『50を過ぎたらパソコンで遊ぼう〜介護にまつわる掲示板「あったかひだまり待合所」

〜 http://www.mahoroba.ne.jp/~tani/matiai.html〜

特 別 出 張 室

 こちらはリンクのコーナーでもご紹介しております「どれみ」さん(tani@mahoroba.ne.jp)主催の掲示板〜「あったかひだまり待合所」の特別出張室です。

 掲示板では私も参加させてもらいつつ、多くの方々により介護にまつわる様々な話題がやり取りされています。また、掲示板に書きこみはされなくても、継続して目を通していらっしゃる方々も多いそうです。

 しかし、何ゆえにも“文字のみ”によるやり取りですので、時には現場の様子を多くの方々にお伝えするのにまどろっこしい思いをすることもあります。そこでそられの話題について、私なりのコメントをつけさせてもらいながら具体的な場面の画像を提供することで、実際の介護場面をご存知ない方も含め皆様に「介護」についての「思い」を深くしていただけたら・・、そんなふうに考え作ってみました。

 ここではまず、話題の発端となった発言について要約しつつも紹介させていただき、その発言にまつわる具体的な場面画像や発言に対するコメントの要約紹介、さらにコメントにまつわる場面画像などを並べていきたいと思います。

よろしければお先にどうぞ・・。


テーマ@ ぐちゃぐちゃに混ぜこみ食事介助にまつわる話題

『発言No,177 yaekoさん・・食べさせて貰っているのですが、お魚もぐちゃぐちゃにつぶし、ご飯の上にかけ、その中にみそ汁を入れ、サラダもいれ、おまけに漬け物まで一緒に入れたのです・・そのお茶碗の中になんとお薬もまぜてぐちゃぐちゃにしてかき回したのです、いくら痴呆があるとはいえ、人間の食べる物ではないです。見ていて吐き気がしました。動物に餌を与えるように、口に次々とおしこんで(そう見えました)ぐずぐずしていると、口にお茶を流し込みました。まるで当たり前のように(何時もしているのでしょう)あんたらいっぺんそうやって食べてみてみいと言いたくなりました、二度と行きたくないです。・・No,183 介護さんはどうおもて親のような歳の人間にあんなしうちができるのかと(聞いてみたい)』

 あってはいけないことなのでしょうが、ありえそうな場面ではあります。写真1をご覧ください。これは当院における内科病棟の平日お昼の食事風景です。当院のこの病棟で、食事介助に当たる職員が3人のところへ要介助の方々が、わずかな介助から全介助の方まで全て含めて15人から20人です。そして食事のための時間は限られています。となると、職員さんの心がけ・意識次第では発言のようなこともおこり得ましょう。

 

写真1 当病院での食事全介助、注射器でジュースの注入中

 写真2は老人保健施設のほうの食事風景ですが、全ての方々に食堂に出ていただき病院よりはずっと「人間の食事風景」らしい雰囲気となっています。これはそのまま、各施設の機能の違い、ということでもあります。ただし初めに発言されたyaekoさんがご覧になった光景は、むしろ写真2のような場面の中でのこと思われます。

写真2 老人保健施設での食事介助

 確かに、その後のコメントにもあったように「混ぜなければ薬が飲めない」「乾いた物は湿らさないと飲み込めない」など、個々のケースに特有の理由や状況はあるでしょう。しかし、最後に問題となるのは『No,198 yaekoさん・・患者の為にと思ってするのなら、おのずとはたで見てても感じます。』ということですね。つくづくも、介護は介護者の『感性・意識』で全てが決まってしまいますね。それがある人は少ない人員配置の中でも喜ばれる仕事をされるでしょうし、反対ならばどんなに職員数が多くてもやっぱり「二度と行きたくない」と言われてしまいそうです。技術や知識以前の問題ですね。この辺りの問題は、思索のコーナー(5)「ぐちゃぐちゃ食事介助の投げかける問題」でより深く考察している(ツモリです)ので、よろしければこちらもご覧ください。

 でもやっぱり職員数の足りなさは、とても大きな切実な問題です。その理由から当院では、よく「鼻腔栄養処置」と事態が流れてしまい、さらに管を抜くから・・と、「ベッドに腕抑制」がなされたりしてしまいます。


