老人介護についての個人的HP-4 知識 - (22) ○○療法について
○○療法について(総論)
回想法・リアリティオリエンテーション・音楽療法・ペット療法・園芸療法・お化粧療法・まぁ、理学療法・作業療法、最近、はやりなのは腹臥位療法、ちょっとトンデモ療法と思えるのには蛍光灯の前に2時間も座らせるという光療法…、色々な「療法」がありますね。これらについての考え方は、既に「思索(17)介護保険におけるリハビリとPT・OTの役割:小私論」の中で『日頃のケアが充実していてこそ!』と、説明しています。このことをもう少し詳しく説明しておきます。
日頃の生活援助が充実していないのに、これらの特別なプログラムを実施しても「その場だけ」となってしまうのは明白ですよね?そもそも、お化粧療法しよう!という時に顔が垢で粉ふいていたらどうするんだろう?とか、「無用の私物はなるべく持ちこまないよーに!」と言っておきながら回想法もリアリティオリエンテーションもないもんだ、と思ったりしませんか?そして、○○療法の実施時間や実施時期が終れば、またベッドやテーブルにぽつねんと過ごす時間が待っているのでしょうか?
それならば○○療法なんてしなくても、日頃の当たり前の生活援助場面で、豊かな会話や交流のあった方がずっと良いですよね?「○○療法を実施する時間を確保するために、生活援助がおろそかになる」そんなことだけはさけたいものです。
もっとも私は、○○療法を全て否定している訳ではありません。日頃のケアが充実している上での○○療法ならば、素晴らしいことです。実際には実施できなくとも、それぞれの療法について学ぶことも大変に有意義なことと思います。それらの知識が日頃の何気ないケア場面の中で活かすことができると思います。
リアリティオリエンテーション(もどき?)について(ちょっと否定的(^_^; )
それでも、リアリティオリエンテーション(RO)については、私はちょっと懐疑的です。いや、私自身、きちんと学び実行したわけではないので、「ROもどき」については、としておきましょう。ROというのは本来、精神科病院に長期入院している患者さんの見当識を維持し高めるために始められたもの、と聞いています。そして、基本は「24時間RO」、つまりケアのあらゆる場面で見当識を刺激していくことが必要とされていたと思うし、それならばそれで、「ケア全体を統一する理念・手法」となりますね。ところが私が拝見した「ROもどき?」は、特別の時間だけ高齢者を並べてリーダーが、『○○さん、今日は何日でしょう?あらぁ分からない?じゃぁ××さん?あれ?違いますねェ。△△さんは分かりますか?そうです、正解でーす!』というものでした。これって変じゃありませんか?単純明快、○○さんや××さんの立場や面子はどうなるんでしょう?△△さんは、○○さんや××さんが答えられなかった今日の日付を答えられて、得意に思うのでしょうか?くれぐれも、ROが高齢者差別もどきになってしまわないようにしてほしいですね。(ROについて、そりゃアンタ、違うよ!勘違いしてるよ!という方がいらっしゃったら、ぜひご教示下さい。このページで修正します。)
回想法について(ちょいと肯定的)
そんな私もPTのくせに、回想法のセッションはもったことがあります。回想法というのは生まれてから現在までの、人生の様々な断面を思い出し言葉にしながら、記憶力・コミュニケーション向上や情緒の安定を図る、というものです。一般的には昔の写真なんかを使い、5〜6人くらいの固定メンバーで複数回セッションを行ないます。私の場合は、(当地がイナカ・雪国なので)ミノガサ・わら靴・草履なんかの実物を準備したり、下記の文献に収められている写真以外に地元の○○村が発行している「○○村の百年」みたいな写真集の写真を活用したりしました。痴呆者さんがわら靴を実際に履いて歩き回りだしたり、トイレットペーパーを使った「わら編み」の作業につながったり、と、とても楽しい?体験をしました。また、スタッフの高齢者さんに対するイメージが確実に変わります。良い影響があるようです。
また、「子育ての頃」というようなテーマのセッションの際に、『この場にご家族もいらっしゃったら…』と思いました。『知識(8)援助対象としての「一つの家庭」ということ』で述べたような、「一つの家庭のあり方を援助する」という立場に立ったとき、子育ての話題に豊かな表情を見せる高齢者さん方の様子にその場にご家族が居合わせて一緒に思い出話ができたら、痴呆発症〜施設入所という経過の中であまりよくない影響を受けてしまっている家族関係に良い影響があるんじゃないだろうか…?そんな気がしたわけです。ただ、これは職場を変わってしまって、未だに実行したことはありません。アイディアは提供しますから、どなたか実践〜報告してみませんか?
ご参考までに、回想法について一般的に手に入りやすい文献を下に紹介しておきます。
「回想法の実際 ライフレビューによる人生の再発見」
アン・O・フリード著 黒川由紀子ほか訳
誠信書房 \2,300
「回想法 思い出話が老化をふせぐ」
矢部久美子著 河出書房新社 \1,800
「回想法への招待 写真20枚付」
野村豊子著 筒井書房 \3,689
「回想法グループマニュアル」
黒川由紀子ほか著 ワールドプランニング
\1,800
「回想法とライフレヴュー その理論と技法」
野村豊子著 中央法規出版 \3,000
「回想法への招待」
野村豊子/黒川由紀子著 スピーチ・バルーン
\3,689