老人介護についての個人的HP-4 知識 - (24) 共依存(的)ということ

共依存(的)ということ

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 共依存という言葉をご存知ですか?心理学分野での用語です。どういう意味かというと、

『人間関係において、他者をコントロールしようとする状態でありながら、その相手にきわめて依存的な状態、のこと。』を言います。

 つまり、

『他者をコントロールすることで、自分にコントロールされる相手の存在が自分自身の存在意義となっている。』

 ような状態のとき、共依存である、という言い方をして良いと思います。

 具体的には、家庭内で何らかの問題を有している家族メンバーと、その人への援助を行なっている家族メンバーの間に共依存が認められることがあります。世間からは「何であんなアル中のどうしようもない亭主の面倒をみているのだろう。」というような妻の場合、暴力をふるわれながらも亭主の世話をすることが、妻自身の生きがい・自分自身の存在意義の確認となってしまっている、というような状態のことです。亭主はお世話してもらうことで女房に依存してるし、妻はお世話することで亭主に依存しています。だから「共に依存しあっている」共依存、という訳です。そういう状況だから、妻は決して逃げないし、もしかしたらアル中を治すチャンスがあったとしても、それをみすみす見逃したり潰したりします。それは結局、亭主のためにもならないわけですね。

 そんな関係が、時に高齢者の在宅介護の場面で感じられることがあります。もっとも私たちは、心理カウンセラー・心理専門家ではないのですから、「このご家庭には共依存の問題がある!」なんて診断を下す必要はないのですし、私としては狭義の「共依存」だけではなく、外圧からの「共依存的な家族関係」というのもあり得る、と思いますから、このページにはあくまで、「共依存“的”ということ」という題名にしておきます。

 共依存的な家族介護場面・援助関係で特徴的なことは、「回りが感心するほど熱心に介護に取り組んでいる。」「ただし、それが必ずしもご本人にとっては最良の援助内容とは言えないことがある。」さらに、「主介護者は、第3者からの援助・アドバイスを受け入れてくれにくい。」といった点を上げてよいと思います。

 なにせ、「私自身がお世話をしている」こと自体に意味・意義があるのですから、例えば介護法のちょっとした工夫やサービスの利用などで「問題が縮小・もしくは消失」してしまっては、主介護者は困ってしまうわけです。

 そのような面が感じられる主介護者への、私たち第3者からの援助はなかなかに難しくなります。もちろん、共依存的な部分自体が改善されれば一番良いのでしょうが、それは心理の専門家が真剣に取り組むような課題なのですから、介護援助を行なう私たちとしては最低限、

  1. 主介護者が身体的疲労の限界に達しないよう、(そして、態度を反転させて介護放棄してしまわないよう、)

  2. 被介護者が不適切な面のある介護を受けているとして、そのために心身機能が取り返しのつかないほどの低下や事故などのアクシデントが起きないよう、

  3. なかなか具体的な援助やアドバイスは受け入れてもらいにくいが、1・2のようなことが起きる危険はないか?継続した関わりと観察が必要、

とは、言えると思います。


 さて、ここまでは在宅介護援助場面にも役立つ「共依存」という知識について、なのですが、在宅介護の場面ではもう少し広い意味での「させられ共依存」とも言うべき状態が存在しますね。

 それは、主介護者に対して、他の家族メンバーやご親族が、「親の介護をするのは、嫁の当然の務め」とか「家族がいるのに他人を家に入れたり施設に預けたりするのはとんでもない!」とか「嫁・家族なら、家で面倒を見ろ!」のように、「主介護者に対して周りの人が、主介護者のあり方や役割を押し付けている状態」そして「主介護者さんもそれに従わざるを得ない状態」です。主介護者さんはそれに対して、不満を感じていたり、諦めきっていたり、開き直ってしまっていたり、意地になってたりすることがあります。「お義兄さんがああ言いますから、ディになんて行かせません!これ以上、私が悪者にされるのはたまりません!」みたいな感じですね。主介護者もそれで「自分の存在・意義が“認めてもらえる”」ということで、「させられ共依存」とここでは表現しておきます。とにかく、「ご本人にとってはどうなのか?」という視点がすっぽり抜け落ちていますね。

 そんな時も第3者の援助はなかなか難しいものになります。が、少なくともそんな家族内人間関係があり得る、ということは、知っておいたほうがよい事は言うまでもありません。


 何にしても、在宅介護にあたるご家族に接する私たちは、ご家族を「私たちと同じ“介護スタッフ”」というよりは、既にこのHP内のあちこちで書いている通り「ご本人・ご家族も含めた“一つの家庭全体のあり方”」を援助していくのだ、という強い意識が必要だと思います。また、直接ご家族に接する機会の少ない施設スタッフの立場であっても、「施設に預けるとなおさらダメになってしまうと聞きますから…」なんて、共依存的な傾向に理由付けをあたえてしまうような、自分たちがそんな存在ではありたくないですね。(^_^;


 ご家族もご覧になっているこのHPに、こんな内容をアップしてもいいの?なんて感じられる方もいらっしゃるかも?(^_^; いや、大丈夫でしょう。心身ともに大変な在宅介護生活を送りながら、さらに情報を求めてこんなHPを能動的に覗いてくれるご家族さんには、このページで取り上げたような問題はあり得ないでしょう。反対にそういう問題を抱えたご家族が、能動的にこんなHPを閲覧する、ということも考えにくいですね。

 このテーマについては、やはり1年以上前から意識して折りに触れ勉強してきたつもりなのですが、何せ専門外のテーマですから、「こりゃ明らかに間違い、勘違い!」という面がありましたら、ご遠慮なく、ご指摘・ご教示いただけるとありがたいです。

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