老人介護についての個人的HP-5 思索 - (18) どちらが良いのか迷うこと

介護にまつわる諸制度の「どちらにしたら良いか迷うこと」

  世の中の物事は、白黒はっきりつけられるような「絶対こちらが正解!」とは言えないことが珍しくないし、むしろそういうことの方が多いのかもしれません。

 このページでは、最近介護にまつわる物事で、そのように「どっちが良いのだろう?」と考え込んだ事柄を3つばかりご紹介します。皆さんはそれぞれに、どう思われますか?


※介護保険制度における「成功報酬」について

 ずばり、標記の「成功報酬」について、介護保険制度では非常に「薄い」ものとなっています。自立支援を理念とした諸サービスなのだし、あくまで在宅復帰のための施設ケアという位置付けであるにも関わらず、その目的が達成されようがされまいが、報酬は同じです。それで本当に「自立支援」「在宅復帰」という目標にむかったサービスが展開されるのでしょうか?それどころか、介護保険法の理念に則り「自立支援」「在宅復帰」に力を注げば注ぐほど、結果として事業者の収入は減っていきます。それならば、いっそのこと寝たきりは寝たきりのまま、それどころか中度介助を要する方には重度介助の状態に陥っていただいた方が、事業者としては経営的に安定しますね。なんか、ヘンなの!!

 でも、じゃぁ「成功報酬」を認めるか?成功報酬とまでいかなくても目的を達成できたらはじめて全額報酬支払いにするか?そういうことにしたら、サービス事業者側としては、初めから「成功しそうな方」を選別する、という作用が働きますね。それも当然、仕方ないか?と思える作用だし、それでは本当に援助を要する方にサービスが届きにくくなっていまします。

 そもそも、「自立支援」「在宅復帰」を「善」とする価値観に問題がありますね。んなこと言ったって、どうしようもない人はどうしようもない!それが現実ですね、心身機能面でも社会的状況でも・・。もちろん、それを目標とすることはやぶさかではありませんが、自立 vs 要介護、自宅 vs 施設を、Good vs Bad の関係で捉えるべきではないと思います。自立だろうが要介護だろうが、自宅であろうが施設であろうが、それぞれのお立場で抱えるニーズは、人それぞれだと思うのです。

 じゃぁ、具体的に制度としてどうすれば良いのか?ごめんなさい、私に言えるのは↑までです。どうしたら良いのか?私にもよく分かりません。


※在宅介護に対する「現金給付」について

 はじめに書いてしまいますが、これも私にとってはどちらが良いのか?結論の出せないテーマです。お仕事を辞め在宅介護を実践していらっしゃるご家族(特にお嫁さん)のご苦労に接するたび、何らかの経済的な救済制度があっても良いのではないか?という思いが強くいたします。施設措置費の半分までいかずとも1/3でも1/4でも支給できたら・・、と思いませんか?現在、在宅介護を受けていらっしゃる方々が全て施設入所になったら、それこそ財政的にもとんでもないことになるのですから・・。

 ただ、私は単純な性善説論者ではありません。もしも本当に在宅介護現金給付保障がなされたら・・、はっきり言って「お金目的の在宅介護」が増えるのも避けようがないと思うのです。そして、嫌なことではありますがそういう意識のもとに行なわれる介護の質は、決して期待できないような気がいたします。要介護状態のお年寄りご自身にとってそういう状況が現れてしまうであろうことが、良いことなのかどうか・・?


※お嫁さんに「相続権を認めること」、もしくは「お嫁さんを養子縁組」について

 「長年、在宅でお舅さん、お姑さんのお世話を続けてきたのに、いざ亡くなったらそれまで顔を見せたこともない親族があらわれて、わずかな預金や財産もみんな持っていってしまった。一言のねぎらいの言葉も無く・・」

 こういうお話を伺うたびに、お嫁さんにも実子と同じく「相続権」があっても良いのではないか?決して金銭的な見かえりを保障する、という意味からではなく、そうなることでご親族の中における「お嫁さん」の立場も微妙に変わってくるのではないか・・?そんな気がします。でも、在宅介護にあたる長男さん?のお嫁さんに相続権を認めるなら、次男さんのお嫁さんにも認めないわけにはいかないし、娘さんの旦那さんにも?ということになって、際限がなくなりますね。

 親の扶養義務や相続権は近代的な法律で実子が平等にもつのに、在宅介護の実態は戦前からの家意識の残りで当然のように長男さんのお嫁さんに“だけ”、のしかかっている、その建前と現実のギャップが「長男さんのお嫁さん」を苦しめていることが珍しくありません。
 そういう現実に対し、「長男さんのお嫁さんを“養子縁組”してしまおう!」という考え方もあるそうです。確かにそうすれば、介護にあたるお嫁さんにも等しく相続権が生じますね。ところがそうなると、色んな事態で「お嫁さんをかえって、お舅さんお姑さんに縛りつけてしまう」ことになりかねませんね。

 このようなお立場のお嫁さんに対しては、何よりも旦那さんの理解と励ましと感謝が必要なのは間違いありません。私は、「在宅介護がうまくいくかどうかは、介護にあたる夫婦関係次第。」と断言してもよいくらいだと思っています。でも、それはあくまで「夫婦の私的な問題」です。上記のようなお嫁さんの苦しさをそういう私的なものだけで補えば良いのでしょうか?社会全体・社会システムとして何か“力”になれないのでしょうか?「介護の社会化」などと言われながら、結局肝心なところは「夫婦間の愛情で解決を!」だけではあまりにお粗末ではないのでしょうか?


 ただ一つ、間違いなく言えること。それは例えば上記3つのことやそれ以外の沢山の事柄についても、「それで当然」と疑問も何も感じないようになってしまっては、職業人としてプロとして、あまりに悲しい、ということです。「長男の嫁が面倒見るしかないんだし、それで当然じゃないか!」それでどうして真の援助・お手伝いができるでしょう?例えば仮にもそんな「介護支援専門員・ケアマネージャー」さんはいらっしゃらないことを、切に願います。

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