老人介護についての個人的HP-5 思索 - (30) 北欧では・・・

北欧では・・・「実際、どうなの?」(レポート課題設定編 H14,6,2)

 外国の高齢者介護の現場ってどのようなものなんでしょうか?例えば北欧に限っても、「目標とすべき理想的な福祉国家だ!」という評価がある一方で、「ああいう福祉でも、高齢者自身は決して幸せではない。」という論調も、根強くあります。プラスマイナスの評価はさておいても、実際はどういう様子なんでしょう?ず〜っとそんなふうに思っています。そんなところへ、思索のコーナー(6)欧米では寝たきり老人が少ない?!みたいな記事が目に止まったりもします。でもなにぶんにも、自分で見聞き・体験したことではありませんし、私自身これから先、海外に出かけるチャンスもなさそうです。(海外観光旅行すら、行ったことない!(^_^; )

 で、次善の策として、自分の身近な人が出かけるようなことがあったら、かねがね自分が「?」と思っていることについて、よ〜くよく見てきて感じてきてもらいたい、と思っていました。やっと巡ってきましたよ、そのチャンス。ヽ(^o^)丿

 リンクでご紹介し、また機器のコーナー(27)介護安楽椅子について(良いもの、ありませんか?) の追加情報で紹介しておりますライフマイスターさんの池田PTさんが、「ノルウェー・デンマークの福祉視察研修」にお出かけになるそうです。うかつにも?彼女、北欧に行くなら、これを見てくるべきとか、今現場で働いている介護スタッフはこんなことに興味がある、ということがあれば教えていただきたいのです。とメールで言ってこられました。そこで!私からアドバイスなどできませんが、これ幸いとばかりに私のかねがねの「?」を、彼女なりにどのように感じてこられるか?『ご質問文書』を作成いたしました。下記が、その一覧です。本当は、彼女ご自身の最大関心事(機器環境など)とは微妙にずれているところもありますが、何とかお願いしたいと思っています。

 ご帰国後、彼女から『レポート提出』があるはずです。(^_^; そしたら、その報告をこのページに保存しましょうね。また、ご主人さまもPTさんで現在イタリアで研修中とのことなので、是非是非お願いして、『実際、どうなの?南欧編』も併せ、掲載保存したいと思っています。さて、どうなりますやら・・・?


池田PTさんへのノルウェー/デンマーク視察お願い内容

●家具・介護機器

●高齢者/寝たきり老人

●街と建築

●看護と介護、医療と福祉の関係

●介護スタッフの役割


北欧では・・・「実際、どうなの?」 (いよいよ胎動!池田さんとのやりとり編 H14,6,29)

 実はね、このページをアップしてから、ちょっと池田さんのことを心配していたんです。せっかく北欧まで出かけられる前に、あまりにもプレッシャーかけ過ぎじゃないか?って。(←今さら…(^_^; )どっこい彼女、しっかりお返事を届けてくれました!とにもかくにも、ご覧あれ!

池田:『それぞれの国の文化や歴史を語らなくては質問も、返答もお互いが理解できないという、福祉や介護というテーマを越えてのコミュニケーションが必要でした。このことが、大渕さんからの質問を一言Q&Aのように片付けられなかった最大の理由です。』

大渕:ええ、分かるように思います。同時に、まさしくそこが、『これまでの北欧・海外レポート』に対する私の最大の不満な点でもあります。表面的なシステムなどはともかく、そういうシステムなりが構築されてきている背景がですね、何より大事だし、その関連が理解できて初めて、日本の土壌に相応しいシステムなりが作れるんじゃないかと思います。

池田:『…そこで、大渕さんからの質問事項は私達が取り扱っているノルウェーの家具メーカー「へランド」を通して、スカンジナビア諸国では最大の研究機構シンテフ・ユニメッドで調査していただくことになりました。…』