テーマA ベッドに手を縛り付け(ベッド抑制)の話題

 『発言No,230 大場さん・・たまたま(いきつけのスナックの)ママがお見舞いに行くと、なんとおかあさんがベッドに縛り付けられていたのだそうです。看護婦さんにびっくりしてたずねたところ、「痴呆が進んでいて、点滴をすごくいやがり暴れるのでかえって体に傷をつける」等のことでした。ママは「ちょっと待ってください。説明しますから」といって、母にわかりやすく説明してヒモをはずしてもらったそうです。ママは「自分を育ててくれた母がベッドに縛りつけられている姿はよう見れんかった」と涙ぐんでました。わたしも亡き祖母を思い出しました。・・同じようにベッドに括り付けられてました。・・患者を縛る時、看護婦さんはどう思うのでしょうか。もはやあのときの祖母は一つの物体でしかなかったのでしょうか。「命を救うためには仕方がないこと」なのでしょうか。』

 はっきり言って、病院職員にはあまりに日常的な、当たり前の「医療行為」の一つの風景ですが、その当たり前の風景が日ごろは医療の現場とは無縁な方々にとって、どれほど衝撃的な風景となるか?そのことを医療従事者は改めて感じなおすことが必要かもしれません。

 写真3は、ご発言のように疾病の急性期で点滴治療をしているわけではなく、経管栄養の管を抜いてしまうので抑制されている方の姿です。(長期に渡りますからかえって問題、とも言えます)実はこの方は、経管栄養の状態で当院に入院されてきて一旦はリハビリと看護の協力で口から食べられるようになったのですが、数年を経て新たな脳梗塞を起こされたりして、今は再び経管栄養になっています。本当言うと、食事に1時間かそれ以上の時間をかけてゆっくり介助すれば、おそらく今でも口から食べられるのではないか?と思われます。訓練室から病室に戻る時は、介助ででも歩いていける方でもあります。ただし、食事については限られた時間と職員数の中ではかえって誤飲による窒息や肺炎の恐れが大きいため、経管栄養となっているのです。食事のたびに管を抜き差しするのは、職員の手間もあまりに大きいですし、それはそれで本人さんの苦痛も大きいのです。「胃瘻」といっておなかに穴をあけ、直接胃までチューブをさしてしまう方法もあって、むしろ管理はそちらの方が楽なのですが、設置には「外科手術」が必要となります。

 

写真3 鼻への経管栄養の管を抜かないように手を抑制

 『発言No,234 タイユーさん・・誰かを何とかしてでも助けたいと思う気持ちがベッドに縛り付ける行為となるのだと思います。ちょうど小さな子供が無意識に危険なことに向かっていけば、親はどんなことをしてでもそれを止めようとするのと似ているのではないでしょうか。薬を自力で飲めない老人にご飯に混ぜる、ジュースにまぜる。 子供のころに苦いかぜ薬をオブラートに包んで飲まされたのとどこが違うのでしょうか。』このようにおっしゃってくれる方もいらっしゃるのですが、全身全霊をつくしてそれでもダメでやむを得ず「ベッド抑制」せざるを得ないのだと、私たち医療人は胸を張って言えるでしょうか?No234のように「擁護」をしてもらえる資格があるのでしょうか?また、『No,242 yaekoさん・・本人が望まないのに全身に管を通されたりベットに縛られて栄養をもろて、何ヶ月、何年長生きが出来ますか?』というお気持ちでご本人さんがいらっしゃるとしたら・・・、私たちのしていることは一体なんなのでしょう?(しかも、No,242 yaekoさんのお気持ちにも関わらず、徹底した医学管理でこのような状態で、結構長生きされたりもします。)

 ご家族からのご心情を述べられた『発言No,241 姜維伯約さん・・私自身「死ぬことで苦しさがなくなる」事と「生きて貰いたい気持ち」とを迫られるとどうして良いのか解りません。ボケていようが、意識がなくても「目の前にいる」ことで嬉しいと思うかも、また本人の希望どうりにするかも「今のわたし」には解りません。』という迷い・戸惑いの中に、今の日本の医療福祉全体が陥っているのかもしれません。(思索のコーナーにアップした通り、欧米では食べられないほどに弱ってきたら、そのまま自然に任せるそうですしね)

 写真3の方について言えば、入院以来の経過をずっとご覧になっているご家族が「いや、仕方ありません。(面会から帰る時に)私の方で縛っていきます。」とおっしゃってくれることが唯一の救いのようでもありますが、反対に「ご家族にそこまで言わせてしまう病院の機能って一体・・」と、黙然とする思いもいたします。


