老人介護についての個人的HP-3 施設家屋- (7) 施設機械浴槽
さて、次は機械浴槽です。写真1の順送式臥位機械浴は、マスコミなどで未だに「福祉場面の象徴」ように扱われていますね。しかし実際には、どんどん使われなくなりつつあります。その理由は以下の通りです。
何より入っているのが怖い。足が浮いて頭が足元へ沈んでいくようで、不安定
裸身を上向きで、上からの他人の視線にさらすことへの心理的な悪影響
何より車椅子で起きていられる人を、どうして寝かせて風呂に入れんといけんのか?という素朴な疑問
写真1 順送式臥位機械浴
利点としては、入浴者も介助者も大変ではありますが、「とにかく数をこなすのには都合が良い」くらいでしょう。もっともその様子は、ほとんど「長芋洗い・ネギ洗い」のようです。(^_^;
順送式臥位浴に代わって広く使われるようになってきているのが写真2のような「座位機械浴」です。シャワーチェアに座ったまま、チェアごとお風呂に入るような形となり、つまり「身体を起こしたまま入浴」できます。大変喜ばれる方が多いです。少なくとも車椅子に座っていられる方は利用できるはずですから、「ほとんど全ての方」が利用できます。これから新しく施設の浴室を作られる場合にはぜひ導入するべきだと思います。写真はウチの施設の浴槽でO社製ですが、3つほどのメーカーさんから多数のタイプ・機種が出ており、それぞれ特徴がありますから選択もできるようになってきています。
写真2 座位機械浴
もっともこの浴槽は「お湯に浸かる」だけですから、身体を洗うのは浴槽の外になります。そしてお尻も洗いたいですから、できる限り自力で立ちやすい場所を作らなければいけません。つまり、座位機械浴槽の近くに身体を洗い流すための「シャワー」と、「起立用手すり」が必要になります。写真3は、ウチの施設の様子です。「how toのコーナー」の「自力起立」のページで説明した通り、(機械浴を使わないといけないほどに)起立能力が落ちてきている人はできるだけ沢山「おじぎ」するようにしながらでないと立てません。従って壁に向かって起立するように作る場合には、手すりは壁面から沢山離して、むしろ可能ならば平行棒が突き出ているような形にした方が良いと思われます。縦手すりの場合でも最低30cmほどは壁から手すりを離さないと、立つための手すりとして機能しません。これはぜひ気をつけていただきたい点です。写真3でも壁からの距離は30cm弱で、実際には少なすぎます。
写真3 座位機械浴用洗い場
ウチの施設では、家庭浴槽と大浴槽、それにこの座位機械浴槽がフル稼働状態で、写真1の順送式臥位機械浴槽はこれまで一度も使ったことがありません。(それが自慢でもあります(^_^; )もっとも中には、どうしても臥位浴槽でないと入浴できない、という方もいらっしゃるかもしれませんから「あっても良い」とは思います。その場合には写真1のような豪華な臥位機械浴ではなくて、もっと簡便なものでよいでしょう。
もっとも「病院・施設の大浴槽」のページで説明した通り『歩けない方でも大浴槽に入ったり、あるいは家庭浴槽に入っていて、どうしてもそれが難しい方は座位機械浴に入っている』から、『臥位機械浴槽は使っていない』のです。これが反対に「歩ける方でも入れない大浴槽」だったりすると途端に機械浴対象者が増えてしまい、つまり効率も上げなければいけなくなりますから「臥位機械浴槽で」ということになってしまいます。
つまり施設のお風呂というのは、大きな設計思想の中から個別の浴槽を考えていかなければいけないものなのです。