大渕:ひえぇ〜〜〜い!びっくりした〜〜。大変なことになりました。(^o^)丿本当ですか?ええ、時間はかかっても仕方ないし、もしかして、ある程度のところで頓挫してしまっても、仕方ないとも思います。おそらく私の用意した質問に対して、心底納得のいく返答のためには、両国の歴史や文化や無意識レベルの“考え方”や“感じ方”みたいなものまでを、両方とも「自国民レベル」で理解できていなくては準備できないのかも?とも思いますし。ですから、池田さんがお書きのこと、『帰国して強く感じるのは、北欧の普通の暮らし、生活のことをもっと知りたいということです。これがわかれば、福祉や介護の考え方はとても理解しやすくなるような気がしています。』本当にそういうことなんでしょうね。
 ではでは、ゆっくりとお待ちしております。もしも質問項目の趣旨など(ノルウェーの方々にとって)分かりにくいところがありましたら、いつでもお問い合わせください。

 と、いうことです。一発返答を期待していた皆さま、ごめんなさい。でも、こんなに素晴らしいお話が進みつつあります。具体的に、どのような調査方法になるか?(アンケート?インタビュー?)あるいは、上記質問を全部一度にではなく、少しずつのお返事になるか?まだ不明確な点もありますが、とにもかくにも、今後少しずつ皆さまにも報告していけたら…と思っています。はっきり言って、私はただの「パイプ役」でしかないのですが…(^_^;


北欧では・・・「実際、どうなの?」 (PT池田の北欧報告コーナー H15,3,23)

 さてさて、これはマジで池田PTさん・マイスターさんからシンテフさんへの調査依頼が出ているようですが、これはもう国境を越えたお話になっていますし、すぐにお返事がいただけるものとは私自身考えておりません。でも池田PTさん、そういう状況をわるがって、ご自分が見聞してきた様子をご自身のHPとこのHPを通して皆さんに報告したい、と申し出てくれました。

 そこで、池田PTさんの北欧見聞写真を皆さんにご紹介するとともに、その写真を拝見しての疑問・質問を皆さんを代表して私からさせていただき、それに対する池田PTさんのご回答を以下にご紹介します。

 まずは、以下のページをご覧ください。池田PTさんの「北欧報告のページ」です。写真とコメントでご紹介してあります。

http://www.dermeister.co.jp/contract/kaigo/ck05.html

 池田さんからの「北欧報告のコーナー」は、すでに6ページほどがありますが、以下は特に1番最初の報告ページについての「やり取り」です。写真を見ながら、お読みください。

●食堂は、テーブルにはテーブルクロスがかかっていて、レストランのようです。しかも、椅子は利用者の一人一人に、高さが調節してあります。

Q大渕:ああいう(きちんとテーブルクロスがかけてあってレストランのような)食堂は、北欧の施設内の食堂としては一般的なものなのでしょうか?
A池田:一般的なものです。我々日本人が見れば、レストランのような雰囲気と思いますが、食卓を心豊かなものにするために、テーブルクロスやランチョンマット、花、キャンドル、照明などで雰囲気作りをすることは、普通の家庭の中でもあたりまえのことで、彼らの生活習慣に根付くものです。 
Q大渕:一人一人に椅子の高さが合わせてあるということは、食堂内で座る位置(席)が、個人ごとに決まっているわけですね。
A池田:写真で見ると、ネームカードのようなものが置いてあります。おそらく席は決まっていると思います。
Q:そういう調整(各自に合わせて椅子の高さを合わせる)というのは、北欧の施設ではどこでも当たり前に行なわれていることなのでしょうか?それとも見学先が、極々珍しい施設なのでしょうか?それとも、その中間?
A池田:すでに写真の解説の中で書きましたとおり、この施設は利用者の半数以上が膝、股関節、などの関節疾患で人工関節置換術などの術後の方たちです。今回の視察の中でも、一般的な高齢者福祉施設とは異なり、整形外科的処置後の方が多いと考えてください。(疾患の内訳は、上記のほかに心臓、肺などの疾患、癌、及び神経学的慢性的な疼痛を持つ方とのことです。)そのために、特に一人一人に合わせた座面高さの椅子が必要になっていると思います。その他の施設では、ここほど座面高さに配慮しているとは気がつきませんでした。
Q:椅子座面高の調整は、どなたがやったのか?やっているのか?PT?介護スタッフ?職種は関係なく誰かの役割に決めてある?それとも気づいた人が誰でも行なっているの?
A池田:直接尋ねていないのでわかりませんが、痛み、関節可動域、筋力、ADL能力などを総合的に判断しその人に合った高さに調整できるのは、日本ではPTやOTの役割かと思います。

