老人介護についての個人的HP-4 知識 - (12) 腰痛への対応
『たかが腰痛、されど腰痛』若い介護職員さんの中には「腰痛」のためにせっかくの職業をあきらめてしまう方がいるくらいです。このページでは、高齢者ご本人さまだけではなく、介助にあたる方々のことも考慮しながら、「腰痛への対応」をまとめてみます。
@動作介助で腰痛を避けるコツ
動作介助には、全てを全力で介助する「全介助」や半分くらいを介助する「部分介助」、見守るだけの「近位監視」と、様々なレベルがあります。一般的に、介助度合いが高まると「効率」は上がりますが介助者の「身体負担」は高まります。その一方、「全介助」では本人さまの力が発揮されないので、ますますご本人さまの力も弱めていってしまいます。
そこで、介助者の健康のためにも本人さんの機能向上のためにも、動作介助場面ではできる限り本人さんの力を発揮してもらいましょう。そして、本人さんの力を発揮していただこうとすれば、「環境」も力を発揮しやすいようにしてあげる必要があります。例えばベッド手すりの位置や形、ポータブルトイレの形などを考慮する必要があります。そのための具体的な介助方法のポイントや機器環境の整備についてを how to のコーナーにまとめているわけです。
A日常生活上の注意
腰痛を完全に予防しきることや治しきることはなかなか難しいことです。でも、だからこそ日々の生活の中での様々な注意の積み重ねが大切となり、将来的に大きな差となって現れてきます。そんな生活上の注意点をいくつか以下に紹介します。いかにも細々したことですが、これらを無視して腰痛の軽減はあり得ません。
●長座位/あぐらでのお尻上げ(正座用小椅子)
日頃くつろぐ姿勢である「足投げ出し座りやあぐら座り」は、実は腰にとっては大変負担のかかる姿勢です。写真1でも腰が曲がっていることが分かります。腰が伸びて良いのは「正座」なのですが、反対に正座では「膝」が大変辛くなります。
そこで、足投げ出し座りやあぐら座りの時には小さな枕や座布団でお尻を10cmばかり上げてください。(写真2)腰がすっきり伸びて負担がずっと軽くなります。写真ではあまり違いが分かりませんが、体験すると実感いただけると思います。また正座のときに膝の負担を軽くするためには、両足の間に挟んで使う「正座用小椅子」が良いでしょう。「お茶やお花の教室」で扱っているそうです。

写真1 写真2
●台所での片足あげ(立位保持)
両足を揃えて立位をとり体を前に傾ける姿勢は、腰の負担が大きいです。(写真3)例えば台所で料理や食器あらいをする時に、片足ずつ前に踏み出し小さな箱に上げるようにすると、腰の負担はずっと軽くなります。
写真3
●寝具は固めに
フカフカの敷布団は良くありません。固めの布団が腰のためには良いです。
●箪笥の引き出し空け、おもちゃ拾いは膝つきで(低所作業)
箪笥の低い段を開けたり床に散らばったおもちゃを拾い集めるなど、低い場所を操作するときに両足を伸ばしたままで身体だけ屈めるのは腰を壊そうとしているようなものです。(写真4)面倒でもきちんと膝をつきましょう。
写真4
●洗濯干しは小椅子に上がって(高所作業)
反対に、洗濯物を物干し竿に干す時など、高い場所を操作するときにむやみに伸び上がるのも良くありません。(写真5)台を準備して上がって楽な姿勢で行ないましょう。
写真5
B体幹装具について
腰痛をお持ちの方の中には、病院で「腰痛用コルセット」を作ってもらった方もいらっしゃるかもしれません。これは、体幹筋力を補うと同時に腰をできるだけ「安静」にするためのものですから、日常生活上や介護場面では「動きにくい」ということも起こるかもしれません。そんな時は体の動きを制限しない「骨盤帯」(写真6)を使うのも一つの手段です。これは骨盤陵の下を回すので体幹の動きに邪魔にならないと同時に、「下っ腹」を支えて腰を楽にしてくれます。ただし、このようなコルセットや骨盤帯を使う時は、体幹筋力がなおのこと低下してしまわないように以下の「腹筋体操」も行ないましょう。

写真6
C腹筋体操
腹筋力を維持するための体操はそんなに難しいものでも、苦しいものでもありません。下に説明するような運動を一日1セット、例えば寝る前とかに行なえば十分です。
上を向いて寝て、両膝を立てます。(写真7)両膝をたてないと、かえって腰を痛めてしまいかねません。
そこから自分のおへそを見るようなつもりで、首をもたげます。そしてゆっくり元に戻ります。(写真8)この間、決して息を詰めないでください。息を詰めると血圧があがってしまいます。若い方なら肩甲骨まで浮かすことができますが、そこまで上げなくても構いません。ゆっくり丁寧に行なうことが大切です。これを10回ほど繰り返します。

写真7 写真8