老人介護についての個人的HP-4 知識 - (17) 装具のメンテナンス

最低限の装具のメンテナンス

 高血機器の(10)で説明申し上げた通り、身体障害のために装具が必要な方にとっては、装具はもはや「からだの一部」と言ってよいものです。その装具をまったく「お手入れ」なしで済むわけはありませんね。でも、実際に装具を使っている方々でも具体的にどうメンテナンスしていけば良いのか?きちんと教えてもらって実践されている方は少ないのではないでしょうか?このページでは最低限のメンテナンス方法について説明します。装具をお使いのご本人さまはもちろん、ご家族さまや介護職の皆さんも知っていただき、身近な装具使用者の方がお手入れしていくお手伝いをしてあげてほしいと思います。

@下肢装具(金属支柱式装具)

※全体のゆがみ
 全体のゆがみはないでしょうか?装具を横から見て、2本の支柱が平行ではなく、クロスする形に見えたなら、装具全体にゆがみがきている可能性が大きいです。そうなると、装具全体が合わなくなってしまっている可能性が大きいです。病院・施設や市町村の老健事業など、何らかの機会に理学療法士に確認してもらいましょう。その上で作りなおしが必要だったら、きちんと作りなおしましょう。

※金属継手への油差し
 金属支柱式の下肢装具では、膝関節や足くびに「金属の継手・関節」があることが普通です。(写真1の@)ここにたま〜にで良いから、ミシン油をさしてあげましょう。それを怠ると、継手内部が錆びてしまい、動きが悪くなったりギチギチ音をたてるようになります。(写真2、錆びて茶色になってる…(^_^; )

 

         写真1            写真2

※継手角度調整ネジは勝手にいじらないように!
 金属式下肢装具では、足くびの継手をネジで角度調整できるようになっていることがありますが、これは勝手にいじらないようにしましょう。(写真1のA)装具の“効き具合”や“歩く格好”が全然違ってきてしまい、最悪の場合、膝関節にいらない負担をかけ変形を招く原因になったりもします。そして介護者さんから見て明らかにご本人さんが「いじったな〜」ということが明らかな場合、やはり理学療法士などにきちんと再調整してもらうべきです。

※マジックベルトについて
 これは後ほどまとめて。

Aプラスチック下腿装具(シューホーン装具)

※変形部にひび割れはないか?のチェック
 プラスチックシューホーン装具には、金属支柱式装具のような「継手」がありません。装具全体がビミョウ僅かにたわんで、足関節が多少は動くようになっています。そして、そのたわみの動きは写真3の矢印の部分に集中します。長い期間、装具を使っていると、この部分がひび割れてきたりします。もちろん、そうなったらもうすぐにでも作りなおさなければいけません。また、ひび割れてくる前兆として、ひび割れてくるスジの形に真っ白になってきます。そうなったら、いつひび割れがきてもおかしくない状態ですから、なおのことチェックは頻回にしましょう。

写真3

※足底皮のめくれ
 装具の底の床を踏む面には必ず皮やゴムが貼ってあります。また装具内側の足の裏が踏む面にも何か布などが貼ってある場合があります。情けないことに、これらがよく、端っこからめくれ剥がれてくることがあります。そんな時は放置しないで、コンビニにも100円で売っている「ゴム系接着剤」(黄色い接着剤で商品名“G17”など。通称“ハナクソボンド”(^_^; )できちんと貼りなおしてあげましょう。

Bマジックベルト(ベルクロベルト)の交換

 金属式下肢装具でもプラスチック装具でも、また体幹装具でもマジックベルト(ベルクロ)が使われています。ある程度の期間、装具を使っていると、装具本体にガタがくる前に、このベルトの“くっつき具合・固定力”が弱くなってしまうものです。(写真4)足や体に装具がしっかりセットできなければ装具をしている意味がありません。そんな時は装具業者さんに頼めば、ベルトを装具につけているカシメを外して新しいベルトに付け替えてもらいましょう。私のいつもお世話になる装具屋さんは、一本千円くらいで替えてくれます。もっとも病院のリハビリ室にいらっしゃる装具業者さんに頼むと、「1週間お預かりして・・」なんて言われてしまったりします。どうしてもその装具がないと生活に困るような時は遠慮なくそう伝えて、ベルトのサイズだけ測ってもらって同じように作ってもらうようにしましょう。サービスの良い業者さんなら、また1週間後に病院で付け替え、ではなくて、ご自宅までつけに来てくれるかもしれません。(できればそうしてあげてください、装具業者さま。)

写真4 レロレロでつきの悪いマジックベルト

C適切な援助がなされないと・・

 さて、大変貴重?な画像が準備できたので、ご紹介します。

これは地域(市町村保健センター)で、「最近、歩けなくなったんだけど・・」とご相談を受けたケースの「シューホーン装具(踵抜き)」の状況です。お分かりになるでしょうか?装具のプラスチックが完全に割れてしまったものを、ご家族が皮などを当てて修理してくれたものの、さらに壊れてしまって割れた装具を紐で十文字に縛っている、という状況です。

 

写真5

 ご家族が大変ご熱心であることは、この工夫に満ちた修理状況でも明らかです。でも、同時にこれではもはや装具として機能していないことも間違いありません。ですから、「最近、歩けなくなった」のは当然のことなのです。

 この装具を最初に作ったどこかの医療機関で、メンテナンスの方法や定期的な作り直しの必要性、壊れてしまったときはどうすれば良いか?などを、きちんと指導してくれなかったのでしょう。この方については、偶然にも私とご縁ができまして、今後できるだけのフォローをしていく所存ですが、在宅生活を送っていらっしゃる方々の中には同じような方が沢山いらっしゃるにちがいありません。このHPをご覧の皆さんそれぞれのお立場で「これは・・」と思えるケースを知った時は、例えご自身では対応できなくとも、装具業者さんやPT・OTさんに連絡をつけてあげてほしいと思います。

D追加、マジックベルト(ベルクロベルト)のお手入れ

 さて、小ネタなのですが、と〜っても大切なことなので追加として加えておきます。それはマジックベルトのゴミ取りお手入れ、です。

 ある程度の期間、装具を使っているとマジックベルトの雄側のベルトに沢山の綿ゴミがついてきます。写真6のベルトが部分的に黒く見えるのは、全部綿ゴミです。このような状態になってくると、ベルトのつきが悪くなってきます。そんなことが起きないよう、時には綿ゴミをボールペンの先などで取ってあげましょう。写真7ではベルトが綺麗になっていますが、脇に写っているモヤモヤが取れた綿ゴミの山です。(^_^;

 片麻痺者さんの場合、ご自分ではなかなか上手に取ることができないかもしれません。気をつけてあげてくださいね。

 

写真6                        写真7     

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