●施設内廊下のソファー椅子も、きちんと高さが調節してありました。

Q大渕:不特定多数の方々が使う椅子でしょうから、最大公約数的に合わせてあるのでしょうね?
A池田:関節疾患で手術後の方が多いということで、廊下でちょっと休むときの立ち座りのしやすさを優先しているのだと思います。
Q大渕:ソファー椅子は売っている状態でどれもこれも「若干低め」にしてあって、使う現場でこんなふうに適当量ゲタをはかせて調節することが当たり前なんでしょうか?それともソファーの高さは色々あるけど、たまたまここにあったソファーが多くの使用者にとって低すぎになってきたので高くした、ということでしょうか?
A池田:ソファー椅子がどれもこれも若干低めで売られているということはないと思います。腰や下肢の関節疾患をお持ちの利用者の方のために配慮したのが、このような写真の状態であると思います。

●痴呆のある利用者さんとスタッフさん、実にゆったりくつろいでいらっしゃいます。

Q大渕:これが一般的な様子なんですか?それとも日本には特養とグループホームがあって、グループホームの方はそれでも特養に比べればゆったりとした雰囲気である、というように、いくつかタイプのある施設の種類の中で写真に写っている施設はグループホームのようにゆったりとした家庭的なところである、ということですか?それとも北欧では基本的に、全て(あるいは大抵)の施設が写真のように家庭的でゆったりとしたものなのでしょうか?
A池田:写真の施設は高齢者総合福祉施設で、このフロアは痴呆の方のユニットになっています。(グループホームの雰囲気と考えてください。)北欧の多くの施設はスタッフ対利用者が、1対0.7など利用者よりスタッフが多い状況または、スタッフは少なくてもかなりの数のボランティアが出入りしているという状況です。入浴介助も基本的にシャワーの利用ですから日本の施設のように時間もかかりません。また施設内のスケジュールもありません。当然、ゆったりした雰囲気になるのもうなずけます。しかし、これはスタッフの数の問題だけではなく、彼らのケアの本質にあるように思えるのです。家庭的な環境の中で、共にいて安全であるよう見守り、精神的な安心感もあたえる。そんなケアであるからこそ、自然とゆっくり流れる時間、ともに語り合う時間、そんなひとときが生まれてくるのではないかと思います。

 以上のやり取りの中からでも、色々と得るものがあると思います。例えば…、一番最初の私の質問とそれに対する池田さんの答え、『施設の中のレストランのような食堂=普通の家庭の中でもあたりまえのことで、彼らの生活習慣に根付くものです。』ですね。日本の施設ではどうでしょう?日本でも「レストランのような食堂にしよう!」とは言いません。そんな表面的なことよりも、『普通の家庭の当たり前の生活習慣に根付いた“食堂・施設”』になっているでしょうか?

 はてさて、実は言いますと、池田PTさんのもとには、↑のシンテフさんから私の質問に対する「お答え」が届いているそうです。もっともそれは、Q&A的な単純なものではないらしく?池田PTさんの方で色々と整理などしてくれているそうです。『遅くなって申し訳ありません。』と彼女はおっしゃってますので、もちっと待ちましょう。もっとも、こう書けばますますプレッシャーになることも分かっているんですが(^_^; …あんまり楽しみなので、「予告」してしまいます。


北欧では・・・「実際、どうなの?」 (番外アメリカ編 H15,3,23)

