老人介護についての個人的HP-3 施設家屋-(3) 車椅子スロープと車椅子階段
車椅子での移動時に障害となる段差を解消するために、一般的にはスロープがよく使われます。しかし、これも基本的な規格を知った上で設置しないと、使いにくい、場合によっては危険なものになってしまいます。
以下、車椅子用スロープの基本的な基準と、車椅子スロープに代わる方法とを紹介します。
スロープというからには「坂」です。坂には「角度」がありますね。では、車椅子で昇っていくのに楽な角度、いささかキツイ角度とはどれ位なのでしょうか?教科書的には『屋外では1/15以下、屋内では1/12以下』とされています。(年金福祉事業団年金バリアフリー住宅設計基準から)これくらいの角度なら、まぁ車椅子を押す介助者も、ある程度の余裕を持って昇れるだろう、ということです。この角度を図で示すと、図1になります。随分傾斜が緩いですね。例えば屋外なら、10cmの段差を解消するのにその15倍=1.5mのスロープ設置面が必要となり、20cmの段差ならばその倍の3mが必要になります。

図1 車椅子用スロープ角度上限 屋内用(上)と屋外用(下)
施設ならともかく、在宅場面ではこれだけ余裕をもってスロープを設置するのはきついことが多いのではないでしょうか。30cmから40cm位の段差、例えば玄関の上がり口などは、随分と急なスロープになってしまいます。
そんな時、いっそのことスロープはやめて「車椅子用階段」としてしまうのも、一つの手段です。つまり、車椅子が載るだけの平らな面を用意して、その面ごとの段差を15cmくらいにする、というものです。(写真1)その段は「車椅子キャスターアップ〜後輪持ち上げ」(写真2)で超えます。もっとも介助者が小柄な方の場合、脇のしたあたりにきてしまう車椅子の介助操作ハンドルを持って後輪持ち上げるのはなかなか大変ですから、後輪持ち上げ操作用の「バー」を付けてあげるのがよいでしょう。(写真3)これで昇る時は前向きに、降りる時は後ろ向きでストンストンと上下移動する訳です。

写真1 車椅子用階段

写真2 キャスターアップと後輪持ち上げの段差超え 写真3 後輪持ち上げ用バー
アップしてから随分時間の経ったページですが、実際にボランティアさんやご家族さまと一緒にやってみて、『ここまできちんとご指導しないといけないんだな〜』という点を書き加えておきます。
図1をご覧下さい。キャスターが上段に乗っていますが、この段階ではまだ後輪を持ち上げてはいけません。「この段階」というのは、図中の「※」のところ、後輪が段差から離れている状態、ですね。この段階で後輪を持ち上げてしまうと、時に「→」のようにキャスターがクルンクルンと不安定になり、場合によっては車椅子全体が横方向に流れたりして危険です。

図1
安定して段差を越えるには、図1の状態のままで持ち上げずに「前進」して、図2の左の状態になります。つまり、後輪が段差に触れるまで前進、ですね。そこからそのまま、後輪を段差から離さないようなつもりで後輪を持ち上げつつ段に乗ってしまいます。(図2中〜右)段差と後輪の接点を「支点」にする、とでも表現すればよろしいでしょうか?

図2
慣れてしまえばほとんど無意識のうちに行なっている動作ですが、初めての場合には意識しないと危険なことがあるかもしれません。