老人介護についての個人的HP-5 思索- (7) 介護保険への不安と願い
世の中、特に「介護業界(?)」に属する人達の間では「介護保険」に関する話題がのぼらない日は無いような状況です。しかし、このHPでは介護保険についての話題を取り上げたことはありませんでした。それは、制度全体があまりに大きくて私自身が把握しきれないことが大きな理由です。
でも、段々と理解が進んでくると、むしろ不安の方が大きくなってきているのが本当のところです。「制度自体がうまく機能していくだろうか?」というような総論としての不安ではなく、あくまで個々の利用者にとって頼りになる制度なのか?という「各論への不安」です。その具体例を2つばかり紹介します。
@オムツ代は保険支給費から?
現在、施設入所者がおむつを使用している場合、原則としてオムツ代や洗濯代は「ご本人・ご家族もち」です。(あまりに高額にならないよう、上限が設けられていることもあると思います。)ところが、介護保険では施設利用者のオムツ代は、保険から施設に支払われる保険支給費の中から出すのだそうです。一聴すると、ご家族ご本人の負担が減り、施設としてもオムツを使えば収入が減る訳ですから「オムツ外し」が進むのではないか?と思われますから、いかにも良いことのように聞こえますが、実際はそのようになるでしょうか?
熱心な介護職者ならば良く知っているでしょうが、「おむつ外しの過程では、一旦オムツ使用量が増える」ということは常識だと思います。まず、1日何度かの「定時交換」から汚れたらすぐに交換する「随時交換」になり、さらに「上げ下げ自由な(高価な)紙パンツ型オムツ」を使ったりしながらオムツ外しは進むのです。従って、一旦オムツ使用量やオムツ代金が増えるのは明白です。現状では、おむつ外しの見こみがある時に、ご家族にも説明の上、一旦とは言えオムツ代が増えることも了承してもらって取り組むことが多いのですが、介護保険下ではどうなるでしょう?
結局、施設の収入が減るようなオムツ外しケアは行ないにくくなり、むしろオムツ定時交換の回数を減らす、という安易な形で施設収入を確保する、というように事態は流れていかないでしょうか?とてつもなく、不安です。
もちろん、ご家族本人負担の現状のままで良い、というつもりはありません。また、定額の保険支給費とは別に、かかったオムツ代を別に支給してくれればご家族本人さんも施設側もバン万歳ですが、それでは保険制度自体が成り立たないでしょう。一体、どうすればよいのでしょうか?
A介護福祉機器は全て既成品のレンタル?
これは最近、業者さんから確認した情報ですが、介護保健制度下では「車椅子・ベッドなどの介護福祉機器は全て給付ではなくてレンタルとなり、レンタル代が介護保険支給費から出される。給付はポータブルトイレくらいしか残らないのではないか?」ということです。え〜っ!!そりゃないよ〜!「食事大作戦」で紹介している「モトさん用車椅子」あんな特殊なものが既成品である訳はありません。ベッドはともかく、車椅子は衣服や靴と同じで原則としては個人個人に合わせて準備するモノです。そして場合によっては食事大作戦のモトさんのように、いささか特殊な規格が必要となることも多いものです。現状では身体障害者手帳があれば、審査を受けた上でそれなりの公的援助を受けながらどのような車椅子も作れます。なのに、業者の準備している既成品の中からしか選択できないのだとしたら・・、どうしてもレンタルにない品物が必要ならばご家族ご本人さんが「全額自己負担で個人買い」するしかありません。そんなバカな・・・と、あまりのショックの大きさが、今、このページを作っている理由です。(;_;)
真に被保険者のための制度となるためには?
今現在、私が強く感じる介護保険サービスへの不安はこの2つです。もちろん、総論レベルでもその他の細かいことでも、いくつも疑問や不安はあげることはできます。でも、現状の制度も近い将来の介護保険制度も含め、完璧なシステムということはあり得ません。あとはいかに制度を回していくか?という「運用の問題」となります。
あとは、全国あまたの市町村の会議室の中での「決まりごとの解釈」の場面で、できる限り利用者の利便のために制度が運用されるよう、心から願うばかりです。私自身は「サービス希望をいかに能率よく切っていくか?」が仕事になってしまいそうな「ケアマネージャー」の資格を取る気はさらさらありません。むしろ介護保険サービスからこぼれおちた方々へのフォローアップに回ろうか?と、密かに考えているところです。