 さて、私と池田PTさんの↑こんなやり取りをご覧になってか?はたまた偶然にか?、ご無沙汰してました誠和園の村上園長さんから、お手紙をいただきました。

 村上園長さんの知り合いの方が、「アメリカのホームの様子」を、解説付きの写真で伝えてこられたそうで、「ご参考までに…」と私の方へもご転送くださいました。このページの『番外編:アメリカ編』として、以下にご紹介しておきます。

  

老朽化に伴って、建物を6ユニットに改築したナーシングホームの写真です。
今回お送りするのは、そのうちの1ユニット(このホームでは、household=世帯と呼んでいます)の中にある浴室です。
浴室の中には、椅子型の浴槽とカーテンで仕切られたシャワー室、トイレ、流し台、キャビネットがありました。
この施設では、各ユニットにこうした浴室があり、トイレは大体、2人当たり1つという比率で設置されていました。
浴室に関して言えば、以前はリフト式のものを使っていたが、お年寄りの気持ちを考えて、椅子型のものに切り替えたとのことでした。

 ふむふむ、この浴槽は凹形の横壁部分が閉まって、お湯が溜められるのでしょうか?おそらく違いますね。『腰かけてシャワーを浴びるためのセット』なのでしょう。日本人のように、お湯にたっぷり浸かる習慣や、お湯をジャバジャバ床に洗い流す習慣はない(らしい)、少なくとも設備としてそういう構造は必須ではない(らしい)ということを、ヨーロッパの場合もアメリカの場合も忘れてはいけませんね。

  

前回のメールに引き続き、カンザス州の田舎町にあるNHの写真です。
ここは確か定員115人のNHで、同じ敷地内に自立型アパート、アシステッドリビング(ケア付きアパート=各部屋キッチン・シャワー付き)があります。
いわゆる、リタイアメントセンターと分類されるタイプのもので、同じ敷地内で終生面倒を見てもらえるしくみになっています。
この施設は教会が出資した非営利法人が所有・運営しています。
数年前にこの非営利法人が郡政府所有のNHを吸収・合併しました。そして、新体制のもと、2年前に改築・一部新築した建物に移行したとのことです。
このため、スタッフは2つの異なる法人の混ぜ合わせとなり、組織風土の違いもあって、なかなか難しい面があったようです。
このNHは現在、6つのユニット(家庭、あるいは所帯と呼んでいる)にわかれています。
この3枚の写真は、改築した建物部分で、ユニットの入口です。外からドアを開けて入ると、この部分になります。
もともとは、放射線状に3つのウィング(長い廊下)が走っていて、その基点部分に大きなナースステーションがあったそうです。
改築後は、3つのウィングを独立したユニットにして、廊下の入口を玄関にし、呼び鈴や郵便受けをつけて家庭的な雰囲気にしました。
そして、このドアの手前にあったナースステーションをなくしました。
左側(16人)が緑の扉、真中(24人)が木目調、そして右側(21人)がクリーム色の扉となっています。

 ふむふむ、このユニットの人数は、日本でもあり得る人数ですね。しかし、各ユニットが構造的にはっきり区切られていること、ユニットごとに言うなれば『玄関』があるということですね、これは今の日本では、なかなか難しいかもしれません。


 池田さんの北欧報告の写真と、↑このアメリカの様子と見比べてみると、どちらも日本とは随分雰囲気は違いますが、同時にそれぞれもまた少し異なった感じを受けます。池田さんの北欧の様子は、いかにも品の良さそうな感じ、アメリカの様子は決して無味乾燥としているわけではありませんが、北欧の様子と比べると、いかにも「機能的・合理的」という感じを受けます。それとも、「国名と国のイメージ」に引きずられているかな?(^_^;

 ただどちらにしても、「“効率良く集団を管理していく”という病院の構造がおおもとのモデルとしてあって、それにあとから個室だのユニットだの付け足した構造ではない。」ということ、これはどちらも同じですね。

 それにしても、私自身はイナカから一歩も動かないでいるのに、こうして「世界の情報」をお伝えいただけるのですから、何ともありがたいこと、というか便利というか、夢のようなことだと思います。


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