老人介護についての個人的HP-4 知識 - (27) 学習性無力感
時としてお年よりは、全てをあきらめ、投げ出してしまっているように感じられることがありますね。例えば、もうちょっとの頑張りでおむつが外せそう、とか、少し練習すればまた歩けそうなのに、本人さんは全然乗り気にならない、なんてこと。それどころか、離床も嫌、レクリエーションも嫌、生きているのも嫌!みたいな。「意欲がない」「うつ的」なんて「評価」されてしまうこともあるし、ずっと長い経過をかけて少しずつ色々なものを「失ってきた」ことを思うと、それも当然かな?という気がしないでもありません。
そのあたりのことについて、ようやく的確に説明してくれる概念を見つけたので、ご紹介します。心理学の世界で「学習性無力感」あるいは「学習性絶望感」と言われるものです。まずは以下の内容をご一読ください。
東京学芸大学教育学部心理学科 松尾研究室さんのHPから http://www.u-gakugei.ac.jp/~nmatsuo/essay6.htm
心理学の用語で「学習性無力感」というものがある。
いやな刺激(結果)を避けようといろいろなことをやってみても、避けることができず、「自分が何をしようとも状況は変わらない」ということを学習したために生じる無力感のことである。
学習性無力感が生じると、次の3つの問題がでてくると言われる。
(1)環境に対して自ら積極的に働きかけようとしなくなる
(2)実際には成功できるようなことに対しても、自分の行動がうまくいくということを学習するのが難しくなる
(3)情緒的に混乱する
実験場面では、決して解くことのできないパズル課題などが繰り返し与えられるような方法で、学習性無力感はつくられる。そのような状況では、(1)問題を積極的に解こうとしなくなる、(2)途中から解くことができるような課題が与えられても、解けない、(3)無力感やいらだちなどを感じる、などのことが現れる。(否応なしに心身機能が低下していく老化現象に直面することは、それを拒否したい人にとっては『決して解くことのできないパズル』に取り組むことと同じことですね。:大渕)
宮城教育大学 平 研究室さんのHPから http://www.miyakyo-u.ac.jp/school/taira/Lecture/OHP/motivation.html
学習性無力感(Learned
Helplessness)
強制的,不可避的な不快経験を繰り返し体験することによって,何をしても環境に対して影響を及ぼすことができないことを,誤って学習してしまうこと(学習できないことを学習してしまう)。
新潟青陵大学看護福祉心理学部 碓井真史 心理学総合案内「こころの散歩道」 http://www.n-seiryo.ac.jp/~usui/news2/2000/9nen/naze2.html
の、『9年間の監禁 少女は、なぜ逃げられなかったのか2:「学習性絶望感」』 も大変参考になります。
失敗経験を繰り返すうち、何事にも意欲を失い、やがてできることにさえやる気が起きなくなる…何も難しいことではなく、私たちでも容易に共感できる内容だと思います。「学習性無力感」と、あえて心理学用語をもちだすまでもありません。
心理学領域ではこの学習性無力感は、子供たちの教育問題と絡めて語られることが多いようです。そして私たちが、自分の仕事にこの知識を活かしていくためには、心理学において『学習性無力感を如何に克服するか?』どのようにまとめられているかを学ぶ必要がありそうです。
しかし私の調べた範囲では、子供たちの学習教育領域において学習性無力感に陥らせないための技法や理論はあっても、向老〜高齢期における健康増進〜介護という場面における学習性無力感の問題について、まとめられた資料は見つけられていません。もう少し勉強してみたいと思います。また、何かご存知の方がいらっしゃったら、ぜひご教示ください。
えっ?『ウチでは“スタッフ”が「学習性無力感」に陥ってる…』って?!そんな寂しい話はナシにしたいですね〜。(^_^; (本当にそうだよ…>自分…)