テーマB 施設入所者への歯磨き介助について

『発言No,275 群青亜鉛さん・・でも、利用すればするほど、いろんな「?」ところが目に付きます。私自身、かなり理解に苦しむのが、このケア施設は機能維持、生活リハビリを提供していただける施設なのに、歯磨き介助してくださらないという事。一週間のショートステイで初日、2日目はいいんだけど、たいがい、あとの5日間ほったらかし。ばあちゃんが、自分一人で歯磨き出来ないのは、見たら分かることなのに。・・なんで?あとで渡してくれる、毎日の記録表にも、歯磨きのとこには丸が一回もしてない。ということは、歯磨きができてないってことでしょ?スタッフの誰も、気が付かないなんて、変。・・ショートステイの間の歯磨きの事を聞くと、ばあはしょぼくれる。ばあちゃんも、気兼ねして、声を掛けられないらしい。なーんかへんなの?と、不信感がつのる。分かり切ったようなことをスタッフに言うのも、私も気兼ねしてしまって、いいそびれて。・・』

 そうですね、歯磨きやその他にも爪切りや耳の穴掃除などは直接生死に関わることでない分だけ、見過ごされがちなことなのかもしれません。(見過ごされて良い、という意味ではありません。)単刀直入に言って、こればかりは施設職員さん方の「意識の問題」となってしまうのではないでしょうか?私自身のつけたコメントでも触れましたが、ウチの施設の場合は食事が終わったらすぐにそのまま食事テーブルについたままで、「ガシャガシャペッペ!」をしてもらいます。(写真4)一度に全員はできませんから、朝昼夕と「順番表」が準備してあります。で、ワゴンには各自の歯磨きセットが並んでいます。(写真5)一日一度となってしまうことも含めて、ウチの施設のやり方で完璧!などと言うツモリはありません。病院の方では(人手の問題で)このような介護もできませんから、掲示板のコメント中でも触れた「イソジンうがい液を染み込ませた巻綿子」(写真6)でお口の中を掃除してもらいます。(または介助します)(写真7)

写真4 食事テーブルで歯磨き、目線を隠すのがちょっと惜しいくらいに良い表情です(^。^)

写真5 歯磨きセット、写真ではお昼メンバー用がワゴンに

 

写真6・7 イソジン液を染み込ませた巻綿子で、寝たまま自分で口中のお掃除

 歯磨きについては自身の施設では以上のように対応しているわけですが、「耳掃除・爪切り」の方は「お風呂から上がった時に気をつける」という、漠然とした対応状況です。特に病院の方では、時に患者さんの耳が耳垢でふさがっているようなことがあります。リハビリ室で耳掃除をすると、いつか写真でご紹介したいほどに「でっかい耳垢」がとれることがあります。情けないです。病棟に帰って看護婦さんに「爪くらいの大きさの茶筒みたいな耳垢が取れたよ〜」と報告すると、さすがにバツの悪そうな顔をされる方が多いですが、中には(開き直って?)「あら、ありがとー!助かるわぁ!」と言ってくれる方もいます。(^_^;

 No,275 - 亜鉛さんご利用の施設では、亜鉛さんと施設職員さんの努力、協力もあって、少しずつ事態は改善してきているそうです。何よりですね。良い意味で、ご家族と施設職員と一緒に協力をしていけたら・・、そんなふうに思います。

 さて、掲示板の方で『No404 群青亜鉛さんあて個人メールの紹介・・(ウチの)施設では100%?くらい徹底しています。朝昼晩の食事後は必ず。人手が足りないって言うのは、単なる言い訳で、工夫次第でどうにでもなるものです。みんなで、どうしたら徹底できるかって話し合った結果、食堂に「ながし」〜3.4人様を設置。そして個人用のコップと歯ブラシ置きも一緒に設置。・・』と紹介されている、長崎県の特別養護老人ホームサンフラワーさんの「食堂内洗面流し台」が写真8です。ズラ〜と並んだコップが壮観です。(^_^; 必要性を皆で話し合って、すぐに管理者さんからOKが出て、職員さんの設計の上で地元の業者さんが特注で作ってくれたそうです。これで「ほぼ100%」(中には歯磨きをサボる入所者さんや職員さんも?いるから・・)歯磨きできているそうです。意欲のある職員さんと理解のある管理者さん、ご利用者さんは幸せですね。(^。^)

写真8 特別養護老人ホーム「サンフラワー」さんの流し台


 というわけで、どれみさんの「あったかひだまり待合所」の方から3つばかり話題を引っ張ってきて、画像を添えた上で私なりにコメントをつけてみました。ご意見ご感想などありましたら、直接メールででも、掲示板の方へでもお寄せいただけたら幸いです。また、今後も掲示板の方で介護にまつわる具体的な場面が話題となることがありましたら、このページのテーマも増やしていきたいと思います。

◆HPトップへ