老人介護についての個人的HP-5 思索- (1) 老健の機能
ここ十年ちょっと、そして特にこの数年の間に、老人保健施設がものすごく増えました。
正直言って、老健ができ始め関わりを持ち出した頃は「自由契約老人ホーム」といった印象・実感だったのですが、介護保険法の施行が近づくにつれ、老健施設の機能ということを考え込まざるを得ないような場面が増えています。
そもそも老健は「医療」と「在宅」の「中間施設」という位置づけだったと思います。基本的には今もそれは変わっていないはずです。そして今、「中間施設」という言葉以上に老健施設の形容句として用いられるのが「在宅復帰施設」ということです。そしてその目的達成のために、個々の入所者ごとに「ケアプラン」を策定して、本人さんの「状態・状況」を改善せしめること、それが老健の機能と言って良いと思います・・・と、ここまでは筋が通っていますよね。
ところで、開設してある程度の期間が過ぎた老健施設を拝見すると、割合に重障者が多く活気が少なくて、「あんまり良い施設じゃないのかなぁ〜」などと感じておりましたが、実はそうではないのですね。開設して時間がたてばたつほど、「どこにも行き場のない、(社会的に)どうしようもない」人たちが段々と増えていってしまう、ということのようです。私の職場も開設して早くも2年で、このような傾向が感じられるようになってきたようです。
つまり、「在宅復帰できるかどうか」というのは、本人の状態がどうとかよりも、決定的にそれを決めるのは家族の側の「受け入れ体制」です。いくらケアプランで頑張っても、ご家族が「完全に元通りにならなくちゃ家には返さん!」という態度であれば、自宅に帰られる人は皆無となるでしょう。そして、既に高齢で疾病障害も慢性期にある本人さんに「改善」してもらうよりは、ご家族の方に「変わっていただく」ことの方がはるかに容易で現実的なはずです。「変わっていただく」というのは、単に気持ちの問題かもしれませんし、介護機器の導入や社会制度の活用による介護能力の強化、ということもあるでしょう。はたまた、お孫さんの大学志望校を私立から国立に代えてもらうこととなるかもしれません。(学費が安いから夫婦共稼ぎでなくてもOK?!)
しかし老健の中で、実際には自宅復帰できそうもない人の自宅復帰のための「ケアプラン策定」(ほとんどつじつま合わせとなってしまう、ムナシイ・・・)に忙しくて、本人さん達に対する直接介護の時間さえ不充分です。相談指導員さんは配置基準さえありません。(ウチは100名の入所者に対して1名です)「ご家族に変わっていっていただく」どころか、老健に入所していただくことで、ますますご本人さんとご家族の間が離れていってしまうことさえ珍しくないようです。
でもまぁ、愚痴を言っていても仕方ありません。こういう現実は現実としてしっかり見据え、できる限り本来の機能を果たすべく頑張っていくしかないでしょうね。