言葉を変えて言えば、「人や布団をベッドの上に閉じ込めておくためのもの」と言うことができます。(写真1の方は、あたけて転落の恐れがあるために、4本のさくを使って文字通り“ベッドに閉じ込めて”あります。)つまり普通のベッドさくは、「ベッドに腰かけた姿勢から起立する時のための物」ではありません。(あえてそういう使い方もできますが、機能として不十分、ということです。)では、「起立のために求められるバーの機能」とはどのようなものでしょうか?howtoのコーナーの(9)端座位(腰かけ姿勢)からの起立動作のページで、「起立する時には、大きくおじぎをすること」というのが大きなポイントであり、「その際に、前に転げ落ちないように」つかまるところがあればよい、という説明をしました。これをベッドに腰かけた姿勢に当てはめてみると、ベッドに対して横向きに腰かける訳ですからそこからおじぎをするのに頼れるように、バーをつければ良い、ということになります。

 写真1 普通のベッドさく

ベッド用起立バーの基本形、形・長さ・とりつけ位置

 一つは写真2のように、ベッドから離してつかまえるところを準備する方法がありますが、実際にはこの位置に車椅子やポータブルトイレが置かれることも多く、またベッドから離してバーをしっかりと固定するのは技術的にも困難です。そこで図1のように、「ベッドから直角にバーを伸ばす」という形が一般的となります。

  

   写真2 ベッドから離してつかまるところがある場合  図1 現実的な起立介助バーの位置

 直角に伸びるバーの長さは、おじぎをして腕を伸ばした先まで伸びていれば一番よい訳です。が、これが結構な長さとなります。写真2でおばあさんが腕を伸ばしていますが、それ位の長さが必要なわけで、大体40cmくらいは欲しいところです。反対に直角に伸びるバーの長さが短いと、起立する時のおじぎ動作の頼りになりません。もちろん、起立能力が低い方ほど十分な長さが必要となり、ある程度の能力の方には短くても済む、ということになります。

 とりつけ位置としては、ベッド上臥位から端座位に起座した時に、ちょうど良くつかまるバーが身体の脇にくるようにすればよい訳です。寝ているところの頭の位置や足元の位置にとりつけても、役にはたちません。普通は寝ている姿勢の、おなかから腰あたりの位置、とでも言えばよいでしょうか?この辺りだと、端座位に起きた時にちょうどバーが身体の脇になって、連続して起立動作にうつれます。

既成品の起立介助バー

 既成品の中では、大きく分けて2つのタイプの製品があります。一つはベッドさくを差しこむ穴を利用してバーを取りつけるタイプ、もう一つはベッドフレームそのものにアタッチメントを介してバーを取りつけるタイプです。

 前者はとりつけが簡単ですが、直角に伸びるバーは短めです。またとりつけ位置も当然、穴の位置によって決まってしまいます。また、バーの高さは調節できないことが普通です。

 後者はとりつけ・とりはずしが大変ですが、十分な長さがあり強度も得られ、とりつけ位置も自由になります。バーの高さ調節も自由がききます。

 写真3はベッドさく用の穴に差し込んで使う「起立介助バー」の中で、代表的と思われる製品です。ご覧になって分かるように普通のベッドさくの途中から、直角に曲がるようになっています。(まっすぐにすることもできます)上記の通り、直角バーの長さは短めで位置や高さの調節はできませんが、手軽に使えます。

 写真4はベッドフレームそのものにとりつけるタイプの中で、代表的と思われる製品です。大きいですね。十二分に起立を助けようと思えばこれくらいの大きさはほしいのですが、部屋の広さなどの関係からどうにも大きすぎる、ということもあり得ます。

 

