老人介護についての個人的HP-4 知識 - (18) 口腔ケア
要介護の方々に食事を摂っていただく際、その前に必ずしておくべきことがあります。その一つが「口腔ケア」です。
健常な私たちは習慣的(無意識のうちに)に歯磨きなりを行なっていますから、その必要性を見落としがちです。でも、私たちの間でも「健康法」の一つに、「食欲が進まない時は一生懸命歯磨きする」ということを実践されている方もいます。まぁそれくらいに口中の衛生は食欲に影響する、ということです。そして生活に介助を要するような方の場合、介護者さんが意識しないと口中の衛生がなかなか保てないものです。
特に、日頃から食事量の少ない方やこれまで口から食事を摂っていない方の場合は要注意です。しっかりと繰り返される食事で、かえって口腔内細菌の増殖が抑えられる、という面があります。ですから、これまで胃瘻や鼻腔栄養だった方で改めてこれから口から食事を摂れるように練習を始めようか?という場合、口中がビックリするくらい汚れている場合があります。そして、誤嚥することでおきてしまう肺炎も、食材よりは口中細菌が肺に流れてしまうことの方が恐い、という説もあるくらいです。(同時に、食事による誤嚥だけではなく、臥床していての“汚れた唾液の誤嚥”こそが肺炎の原因というお話もあります。そうなると口腔ケアは、食事と関係無く重要なケア項目と言ってよいと思います。)
ですから食事に取り組むよりも先に、口中の衛生に取り組まなければいけません。口中を衛生的にして食欲の増進を図ると同時に、誤飲性肺炎のリスクも小さくすることになるのですから、命にも関わる大切なことです。
具体的には、介助であってもうがい・歯磨きできる方にはしっかり行ない、難しいようであれば介助者の手指にガーゼなどを巻きつけ、丁寧に口中をお掃除してあげましょう。噛まれてしまうということならば、割り箸や先の丸い棒にガーゼを巻きつけても良いでしょうし、巻綿子という専門の道具もあります。(写真1)また「耳のお掃除用」よりもずっと太くて長い『綿棒』も薬局に行けばありますね。そしてガーゼは必ず水で湿らせた状態で使用するほうが、ご本人さんも気持ちがいいですし、汚れもよく落ちてきます。さらにガーゼに薬液として「イソジン」が非常に有効だそうですが、患者さんによっては「薬臭い」のを嫌がる方もいらっしゃるそうです。我慢できる程度にまで薄めても、水道水で湿らせるだけよりはずっと良いでしょう。また、イソジンを水とともにグリセリンで薄めているケースも拝見したことがあります。口腔内が乾燥しがちな方には、良い工夫かもしれません。
そしてもちろん、「食後の口腔ケア」も大切なのは言うまでもありませんね。

写真1 イソジンを染み込ませた巻綿子
そんなふうに口腔内の衛生が確保され食欲も出てきたら、歯にもこだわりたいですね。虫歯・合わない入歯よりは、虫歯は無く入歯はぴったりの方が良いに決まっています。しっかり噛めるようになると「プロ野球選手でも打率が上がる」というくらいですから、高齢者の場合にはしっかり噛んで食べることで起立歩行能力まで改善するかもしれませんね。もっとも、口腔衛生の確保や日常生活全般に渡る積極的なケアや精神面への働きかけをせずに、入歯“だけ”を直してもダメですよ。(^_^;
(このページには、歯科衛生士:千葉のSeikoさんより多大なご教示をいただきました。ありがとう!)
また、Seikoさんから口腔ケア専用の道具をご紹介いただきました。写真2の「トゥースエッテ」という道具です。コロコロ口中を転がすように使えば確かに効率良く口中の汚れを落とせそうですね。それから、「抗菌性のあるカテキンが含まれる緑茶での洗口も効果的かも?」とのことです。なるほど〜!

写真2 トゥースエッテ