老人介護についての個人的HP-4 知識 - (2) 廃用性症候群〜ADL
廃用性症候群を防止し改善するには、廃用性症候群に陥っている「状況」そのものを変えなければいけない、と先に述べました。このことをもう少し具体的に書いてみます。
「状況」とは、本人さんやご家族の気持ち・態度といった心理面も大切ですが、直接的具体的には「ADLのあり方」のことと、といってもよいでしょう。ADLとは「日常生活動作」のことで、食事排泄入浴といった人が生きていく上で基本的な緒動作をいいます。つまり、食事をどのような方法でとっているか?排泄はどのように行なっているか?そのようなことがらの積み重ねが徐々に体力をつけたり反対に身体を弱めていったり、ということになります。例えば歩く力があるのに、食事は3度3度ベッドの上で摂り排泄はベッド脇のポータブルトイレを使い、あとは寝てばかりいるとしたら・・、その方はじきに歩く力を失ってしまうに違いありません。反対に歩けない方でも、食事は車椅子で離床して行ない排泄は介助を受けながらでもポータブルトイレを使っていれば、徐々に体力や足の力がついてくるものです。
このように、ADL様式は本人さんの将来を決める決定的な要素となってきます。
しかし同時に意識しておきたいことがあります。それは「ADL自立度と介護負担度」の関係です。一般にADLの自立度が高い場合、つまり何でも自力で行なえる場合は、ご家族の介護負担は最小で済みます。では、完全な寝たきりで完全介助の場合には、介護負担は最大となるのでしょうか?そうではありません。極端に自立度が低く完全介助に近い場合はかえって介護負担は低くなることが普通です。大変なのは中途半端な場合、つまり「半自立半介助」です。
排泄を例に考えてみましょう。安全に自力で行なえる方は問題ありません。完全な植物状態で日に4回の決まった時間のおむつ交換だけで済む方は、次に述べる半自立の状態に比べれば、介護負担も極端に大きくはないでしょう。これが、尿意はありコントロールもできてポータブルトイレへの排泄の意欲もあるが、起座や起立に介助を要する方が頻尿だったとしたらいかがでしょう。家族は一時も側を離れることができず、本人の要求/ペースにあわせて踏ん張って介助にあたらなければなりません。明らかに介護負担は大きくなるのです。このことを図に表すと以下のようになります。(図1)
しかし、要介護の状態にある高齢者は、程度の差こそあれ多くの方々が「半自立半介助」の状態であると考えられます。ですから、特に介護力に制限のある在宅者の場合は、図のうちの左右どちらかへ、つまり本人の状態としてはより元気へ、もしくはより寝たきり状態へ変わっていくことが多いようです。どちらにしても家族の介護負担は減少する方向へと向かうことが多いようです。
この介護負担のお話は、特に家族を援助する立場にいる方は忘れずにいていただきたいと思います。(本人さまのため、という目的でも、ご家族の負担を増やすことには慎重でなければなりません)そしてこのHPでは、ご家族の介護負担もできるだけ少なく、同時に本人さんにとっても望ましいような、そんな介助方法やADL方法の提案を行なっていきたいと考えています。

(図1)ADL自立度と介護負担感の概念図