写真3               写真4

 最近はこれら以外にも様々な製品が出てきていますが、「固定法」という点から分けると、以上のどちらかになります。

移動介助バーの手作り工夫

 上記の製品は身体機能の衰えてきた高齢者にとって、本当に心強い介護福祉機器ですが、やや高価です。(上の2点それぞれ4万円くらい)そこでとりあえず、本当に効果があるかどうか試したり、取り急ぎ機器環境を整える必要がある時は、身近にある物で試してみたりします。写真5・図2の椅子は、別に面会者用に置いているわけではありません。(^_^; 椅子の背もたれの部分を上の既成品と同じ目的で使っているのです。椅子の背もたれが、ベッドから直角に伸びていますよね?これで効果は同じです。ベッドへの固定は・・、「ビニール荷ひもで縛り付け」です。(^_^; ただ、いかにも握り部分が細いですしやたらと場所はくうし、長く使うというよりもやはり「お試し用」ですね。それでも無いよりはあった方が、ずっと楽に立てるようになります。

 

    写真5      図2 椅子を起立介助バーに

 写真6は、これまた私どもの方で手作りしている「起立介助バー」です。狭い病室の中で使うため、直角バーの長さは30cmにおさえてあります。もっとも全体をL字形にして、縦横両方とも30cmですから、ベッドの左右どちらにでも使うことができます。ベッドへの固定法は、やはり「縛り付け」です。(写真7)施設内や病院内で一定の期間だけ使う、という場合には、縛り付けでも十分です。もっとも強力に縛り付けるには「秘伝のコツ」があります。(^_^;

 

         写真6 左右両用起立介助バー   写真7 秘伝の縛り付け(^_^;

 写真8は、これまた手作り品ですが、特定の使用者が自宅で使うことを前提として、全体の大きさや高さ、長さなどを決めてあります。ベッドから直角に伸ばして「起立介助」とするだけではなく、普通のベッドさくと同じように寝返りの時につかまる場所も考慮してあります。やはり、本当に使い良いのは、こういう「考えられた手作り品」だと思います。

 写真8 高い方はベッドに直角、低い方はベッドに沿わせてセット

家具調ベッドや木製ベッドへの取りつけ

 このページに出てくるベッドは、みな医療介護用ベッドですが、では家具ベッドには取り付けられないのか?というと、そんなことはありません。ただし、さく穴に差しこんで使うタイプは無理ですね。ベッドフレームに固定するタイプも難しいかもしれません。かえって写真6や7のような手作り品を、Ω型の金具でネジ止め固定してしまう方が、よほど簡単で確実です。というわけで、ご自宅にお邪魔させてもらっては「手作り起立介助バー」をネジ固定して回るのが、私の「家庭訪問」の典型パターンの一つとなっています。

ポータブルトイレフレームの延長による工夫

 なお、写真9のようにポータブルトイレフレームの横棒を延長することで、写真2と同じようにな形にすることができます。もちろん、フレーム全体が動いてしまわないようにベッドに固定してあります。写真9では直角てすりも併用しており、自力で立ってポータブルトイレ使用するにはもっとも理想的な機器環境といえます。写真の方は下肢骨折の手術直後で、「今がケアの“旬”」という方なのです。これも手作りならではの工夫です。

写真9 トイレフレームを起立手すりと兼ねる工夫

 さて、このお婆さん、骨折後3ヶ月間おむつだったのを写真9のように環境を整えて何とかポータブル排泄してもらいだして半年と少し、すっかり足腰の力がついて、また押し車で歩き出せました。(^o^)/ 写真10がその様子です。本人用の押し車を倉庫から引っ張り出してきたら、「良い子にしてたか?よしよし・・(^_^; 」本当はもう少し歩行器の適合に問題があるのですが、本人さんがそのように愛着をお持ちならね、今しばらく回りから「気をつけてね!」と声かけしながら歩いていってもらおうと思います。骨折後ちょうど10ヶ月かかって、元通りに近い生活となりました。見事な復活!です。そしてやっぱり、写真9の「環境整備」が「ターニングポイント」だったと思います。

写真10 復活!ばあちゃん

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