老人介護についての個人的HP-介護福祉機器(52)-自力起座台
いやぁ、随分ご無沙汰しました。半年ぶりです。(って、後からこのページを見る分には関係ありませんが・・)
さて、世の中では「介護予防」一色に、色々なお話が進んでおります。また、介護保険料支出抑制の流れの中で「福祉用具レンタル基準の適正化」なんてことも、すっかり現場で根付いてきたようです。(というか、行政側が・・)
まぁそんな世の中の動きとは関係なく、私個人的には前々から「介護用ベッド」については色々と思うところがありました。例えば「機器のコーナー(18)ギャッヂアップベッドの多用はちょっと待った?!」とか、もう6年以上前の文章になります。その反対に、「自力で動きやすいベッド」がないものだろうか?という気持ちもずっとありました。で、この文章を書いている時点からちょうど一年前の段階で、「機器のコーナー(3)ベッドについて」のページに、その辺りの気持ちを込めた業界新聞取材原稿をアップし、その中で「こんなベッドはどう?」と提案もさせてもらっています。
実はこのことについては、あるベッドメーカーさんの動きとも絡んでいますし、同時にベッド上起居動作〜起座動作方法とも密接に絡む問題ですので、新規に新しいページとしてまとめておきます。
●ベッド上起座動作について、おさらいと捕捉
「動作介助のコーナー(5)起きあがりについて〜1:端座位への起座、自力と介助」に、ベッド上で端座位に起き上がる動作のポイントをまとめてありますが、特に大事な点は以下の通りです。
・障害を有する方が自力で端座位に起き上がるには、肘をつきながら前腕でベッド面を支持する段階が必要で、その際には、寝返り状態になる。

写真1 肘が浮いてちゃ、起きれない 写真2 前腕〜手掌でしっかり押す
ところが、実際にはこのようには起きれない!ということが起きてきます。それは、「ベッド幅が足りなくて、肘をついたり手で押すスペースが足りない」という問題です。次の写真のような状態に陥って「起きれそうだけど起きれない〜」と、苦しんでいる方を見たことはありませんか?

写真3 起きれそうなのに起きれねぇ〜
起座しようと身体を捻り寝返った時点でベッド脇にスペースが無くなって肘がつまり、写真2のような腕の使い方や上半身の動きができなくなってしまっているわけです。
このような状態に陥ってしまうか方がいらっしゃったら、「ぜひ、以下のようにアドバイス・誘導してあげてください。」

写真4 ベッド上で斜に対角線に寝てもらって・・

写真5 そこから腕を横に伸ばしつかんで起きてみよう!
こうすると、きちんと自力で起き上がれる方は沢山います。ところが、写真4の状態に自力でなること、つまり寝たままで寝ている位置をずらす「臥位移動」ですが、これは「もしかしたら起座動作そのものよりも難しい」動作です。ですから、写真4・5の動きは、「能力の確認にはなっても、ADL上の実用動作にはしにくい」ということになります。
それで、写真4・5のような状態に陥ってしまう方々(結構多い!と思っています)のために、こんなベッドはいかがですか?と、「機器のコーナー(3)ベッドについて」で提案しているのが、下の図です。寝返り・肘〜前腕つきのスペースを確保しているわけです。

図6 こんなベッドがあったらいいな、自力で寝返り起座しやすいよ、きっと
でもまぁ、無いものは仕方ないですね、そこで自分で対応してみたのが、↓です。
●ベッド脇「自力起座台」の試作・試用


写真7 試作「ベッド脇起座支持台」
ここまでの説明で、形については理解できますよね?ここまでの写真では若いスタッフさんがモデルなのでリアリティがありません。この道具を実際の現場で使っている様子が、↓です。


写真8 試作起座台で起きている様子
なかなかいい感じです。全介助に近い状態で起こしてもらっていた写真のお爺さま、完全自力とはいきませんが少しの誘導と最小の介助で、しっかり起きれます。写真では残念、モザイクかけていますが、オリジナルでは、実にうれしそうなよい表情で、私のことをまっすぐ見つめてくれています。これ、平成16年秋の段階で研修会などで紹介したことがありましたが、ごらんになったスタッフさんが真似てみて、「うまくいきました!」なんて報告もいただいています。ただ、写真をみてお分かりの通り、この写真ではお爺さまに対して台が大きすぎ・幅がありあすぎです。「あと、ほんの少しの幅」ということが、よく分かりますね。
●メーカーの動き
実は、「機器のコーナー(3)ベッドについて」のシルバー新報の記事が出た段階(平成16年初夏)で、某メーカーさんから声かけをいただきました。「起居動作しやすいベッドを開発中なので、ぜひご意見・ご感想を・・」ということでした。そこで開発中というベッド写真を色々拝見させていただき、その上で、このページに書いているような「人の動き」「今のベッドに欠けている点」を散々にお話させていただきました。で、出来上がったベッドが、これ↓です。少しは参考にしてもらえたかな?という感じです。

私の試作品のように「前腕支持スペース」を広げているわけではありませんが、アルファベットの「Aの字型」の手すりが、斜に飛び出す形でついています。これだけでも「遠くをつかめる」だけ、起きやすいですね。平成16年秋のHCRでデビューした製品ですが、さて、市場の評価はいかがでしょう?