老人介護についての個人的HP-4 知識 - (15) 脱水
高齢者ケアの場面で注意していたい医学的な管理項目の一つに「脱水の予防」ということがあげられます。脱水について、具体的なイメージが湧きますか?施設処遇場面ではともかく、在宅者の方々の場合には意外と脱水が見過ごされているのではないか?と個人的には思っています。
※高齢者は「脱水」になりやすい
脱水とは、文字通り体内水分が不足してしまっている状態です。人の体内水分量は若ければ若いほど割合が高いです。一番みずみずしいのは生まれたばかりの赤ちゃんで、成人の場合では重量比で身体の70%が水分とされています。それが高齢者の場合には、成人の6割にまで体内水分が減ってしまう、とされています。つまりそれだけもともと乾いているわけですから、容易に脱水状態になりやすいのです。(子供が脱水になりやすいのは、効率良く水分を保っている筋肉が少なく容易に水分を離してしまう脂肪割合が多いから、だそうです)
加えて高齢者は感覚機能も衰えています。口渇も若い人の様には感じない、だから脱水に陥りやすい、とも言われています。
さらに夏場はもちろん、現在では暖房が完備され、しかも空気が乾燥しがちですから冬場にも脱水の可能性は大きい、とされています。
これらの条件に加えて、虚弱な高齢者の場合には身体障害や精神機能の問題で「好きな時に好きなものを飲む」ということが、自力ではできないことが珍しくありません。水分摂取にも介助が必要であるならば、脱水になるかどうかはほとんど介助者さんの態度によって決定されてしまいます。また、ある程度自由に飲水できる方でも、排尿の回数が増えることを嫌って飲水を避ける方も見受けられます。その場合には脱水の怖さをよくよく説明して、おしっこの出ないことの方がはるかに困ったことであることを教えてあげなければいけません。
※脱水の症状
では、脱水に陥るとどのような症状が表れてくるのでしょうか?以下に箇条書きにまとめてみます。
微熱が続く
ボーッとしている、急にヘンなことを言い出す
排尿回数の減少、尿が濃くなる
脱力状態
皮膚乾燥
便秘の悪化
頻脈
血液粘稠の増加により脳梗塞や心筋梗塞の恐れ
色々なことが起きてきますね。そして何より、脱水とこれらの症状により「廃用性症候群」に陥ってしまうこと、それが一番怖いことです。
※脱水の判定
次に脱水に陥っているかどうか、簡単に判定する方法を紹介しておきます。広く言われているのは「脇の下に手を差し入れて湿気を確かめてみる」という方法です。もともと皮膚の乾燥しがちな高齢者でも、正常であれば脇の下には湿り気があるもの、とされています。上記のような症状が見られると同時に脇の下がかさかさに乾燥していたとしたら、強く脱水が疑われるわけです。もちろん、最終的な判断は専門家に任せなければいけません。
※脱水への対応
では、脱水が疑われる時、どう対応すればよいのでしょうか?もしも口から飲水できるようでしたら、少しずつでも水分を補給することしかありません。スポーツ飲料であれば、水分と少しでもエネルギーの補給になります。もしも経口摂取が難しいようであれば点滴処置による水分補給、ということになります。
※脱水の予防
本当は脱水に陥らなければそれが一番良い訳です。そのための注意点をあげてみます。
介護者が脱水のことを良く知っており、恐さや対応や簡単な判定法の知識を持っていること。
ご本人さまが既に書いたような誤った認識で飲水を避けたりすることのないように、ご本人さまにも脱水のことを良く知ってもらうこと。
健康の維持のためのは一日に1000cc程度の水分は摂取することが望ましい、とされています。となると、2度や3度でまとめて飲むのは難しいでしょう。少量多頻度の飲水を心がけること。
同じことですが少量多頻度の飲水ができるよう、ご本人さまだけで簡単に飲水できるように工夫をしてあげること。例えば寝たままでも、スポーツ飲料用のボトル=ある程度の量を溜めておけて、ストローのように吸え飲めるものなどを上手にセットすれば、手軽に回りを汚さずに飲水できます。
食事中や後はもちろん、朝起きて・入浴後・夜寝る前など、意識して水分補給に努めること。
などでしょうか?他にもまだあげられるかもしれません。
夏場に続く微熱を夏風邪と勘違いしてしまったり、便秘だからと下剤や浣腸は行なっていても水分補給量のことは見落とされていたり・・、そんなことのないようにしたいものです。